T-SQUARE 『40th Anniversary Celebration Concert』ライブレポート
T-SQUARE | 2018.08.23
40周年を迎えつつも、それをもただの通過点でしかないことを誇示し、現行、そしてこれからの活躍を固く約束し、観ている側にもそれを強く確信させてくれるライブであった。
T-SQUAREが今年デビュー40周年を迎え、その周年記念コンサートを神奈川・パシフィコ横浜国立大ホールにて行った。満場の中、大成功を収めた、この日。この周年コンサートは、かれこれ15年ぐらい前より5年毎に行われているもの。毎度、現在のメンバーはもとより、歴代のメンバーたちをも交え、過去から現在のTHE SQUARE、T-SQUAREの楽曲を集まったオーディエンスと共に楽しみ、都度その現役さを分かち合ってきた。これまではどちらかというと、これまでと現在を感じさせてくれた印象も強い同コンサート。とりわけ今回は今後までもをしっかりと誇示してくれ、過去~現在~未来を期待させ、楽しませてくれるものがあった。
ビロードのカーテンの手前、無人のステージには、4台のドラムセットとパーカッションキット、城と呼びたくなるぐらいの歴代のアーティストを待ち構える機材群が猛者たちの登場を静かに待っていた。
この日は、足立区立西新井中学校吹奏楽部とT-SQUARE Super Bandを含む、歴代のTHE SQUARE~T-SQUAREのメンバーほぼ全員による「Omens Of Love」のゴージャスな競演からデパーチャーした。船出感と生命力溢れる同曲が場内へと大きくセイルアウトしていく。誠に贅沢なオープニングにして、メンバーとこれからの世代である吹奏楽部の部員たちとの融合に、この曲の未来、そして今後の音楽の未来へと気持ちを馳せさせる。
続いての「Little Pop Sugar」では、楽しげさが場内にクラップと共に呼び込まれていく。伊東たけしのウィンドシンセがリードをとり、安藤正容のギターとのユニゾンの魅せ場も盛り込んでいく。また、アイランド感溢れる「Dans Sa Chambre」に移ると、伊東もテナーサックスに持ち替え、場内を南国へと誘う。段々と転調していく様も心地良い同曲。ここでの見どころはトロピカル感溢れる安藤のギターソロでもあった。
「40年続けてこられたのも皆さんのおかげです。本日はほぼ全員集合。最後まで楽しんでいきましょう」と、この日、終始MCを務めた須藤満(B.)が告げ、ここからは、彼らの歴史を昔より紐解いていく形で次期毎のメンバーたちによる、その時期の楽曲のリプレイが楽しめた。
デビューメンバーによる記念すべき1stアルバムの1曲目を飾っていた「A Feel Deep Inside」から始まった、このゾーン。メローでブリーズ感のある同曲を始め、ボサノバタッチでサブタージな雰囲気に場内を満たした「Midnight Lover」。ドラマーも長谷部徹に交代し、16ビートの躍動感が呼び込まれ、スラップを織り交ぜたファンキーな田中豊雪によるベースと和泉宏隆によるシンセソロリレーションも見どころであった「It’s Magic」、アーバンなミッドナイト感を場内に満たした仙波清彦のパーカッションソロも目を奪った「Change Your Mind」、三管が呼び込まれ、ゴージャスさと華やかさを増した「Mistral」では、須藤、田中によるツインベースによるスラップ合戦が、対峙を見せたりユニゾンを楽しませてくれた。
前半は、ここまでの歴史をたどる旅であった。その後、場面はいきなり未来へ。吹奏楽でも多く取り上げられている彼らの楽曲が前述の現役の吹奏楽バンドとの融合を魅せるゾーンに突入する。
郷愁さと雄大さを増した「Twilight In Upper West」、サンバのビートが会場を陽気で活気づけた「宝島」では、学生たちもステップを披露。微笑ましい場面を広げていく。
中盤の「El Mirage」以降は、ライブに躍動性が注入されていく。ミュートさせたブガルー混じりのファンキーなギターカッティング。伊東のウィンドシンセと、そこを抜けたサビでの開放感がたまらない同曲を経て、ここからは情景感から物語性のある音楽性へ。各メンバーのプレイヤビリティが楽しめた「Explorer」では、須藤によるブルースフィール溢れる超絶なスラップベースソロから同曲にインし、宮崎隆睦のサックスと安藤のギターも絡みの観どころを作り出していく。まさにこの2者によるソロの応酬には会場も高揚。合わせて須藤、田中による5絃ツインベースが躍動を場内に寄与していく。そこを抜け現れた「Sailing The Ocean」では、場内をいきなり昼間の眺めの良い光景へと連れ出してくれ、パーッとした景色へと誘ってくれた。
