DATS サラウンド音響システムを取り入れたツアーファイナルで最新アルバム楽曲を全曲披露!
DATS | 2018.05.22
ツアー最終日、しかし演奏したのはほぼ新曲。
5月11日(金)にLIQUIDROOMにて最新作『Message EP』ワンマンツアーの最終公演を行ったDATSなのだが、なんとこの日が6月20日にリリースするメジャーデビューアルバム『Digital Analog Translation System』の配信先行リリース日。というわけで、この日のセットリストには新作の楽曲が全曲組み込まれるという驚きの内容に。さらには2017年の『Application Tour』最終公演で初導入されたサラウンド音響システムも登場したスペシャルなライブとなった。
そんなスペシャルなライブとあって、オープニングも意外な展開に。というのも、1曲目はなんと新作にも未収録の新曲インストゥルメンタル「Search」。重低音のキックドラムが衣服の裾を揺らす、ロックバンドとは思えぬ出音。そうしたパワフルなクラブサウンドにアブストラクトな世界観が広がるSEが重なり、陶酔と高揚を煽る。かと思いきや、ハードなギターサウンドが唸りを上げ、デジタルサウンドとアナログサウンドを行き来してみせる展開。新作『Digital Analog Translation System』というタイトルを象徴するかのようなオープニングトラックだ。
DJが楽曲をつなげてプレイするようにシームレスに次の曲へ。デトロイトテクノを連想させるシンセリフが印象的な新作収録曲「404」だ。ライブでの楽曲の変貌はDATSの魅力のひとつだが、新作からの楽曲でも早くもそうした変化が。音源よりも激しく唸るギターと、MONJOEのヴォーカルが重なる展開は、まるでアンダーワールド「Born Slippy」のような高揚だ。
そして続くのはApplicationからおなじみの楽曲「Mobile」。トライバルな印象のドラムと、ロウでブリープなシンセは音源よりも攻撃的な印象で、オーディエンスもよく知った楽曲とあってハンドクラップで盛り上げる。当初はリアクションが硬い印象のあったこの日のオーディエンスだが、ここからフロアではダンスが目立つようになってきた。また、シンセベースとエレキベースの弾き分けによるニュアンスの違いは、ライブだからこそ楽しめる音の変化だろう。
そのピークを維持するようにビートをつないだまま新作のオープニングトラック「Memory」へ。全体的な印象は音源とほぼ同じかと思いきや、ここで大きな発見が。それは楽曲にトロピカルな印象を与えていた爽やかなスティールパンの音色が、ライブではギターによって鳴らされていたということ。この後もシンセや同期かと思いきやギターによって演奏されていたというシーンが多く見られたが、これには驚かされた。
そしてメンバー紹介を経て、新作から風通しの良いトロピカルかつアーバンな「Cool Wind」。ストイックな演奏の多いDATSにおいても特に平熱感の強い楽曲だが、ライブではドラムとベースがパワフルにリードし、ロックバンド感強めにアレンジされていたのが印象的だ。ヴォーカルのメロディーを彩るようなベースのフレーズも効果的で、ライブで発見の多い曲である。続いてギターカッティングから始まる「JAM」はオーストラリアのであるカット・コピーを思わせるポップで軽快なダンスミュージックでリリースされたばかりながらリアクションも上々。そして前作からの人気曲「Netflicks」に続き、DATSには珍しい4カウントから始まったのは「Alexa」。新作の中でも特にメロウかつムーディーな楽曲で、横ノリで体を揺らすオーディエンスが多く見られた。おそらくファンの間でも人気の楽曲となることだろう。
ここからはライブでの人気曲「Run」、サラウンド効果も含めてよりトリッキーかつトランシーな印象となった「Health」、そして「Dice」とダンスチューンが連続。そうしたフィジカル面でのピークとも言えるこの展開を締めくくったのは、DATS作品のミキシングや客演、そして共作者としても知られるラッパー荘子itが参加した2曲、新作からのインストトラック「Interlude」と、セッションの末ハードかつメロウなミクスチャーロックに発展した「New Session」だ。ダンスミュージックとロックミュージック、そしてさらに幅広い音楽的要素を貪欲に取り込んだこのパートは、DATSが標榜するカルチャーの橋渡し的側面を凝縮させたようなセクションだった。
この日のライブで特に見事だと感じさせられたのが、そこから本編ラスト3曲のセットリストの組み建てだ。シェイカーを揺らすメロウでリラクシンな「Patagonia」でクールダウンし、シンプルなダンスビートに身体を揺らしシンガロングなメロディーをコール&レスポンスする「Heart」で一体感を演出し、その流れを汲んだメロディックかつダンスミュージックかと思いきや、後半にメンバー全員がドラムを叩くライブならではのハードな展開を見せ、またサビに戻って行く「Message」。こうした無理にクライマックスを演出しない、終盤一歩手前に作ったピークを少しずつ収束させて行くようなセットリストからは、DATSのクラブミュージック愛が伝わってくるようだった。
アンコールはMONJOEがアコギをかき鳴らす「TOKYO」と、R&Bやソウルの影響を感じさせる「Pin」。こうしてこの日のライブは新作『Digital Analog Translation System』の楽曲を全曲披露して終了した。まだ新作からの楽曲を聴き込めていない段階ということもあり、オーディエンスの反応はやや控えめな印象もあったが、すでにバンドは新曲のライブ用アレンジを試しており、早くも次のステップを進もうとしている印象を受けた。恐らくは今後さらにライブ向けにアレンジメントやセットリストは変化して行くことだろう。
【取材・文:照沼健太】
【撮影:Kosuke Ito】
<リリース情報>
メジャー・デビューアルバム『Digital Analog Translation System』先行配信中!
⇒配信はこちらから
https://smer.lnk.to/DATS
⇒リミックス盤との2枚組CDご予約はこちらから
https://www.sonymusicshop.jp/m/item/itemShw.php?associate=SMO&cd=SECL000002296
リリース情報
Digital Analog Translation System
2018年06月20日
ソニーミュージック
01. Memory
02. 404
03. Dice
04. Interlude
05. Cool Wind
06. JAM
07. Alexa
08. TOKYO
09. Pin
10. Heart
[DISC 2]
1.Memory (MIRU SHINODA Rework)
2.404 (Licaxxx Remix)
3.Dice (Dos Dub Remix)
4.Interlude feat. Pecori & SunBalkan(踊Foot Works)
5.Cool Wind (Yoshinori Sunahara Remix)
6.JAM (starRo Remix)
7.Alexa (GARDEN CITY MOVEMENT Remix)
8.TOKYO (Kai Takahashi Remix)
9.Pin (WONK Pin-Funk Remix)
10.Heart (Hidefumi Kenmochi Remix)
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セットリスト
『Message EP』ワンマン
2018.05.11@ LIQUIDROOM
- 01.Search
- 02.404
- 03.Mobile
- 04.Memory
- 05.Cool Wind
- 06.JAM
- 07.Netflicks
- 08.Alexa
- 09.Run
- 10.Health
- 11.Dice
- 12.Interlude
- 13.New Session
- 14.Patagonia
- 15.Heart
- 16.Message 【ENCORE】
- EN 01.TOKYO
- EN 02.Pin
お知らせ
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07/12(木)梅田CLUB QUATTRO
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LIQUID ROOM 14th ANNIVERSARY bonobos x DATS
08/13(月)恵比寿LIQUIDROOM
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