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ReVision of Sence、全国16箇所を廻った「罪と罰ツアー~一生クズの罪編~」セミファイナル!

ReVision of Sence | 2018.07.31

 そこには負った傷を決して舐め合うのではなく、あえてその傷を“勲章”や“誇り”にしていくべく考え方や方法論を、身を挺して教示してくれているかのような雄姿があった。しかし、不思議と痛々しさはなく、むしろその日の会場を出た際には、なんだか乗り越えられなかった壁が乗り越えられる気がし、何よりも諦めずに乗り越えようとし始めている自分と出会えた。

 ReVision of Senceがミニアルバム「罪」と共に5月上旬よりワンマンツアー「罪と罰ツアー~一生クズの罪編~」を全国16箇所にて行った。価格もツアータイトルにかけた「¥1,492=一生クズ」で敢行された。そのセミファイナルは、ちょうど去年のこの時期にもワンマンを行った渋谷クラブクアトロであった。

 恒例のベース、上村元隆による和みを交えた注意事項を伝える影アナも落ち着いた頃、SEに合わせた会場のクラップに乗り、まずは偉町大介、嘉藤康介のギタリスト陣と上村、ドラムの辻友遥がステージに現れる。そして、ボーカルの河井教馬(以下 : かずま)も登場。背後に配した光量の高い白色のライトがステージをホワイトアウト化させていく。

「一人残らず楽しませて帰る!」「やばいぐらい幸せな気持ちにしてやる!」「端から端まで絶対に楽しませてやる!」と、これまで以上に“楽しみ”や“幸せな気分”に重きを置いて挑まれた、この日。その1曲目は今やお約束。みなが待っていた「ダメ、ゼッタイ、現実逃避」が飾った。会場も揃いのフリにて一糸乱れぬレスポンス。いきなりの一体感が場内に育まれていく。続いては歌の前に、パロディ化させた特別紙幣が場内にバラまかれる。次曲は「ヨノナカカネ」だ。フロアを肩車で一周するかずま。満場にもかかわらず、会場内の一人残らずにタッチをする気概で回っているのが伺える。次はクズ人間を全力的に肯定してくれる「I’m a クズ人間」。サビのストレートで駆け抜けるかのような場面には鳥肌が立った。“決して負け犬の遠吠えでは終わらせない”とばかりに挑んだ「負け犬のパーティー」では、彼らの歌謡性が炸裂。力強い雄々しいコーラスの中、集まったみなが踊り、騒ぐ。そして、“宗教なんかに頼らないでも、全員俺らについてくれば間違いない!”とばかりに放たれた「カミダノミレクイエム」では、その信憑性と信望をさらに強靭なものにさせていった。
 そして、ここまでで気づいたことがある。この日はとにかく、重低音が凄くブーストされている。故の重みや体感性がこれまで以上に残ったのだ。

“あまり言わないけど、俺が幸せにしてやる。ついてこい。頑張るブスが好き。みんな頑張ろうぜ!”と言わんばかりに「ヨノナカカオ」が始まると、そのスカの裏打ちが軽やかさを呼び込んでくる。また、男子驚喜の下ネタ…、いや男の子ソング「ちんこびんびんび★びんらでぇん」に於いては、女の子も平気で、いやむしろ嬉しそうにサビでもあり、タイトルにもあるフレーズを連呼していた様には、ちょっと嬉しかっ…いや、驚いた(笑)。そして、『罪』盤に入っていた「あなたが好きって言ってくれた、化粧をずっと変えれない」ではスイング気味の演奏にセクシーさを場内に広げていけば、「あいにーじゅーあいうぉんちゅー」では、巨大なモッシュピットが生み出されていった。加え、会場での大合唱も印象的だったのは「君は麻薬」の際であった。同曲でもサビの部分では巨大なモッシュピットが出現。ラストはヘッドバンキングの嵐が場内を駆け抜けていった。

 中盤では彼らが最初に作った曲だという「21グラム」が現われ、物質的な重さじゃ測れない思いや気持ち等の重要性も訴えゆく。
 その後は、より力強い信憑性のある曲が頼もしく連射された。「これまで失敗してきたからこそ歌える曲がある」と入った、『罪』盤のパイロット曲でもあった「いいねパラサイト」、自分を貫くことは誰かに嫌われることだと言わんばかりに放たれ、「嫌われて何が悪い自分の正義を貫けよ」と訴えた「NO DIS,NO LIFE.」。そして、今日も弱肉強食を生き抜かなくてはならない我々に向けて放たれた「ヤダヤダ、ムリムリ、弱肉強食」が、ジャジーさも交えたスウィングさと2ビートを同化させ、高揚させていく。

 後半に入る際には、「急遽あと一曲増やした」と、当初は予定に無かった「前略、メンヘラ様」もセットリストに加えられ、満場に放たれる。どんなにクソでも生きていかなくちゃいけない。自分の人生を諦めるわけにはいかない。とのメッセージと、偉町、嘉藤によるツインリードによるソロも同曲の際には想い出深い。続いての「Yeah!めっちゃナンマイダ」の際には会場からのエネルギーが凄かった。また同曲では、辻によるラストのツインペダルが地響きをあげた。また、フロアどころか隅から隅までも移動し、終始もみくちゃになりながらも、かずまが歌い続けた「オレ、アイツ、キライ」では、会場の雄々しいコーラスが歌えない間も楽曲を一緒に守り続ける様を見た。

