コブクロ史上初となる、たったふたりだけで全国を回ったツアー
コブクロ | 2018.07.26
黒田俊介と小渕健太郎がストリートで結成してから、まもなく20年目を迎えるコブクロ。今ツアーは、彼らの活動の始まりの場となった路上をあらためて見つめ直し、その想いをファンのみなさんと分かち合いたいという願いを形にしたもの。《KOBUKURO WELCOME TO THE STREET 2018 ONE TIMES ONE》というタイトルのもと、コブクロ史上初となる、ふたりだけで全国を回るツアーとなった。
さいたまスーパーアリーナ2日目。アリーナの中央に設置された円形ステージから四方に花道が延び、その道に沿って天上から薄い紗幕が下りている。そこに映し出されているのは、かつて彼らが歌っていた大阪・戎橋を彷彿とさせるCG映像。開演時刻が近づくと小渕の声で場内アナウンスが。ジョークを交えながらのリアルタイムな影アナに、早くも客席から笑い声と拍手が起こる。すでにライブは始まっているのだ。影アナが終わり客電が落ちると、紗幕にはストリート時代のふたりのビデオ映像が。そして突然、対角線上の2本の花道の端から黒田と小渕が登場! 大きな歓声に包まれながらセンターステージへ向かい、互いの拳を重ね、腕をクロスさせて気合を交わし合って、ライブがスタート!
オープニングナンバーは「YELL~エール~」。2曲目は「One Song From Two Hearts」。前者はメジャーデビュー曲であり、後者は休養のため一時活動休止をした後、最初にリリースされた曲。どちらも彼らの“スタート”を表すこの選曲からも、今ツアーに込めた想いが伝わってくる。「One Song~」では小渕が右足でバスドラをキックし、黒田がパワフルな歌声を響かせ、ステージにいるのがふたりきりとは思えないほどの迫力だった。美しい夕暮れの映像とともに「Million Films」が披露されたあと、4枚の紗幕が落とされ、会場はさらに一体となっていく。ここで小渕はルーパーという、その場で録音した音をループ=繰り返し流せる機材をセッティング。そして「ようこそいらっしゃいました、コブクロでーす! 集まってくれました20962人のお客さんです、ありがとうございます!」と挨拶し、「ストリートのテーマ」へ突入。途中からはふたりがそれぞれトロッコに乗り、アリーナを1周しながら客席とコール&レスポンス。ライブ冒頭から場内の盛り上がりは加速につぐ加速!
最初のMCコーナーでは、黒田がこの日の衣装(黒田:赤シャツ、小渕:白シャツ)に言及し「紅白歌合戦みたいや」と笑わせたりしながら、この日も絶妙トークだ。
続いては「君になれ」。今ツアーではすべての歌詞がビジョンに流れるのだが、この曲も歌詞をじっくり味わいたい作品のひとつ。
そして、次は“いま歌いたい歌を歌うコーナー”。観客からのリクエストに応じたり、彼ら自身がそのとき歌いたい曲をその場で決めていく、その日限りのメニューだ。この日は、3曲ともお客さんからのリクエストを受け「流星」「Bell」「ANSWER」を演奏。このコーナーでは、リクエストを受けた後、ふたりがマイクを通さずパート分けの確認をするのだが、「ANSWER」の際、小渕は「パート分けも何も、オレ1行しかないやん。ぜーんぶ黒ちゃんの歌」という微笑ましいトークを。そして、早口で歌詞を復唱していた黒田は「なんかテンション上がってきた!」とどんどん大きな声になり、練習の生声が会場中に響き渡り、これにもお客さんは大喜びだった。リクエスト曲に続き、このコーナーは「Ring」で締めくくられた。CD音源の厚みとはまた異なる深みを表現するアコースティックバージョンでの「Ring」は、黒田の声も、小渕のギターも、凄まじいほどの迫力を見せる。まさに渾身。