11/14にはT-SQUARE Super Bandにてニューアルバムのリリースを予定してることが発表された、この日。そこから、この日は特別に先行で2曲。そのアルバムのタイトル曲あり、大団円感がありながらも各人のソロの見せ所もきちんと用意された「It’s a Wonderful Life!」、ツインドラムを想定して作られたウネリもたまらない、ラテンのモントゥーノ性も活かされた「Time Spiral 」に於いては、則竹裕之と坂東慧によるツインドラムによるユニゾンやバトルも楽しめた。
そして、場面を現在へと引き戻すように、最新の彼らがここからは現れ出す。現行のメンバーにチェンジし、44枚目となった最新アルバム『CITY COASTER』から、メローな「City Coaster」、ファンキーなアフロビートの上、各人の魅せ所を惜しみなく入れ込んだ「Trap it」が場内の盛り上がりの火に油を注いでいく。
そのハイライト感は続いていく。ラストスパートの圧巻は仙波清彦のパーカッションをリーダーに、河合マイケル、則竹、長谷部、坂東の歴代4人のドラミングによる「オレにカマわず行けバンド」による「LION DANCE」であった。仙波をリーダーに各人がソロやユニゾンバトルを楽しませてくれた同曲。いやー、魅入って圧巻ささえ感じた。
ラストはおなじみの「JSB」がエレガントに夜の帳を下ろしてくれた。とは言え、彼らの現役感はそれだけでは終わらない。ラストはこれでどうだ!!とソロやスキル、思いをぶつけ合うように同曲内で、各々のプレイをリレーション的にぶつけ合い、交歓しあった。その光景はまさに圧巻。美しさすら感じた。
アンコールは1曲。みなさんお待ちかねの「TRUTH」の登場だ。メンバー総勢が再びステージに上がり、同曲を雄々しく、逞しく、気高く、誇らしげに、これまでも終わらないチェッカーフラッグを目指し、駆け抜けることを誓うように鳴らされた。会場もコブシで呼応。最後の最後にして、この日最大の一体感を味わうことが出来た。
冒頭でも記したが、まさに記念すべき40周年を単なる通過点にしか感じさせなかった、彼らの強気さえ感じたこの日のライブ。正直、もう少し同窓会チックな、懐かしさをよぎらせる内容を想像して会場へと赴いた。しかし、現実は違っていた。懐かしさどころか不思議と次へと向かうしっかりとしたバイタリティを与えられ、会場を後にする自分が居た。彼らはこれからもまだまだ先へと走り続けていく。そう、彼らへのチェッカーフラッグは、まだまだこの先も当分振られることはなさそうだ。
【取材・文:池田スカオ和宏】
【撮影:土居政則】
リリース情報
セットリスト
40th Anniversary Celebration Concert
2018.8.5@パシフィコ横浜
- 1.Omens Of Love(足立区立西新井中学校吹奏楽部)
- 2.Little Pop Sugar
- 3.Dans Sa Chambre
- 4.A Feel Deep Inside
- 5.Midnight Lover
- 6.It’s Magic
- 7.Change Your Mind
- 8.Mistral
- 9.Twilight In Upper West(伊東たけし,山崎千裕 with 足立区立西新井中学校吹奏楽部)
- 10.宝島(伊東たけし,山崎千裕 with 足立区立西新井中学校吹奏楽部)
- 11.El Mirage
- 12.Crown&Roses
- 13.Bass Solo~Explorer
- 14.Sailing The Ocean
- 15.It’s a Wonderful Life!
- 16.Time Spiral
- 17.SE~City Coaster
- 18.Trap it
- 19.LION DANCE (2018年バージョン オレにカマわず行け)
- 20.JSB Encore
- En-1.TRUTH
お知らせ
T-SQUARE & THE SQUARE Reunion Special Concert! - AUTUMN R・E・S・O・R・T -
09/14(金)那須塩原市黒磯文化会館大ホール
T-SQUARE「コンサートツアー2018[CITY COASTER]」
09/21(金)熊本B.9 V1
09/22(土)大分BRICK BLOCK
09/23(日)大分BRICK BLOCK
T-SQUARE×THE SQUARE
11/18(日)奈良県橿原文化会館大ホール
※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。