Halo at 四畳半、メジャーデビュー1stライブは初ワンマンを行った地、渋谷WWW
Halo at 四畳半 | 2018.11.14
「ついに」というべきか、「ようやく」というべきか。とうとうこの日がやってきた。Halo at 四畳半、堂々メジャーデビューである。前日の10月16日には地元・千葉県佐倉市のSound Stream sakuraでインディーズラストライブ「swan : song」を敢行した彼ら。そしてメジャー1stアルバム『swanflight』のリリース日となった翌10月17日。渋谷WWWでメジャーバンドとして最初のワンマンライブ「first : flight」が行われた。WWWは彼らが2016年に初ワンマンを行った思い出深い場所。ここからバンドの新たな物語の幕が開けるのだ。
ライブ直前の会場で、メンバーには先月からスタートした動画コーナー「ライブ閑話」に登場してもらった。メジャーデビューへの意気込みも語ってくれているのでぜひご覧いただきたい。
彼らのメジャーデビューアルバム『swanflight』は、一言でいえばHalo at 四畳半がHalo at 四畳半のまま、より大きな空へ羽ばたくことを誓った作品である。彼ら一流の世界観、そしてドラマティックなメロディはよりスケールを広げ、そして歌詞には繊細でありながら強い意志が宿っている。そんなアルバムに込められた思いが、ライブの場でどんな情景を描き出してくれるのか。もちろん、昨日と今日で何かが劇的に変わるわけではない。昨日まではインディーズバンドでした、今日からはメジャーバンドですと言ったところで、バンドは同じように音を鳴らすだけだというのもそのとおりだ。しかし、敢えて彼らはこの節目を、バンドの原点となった地元のライブハウスと、今日に至る旅路の大きなターニングポイントとなった初ワンマンの会場でライブを行うことで何かを伝えようとした。その「何か」が、このレポートで少しでも伝われば幸いだ。
いつもどおりトクマルシューゴの「Rum Hee」をバックにステージに登場した渡井翔汰(Vo&G)、齋木孝平(G&Cho)、白井將人(B)、片山僚(Dr)の4人。渡井がマイクの前に立ち、口を開く。「たくさんの方が『いってらっしゃい』と背中を押してくれた。でも、『いってらっしゃい』と言ってほしいわけじゃなくて、あなたと一緒に行きたい。他人事じゃなく、ともにこの先に進めますように」。そして「行こうぜ!」と鳴らされたのは彼らの代表曲「リバース・デイ」だ。《見えなくとも聴こえなくとも/向かうべき場所はわかるんだ》と歌うこの曲から今日の日を始めることを決めたその時点で、このライブにかける思いが伝わってくるようだ。フロアからは幾本もの手が挙がり、その思いに全力で応えていく。
続いて「カイライ旅団と海辺の街」「ステラ・ノヴァ」と3曲披露し終えたところで、渡井が改めてメジャーデビューを報告するともちろん大きな拍手が送られる。「僕らは決して器用なバンドとはいえない。不器用なりに前へ前へ進んでいこうと思っています」。そう、Halo at 四畳半はどんな感情に、どんな不遇に襲われようとも、前へ進むことだけを歌い続けてきたバンドだった。それはこれからも変わらない、渡井の言葉はそのことを改めて宣言しているように聞こえた。そしてこの日リリースされたアルバムからの楽曲「ヒーロー」へ。推進力のあるドラムに載せて歌われる「エンドロールはずっと先だ」というメッセージが力強く会場を覆う。
「アメイジア」「メル・ユース」「ペイパームーン」……Halo at 四畳半の歴史を彩ってきた物語たちが、それぞれにこの日の意味とリンクして鳴らされていく。いうまでもなくそれぞれの楽曲にはそれぞれの主人公がいて、それぞれの人生を生きているはずなのに、こうしてライブで並ぶと、まるですべてが、過去に思いを馳せ、未来を願うひとつのストーリーでつながっていくようだ。ちょっと前のめりなアンサンブルに、言葉以上の気概のようなものが乗っているのを感じる。『swanflight』からの「アンドロイドと青い星の街」などを経て、ここで再びMC。話し始めたのは白井だ。このWWWという会場について、「昔ワンマンやって、めちゃくちゃ大きいと思っていたけど、(今日は)小さな会場だなと思いました」。それはメンバーだけではなく、フロアで観ているお客さんにとっても同じだったろう。実際僕も2016年のライブを観ているが、そのときの彼らは今日ほど生身でぶつかってくるような迫力をもったバンドではなかった。作品の世界を丁寧に具現化していくような美しいライブだったが、今日の彼らは、その世界をリアルに「生きている」とでもいうようなライブをやっている。それはただバンドが成長したというだけの意味ではない。積み重ねてきた年月のぶん、お客さんのバンドに対する思いも積み重なっている。同じ世界を生きてきたバンドとお客さん、双方のエネルギーがこの会場じゅうに充満しているのだ。
そんなエネルギーが実感をもって感じられたのがこの後のパート。声のかぎりに歌ったアルバムのオープニングナンバー「ヒューズ」に続いて、渡井がアコースティックギターへ持ち替えて披露した「ユリーカの花」。力感のある歌声がライブハウスの壁に反響して増幅され、そこにバンドの演奏が重なり、WWWのスケールをはるかに超えた大きな響きへと変貌を遂げていく。そこからそのスケールの大きさをさらに印象づける「アルストロメリア」、そして「ユーフォリア」へ。シアトリカルな彼らの魅力が大きく花開いていく展開に、思わず固唾を呑む。「箒星について」では渡井が曲中「4人だけじゃ心細いんだ。あなたたちの力を貸してくれるかな」と叫ぶ。その呼びかけに呼応するようにフロアの一体感も増していく。「飛行船」「モールス」……Halo at 四畳半と彼らを支え続けてきたファン、全員の共通言語のような名曲たちが、再び色を帯び、違う意味を持って今日という日を照らし出す。間違いなく今日は始まりの日。しかしその後ろ側には、たくさんの過去やさまざまな感情のかけらが埋まっているのだ。
