寺嶋由芙、音楽のみで真正面からファンとぶつかる渾身のステージ!
寺嶋由芙 | 2018.07.23
2018年における現時点までの寺嶋由芙のベスト・ライブ。2018年7月6日に東京キネマ倶楽部で開催された「寺嶋由芙 生誕ライブ『レッツぐる~ヴでハッピーバースデー!』supported by japanぐる~ヴ(BS朝日)」は、何のためらいもなくそう言いきれる内容だった。
寺嶋由芙の最近のワンマンライブは、彼女が愛してやまないゆるキャラが登場することが多かったが、今回はステージ上に人間のみ。寺嶋由芙が音楽のみで真正面から勝負を賭けたライブであり、多くのファンが待ち望んでいたものだったのではないだろうか。そして、そこで寺嶋由芙はライブ・アクトとして見事な歌とパフォーマンスを繰り広げた。
この日のライブの楽曲の多くは、寺嶋由芙に楽曲提供を行ってきたGOOD BYE APRILのバンド生演奏によって披露された。まずステージにGOOD BYE APRILが登場して会場が暗転すると、ファンから寺嶋由芙の2日後の誕生日を祝う「おめでとー!」の声が起き、続いてこの日のライブをサポートしたBS朝日の番組「japanぐる~ヴ」を模したオープニング映像が流された。
そしてライブは、GOOD BYE APRILが寺嶋由芙に最初に提供した楽曲「初恋のシルエット」で幕開け。延本文音と倉品翔によるコーラスも心地いい。そして何より、寺嶋由芙の喉のコンディションが完璧だ。「初恋のシルエット」はレコーディング音源よりも感情を込めて歌われた。喉の完璧さがこの日のライブを最後まで充実したものにしていたと言ってもいい。
GOOD BYE APRILは4人編成のバンドである。音数が足りなくなる楽曲もあるのでは……と危惧していたところ、「知らない誰かに抱かれてもいい」では原曲のポイントを押さえた見事なアレンジを聴かせた。杞憂だったのだ。MCで寺嶋由芙が延本文音に衣装を直してもらい、「人間がステージにいると直してもらえる!」と笑っていたのもこの日ならでは。そして「コンプレックスにさよなら」もGOOD BYE APRILによる提供曲。「好きがこぼれる」ではソリッドな演奏を聴かせた。
そして、この日は「japanぐる~ヴ」の公開収録も兼ねており、トークコーナーが2回挿入されるという構成だった。1回目は、映画評論家の松崎健夫と添野知生との映画紹介。彼らが登場しただけでフロアで推しジャンが発生し、映画のワンシーンの音楽にファンがMIXを入れるなど、馬鹿馬鹿しい光景も見られた。
ライブに戻っての「天使のテレパシー」は、GOOD BYE APRILの演奏によるアコースティック・ヴァージョン。アコースティック・ギター2本、セミアコのベース、カホンという構成だった。さらに「101回目のファーストキス」のアコースティック・ヴァージョンは、ギターとキーボードのみの伴奏。寺嶋由芙は情感をたっぷりと込めた歌唱を聴かせた。それは、アレンジこそ違えど初めて「101回目のファーストキス」を聴いたときの感動を蘇らせるものだった。
2回目のトークコーナーは、寺嶋由芙のセカンド・アルバム「きみが散る」で「結婚願望が止まらない」を作曲したムーンライダーズの鈴木慶一が登場。一段高いところにあるサブ・ステージから鈴木慶一は現れた。7月8日で27歳になる寺嶋由芙に対して、8月28日で67歳になるという鈴木慶一に、寺嶋由芙とファンから「Happy Birthday」が歌われた。また、「きみが散る」収録曲の「夏’n ON-DO」での寺嶋由芙の歌唱について、鈴木慶一がエルヴィス・プレスリーのようだと評価する場面も。さらに鈴木慶一は「方向性を変えたいなというときは私にプロデュースさせてください」と寺嶋由芙に発言して会場をわかせた。
ライブに戻ると、今度はオケによるステージ。寺嶋由芙がサブ・ステージから登場して歌ったクリス松村作詞(名義は孔璃麿艶)の「たぶん…」は、いつも以上に歌謡曲色が濃い雰囲気に。最果タヒ作詞の「きみが散る」では、寺嶋由芙がときに激しく歌いあげ、1曲の中での歌の表情が驚くほど豊かになっていた。鈴木慶一作曲の「結婚願望が止まらない」では、メロディーがアラブ風になるパートがある。寺嶋由芙は、その部分をコブシを回すかのように見事に歌っていた。本編のラストは、ソロ・デビュー曲である「#ゆーふらいと」だ。
ファンのアンコールを受けて流されたのは「japanぐる~ヴができるまで…」という映像。そして、Tシャツ姿となって髪飾りを変えた寺嶋由芙は「わたしになる」を歌った後、ふたつの重大な発表をした。ひとつは、10月21日に都内で開催されるソロ活動5周年記念ライブ。そしてもうひとつは、10月17日発売のニュー・シングルだ。5周年に向けて歌われた「好きがはじまる」では、最後の「今度はどこにも行かないから」という歌詞をファンも大合唱していた。
ダブルアンコールでは、再びGOOD BYE APRILが登場して「ぜんぜん」を演奏。バンマスとして寺嶋由芙がバンド・メンバーを紹介し、ファンが用意したオレンジ色のサイリウムが光る中、「寺嶋由芙 生誕ライブ『レッツぐる~ヴでハッピーバースデー!』supported by japanぐる~ヴ(BS朝日)」は幕を閉じた。27歳での活動、そして5周年に向けて、多くのファンの期待が膨らんだに違いないステージだった。
【取材・文:宗像明将】
リリース情報
きみが散る
2018年04月25日
TEICHIKU ENTERTAINMENT
02.知らない誰かに抱かれてもいい(Album mix)
03.君より大人
04.結婚願望が止まらない
05.天使のテレパシー
06.背中のキッス
07.終点、ワ・タ・シ。
08.夏’n ON-DO
09.たぶん…
10.わたしを旅行につれてって
11.好きがはじける
12.みどりの黒髪
13.コンプレックスにさよなら
14.世界で一番かわいい君へ
セットリスト
「寺嶋由芙 生誕ライブ『レッツぐる〜ヴでハッピーバースデー!』supported by japanぐる〜ヴ(BS朝日)」
2018.7.6@東京キネマ倶楽部
- 01.初恋のシルエット
- 02.知らない誰かに抱かれてもいい
- 03.君より大人
- 04.コンプレックスにさよなら
- 05.好きがこぼれる 【映画コーナー】
- 06.天使のテレパシー
- 07.101回目のファーストキス 【ゲストトーク】
- 08.たぶん…
- 09.きみが散る
- 10.結婚願望が止まらない
- 11.ゆる恋
- 12.好きがはじける
- 13.#ゆーふらいと 【ENCORE】
- En-1.わたしになる
- En-2.好きがはじまる
- En-3.ぜんぜん
「ストリート・オブ・ファイア」
(松崎健夫氏、添野知生氏)
ゲスト:鈴木慶一氏
※06、07はアコースティックバージョン
お知らせ
六本木アイドルフェスティバル2018
7/29(日)六本木ヒルズアリーナ
TOKYO IDOL FESTIVAL 2018
08/03(金) - 05(日)
お台場・青海周辺エリア
MARQUEE×DEARSTAGE祭 Vol.1
08/21(火)TSUTAYA O-EAST
@JAM EXPO 2018
08/25(土) - 26(日)横浜アリーナ
Summer Swing
08/31(金)代官山LOOP
※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。