SHE’S メンバーが趣向を凝らしたユニークな企画が満載のファンクラブイベントをレポート!
SHE’S | 2018.10.25
SHE’Sのファンクラブ発足から1年足らず。多くのファンのリクエストに答えるかたちで、初のファンクラブイベント『SHE“Zoo”サファリ』がShibuya eggmanで開催された。『SHE“Zoo”』というファンクラブの名前が表すように、SHE’Sのファンクラブのテーマは「動物園」。オフィシャルモバイルサイトでも、動物園をイメージしたデザインやコンテンツが用意されているが、会場はそのテーマをライブハウスで再現するような遊び心溢れる空間が広がっていた。ステージにセッティングされた楽器には緑の蔦が絡み、BGMの代わりに動物の鳴き声が響き渡っている。オープニングSEはミュージカル『ライオンキング』で有名なテーマ曲「サークル・オブ・ライフ」(ナ~~シゴンニャ~マバギ~ティバマ~と歌い上げるアレ)だった。その音楽にのせて、ライオンに扮した服部栞汰(Gt)、蝶ネクタイをしたキリン姿の広瀬臣吾(Ba)、まさかの空想上の生き物ペガサスに扮した井上竜馬(Vo)と、それぞれ頭に被りものをかぶったライトなコスプレで姿を現したが、最後に出てきた木村雅人(Dr)だけは全身猿の着ぐるみだった。スタートから笑いを誘うオチを用意するあたりは、さすが関西人。ふだんのライブで見せる「かっこいいSHE’S」からは想像もつかない演出に、早くもこの日が特別なものになりそうな期待感が会場に漂っていた。
イベントの前半はメンバーが趣向を凝らしたユニークな企画が繰り広げられた。動物の行動をジェスチャーで当て合うクイズコーナーから、ファンクラブサイトの人気コンテンツのひとつである「おたよりBOX」のリアルタイム版として、次々にメンバーがファンの質問に答えるトークコーナーまで。当然、彼らの本業はミュージシャンなわけで、井上を中心にしながらの手探りな進行は、決してテレビのバラエティ番組で見るようなハイクオリティなものではなかったかもしれないが、手作り感のある一生懸命な企画の数々には、集まったファンに楽しんでもらいたいという気持ちがこれでもかと伝わってくるものだった。
少しの休憩を挟んで、イベントの後半はお待ちかねのアコースティックライブの時間を迎えた。「それじゃあ、ライブを始めます」(井上)。それまでの飾らない素の表情とは一転して、メンバーが引き締まったミュージシャンの表情へと変わると、最新シングル「歓びの陽」からスタートした。もとの音源はエレクトロなサウンドが特徴的なSHE’Sの新機軸となる楽曲だが、この日は同期(パソコンでメンバー以外の演奏を流すこと)を使わず、メンバーの生演奏を大切にしたアレンジだ。特にいつもはエレキギターで渋いフレーズを弾き倒す服部が、アコースティックギターに持ち替えて、メロディに寄り添うように奏でる優しいフレーズは新鮮だった。1曲目の「歓びの陽」ではドラムを叩いていた木村がカホンを叩いて、よりアコースティックの度合いが増した「White」のあと、最初のMC。井上がアコースティックライブは久しぶりだと振り返り(おそらく2016年にシングル「Tonight / Stars」をリリースした際の購入者限定ライブが最後だったと思う)、「今日はレアな曲もやろうと思うんだけど、久しぶりすぎて練習のときのカオス具合がやばかったです(笑)」と紹介したのは、初めて全国流通盤としてリリースした『WHO IS SHE?』の収録曲「彼方」。燃えるような真っ赤な照明に照らされて、悲しみに支配されたマイナー調のメロディが切なく響きわたると、ピアノのみの伴奏とメンバーのコーラスが静謐でホーリーな空間を描いた「Monologue」、開放感あふれるサウンドにのせてシンガロングを巻き起こした「遠くまで」、“子供の心を取り戻したい”と軽やかに歌うポップソング「Back To Kid」、そして、バンド初期から大切に歌い続けている渾身のバラード「幸せ」まで、特に優しく、時に激しく、丁寧に届けられる楽曲たちを会場に集まったお客さんは静かに聴き入っていた。
最近では会場の規模も大きくなり、ストリングやホーンを交えた豪華な編成でライブを行なうことも多くなったSHE’Sだが、お客さんとの距離が近いステージで、4人だけのミニマムな演奏にこだわったライブは、ファンクラブイベントならではの特別な時間だった。
最後のMCでは、「初めてのことで僕らも至らないところがあったかもしれんけど、どんどん意見ウェルカム! ということで、みなさんに楽しんでもらえるファンクラブにしたいと思います」と、2回目以降のFCイベント開催への意欲も見せた井上。「最近はいろいろな災害があったりして、当たり前の生活が送れない地域もたくさんある。早く、なんでもない、何気ない、特別なことがなくてもいい、ふつうの日々が送れたらという願いを込めながら、ラスト1曲を歌いたいと思います」と言うと、「aru hikari」を届けた。テクテクと歩くようなリズム。心に安らぎを与える包容力のあるサウンドのなかで、《あなただけにしか見えない場所まで/光まで歩いていってね》と親しみを込めて紡がれるフレーズは、この日集まった、SHE’Sの音楽を心から愛するお客さんに向けた温かいメッセージだったと思う。
【取材・文:秦 理絵】
【撮影:Atsushi Ito(東京) / ハヤシマコ(大阪)】
このイベント前半の詳しいレポートはファンクラブサイトで掲載します。
SHE’S Official Fan club『SHE“ZOO”』
http://fc.she-s.info/
リリース情報
The Everglow
2018年11月14日
ユニバーサルミュージック
02. Come Back
03. 月は美しく
04. The Everglow (Instrumental Version)
05. The Everglow (Backing Track Version)
セットリスト
SHE“Zoo”サファリ
2018.10.04@ Shibuya eggman
- 01.歓びの陽
- 02.White
- 03.彼方
- 04.Monologue
- 05.Back To Kid
- 06.幸せ
- 07.aru hikari
お知らせ
SHE’S Autumn Tour 2018 “The One”
11/16(金)[福岡] DRUM Be-1
11/18(日)[広島] CLUB QUATTRO
11/21(水)[]北海道 KRAPS HALL
11/24(土)[愛知] 名古屋 CLUB QUATTRO
11/25(日)[大阪] 大阪 CLUB QUATTRO
11/28(水)[宮城] 仙台 darwin
11/29(木)[東京] 渋谷 CLUB QUATTRO
SHE’S Tour 2019
02/16(土)[福島] 郡山 HIPSHOT JAPAN
02/23(土)[京都] KYOTO MUSE
02/24(日)[香川] 高松 DIME
03/01(金)[静岡] 浜松 Live House 窓枠
03/15(金)[北海道] 札幌 PENNY LANE24
03/17(日)[宮城] 仙台 Rensa
03/20(水)[岡山] YEBISU YA PRO
03/21(木・祝)[福岡] DRUM Logos
03/23(土)[広島] HIROSHIMA CLUB QUATTRO
03/24(日)[愛知]名古屋 DIAMOND HALL
04/06(土)[長野] 松本 ALECX
04/07(日)[石川] 金沢 EIGHT HALL
04/13(土)[大阪] なんばHatch
04/20(土)[東京] ZeppTokyo
※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。