Eve 『メリエンダ』追加公演、新木場STUDIO COASTをレポート
Eve | 2018.11.14
8月に行われた東名阪ツアー『メリエンダ』の追加公演として行われた今回のライブ。会場の新木場STUDIO COASTの中に入ると、ステージを覆っている巨大な紗幕のスクリーンに、Wabokuが手掛けたアニメーションが流れているのが目に飛び込んできた。淡々と同じ映像を繰り返しているようでいて、先程流れた際には盛り込まれていなかった変化が時折生じると、観客の間からどよめくような声が起こっていた。
ついに迎えた開演。雨音が聞こえてきて、観客の腕に巻かれていたリストバンド(入場時に配布されていた)のLEDが稲光のように瞬いた。そしてスタートした「トーキョーゲットー」。同曲のMVが投影されている紗幕の表面に浮かび上がったEveのシルエットが揺らめき、瑞々しい歌声、エモーショナルなバンドサウンドが一気に響き渡った様が、とても神々しい。夢のような空間が生み出され続けたライブの華麗な幕開けであった。
紗幕が切って落とされ、露わになったステージを見つめながら歓声を上げた観客。「アウトサイダー」がスタートすると、フロアから湧き起るハンドクラップが一層力強さを増した。Eveがハンドマイクでステージ上を巡りながら歌った「デーモンダンストーキョー」「Dr.」、エレキギターを弾きながらバンドメンバーと共に美しいアンサンブルを構築した「会心劇」「ふりをした」……鳴り響くサウンド、ステージの背景に流れる映像、観客の手首に巻かれているLEDのライトが完全に一体となっていた様は、我々を完全に非日常の世界へと連れて行ってくれた。
「今晩は。来てくださってありがとうございます。すごい景色ですね」――最初のインターバルで、満員の会場内を嬉しそうに見回したEve。「今、すごく楽しいです。じゃあ、ここで新曲をやっていいですか? まだ音源になってないです。今年最後のライブなのでやりたいと思います」と言って披露された曲のタイトルは「迷い子」。初披露の新曲にもかかわらず観客の間から自ずと起こったハンドクラップが、何とも言えず温かい一体感を生み出していた。
「ホームシック」と「sister」を歌った後、一旦、ステージから姿を消したEve。するとバンドメンバーたちによる「fanfare(instrumental)」の演奏がスタート。スクリーンではEveの様々なMVを素材としたコラージュ映像が流れ、インストナンバーと完全にシンクロしながら展開。そして衣装を着替えたEveが再び現れ、「ナンセンス文学」を皮切りに後半戦へと雪崩れ込んで行った。興奮状態となった観客の間に漂う熱気が、ますます凄まじい。イントロが奏でられるや否や大歓声が起こった「ドラマツルギー」。シャープなビートが躍動した「あの娘シークレット」。爽やかな昂揚感で会場全体を包んだ「アンビバレント」……聴覚と視覚が震える刺激がダイナミックに炸裂し続けた。
「僕は去年、『文化』というアルバムを出しました。それまでずっとカバーをたくさんやってきた人間なので、楽曲を作ることに対して不安もすごくありました。受け入れてもらえるかどうか心配だったりもしたんです。今までは声とか歌い方を好いてくれていたのかもしれないけど、“僕はどういう人間なのか”とか、自分の中身を知ってもらえたと思いました。いろいろ不安もあったけれど、今日、この景色を見て……2400人くらいのお客さんがいるのかな? この景色を見て、“あの時、自分がやろうと思ったことは、間違っていなかったのかな”と。そんなことを思いながら歌ってました。みなさんがいないと僕は何もできないし、僕もみなさんと同じ普通の人間だし、すごく弱いですし、脆いんです。ネットに上げて反応をもらえても、どこか現実味がない感じがしてたんですけど、みんなの顔を見て歌えて、改めてやってきてよかったと思いました。これからも自分のペースでのびのびとやっていくと思います。同じ空間を共有できたというのは、奇跡みたいなものだし、大事にしたいので、これからもよろしくお願いします!」――じっくりと言葉を選びながら想いを語ったMCは、観客の心を激しく動かしているのを感じた。そして「羊を数えて」を本編のラストに歌った彼は、「ありがとうございました。Eveでした!」と深々とお辞儀をしてステージを後にした。
アンコールを求める声に応えてステージに戻って来たバンドメンバーたちが演奏をスタートさせた後、Eveも登場。「惑星ループ」が観客の明るい大合唱を誘った。「僕はこれからいろいろやりたいことがあって、少しずつ形にしていこうとしているところです。僕は誰かと気持ちを共有するのが好きだと、ここ数年で改めて気づきました。誰かと一緒にいろいろと進める中で考え方が衝突したとしても、生まれてくるのは予想してなかったワクワクするものだったりするわけです。今日来てくれているお客さんは、僕の音楽を聴いて何かを感じたから足を運んでくれたんだと思います。これからも僕はワクワクする瞬間を見つけた時に、みんなと共有したいです。だから僕が今考えている未来くらいまでは、みんなについてきてほしいと思いました」――今後の活動へ向けての意欲をじっくりと語ったMCを経て、披露された新曲のタイトルは「ラストダンス」。Mahが手掛けたMVもスクリーンで流れ、観客は大喜びしながら歓声を上げていた。
「お気に召すまま」でアンコールを締め括ると、バンドメンバーたちを改めて紹介したEve。「すごく楽しくて特別な時間になりました。本当にありがとうございました。またどこかでお会いしましょう!」と挨拶をしてからステージを去った彼を、大きな拍手と歓声が見送った。するとスクリーンに映像が流れ始めた。そこで告げられたのは「2019年2月6日ニューアルバム『おとぎ』リリース」という、とても嬉しいニュース。先程のMCでEveが語った願い通り、ファンと共有するワクワクの輪は、2019年も着々と広がっていくことになるだろう。
【取材・文:田中 大】
【撮影:山川哲矢】
リリース情報
おとぎ
2019年02月06日
TOY’S FACTORY
02.トーキョーゲットー
03.アウトサイダー
04.迷い子
05.やどりぎ
06.アンビバレント
07.楓
08.ラストダンス
09.僕らまだアンダーグラウンド
10.君に世界
11.dawn
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セットリスト
『メリエンダ』追加公演
2018.11.4@新木場STUDIO COAST
- 01.トーキョーゲットー
- 02.アウトサイダー
- 03.デーモンダンストーキョー
- 04.Dr.
- 05.会心劇
- 06.ふりをした。
- 07.迷い子<新曲>
- 08.ホームシック
- 09.sister
- 10.fanfare (instrumental)
- 11.ナンセンス文学
- 12.ドラマツルギー
- 13.あの娘シークレット
- 14.アンビバレント
- 15.羊を数えて 【ENCORE】
- EN-01.惑星ループ
- EN-02.ラストダンス<新曲>
- EN-03.お気に召すまま
お知らせ
New Album「おとぎ」発売記念イベント
2019/2/6(水) SHIBUYA TSUTAYA
2019/3/9(土) アニメイト広島
2019/3/10(日) アニメイト仙台
2019/3/23(土) アニメイト新宿B2F animate hall SHINJUKU
2019/4/13(土) アニメイト大阪日本橋5Fイベントホール
2019/4/14(日) アニメイト名古屋 第3太閤ビル
※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。