「メジャーデビューが微かに見えたとき、正直、少し怖かった」。本編最後のMCで渡井はそう吐露した。だが、「応援してくれる人の声に覚悟をもらった」とも語った。その言葉を聞いてわかった。今日のライブはメジャーデビューの報告会でも、メジャーデビューを祝福するパーティでもない。音を鳴らす者、それを受け取る者を含めてのHalo at 四畳半という共同体にとって、未知の世界へ手をつないで足を踏み出すための決起集会なのだと。「みんなにとって一歩踏み出す勇気になるような曲を」。そんな言葉とともに届けられた本編ラスト「悲しみもいつかは」が、そんな覚悟と勇気を体現するような強さをもって鳴り響いた。拳を突き上げ、歌うお客さんの姿に、バンドもどれほどの力をもらっただろう。
アンコールでは「怪獣とまぼろしの国」、そして「シャロン」とバンド屈指の名曲をフロアに捧げ、Halo at 四畳半は新たな旅へ出た。「変わらないまま変わっていく」。そんな不変の命題を掲げながら突き進んでいく彼らの行く末に、眩しい光が見えるような素晴らしいライブだった。
【撮影:オチアイユカ】
【取材・文:小川智宏】
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リリース情報
swanflight
2018年10月17日
日本コロムビア
01.ヒューズ
02.悲しみもいつかは
03.ヒーロー
04.マグとメル
05.水槽
06.アンドロイドと青い星の街
07.擬態
08.朝を迎えに
09.王様と兵士
10.フェロウ
11.アルストロメリア
12.魔法にかけられて
02.悲しみもいつかは
03.ヒーロー
04.マグとメル
05.水槽
06.アンドロイドと青い星の街
07.擬態
08.朝を迎えに
09.王様と兵士
10.フェロウ
11.アルストロメリア
12.魔法にかけられて
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セットリスト
「major first one man live “first : flight”」
2018.10.17@渋谷WWW
- リバース・デイ
- カイライ旅団と海辺の街
- ステラ・ノヴァ
- ヒーロー
- アメイジア
- メル・ユース
- ペイパームーン
- アンドロイドと青い星の街
- 春が終わる前に
- ヒューズ
- ユリーカの花
- アルストロメリア
- ユーフォリア
- 箒星について
- 飛行船
- モールス
- 悲しみもいつかは 【ENCORE】
- En-1. 怪獣とまぼろしの国
- En-2. シャロン
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お知らせ
■ライブ情報
「四畳半で、君と、サイダーを。」
11/17(土)名古屋市立大学滝子キャンパス
共創祭2018
11/18(日)浜松学院大学
熟田津祭2018
11/24(土)松山大学
Skream! × TOWER RECORDS × Eggs presents 「HAMMER EGG vol.10」
12/11(火)TSUTAYA O-EAST
Livemasters Inc. countdown “GT2019” supported by スマチケ
12/31(月)Zepp DiverCity (TOKYO)
Halo at 四畳半 ワンマンツアー 2018-2019 “悲しみの朝の愛し方”
12/02(日)新潟CLUB RIVERST
12/09(日)仙台MACANA
12/15(土)札幌BESSIE HALL
[2019]
01/12(土)高松DIME
01/19(土)広島SECOND CRUTCH
01/20(日)福岡Queblick
01/26(土)梅田CLUB QUATTRO
01/27(日)名古屋CLUB QUATTRO
02/09(土)マイナビBLITZ赤坂
※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。
「四畳半で、君と、サイダーを。」
11/17(土)名古屋市立大学滝子キャンパス
共創祭2018
11/18(日)浜松学院大学
熟田津祭2018
11/24(土)松山大学
Skream! × TOWER RECORDS × Eggs presents 「HAMMER EGG vol.10」
12/11(火)TSUTAYA O-EAST
Livemasters Inc. countdown “GT2019” supported by スマチケ
12/31(月)Zepp DiverCity (TOKYO)
Halo at 四畳半 ワンマンツアー 2018-2019 “悲しみの朝の愛し方”
12/02(日)新潟CLUB RIVERST
12/09(日)仙台MACANA
12/15(土)札幌BESSIE HALL
[2019]
01/12(土)高松DIME
01/19(土)広島SECOND CRUTCH
01/20(日)福岡Queblick
01/26(土)梅田CLUB QUATTRO
01/27(日)名古屋CLUB QUATTRO
02/09(土)マイナビBLITZ赤坂
※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。
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