「また汗だくのライブハウスで気持ちをぶつけ合いましょう。何かあったらまたここ(ライブハウス)に逃げ込んでくればいい」と伝える一方、またそこから向かわなくちゃいけない現実があることも併せて教えてくれた、かずまによるMCを経て、一人の時、孤独な時、寂しい時に(自分たちの曲を)を是非聴いて欲しいと、本編最後に贈られたのは「それぞれの場所」であった。「これからもReVisionのライヴのフロアは頼んだぞ。君は君のままでいればいい」と、いつの日にか感あふれる同曲が会場中に響き渡っていった。

 ここからはアンコール。3曲が贈られた。その中の「ヨノナカオレ」では、みんな楽しそうにサークルピットを作り出し、再び「ダメ、ゼッタイ、現実逃避」に入ると、リフト、肩車、クラウドサーフの嵐がフロア中から現われる。ここで終れないとばかりに正真正銘のラストには、特別に一曲プラス。「負け続きの日々」が明日を照らすように誇らしげに、力強く神々しく集まった者たちに感謝と幸せを願いが込められてグローリーに歌われた。最後、一丸となる声と美しい光景の中、「愛してるぜ渋谷。迷うことがあったら俺についてこい。全部受け止めてやるから」(かずま)の言葉と共にライブは締められた。

 実際にやっていることは基本変わっていなかった。しかし、明らかに前回に観たワンマンの際とは、一回りも二回りも逞しく見え、各段に信頼感は増し、圧倒的にその言葉についていきたい気を起こさせてくれた、この日。「前回と何が違ったのだろう…?」。きっとそこには、素直になったり、思っていることを照れやシニカルさ抜きに伝えないと所詮伝わらないし、そこには信憑性も説得力もないことを覚え、経てのライブだったからにちがいないとの結論に行き着いた。
 終演後、労をねぎらいに楽屋まで行き、かずまと話をし、この変化についても伝えることが出来た。「最近は丸くなったねと回りからは言われている」と、その時は苦笑いで返してきたけど、私は今日のライブをけっして「丸くなったから」で片づけたくはなかった。むしろ逆に、鋭角にズバッと切っ先鋭くなった印象を受けたからだ。その要因は何だったのか? やはりそれこそが、心から思っていることを伝える。その使命感に他ならなかったに違いない。

 生きていくうちに傷は増えていく。その傷を治癒できるのは他ならぬ自身のみだ。その傷を大事に大切に守りながら治していくのか? あえて雨風にさらし、強固にして治していくのか? その答えを、この日のReVision of Senceのライブは教えてくれた。

tag一覧 ライブ 男性ボーカル ReVision of Sence

リリース情報

罪

2018年05月02日

BUSU RECORDS

1.いいねパラサイト
2.負け犬のパーティー
3.あなたが好きって言ってくれた、化粧をずっと変えれない
4.ネガティブス

セットリスト

「罪と罰ツアー ~一生クズの罪編~」
2018.7.17@渋谷CLUB QUATTRO

  1. 1.ダメ、ゼッタイ、現実逃避
  2. 2.ヨノナカカネ
  3. 3.I’m a クズ人間
  4. 4.負け犬のパーティー
  5. 5.カミダノミレクイエム
  6. 6.ヨノナカカオ
  7. 7.ちんこびんびんび★びんらでぇん
  8. 8.あなたが好きって言ってくれた、化粧をずっと変えれない
  9. 9.あいにーじゅーあいうぉんちゅー
  10. 10.君は麻薬
  11. 11.21グラム
  12. 12.いいねパラサイト
  13. 13. NO DIS,NO LIFE.
  14. 14.ヤダヤダ、ムリムリ、弱肉強食
  15. 15.前略、メンヘラ様
  16. 16.Yeah!めっちゃナンマイダ
  17. 17.オレ、アイツ、キライ
  18. 18.それぞれの場所
  19. EN-1.ダメ、ゼッタイ、現実逃避
  20. EN-2.ヨノナカオレ
  21. EN-3.負け続きの日々

お知らせ

■ライブ情報

ライブキッズあるある中の人presents ライブ行きたい 最大箇所数の夏ツアー編
08/01(水)宮城 仙台CLUB JUNKBOX
08/02(木)茨城 水戸LIGHT HOUSE
08/16(木)長野 松本ALECX
08/17(金)神奈川 横浜F.A.D
08/22(水)静岡UMBER
08/30(木)香川 高松MONSTER

rockin’on presents ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2018
08/04-05(土-日)・08.11-12(土-日)
国営ひたち海浜公園

大洗脳会
08/14(火)大阪 なんばHatch
08/20(月)神奈川 川崎CLUB CITTA’

TREASURE05X 2018 -BURNING DIAMONDS-
08/18(土)名古屋ダイアモンドホール / アポロベイス

ReVision of Sence presents クズ人間VS天使達
09/04(火)名古屋 今池3STAR
09/06(木)東京 渋谷チェルシーホテル
09/10(月)大阪 あべのROCKTOWN

TOKYO CALLING 2018
09/15(土)新宿エリア ライブハウス
09/16(日)下北沢エリア ライブハウス
09/17(月祝)渋谷エリア ライブハウス

正太とロック vol.2 supported by ABCラジオ「下埜正太のショータイムレディオ」
09/29(土)大阪 梅田Shangri-La

ReVision of Sence 罪と罰ツアー ~いいクズの罰編~
10/06(土)岡山PEPPERLAND
10/16(火)北海道 札幌DUCE
10/26(金)石川 金沢AZ
11/07(水)福岡Queblick
11/08(木)広島SECONDCLUTCH
11/15(木)Zepp Nagoya
11/19(月)Zepp Osaka Bayside
11/21(水)Zepp DiverCity ずーまー生誕祭

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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