日比谷野音での初ワンマンも発表! LAMP IN TERREN、活動休止前のラストライブ
LAMP IN TERREN | 2018.05.02
「今日から活動休止じゃないです、今日からが始まりです」。ボーカル松本大の声帯ポリープの切除手術のため、一時、活動休止することが発表されたLAMP IN TERRENの活休前ラストライブが恵比寿リキッドルームで行なわれた。4月7日の福岡を皮切りに全国4ヵ所で開催した『ONE MAN TOUR 2018「MARCH」』のファイナルになったこの日は、復活ライブとして、2018年8月19日に初の日比谷野音でのワンマンライブを開催することも発表。「もっと素晴らしいバンドになって帰ってきます!」(松本)という約束の言葉と共に熱い想いを込めたライブは、この逆境こそをバネにして、これからどんなことがあっても4人で乗り越えてゆくんだという、バンドの強い決意を伝えるものだった。
ソールドアウトの会場に、まず姿を現したのは松本だった。ステージ上手に置かれたピアノの前に腰を下ろし、静かに歌い始めたのは「花と詩人」。淡々と、しかし冷めない熱を込めた不器用な男のラブバラードに、川口大喜(Dr)、中原健仁(Ba)、大屋真太郎(Gt)の演奏がそっと加わる。アップテンポで始まることの多いテレンのライブには珍しい鮮烈なオープニングを、お客さんが固唾を呑んで見守るなか、続く「涙星群の夜」は一転、疾走感溢れるロックナンバー。力強いサウンドに導かれるようにフロアから一斉に手があがった。「最高の一日にしようぜ!よろしく!」と松本。さあ、ここから、と言うところで、「ランデヴー」ではギターの音が出ないというアクシデントもあったが、「これぞライブ!」とばかりに、フロアはいっそう盛り上がり、異様な熱気のままライブは進んでいった。
心配していた松本の声の調子は悪くはなかった。新曲「Dreams」ではスタンドマイクをなぎ倒しながら自由にステージを暴れていたし、川口の野性的なドラムが力強く鳴り響く「reverie」では、“歌う”というよりも、叫ぶようにしてお客さんと対峙していた。どこまでも奔放で衝動的なフロントマンの歌に、メンバーの演奏がぴったりと寄り添い、歌に込められた葛藤や孤独、愛情という様々な感情を一丸となって体現する。そんなLAMAP IN TERRENという音楽の絶対的な柱として、この日の松本はステージに立っていた。そして、中原のベースが唸りを上げ、大屋のギターが美しく折り重なった「at(liberty)」から、混沌としたSEで繋いだ「innocence」への流れは前半のハイライトだった。答えのない日々を彷徨い、運命に抗い続ける。そんな自分自身への闘争心を剥き出しにする荒々しい歌こそ、今のLAMP IN TEREENにはよく似合う。
「声の調子が悪くなってから、自分の声について考えるようになりました。調子が悪い日も、良い日もありましたけど、一貫して自分がいま伝えたい気持ちというのは変わりがなかったです。いつまでも会話するみたいに、1対1で歌っていたいです」。そんな松本の言葉のあとに、“伝えたい”という想いをストレートに託した優しいミディアムテンポ「pellucid」が披露された。後のMCで明かされるのだが、今回のツアーでは会場ごとにメンバー個々のリクエスト曲を演奏してきたという。この日、松本が選んだのが「pellucid」で、続けて披露された「オフコース」は川口のセレクトだった(ちなみに他の会場では、中原は「at(liberty)」と「balloon」、大屋は「Grieveman」を選んだそうだ)。さらに、今回のツアーのタイトル“MARCH”とは、もともと吹奏楽部(の幽霊部員)だった松本が、“マーチング”をイメージして、「みんなで一緒にライブを作っていきたい」という意味で名づけたと説明。テレンのツアーでは初の試みとなる、お客さんのリクエストに答えるコーナーでは、フロアの後方にいた男性のお客さんが「雨中のきらめき」(初の全国流通盤『PORTAL HEART』に収録)をリクエストすると、「最近やってないよね、歌詞、大丈夫?」「真ちゃん、大丈夫?」とやや不安そうに言い合いながらも、熱い演奏で答えてくれた。
