BiSH、自身最大規模の横アリ公演で1万2000人の清掃員を魅了!
BiSH | 2018.06.06
即日完売したチケットを手にした清掃員(BiSHのファンの愛称)が続々と集まった横浜アリーナは、お祭りのようなムードで包まれていた。BiSH史上、最大規模の会場でのワンマンライブは、どのようなものになるのか? 1万2千人が抱いている桁外れのワクワクが膨れ上がった末に、ついに迎えた開演時間。大型スクリーンに映し出されたオープニングムービーが、早速、存分に楽しませてくれた。「孤高のドラゴン セントチヒロ・チッチ」「完全無欠のD型ロボット アユニ・D」「鋼鉄メガネ ハシヤスメ・アツコ」「酒灼けハスキーボイス アイナ・ジ・エンド」「狼家族 リンリン」「三代目は物書き モモコグミカンパニー」――6人各々の特徴を捉えつつも何かがちょっとおかしい紹介が、英語のナレーションで流れる度に、清掃員は爆笑しながら拍手喝采。すると、突然、特効の火薬が爆発してメンバーが登場。「BiSH-星が瞬く夜に-」がスタートした。赤と青を基調とした衣装を身に纏い、全力のパフォーマンスを繰り広げた6人の姿が、実に堂々としていてかっこいい。彼女たちが掲げているコンセプト「楽器を持たないパンクバンド」を、まさしく体現していたエネルギッシュなオープニングであった。
「PAiNT it BLACK」「オーケストラ」「GiANT KiLLERS」「MONSTERS」など、お馴染みのナンバーの数々の他、瑞々しいメロディを力強く躍動させた「HiDE the BLUE」、アユニのダンスを中心にした構成でストーリー性に満ちた世界を作り上げていた「Life is beautiful」――6月27日にリリースされるニューシングルに収録される2曲も初披露され、清掃員の間に漂う熱気は、天井知らずに上昇し続けていた。そして、「SMACK baby SMACK」が披露された後に迎えたインターバル。「オープニング映像観た? あんなの全部嘘! 私のメガネはただのセラミック! 私は鋼鉄メガネでもコント担当でもない。命の大切さを伝えに来た『命の伝道師』なの!」とハシヤスメが意味不明なことを語り始めて、アイナ、チッチ、モモコ、リンリン、アユニは戸惑いの表情を浮かべた。しかし、めげることなく命の伝道師としての熱弁をふるい続け、「余命があと数秒なの!」ということを告白した末にパタリと床に倒れたハシヤスメ。すると、大型スクリーンに映し出された「コント『ハシヤスメ死す編』終了」という文字。それを合図にして、「生きててよかったというのなら」がスタート……というシュール極まりない展開は、
個性的なメンバーたちのキャラクターもスリリングなBiSHならではのものだった。
ユニークな寸劇を経て突入した後半戦の盛り上がりもすさまじかった。瑞々しいきらめきに溢れていた「JAM」、激しく刻まれるリズムに合わせてメンバーたちが汗だくになって踊りまくった「ファーストキッチンライフ」など、心奪われずにはいられない曲ばかりだったが、特に鮮烈な輝きを放っていたのが「プロミスザスター」。パワフルに響かせれば響かせるほど、切ない感情も滲ませていたアイナの声を美しい柱としつつ、メンバー各々の歌がドラマチックに交わされる様は、何とも言えずグッとくるものがあった。そして、6人が一丸となって腕を動かして大きな星の形を描く印象的な振り付けを経て、チッチが伸ばした手を握りしめた瞬間に迎えた幕切れ……楽曲の世界を立体的に表現していた歌とダンスが、本当に素晴らしかった。
本編は「beautifulさ」で締めくくられたが、あの場にいた全ての人にとって忘れられないものとなったはずだ。この曲には、飛び跳ねながら左右の人差し指を突き上げる振り付けが盛り込まれているが、センター席、アリーナ席はもちろん、スタンド席の奥の方にいる清掃員も、実に楽しそうに踊っていた。賑やかに沸き立つ客席を眺めながら、メンバーたちが実に嬉しそうな表情を浮かべていたのが、とても心温まる場面として思い出される。観ていると自ずと真似したくなり、一緒に踊ると楽しくて堪らなくなる振り付けは、これまでもBiSHが様々な現場を盛り上げてきた強力な武器だが、広大なアリーナクラスの会場でも、絶大な力を発揮ことが証明されていた。
