向井太一 ワンマンツアー「LOVE TOUR 2018」Shibuya WWWX
向井太一 | 2018.08.14
6月にリリースされた配信EP『LOVE』を引っ提げたツアーの東京公演の会場は、Shibuya WWWX。頼もしいバンドメンバーたち――村田シゲ(B/□□□〈読み:クチロロ〉)、Satoshi Yamashita(Dr/MOP of HEAD)、George(Key/MOP of HEAD)が演奏を始めたステージ上に向井太一も現れると、「Siren」がスタートした。ハンドマイクで歌いながら身体を揺らし、身を包むグルーヴィーなサウンドの中を泳ぐように歌っている彼の姿が、実に気持ち良さそう。続いて「FREER」と「Lost & Found」も届けられ、観客もうっとりしながら身体を揺らし続ける。掲げられたたくさんの腕がフロアの全面で勢い良く揺らいだ「FLY」は、早くもライブの佳境に到達したかのような風景を作り上げていた。
「平日だよね? 金曜日? ありがとうございます。最高の金曜日にしますので、楽しんでいってください。コンセプトEP『LOVE』のリリースを記念したツアーです。恋愛だけじゃなくて家族とか兄弟とか友だちとか、いろんな人から受けた愛情について歌っているEPになっております。次の曲は『LOVE』の中でも一番ストレートに愛情について歌った曲です」というMCを経て披露され、艶やかなメロディをじっくりと響かせた「cuz of you」。神々しい光に溢れるかのように展開した「SIN」。ピアノ伴奏と歌からスタートした後、ベースとドラムも加わって雄大に響き渡った「Blue」。観客が一斉に身体を揺らしながら踊っていた「眠らない街」。「手拍子をください!」と向井が呼びかけると、激しいハンドクラップが湧き起った「YELLOW」。観客が大合唱する様を眺めながら、向井がとても嬉しそうな表情を浮かべていた「GREAT YARD」……片時も目と耳を離せない場面の連続だった。向井自身も、特別な何かを感じていたのだろう。インターバルを迎えると、「めちゃくちゃ楽しい。なぜなら今日、僕の味方しかいないから」と言いながら笑顔を目一杯に輝かせていた。
中盤では、懐かしい曲も用意されていた。「曲を作るのにも誰かが必要で、作品をリリースするにもたくさんのスタッフが必要。デビューしてからたくさんの人たちと出会ってきました。今までの自分の活動を振り返って、ひとつ大きかったと感じるのは1st EPの『POOL』。ソロでやり始めて、一から作品を作り続けていたんですけど、『POOL』が切っ掛けで今のクルーと出会って、こうやってたくさんの人たちの前で歌えるようになったのが、本当にありがたいと思っています。久しぶりに『POOL』の曲をやりたいと思います」と語りつつ披露した「RESCUE ME」。そして、バンド時代から彼が大切にしているのだという「君にキスして」――向井の深い思い入れを感じる2曲は、とても瑞々しく迫って来た。
「FURUSATO」と「SLOW DOWN」の後に迎えたインターバルでは、今後の活動についての嬉しい発表があった。「11月14日に2ndフルアルバム『PURE』をリリースすることが決定しました。みなさんのおかげでこんなに早くフルアルバムを出すことができます。さらに、ツアーも決定しています。初日が12月12日、マイナビBLITZ赤坂。ケラーニのオープニングアクトで1回立ったことがあるんですけど、こんなに早く1人で立てるとは。そして、もう1個お知らせがあります。8月29日に先行シングル「Crazy」をリリースします。今日、せっかくだから、やってもいいでしょうか?」と観客に呼びかけてから届けられた「Crazy」は、随所でダイナミックに繰り出されたファルセットと明るいパーティー感に満ちたサウンドが、とても心地よかった。
「『LOVE』をリリースして、今まで支えてくれた人たちの大きさ、大切さに気づけました。ソロアーティストの向井太一なんですけど、その後ろには何百、何千人もの人たちがいるというのを感じます。最後の曲は『LOVE』の中でも、僕の兄に対して歌った曲です。兄は僕にとって父親代わりの存在で。小さい頃から兄の影響で音楽を聴いたことによって、今の僕の音楽性が生まれたと言っても過言ではないくらい、とても僕にとって大切な存在です。大切な人を思い浮かべながら聴いてくれると嬉しいです」――本編ラストに披露された「HERO」を歌った向井の声は、とても温かい愛情に満ちているのを感じた。じっくりと聴き入っている観客の姿をフロアの後方から眺めている内に、ふと思い出したのだが……Shibuya WWWXは、この曲のMV撮影が行われた場所だ。向井と彼の兄の間にある美しい絆を自ずと示していたあの映像が収録された場所で、こうしてこの曲を噛み締められるのは、とても素敵な体験であった。
