the quiet room、満員の渋谷クラブクアトロでドラマー・コビキユウジが卒業「またどこかで皆さんにお会いしたい」
the quiet room | 2018.09.10
約1年3か月ぶりのニューアルバム『色づく日々より愛を込めて』のリリースツアー『色づく日々より愛を込めて Release Tour 2018“捨てられないからこのまま全部抱いて走っていくツアー”』ファイナル公演。この日のライブはthe quiet roomにとって、いくつかの意味があった。まずは当然、アルバムの世界観をライブという場で表現すること。さらに3度目の渋谷CLUB QUATTROのワンマンライブで、初めてチケットをソールドアウトさせたこと。そしてもう一つは、このライブをもって、ドラマーのコビキユウジがバンドを卒業すること。メンバーの4人はこの記念碑的なライブをーーツアータイトル通り、さまざまな感情を抱えながらーーやり遂げてみせた。
ライブは最新作『色づく日々より愛を込めて』の収録曲「東京」からスタート。大切な人との別れと向き合いながら、その先に向かって進もうとする意志を描き出す歌、そして、メンバー全員の音がぶつかり合い、エモーショナルな高揚感を生み出すアンサンブルからは、このツアーの充実ぶりがはっきりと感じられた。全編に渡ってカラフルなフレーズを弾きまくる斉藤弦(G)のプレイも素晴らしい。
「ツアーの名に恥じない、嬉しいことも悲しいことも全部抱いて走ったツアーになったと思います。今日も全部抱いて帰るつもりなので、最後の最後までよろしくお願いします」(菊池遼/Vo&Gt)という決意に溢れたMCの後も、ニューアルバムの楽曲が次々と披露される。
煌びやかなギターリフ、軽やかな解放感に満ちたメロディによって観客のテンションをしっかりと引き上げた「グラフィティ」、しなやかなファンクネスを感じさせるバンドサウンドとキャッチ―なサビのフレーズがひとつになった「Landscape」、そして「調子はどうですか?! アルバムのなかでいちばん激しくて、ウルサイ曲をやります!」(斉藤)というコールに導かれた「ハイライト」では、パーカッシブなドラム、キレのいいスラップベース、エッジの効いたギターフレーズが炸裂、フロアの熱気がさらに上昇していく。the quiet roomの音楽の中心にあるのが菊池の歌であることはまちがいないが、ギターロックをはじめとする様々な音楽性をナチュラルに融合させたアンサンブルもまた、彼らの魅力。メンバー全員のプレイヤビリティを活かしたサウンド、躍動感に溢れたステージング、ステージと客席の心地いい一体感は、まさに“ライブバンド”という呼び方がふさわしい。
ライブ中盤では「ワンマンのときにしかやれない、ふだんはあまり演奏しない曲を聴いてほしいと思います」(菊池)という言葉から、切なさと美しさを併せ持ったミディアムチューン「灯りをともして」、もう会えなくなった”君”への思いを叙情豊かに描き出した「Cattleya」を披露。さらに波の音のSEから「海辺の街へ」、「少し身体を揺らしてみませんか?」(菊池)という言葉から「シュガータイム」も。豊かなストーリー性と生々しい感情をたっぷりと含んだ歌、楽曲の世界観をしっかりと際立たせるアレンジと演奏。このバンドの良さがストレートに伝わる時間が続く。本当に表現力に優れたバンドだなと、改めて実感させられた。
ここでメンバー全員のMCタイム。「全国いろんなところを回っていましたね。そろそろメンバーの話も聞きたいんじゃないですか?」(菊池)と、メンバーが自由なトークを繰り広げてライブは後半へ。
「Locus」「Vertigo」といったアッパーチューンを次々と放ち、強靭なロックバンドとしての存在感を見せつける(本当にいろんな表情を持っているバンドである)。「Instant Girl」では斉藤が菊池を押しのけるようにステージの真ん中に立ち、ド派手なギターソロを披露。「ギターヒーロー!」と紹介する菊池もめちゃくちゃ楽しそうだ。本編ラストは「ロックバンドは“いま”が、最新が一番カッコよくないといけないと思ってます。the quiet roomはカッコいい音楽を更新し続けていきます。最後は、いまの自分たちを象徴する曲をやります!」(菊池)というMCにリードされたのは、新作より「Prism」。骨太のバンドグルーヴ、色彩豊かなメロディラインが融合したこの曲は、ロック、ポップスを同時に体現するthe quiet roomの真骨頂と言えるだろう。
アンコールでは、コビキが改めて挨拶。緊張のあまり言葉に詰まりながらも、メンバー、スタッフ、ファンに対する感謝を述べ、「ドラムおよび音楽は続けていくので、またどこかで皆さんにお会いしたいと思います」と決意を口にした。
さらに「今日はこの4人が前に進むための1日。みなさんにとってもそういう1日であってほしい。最後はガッツリ盛り上がりたいと思います!」(菊池)と「夢で会えたら」「Happy End」というポジティブなナンバーを演奏。切なさと解放感が同時に広がるなか、ツアーファイナルは幕を閉じた。
9月21日(金)には、下北沢MOSAiCで初の自主企画(ワンマンライブ)「the quiet room presents【Road movie vol.09】」を新体制で開催。メンバーの卒業という大きな節目を迎えたthe quiet room。この日のMCで菊池が話したように彼らは“常に自分たちの音楽を更新していく”という真っ当なモチベーションを抱えながら、さらなる未来に向かっていくはず。その新たなアクションにぜひ注目してほしいと思う。
【取材・文:森朋之】
【撮影:中山優司】
リリース情報
色づく日々より愛を込めて
2018年07月04日
mini muff records
2.グラフィティ
3.シュガータイム
4.Landscape
5.ハイライト
6.海辺の街へ
7.夢で会えたら
8.東京
セットリスト
『色づく日々より愛を込めて Release Tour 2018 “捨てられないから全て抱いて走っていくツアー”』
2018 .9.2 @渋谷CLUB QUATTRO
- 1.東京
- 2.Humming Life
- 3.Fressy
- 4.グラフィティ
- 5. Landscape
- 6.Polaroid
- 7.ハイライト
- 8.灯りをともして
- 9.Cattleya
- 10.海辺の街へ
- 11.シュガータイム
- 12.Locus
- 13.Vertigo
- 14.Instant Girl
- 15.Number
- 16.Prism 【ENCORE】
- En-1.夢で会えたら
- En-2.Happy End
お知らせ
the quiet room presents
【Road movie vol.09】
2018.09.21(金) 下北沢MOSAiC
ircle New Mini Album
「CLASSIC」リリース アンコールツアー
“心の真ん中に何がある”
9/29(土)@兵庫・神戸太陽と虎
9/30(日)@京都MUSE
ハンブレッダーズ presents.
「秋のグーパン祭り東京編」
10/7(日)@東京・下北沢SHELTER
alcott presents.
「BUTA FES 2018」
11/23(金・祝)神戸5会場サーキット
the quiet room presents
《 New Flag Fes’18 》
2018.11.25(日)
水戸LIGHT HOUSE / club SONIC mito / +1会場
※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。