アンコールを求める声に応えてステージに戻ってきたメンバーたちは、10月から11月にかけて、全国ツアー『BRiNG iCiNG SHiT HORSE TOUR』を行うことを発表。そして、6人は各々、抱えている想いを語った。「今日は横浜アリーナに来てくれて本当にありがとうございます。ここに立てたことやBiSHでいることで、私の人生は本当に面白くなってます。恩返しにはならないかもしれませんが、みなさんの人生を豊かで面白くするので、これからもBiSHについてきてください!」(アユニ)。「ここ、横アリは、私が好きな人が記念日とか、卒業とか、解散とか、大事な時に使ってきた場所なんですけど、そんな場所をBiSHとして素通りできて……通過点とすることができて……間違えちゃった(笑)。通過点にできて光栄なことだなと思います。チッチがメジャーデビューの時に“東京ドームでライブしたい!”って言ったんですけど、それも夢のまた夢じゃなくなってきた気がするので、もっともっと大きいところでまた会いましょう!」(リンリン)。「BiSH初の1万人規模のワンマンライブということで、記念すべき日に会いに来てくれて、本当に心からありがとうございます。個人的に横浜アリーナは、めっちゃ立ちたかった場所なんです。私はやりたいことや立ちたい場所がいっぱいあるんですよ。正直、そこに立つまでまだ死ねないって思ってて(笑)。BiSHにいれば夢のまた夢じゃなくなったなって、リンリンが言ったように思いました。なので、これからもBiSHと一緒に成長していって、大きい場所を目指して行けたらいいなって思っております!」(ハシヤスメ)。「今日は1万2千人の清掃員と同じ空気が吸えて、本当に今、BiSHはパワーを持ってると思います。でも、まだまだBiSHは、これからが力の見せどころだと思います。みなさんを全員打ち負かすくらい、もっと強くなっていくので、見ていてください。お願いします!」(モモコ)。「楽しい1日でしたか? 聴きたい曲は聴けましたか? こんなに多くの人が一緒に振り付けを踊ってくれたり、口ずさんでくれたりするって、正直、思ってませんでした。もっと精進しようと思います。これからもよろしくお願いします!」(アイナ)。「BiSHが始まってから、私、いっつもひとりじゃなかったなと思って。メンバーとか、大人とか、こうしてライブに来てくれるみんながいるから、どんなところでも自信を持ってBiSHをやってます。大好きな人が増えてくこの人生が、すごく楽しいです。このワンマン、『TO THE END』なんていうタイトルがついてるけど、私たちはここが終わりじゃなくて、ここからがBiSHだと思ってます。明日からもぶちかましてくので、よろしく!」(チッチ)。
アンコールで披露された「ALL YOU NEED IS LOVE」も、とても感動的だった。1万2千人の清掃員が肩を組み、無我夢中で飛び跳ねながら左右に揺れていた姿が忘れられない。BiSHにとって大きな一歩だった横浜アリーナ公演の成功を誰もが心から祝福しているのを感じた。メンバーたちにとって、深い自信に繋がる光景だったのではないだろうか。そして、この曲を歌い終えると、笑顔を輝かせながら客席のあらゆるエリアに向かって、何度も手を振って感謝の気持ちを伝えた6人は、「We are BiSH!」という力強い声を響かせてステージから去った。夢のような瞬間がたくさんあったこのライブの経験は、メンバーたちにとってかけがえのないものになっただろう。掴んだ大切な何かを各々が活かしながら、BiSHをますます素敵なグループへと進化させるに違いない。
【取材・文:田中大】
【撮影:外林健太】
リリース情報
Life is beautiful / HiDE the BLUE
2018年06月27日
avex trax
02. HiDE the BLUE
セットリスト
「BiSH "TO THE END"」
2018.05.22@横浜アリーナ
- 1.BiSH -星が瞬く夜に-
- 2.ヒーローワナビー
- 3.PAiNT it BLACK
- 4.HiDE the BLUE
- 5.SCHOOLYARD
- 6.社会のルール
- 7.オーケストラ
- 8.Life is beautiful
- 9.GiANT KiLLERS
- 10.MONSTERS
- 11.OTNK
- 12.My landscape
- 13.SMACK baby SMACK
- 14.生きててよかったというのなら
- 15.JAM
- 16.ウォント
- 17.ファーストキッチンライフ
- 18.スパーク
- 19.プロミスザスター
- 20.DA DANCE!!
- 21.beautifulさ 【ENCORE】
- En-1.ALL YOU NEED IS LOVE
お知らせ
BRiNG iCiNG SHiT HORSE TOUR
10/10(水)中野サンプラザホール
10/20(土)仙台銀行ホール イズミティ21(大ホール)
10/27(土)レクザムホール(香川県県民ホール)
10/29(月)オリックス劇場
11/06(火)神奈川県民ホール
11/11(日)わくわくホリデーホール(札幌市民ホール)
11/15(木)昭和女子大学 人見記念講堂
11/21(水)オリンパスホール八王子
11/23(金)福岡市民会館
11/25(日)ロームシアター京都
※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。