ココロオークション、メジャー1stフルアルバム『Musical』を携え自身初のホールワンマンを開催!
ココロオークション | 2018.05.07
♪自分だけ見える目的地♪♪会いたかった自分に会いに行こう♪
これらはココロオークションのメジャー1stミニアルバムのリード曲であった「フライサイト」のワンフレーズだ。この3月に発売されたメジャー1stフルアルバム『Musical』にも収まっている。
この日、ココロオークションは初のホールでのワンマンライブを行った。上述アルバムを携えた全国ツアー『Welcome to the Musical』の幕開けステージでもあった、このMt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASUREは、まさに彼らが想い描いたり、憧れていたり、成りたかった自分の一つと出会えた一夜のように映った。
理想の自分像を思い描き、そこに向かって進んだり、常にイメージを保って活動や行動することは夢を実現させるうえでとても重要だ。
筆者は彼らがホール向きのアーティストだと常々思っていた。いや、正確にはそれが明確になったのは、2016年春のメジャーデビュー以降か…。伝え方、届け方、自身の魅せ方、楽曲のスケール観やダイナミズム、歌内容…それらが届けるべく層のすそ野の広さに向かうべく意識が楽曲にブレンドされ出し、ひいては「ホールでもキチンと歌を隅から隅へと届けられるバンドになる」と、意識が移行し出した辺りからだ。ホールは、幅広い人が集え、立っても楽しめるし座ってその各歌物語の世界観に浸ることもできる。どこに対しても一対一で伝達できるし、どこからも無理せず見やすく、天井も高く自分たちの歌がどこまででも届けられる気持ちにさせてくれる。うん、やはり、これって現在のココロオークションの目指す音楽性と合致する。
この日は場内に入った時から、いつものライブとは趣きが違っていた。どことなくアットホームな装飾。流れているBGMもミュージカルや映画音楽と優雅で厳かな楽曲たちであった。なんだかリッチな気分だ。振り返れば『Musical』も、かなり心を豊かにしてくれるアルバムだった。そう考えると、この会場の醸し出す雰囲気や趣きは、今の彼らにぴったりと言える。
登場SEは『Musical』冒頭収録の「Enter’acte」だった。それに乗りメンバー4人がゆっくりとステージに現われる。ボーカル&ギターの粟子真行のギターと歌い出しから「景色の花束」に入ると、ライブと言う名の旅が始まる。いきなり、『Musical』での真骨頂とも言える同期の優しい空間系のシンセ音との上手い融合が味わえた同曲。綴られていく物語が、ゆっくりと会場中に広がっていく。ドラムの井川聡によるビートに合わせた会場からのクラップの中から「星座線」が現われると、ライブが加速を始める。まるで満天の星空を眺めているかのような同曲が広いホールの隅々にまで広がっていけば、続く「ワールド」でもホールならではのダイナミズムが場内に呼び込まれていく。
「ずっと待っていた初のホールワンマンです。今日は僕たちの音楽の描く景色を眺め楽しんで下さい。素敵な夜にしますので最後までよろしく」と粟子。
自分一人の宝物を信じさせ、最後にはそれらを本物に変える力を宿らせた「少年と夢」、続く人気曲「蝉時雨」も、よりどっしりし、その分まぶたの向こうに歌が描く以上の光景を広がらせたのも印象深い。また、長いイントロも交えて伝えられた「砂時計」では、そのプロローグ感を加えてくれた分、楽曲本編の雄々しさを映えさせる。
シームレスに場面や物語をつなげていくのも特徴だった、この日。各章が独立しながらも、ひとつの大きな物語として成立している感がして、その辺りにも工夫が感じられた。
中盤に向かうゾーンでは、何でも描けるし、何を描いても自由なんだと響いた「Rainbow」を歌い終えた粟子が、「ここからは僕とあなた二人だけの世界に連れて行きたいと思います」とアコギに持ち替える。
ベースの大野裕司がカオシレーターで作り出す「Interlude」が場面を切り替えると、次曲の「かいじゅうがあらわれた日」が現れた。ドラムの井川聡によるセカンドラインのリズムを交え、ダイナミズムと生命力、楽曲が元々持っていた安堵感をさらに引き出す。また、ギターのテンメイがマンドリンを弾き、より牧歌性を引き連れてきた「コインランドリー」、粟子も再びエレキに持ち替えて放った「ドライブ」では、「僕とどこかへドライブしよう!」と、会場中をここではないどこかへと連れ出していく。
