WANIMA 2日間で計4万5千人を熱狂させた幕張メッセ2デイズ、2日目をレポート!
WANIMA | 2018.05.07
「我々がキャストでみなさんがゲストでございます、夢の国へようこそ!」(KENTA /Vo・Ba)。4月22日、『WANIMA Everybody!! Tour』幕張メッセ国際展示場2デイズ、2日目のライブが行われた。これまでWANIMAの音楽は、友達といかに楽しく騒げるかという時代に、極めてうまくフィットしていた。どんな時でもひたむきに、何があろうと前向きに。そのスタイルを反映させたメジャーキーの明るいメロディが高揚感を煽り、ファストでラウドなサウンドが興奮の波状攻撃を生む。しかもそれをスリーピースならではの、つまりいろいろやるのではなくて、人数が少ないからこそ歌&コーラスもギター&ベースもユニゾンを多用し、三位一体の爆発力でもってより力強く表現していた。そして今、そこからさらに進んでいくためにはどうすればいいのか。その答えが如実に刻まれているのが、『Everybody!!』というアルバムであり、今回のツアーなのである。ということがよくわかるほんとに素晴らしい一夜だった。
2日間で4万5千人が詰め掛けた幕張メッセ。その中央にドーンと構えるのは360°全方位ステージだ。ライブハウスから始まり、アリーナ~ドームを含む今回のツアーにおいて、よりたくさんの人が全員最前列にいるような臨場感を味わえるようにと用意されたこの舞台。実に彼ららしい試みだなあと眺めていると、「JUICE UP!!のテーマ」が鳴り始める。同時に割れんばかりの大歓声。すると、ステージ下部の3箇所からKENTA、KO-SHIN(Gu・Cho)、FUJI(Dr・Cho)がせり上がってきた。笑顔爆発で走り回り、みんなに挨拶する3人。FUJIが銅鑼をぶっ叩くのを皮切りに、「OLE!!」からライブをスタートさせる。オーディエンス全員のハートに火をつけるように、回転するステージから放たれるめちゃくちゃハイテンションな熱気は、いきなりのシンガロングという最高の形で受け入れられた。
「Everybody!! Tour、幕張編の最終日、WANIMAとみんなで開催しま~す!」(KENTA)の宣誓を経て「いいから」へ。ものすごいパワーが渦を巻いて加速していく感じ。「花火」に入ると、高速2ビートが疾走していく中、≪悲しみの果てには何が必要か≫という歌詞がグッと心をアツくさせる。もっとたくさんの人に聴いてもらうためにどうすべきだろう? その回答として、もっと楽しく、もっと激しく、もっとわかりやすい音楽を作ることも正解のひとつだと思う。しかし『Everybody!!』に彼らが詰め込んだものは、もっと深い音楽だった。要するに、悲しみに裏打ちされた楽しさを歌うということ。生きていく中で人はいろんなことを経験する。特に自然災害の猛威や、さらに言えば9.11なども経験している21世紀の僕たちにとって、悲しみや痛みから目を背けることはどうしたってできない。WANIMAはそこから逃げなかった。すべてひっくるめて前を向いて歌う。そういう歌が聴こえるから、『Everybody!!』は素晴らしいのだ。そしてその強さこそが、人の心を真に震わせる国民的ソングには必要であり、まさにそれがライブで伝わっていく様を観ると、歴史の証人になったような心地がしてくる。彼らは今、国民的バンドになろうとしているのだ。
下ネタエンジンも全開のMCを挟み(笑)、中盤戦の開催が宣言される。レゲエビートが腰を揺らす「CHEEKY」、前述の魂が根付く「つづくもの」、KENTAの「めちゃくちゃぶっとべる人~?」の煽りから始まる「BIG UP」を経て、恒例のあの人のモノマネへ。FUJIが大暴れしている裏で、KENTAはわざわざパッドを使ってキック音を出している(笑)。お次は新曲「Drive」、映画『OVER DRIVE』の主題歌だ。「いろいろあったり、いろんな人がおるけど、情けないことを燃料に、これからもたまにはドライブしようぜ~!」と、まっすぐな気持ちをまっすぐなメロディとまっすぐな演奏で届ける。間髪入れず「今日、幕張のテーマソング歌っていいですか?」(KENTA)と「Japanese Pride」へ。さらに「THANX」の大合唱! 最後はしゃがみ込みながら言葉にできない想いまでかき鳴らしていた。
ここからはなんとアコースティックパートだ。カホンを始めとするパーカッション、アコースティックギターに乗せて、いつにも増して生々しい声が響き渡る。「雨あがり」は祈るようなやさしい感情が胸の中を晴れやかにし、「昨日の歌」のアップテンポなビートと燃える野心が身体をアツくさせ、「ここから」で悔しさをバネにする生き様を観せてくれた。