アンコールを求める観客の声に応えて、ステージに戻ってきた向井は、改めてバンドメンバーたちを紹介。ステージ上にいる全員が、向井の顔を描いたイラストがプリントされたTシャツを着ているのが目を引いた。「この8人でお届けします(※4人がそれぞれ顔Tシャツを着ているので、メンバーが8人いるような状態となっていた)」という粋なジョークが爆笑を起こした後に届けられた「MALIBU」によって、再び熱気で包まれた会場内。そして、「今日は、本当にありがとうございます。次はマイナビBLITZ赤坂でお会いしましょう!」と向井が挨拶。ラストを飾った「空」は、観客の大合唱がステージ上の彼を心から祝福していた。
ファンク、ソウル、R&Bなど、ブラックミュージックのエッセンスを基調として、多彩な音色、音像を添加しながら独自のサウンドを生み出す向井太一。彼の音楽が、観客に心から愛されているのを感じたライブであった。彼の歌声を生で体感したことがない人は、機会を見つけて会場に足を運んだ方がいい。とても豊かな時間を過ごせるはずだ。
【取材・文:田中 大】
【撮影:松平伊織】
リリース情報
PURE
2018年11月28日
TOY’S FACTORY
02.Crazy (Co-Produced by BON3AI)
03.Break up (Co-Produced by ☆Taku Takahashi)
04.Haters (Co-Produced by mabanua)
05.Agony (Co-Produced by CELSIOR COUPE)
06.Answer feat. KREVA (Co-Produced by 蔦谷好位置)
07.リセット (Co-Produced by CELSIOR COUPE)
08.午後8時 (Co-Produced by grooveman Spot)
09.ポートマン (Co-Produced by Shingo.S)
10.Pure (Co-Produced by 高橋海)
11.Ego (Co-Produced by Chocoholic)
12.Gimme (Co-Produced by grooveman Spot)
Bonus Track. Siren (Co-Produced by tofubeats)
セットリスト
LOVE TOUR 2018
2018.8.3@shibuya WWWX
- 01. Siren
- 02. FREER
- 03. Lost & Found
- 04. FLY
- 05. cuz of you
- 06. SIN
- 07. Blue
- 08. 眠らない街
- 09. YELLOW
- 10. Great Yard
- 11. RESCUE ME
- 12. 君にキスして
- 13. FURUSATO
- 14. SLOW DOWN
- 15. Crazy
- 16. HERO <アンコール>
- 17. MALIBU
- 18. 空
お知らせ
SUMMER SONIC 2018
08/18(土)ZOZO マリンスタジアム&幕張メッセ
08/19(日)舞洲 SONIC PARK
SPACE SHOWER SWEET LOVE SHOWER 2018
08/31(金)山梨県 山中湖交流プラザ きらら
duo15th Anniversary live 「さかいゆう と 向井太一」
09/05(水)duo MUSIC EXCHANGE
Red Bull Music Festival Tokyo 2018「SOUND JUNCTION」
09/23(日)ベルサール渋谷ガーデン(渋谷)
ZIMA MUSIC FIGHTERS meets ライブナタリー
09/28(金)福岡DRUM SON
10/18(木)LIQUIDROOM
Eggs presents FM802 MINAMI WHEEL 2018 ~20th Anniversary~
10/7(日)大阪ミナミエリア一帯
山形放送開局65周年記念 HELLO INDIE 2018
10/08(月)山形県天童市
※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。