新生Czecho No Republic、ポジティブで解放感にあふれた姿で渋谷に集ったファンを魅了!
Czecho No Republic | 2018.10.11
こんなにもポジティブで、こんなにも解放的な雰囲気に溢れたCzecho No Republicのライブは、もしかしたら初めてかもしれない――率直にそう思った。そう、メンバー脱退という大きな出来事に直面した4人は、このツアーをやり遂げたことで、バンドの新しいスタイルをしっかりと掴み取ったのだと思う。Czecho No Republicが10月2日、東京・渋谷duo MUSIC EXCHANGEで5thアルバム「旅に出る準備」リリースツアーのファイナル公演を開催した。今年3月に「旅に出る準備」を発表した彼らは当初、4月から全国ツアーを行う予定だった。ところが八木類(G/Syn/Cho)がツアー開始直前にバンドを脱退。5~6月の2マン編以外は約半年間ツアーを延期し、9月から10月にかけて行われることになったのだ。
八木が脱退したというニュースを聞いたときは、本当に驚いてしまった。2017年末に「リリースツアーじゃないツアー」でメンバー間のリレーションシップをさらに強め、演奏、ステージングも向上。その良い状態をダイレクトに反映した新作をリリースし、そのままの勢いでツアーがスタート……という最高の流れがいきなり途切れてしまったからだ。4人体制となったCzecho No Republicは、アンサンブルやライブの在り方を1から構築したはず。その最初の集大成がこの日のライブだったわけだが、正直、ここまで素晴らしいステージを観ることができるとは予想してなかった。
“新生Czecho No Republic”のテンションの良さは、オープニングからはっきりと感じ取ることができた。アルバムのタイトルチューン「旅に出る準備」が鳴らされた瞬間、カラフルなポップワールドがグングンと広がる。さらに武井優心(Vo/B)の「最高の旅に出る準備はできていますか?!」という問いかけから、ライブアンセムのひとつである「Amazing Parade」へ。メンバー全員の笑顔、アクティブなステージング、観客のシンガロングがひとつになり、心地よい音楽空間に結びつく。
4人でステージを構成することに伴い、メンバーが演奏する楽器にも変化が見られた。まず印象的だったのはタカハシマイ(Syn/G/V)がギターを弾くシーンが増えたこと。「Call Her」ではギターを弾くタカハシを中心に、武井、砂川一黄(G)がステージ前方に並んで演奏するなど、これまでには見られなかった場面も。「もう夏も過ぎて秋めいてきたけど、春の曲をやります。恋の歌です!」(武井)と紹介された「Spring」、ポップに振り切ったメロディと《毎秒死に向かってると思うと/ちょっと引くよね》という歌詞が合わさった「ザナドゥ」などアルバム「旅に出る準備」の収録曲はもちろん、4人のアンサンブルによって既存の楽曲に新たな魅力が加わったことも、今回のツアーの大きなポイントだったと思う。
「みんなに心から満足して帰ってほしくて。そのために4人で長い時間をかけて準備をしてきました」(タカハシ)という言葉に導かれたのは、彼女がハンドマイクでメインボーカルを取る「ファインデイ」。ダンスミュージックに特化した「エンドルフィン」では、打ち込みのトラック、山崎正太郎(Dr/Cho)のドラムが圧倒的な高揚感を生み出し、「Dream Beach Sunset」では、砂川のベース、山崎のドラム、タカハシのキーボードをバックに武井がハンドマイクで歌う(間奏では砂川の豪快なスラップベース・ソロも炸裂!)。自由度の高いフォーマットで、バンドが持っているポップネスをしっかりと引き出す。これこそが現在のCzecho No Republicのスタイルなのだ。
ライブ中盤では、「4人になってから初めて作った曲」(武井)という最新曲「Baby Baby Baby Baby」(ZIMAもっとサマーを!キャンペーンソング)を披露。さらに、この楽曲を制作したときに武井が聴いてたというカナダのバンド・Ayvaysの「Archie, Marry Me」をカバー。「4人になっていろいろ考えたけど、“まだまだおもしろいことができるはず”とワクワクしている自分もいて。Avvaysにはすごく刺激を受けました」(武井)の言葉も心に残った。
メンバー紹介のコーナーでは、山崎が「この会場(渋谷duo MUSIC EXCHANGE)でワンマンをやるのは5年ぶり。前回はメジャーデビューを発表したんですが、5年経っても変わらず好きでいてくれる人、新たに出会ってくれた人がここにいてくれて、本当にうれしいです」とコメント。またタカハシは、“旅の準備”をテーマにしたこの日のステージの装飾を手がけたのが、彼女が以前アルバイトをしたヴィンテージショップGrimoireの十倍直昭氏が担であることを告げ、「こうやってつながれることがうれしい」と感慨深そうに語った。
「みんなともっとつながりたいと思います!」という武井のコールに導かれた「テレパシー」からライブは終盤へ。「MUSIC」「No Way」「Firework」といった代表曲を連発し、会場を祝祭的なムードへと導いてみせる。そのポジティブで解放的なムードこそが、今回のツアーで4人が手にした、もっとも大きな成果なのだと思う。
ここで武井は改めて2018年春以降のバンドの状況の変化について話し始めた。メンバーの脱退、ツアーの延期に見舞われながら、「それでもバンドをやりたい」と思ったこと。周囲と衝突し、迷惑をかけながらもツアーを開催し、全力でライブがやれたこと。さらに「生きているといいときも悪いときもあって、今年の俺らは“大丈夫、チェコ?”と思われてたかもしれない。でも、人生が映画だとすると、そういうことがあるからこそドラマが生まれると思うんですよ。みんなもそういうときがあったら“上がっていけるチャンスだ”と受け取って、ワクワクする気持ちで進んでもらえたらいいなと思います」と語りかけると、会場から大きな拍手が巻き起こった。
「生きていくうえで、すごく大事なことだと思います」という言葉とともに放たれた「好奇心」、そして気持ちいい大合唱が生まれた「LALALA」でライブ本編は終了。
アンコールでは“すべて=いまこの瞬間”をテーマにしたという新曲、タイトル通りのお祭りモードを演出した「Festival」を披露。さらに熱いコールに応え、ダブルアンコールとして「Oh Yeah!!!!!!!」で最高潮の空気を作り上げて、ツアーはファイナルを迎えた。大きな壁を乗り越え、“4人のCzecho No Republic”をダイレクトに見せつけた、ターニングポイントとなるべきライブだった。
【取材・文:森朋之】
【撮影:山川哲矢】
リリース情報
Distribution limited 『Baby Baby Baby Baby』
2018年08月01日
日本コロムビア
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セットリスト
アルバム「旅に出る準備」リリースツアー
2018.10.2@duo MUSIC EXCHANGE
- 1. 旅に出る準備
- 2. Amazing Parade
- 3. Call Her
- 4. チキンレース
- 5. Spring
- 6. ザナドゥ
- 7. ファインデイ
- 8. Electric Girl
- 9. エンドルフィン
- 10. Dream Beach Sunset
- 11. Baby Baby Baby Baby
- 12. Archie, Marry Me(Alvvaysカバー)
- 13. テレパシー
- 14. MUSIC
- 15. No Way
- 16. Firework
- 17. 好奇心
- 18. LALALA 【ENCORE1】
- En-1. 新曲
- En-2. Festival 【ENCORE2】
- En2-1.Oh Yeah!!!!!!!
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