さて、今回のツアーでは事前にあるファン投票を募っていた。インディーズ盤およびメジャー盤の全シングル&アルバム収録曲&未収録曲含むすべてのオリジナル曲の中からツアーで聴きたい曲は? というものだ。次のブロックは、その上位を占める曲たち。会場や日によって組み合わせは異なったようだが、この日はまず「桜」から。この曲の前説で語った小渕の言葉もじつに感動的だった。“ストリートでは、1曲を最初から最後までゆっくり歌っていい場所なんてほとんどなかった。(中略)それでもしっかりイントロがあって、歌詞があって、歌の終わりまできちんと作って。(中略)とにかく、この曲をどれだけの場所で、どれだけの日々、どれだけのお客さんの前で歌ったでしょう。そして、何人の人がリクエストしてくれたでしょうか、数え切れないんですが。すべての始まり、こうしてギター1本でツアーをやっている今の原点がまさにこの歌です”。そして「桜」「風」「ここにしか咲かない花」まで一気に歌い上げると、ふたりは深いお辞儀を。その姿に客席からは長く大きな拍手が贈られた。
そしてここからはたたみかけるように終盤戦へ! お客さんたちがオリジナルグッズのトーチ型LEDライトを青色にセットし波のように振った「潮騒ドライブ」、トロッコに乗ってアリーナを回った黒田と小渕、観客全員が“Hey!”とシャウトした「Moon Light Party!!」、ふたりが360度のステージと4本の花道をすみずみまで駆け抜けた「轍-わだち-」。エネルギッシュな演奏によって客席も完全にひとつとなり、これ以上ないほどの盛り上がりを見せたひと時だった。
本編のラストナンバーは「ONE TIMES ONE」。ふたりの声+ギター1本だけでファンファーレを奏でてしまえるコブクロのすごさ。そして、最後はオフマイクにしての熱唱。“ONE TIMES ONE”とは“1×1”という意味だが、その答えが“無限大”であることを教えてくれた曲でもあった。
さらに、なんとアンコールの1曲目も日替わり曲という充実の内容! この日は「WHITE DAYS」が演奏され、お客さんたちは自発的にLEDライトを白に灯して、コブクロを称賛していた。ラストナンバーは「バトン」。命を繋いでいくことの大きな意味を歌った曲だが、小渕は“みんながコブクロの歌を歌いついできてくれたこと”への感謝も伝えていた。この曲も30周年、40周年と“バトン”されていくことだろう。
コブクロの実力と情熱を見せつけられた素晴らしいステージに、誰もが彼らのファンであることを誇りに思ったに違いない。けれど、我々よりもコブクロを誇りに感じたのは、ライブがスタートする前、紗幕に映し出されていたあの橋から、“今日のコブクロ”の姿を見上げる、20年前の彼ら自身かもしれない。
【取材・文:清水エミコ】
【撮影:荒川 潤】
<リリース情報>
2018年11月7日(水)発売
結成20周年記念シングル
30th Single「タイトル未定」
通常盤のみ
価格:¥1,204+税 / 品番WPCL-12953
収録曲 3曲+Instrumental 3曲収録予定
リリース情報
ONE TIMES ONE
2018年04月11日
ワーナーミュージック・ジャパン
02.バトン
03.君になれ
04.ONE TIMES ONE(Instrumental)
05.バトン(Instrumental)
06.君になれ(Instrumental)
セットリスト
KOBUKURO WELCOME TO THE STREET 2018 ONE TIMES ONE supported by 三井住友VISAカード
2018.07.15@さいたまスーパーアリーナ
- 01. YELL〜エール〜
- 02.One Song From Two Hearts
- 03.Million Films
- 04.ストリートのテーマ
- 05.君になれ
- 06.流星
- 07.Bell
- 08.ANSWER
- 09.Ring
- 10.桜
- 11.風
- 12.ここにしか咲かない花
- 13.潮騒ドライブ
- 14.Moon Light Party!!
- 15.轍-わだち-
- 16.ONE TIMES ONE 【ENCORE】
- EN01.WHITE DAYS
- EN02.バトン