中盤のMCゾーンでは、メンバー各人が「やりたかった自分」を会場に伝えた。まずはテンメイ。会場とのコール&レスポンスを楽しみ、予め指定されて席のお客さんとのサプライズトーク、そしてホールならではの客席へのウェイブのリクエスト等、彼が“ホールに立つ時が来たら絶対にやってやるぞ!”と、以前から温め楽しみにしていたことを実行。井川はドラムに合わせての「さっちゃん(井川)を励ますコール」をリクエスト。満場からのエネルギッシュなコールでかなり元気になったように伺えた。またベースの大野は『Musical』を振り返り、「今後の自身の道しるべになれる作品がつくれた。変わっていくココロオークションを自由に好きなように今後も楽しんで欲しい」と告げ、粟子に至っては、ホールでのワンマン実現を感慨深く振り返り、「念願のホールワンマンに辿り着けた。これもみんなのおかげ。ありがとう。みんなからもらったパワーを音楽に変えて返しますから」と力強くプロミスしてくれた。
後半戦は盛り上がりナンバーの連発であった。刹那さと一夜性がディスコビートに乗せてきらびやかに展開された「妖精のピアス」がギュっと会場を抱き寄せれば、「ヘッドフォントリガー」では場内も総立ち。一緒に引き連れんとばかりに並走させていく。また、「ハローグッバイ」では、ステージと場内とで出会えた喜びの交歓が見られ、会場が心の手をステージに伸ばせば、ステージ側もそれをしっかりと掴み、自身の胸中へと引き込んでいく。「ここから見る景色は最高だよ。守りたい景色がある」(粟子)の言葉のあと、それがこの光景と言わんばかりに放った「ここに在る」、また、しっかり抱き寄せたまま、更に高みへと引き連れた「フライサイト」では、まさに会いたかった自分に会えた瞬間に立ち会うことが出来た。
「自分たちが生きる理由は感動する為。些細なことにも感動できることはあって。改めてそれに気づいてからは毎日の色がパッと変わった。そんな些細なことにも感動したり感謝できる曲を今後も作って行きたい」と粟子が所信を言葉で表し、この日1日を慈しむように振り返り、かけがえのないものへと変換させるように「今日もわたしは」が、この日の本編を締めくくった。
アンコールは1曲のみ。ありがとうの感謝を込め「Orange」が贈られた。雄々しく雄大に響き、それが明日からもお互い頑張って行こうと、手を引き連れて次へと向かっている自分と出会うことが出来た。
これまでと比じゃないほどのダイナミズムを味わえた、この日の彼らのライブ。確信した。ココロオークションは間違いなく、もっともっとホールが映えるし似合うバンドになれる。
♪自分だけ見える目的地♪♪会いたかった自分に会いに行こう♪を信じ、これからも進んでいく彼ら。目を閉じると、更にさらに大きなホールやステージで歌っている彼らの勇姿が浮かんでくる。
【取材・文:池田スカオ和宏】
【撮影:ハヤシ マコ】
リリース情報
Musical
2018年03月28日
BOGUS RECORDS
2.砂時計
3.少年と夢
4.今日もわたしは
5.ハローグッバイ
6.星座線
7.コインランドリー
8.Interlude
9.かいじゅうがあらわれた日
10.妖精のピアス
11.フライサイト
12.景色の花束
13.musical
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セットリスト
TOUR 2018「Welcome to the Musical」
2018.4.21@Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASURE
- 1.景色の花束
- 2.星座線
- 3.ワールド
- 4.少年と夢
- 5.蝉時雨
- 6.砂時計
- 7.Rainbow
- 8.Interlude
- 9.かいじゅうがあらわれた日
- 10.コインランドリー
- 11.ドライブ
- 12.妖精のピアス
- 13.ヘッドフォントリガー
- 14.ハローグッバイ
- 15.ここに在る
- 16.フライサイト
- 17.今日もわたしは 【ENCORE】
- En.Orange
お知らせ
ココロオークション TOUR 2018「Welcome to the Musical」
05/20(日)高松DIME
05/27(日)福岡Queblick
06/01(金)神戸 太陽と虎
06/09(土)広島4.14
06/10(日)岡山IMAGE
06/16(土)札幌COLONY
06/22(金)名古屋ell. FITS ALL
06/30(土)富山SOUL POWER
07/01(日)金沢vanvan V4
07/14(土)新潟CLUB RIVERST
07/16(月)仙台HOOK
07/28(土)大阪服部緑地野外音楽堂
※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。