「僕らより若い人たち、めちゃくちゃ悔しい時とか、ちょっと手出そうやわって時もあると思うけど、そういう時はグッと堪えて、かっこいい大人目指してWANIMAとともに生きてって下さい。お父さんお母さん、僕らより上の世代の人、こんな時代ですけど、僕みたいにワンチャン言うてまっすぐな男の子もおるから、なんとか長生きしてWANIMAとともに生きてって下さい。よろしくお願いします」とKENTAが伝え、「ともに」のシンガロングが始まる。ひとりひとりに対する全力のコミュニケーションが2万倍以上の想いとなって壮大な絶景が生まれる。そこに「ANCHOR」がどっしりと根を張り、生きているということの花を咲かせる。さらに「SNOW」では、すずの音に乗って会場いっぱいに雪を降らせる演出も。シングルコイルギターによる泣きのソロもたまらない。そこからの「ヒューマン」。KENTAが頭を掻き毟りながら叫ぶこの歌は、パンクのその先というか、深みを増した今の彼らにおけるひとつの完成形であるように感じられた。
ここから終盤戦。灼熱の狂騒空間を生み出す「オドルヨル」、ミラーボールが回り火柱が熱気を加速する「サブマリン」を経て、最後のMCタイムを迎える。「めっちゃくちゃみんなええ顔してるやんか! WANIMAもこれからいろいろ挑戦していくから、みんなもいろんなことに挑戦して、ダメやったらいつでもWANIMAんとこに戻ってきて下さい。不器用でも不格好でも全然いいと思うけん、自由にやってダメやったら、お金は貸せんけど、肩くらいは貸せるから。よろしくお願いします(笑)」とKENTA。そして「シグナル」の、心臓をドクドク脈打たせてくれるような歌が爆裂し、この最高な1日を総括するような「Everybody!!」で万感の締めくくりを飾った。
アンコールは、Everybody!!→エビバディ→エビ……だからまずエビの気持ちを知ろう! という謎のバラエティ映像からスタート。エビ反りジャンプ選手権、伊勢エビとザリガニのききエビ、水上バランス対決……。散々笑わせておいて、再びオンステージしたら「リベンジ」でドカンとかっこよく盛り上げるのだから、ちょっとずるい(笑)。リクエストコーナーでは「For you」が求められるが、緊急会議の結果、ラストにやることに(笑)。で、もう1曲リクエストを募り、「HOPE」が披露された。「HOPE」に決まった時、“あちゃ~”という顔をしていたKO-SHINは、演奏前にちゃっかり練習していた。でもソロは熱量でごまかし、KENTAに「なんじゃそりゃ」とツッコまれていた(笑)。ここで一転、新曲の「りんどう」がいち早く届けられる。熊本では、秋になるとりんどうの花が群れずに1本1本咲くそうだ。その姿に生きる意志を重ね合わせた、あたたかくも力強いバラードを大切に歌い上げる。いよいよ訪れてしまった終演の時。「For you」を全身全霊でかき鳴らし、スタンディングエリアをハイタッチしながら通り抜け、3人は姿を消していった。「まだまだ続くぞ~!」、最後に彼らはそう言った。ひとまず8月25日、26日の埼玉メットライフドームワンマン公演を楽しみに待とう。
【取材・文:秋摩竜太郎】
【撮影:瀧本 JON... 行秀】
リリース情報
セットリスト
Everybody!! Tour
2018.04.22@幕張メッセ 国際展示場 9-11ホール
- 01.OLE!!
- 02.いいから
- 03.花火
- 04.CHEEKY
- 05.つづくもの
- 06.BIG UP
- 07.Drive
- 08.Japanese Pride
- 09.THANX
- 10.雨あがり
- 11.昨日の歌
- 12.ここから
- 13.ともに
- 14.ANCHOR
- 15.SNOW
- 16.ヒューマン
- 17.オドルヨル
- 18.サブマリン
- 19.シグナル
- 20.Everybody!! 【ENCORE】
- EN 01.リベンジ
- EN 02.HOPE
- EN 03.りんどう
- EN 04.For you
お知らせ
WANIMA Everybody!! Tour Final!!
08/25(土)[埼玉]メットライフドーム
08/26(日)[埼玉]メットライフドーム
SATANIC CARNIVAL’18
06/17(日)[千葉]幕張メッセ 国際展示場 9−11ホール
京都大作戦2018~去年は雷雨でごめんな祭~
07/08(日)[京都]京都府立山城総合運動公園 太陽が丘特設野外ステージ
※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。