「話すことをいろいろ考えてきたんですけど……ここまでやってきて、気が変わりました。歌で聴いてください」(松本)とだけ言って届けた「緑閃光」は素晴らしかった。薄暗いステージに緑の光が灯り、メンバーが全身を大きく使いながらエモーショナルに奏でたのは、昔も今も、テレンの前進の意思を音楽で代弁するものだ。そして、「“今が最高じゃん”って言いたくて作った曲です」と紹介をした「multiverse」で、中原の「いこーぜ!」という声を合図にフロアがシンガロングで一体になると、「地球儀」では勢い余ってフロアに降りた松本が、お客さんと一緒にジャンプしてもみくちゃになっていた。
ラスト1曲。「実感がないよ、明日から活動休止っていうこと。終わりたくない」。ライブの終わりを惜しみながら、ここで前述の日比谷野音でのライブを発表。松本が「あーーー!」と言葉にならない想いを爆発させるように大きな叫び声をあげて、最後に「New Clothes」を届けた。ダークでシリアスな曲調にのせて、理想と現実の狭間にある葛藤を叩きつけるような荒々しい歌は、最後に“さぁ、どんな姿で歌おうか”と、自分を鼓舞するような言葉で締めくくる。今のテレンがバンドとして最も伝えたい剥き出しの歌だった。
アンコールでは、「出会ってくれて、ありがとう。これからは自分がミュージシャンであると誇りをもって言えるようになりたいです」と松本。その言葉にフロアから温かい拍手が送られると、「泣きそうになるからやめて(笑)」と照れたように笑い、アコースティックギターの弾き語りで「メイ」を歌った。再びメンバー全員に戻って届けたラストソングは「L-R」。「離れても生きています。あなたたちの隣で。ひとりだと思っても、俺は、俺を愛してくれる人の味方です」。そう言って、自分の存在意義を確認するように、丹念にメロディを紡いだ「L-R」では、松本は「歌える人はご一緒にどうぞ」とシンガロングを誘い、その一人称を、“僕”ではなく、“僕ら”に変えて歌っていた。それは、この日貫かれた“みんなで一緒ライブを作りたい”というLAMP IN TERRENの想いを象徴するラストソングだった。
この日のライブを終えたあと、松本が無事に声帯ポリープの切除手術を終えて、退院したことがTwitterで報告された。再開の約束は、8月19日の日比谷野音だ。“ARCH”と名づけたそのライブのタイトルは、バンド再出発の門出を祝う日にあまりにも相応しい。
【取材・文:秦 理絵】
【撮影:木村 篤史】
■ライブ情報
LAMP IN TERREN 夏の野外ワンマンライブ
「ARCH」
2018年8月19日(日)日比谷野外大音楽堂
16:30 OPEN / 17:30 START
【TICKET】
全自由・ブロック指定
前売¥3,900 / 当日¥4,400
※全自由・ブロック指定は、指定されたブロック内でのみのご観覧となります。
※整理番号順のご入場となります。
<オフィシャル先行予約>
受付期間:4月28日(土)12:00~5月7日(月)23:59
受付URL:http://eplus.jp/lit2018/
チケット一般発売日:6月16日(土)10:00~ 各種プレイガイドにて
※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。
リリース情報
セットリスト
ONE MAN TOUR 2018「MARCH」
2018.04.21@LIQUIDROOM
- 01.花と詩人
- 02.涙星群の夜
- 03.ランデヴー
- 04.Dreams
- 05.reverie
- 06.at (liberty)
- 07.innocence
- 08.pellucid
- 09.オフコース
- 10.雨中のきらめき
- 11.緑閃光
- 12.multiverse
- 13.ワンダーランド
- 14.地球儀
- 15.キャラバン
- 16.New Clothes 【ENCORE】
- EN 01.メイ(弾き語り)
- EN 02.L-R
お知らせ
LAMP IN TERREN 夏の野外ワンマンライブ
「ARCH」
2018年8月19日(日)日比谷野外大音楽堂
<オフィシャル先行予約>
受付期間:4月28日(土)12:00〜5月7日(月)23:59
受付URL:http://eplus.jp/lit2018/
※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。