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オメでた×FABLED×ビレッジ、バンドシーンに活力を注ぐ3マンスプリットツアー

オメでたい頭でなにより×ビレッジマンズストア×FABLED NUMBER | 2018.11.22

「この3バンドが一緒に演ることで、何かシーン自体を活性化させることに繋がるんじゃないか…? その趣旨が最も大きいです。それもあって、演ってる音楽性や普段は別々のフィールドで活動はしているけど、フロアを巻き込んで熱いパフォーマンスをしている、世代も近い仲間に声をかけました。とにかくシーンを活性化させていきたい!!」と、以前、オメでたい頭でなによりのボーカルの赤飯は本ツアーへの意気込みを熱く語ってくれた。
ここで言う「シーン」は音楽性とは違った類い。いわば音楽に賭けた情熱や真摯さを大放射し、ライブを観終わった者たちに気力やバイタリティ、活力を与え、その日の会場から出る際には、力強くまた明日へと立ち向かっていける原動力を与えてくれるバンドたちを指す。そして、この日は見事にそれが可視化された一夜でもあった。

オメでたい頭でなにより(以下 : オメでた)が、10月10日発売したニューシングル「日出ズル場所」と共に「幸三昧(さちざんまい)」とタイトルされた東名阪の3マンスプリットツアーを行った。このツアーは東京代表としてオメでたが、大阪代表としてFABLED NUMBERが、名古屋代表としてビレッジマンズストアと、彼らがシンパシーを抱いているバンドたちと全箇所一緒に回ったもの。この日の東京・渋谷WWWXはその初日であった。

このツアーはまさにスプリット・ツアー。オメでたが主宰でありながらも各地、当地のバンドがトリを務めた。ここ東京でのトップはビレッジマンズストア。いつも以上にフロアを巻き込んでの嵐のような、「攻撃こそ最大の防御なり!!」な攻めのロックンロールを体感させてくれた。おなじみの揃いの赤いスーツ、白いタイ、黒いシャツ姿と怒涛性にて、この日も満場を阿鼻叫喚の渦に巻き込んでいった。まずはライブ感みなぎるご機嫌な「夢の中ではない」がライブのイグニッションを回す。和のメロディも交えた駆け抜けるかのような歌とサウンドが場内を強引に自世界へと惹き込んでいく。

「テレビもメディアも関係ない! お前の一番をもらいに来た!!」とボーカルの水野 ギイ。早くもこの日の一番を奪取にかかる。会場の大合唱も印象的だった「サーチライト」が暗闇の中、グイッと腕を引っ張れば、「トラップ」では坂野 充(Dr)のスカの裏打ちの軽やかさと2ビートで、会場を盛り上げていく。また、裏ハイハット&4つ打ちに、ジャック(Ba)の躍動的なベースがダンサブルさを誘った「ビレッジマンズ」では、フロントのメンバー4人が並ぶ壮観さをこの日も味わえた。加えて、「MIZU-BUKKAKE-LONE」に入ると、曲途中にて荒金 祐太朗(Gt)、岩原 洋平(Gt)もギターと共にフロアにダイブ。お客さんの上でのソロ合戦が始まる。
また、開放感と爽快感も印象的だった挽歌チックな「WENDY」を経て、「この世で一番かっこいいのは俺たちだって色んなバンドが言うけど違う。一番かっこいいのはお前だ。こうなったら一緒に渋谷の新記録を目指そうぜ!!」(水野)と入った、「逃げてくあの娘にゃ聴こえない」がそれを実現へと近づければ、「俺たちはいつまでも変わらないからお前は安心して変わっていいんだぜ!!」とラストは、“気持ちはいつでも変わらない14歳の頃に引き戻してやるぜ!!”とばかりに初期衝動たっぷりの「PINK」が放たれ、それは明日からの自分を祝福してくれる讃歌のようにも響いた。

「渋谷、始めっぞ~!!」と恒例のN’Taichi (Ba)のシャウトから突入したFABLED NUMBER。続けて「ビレッジマンズから重いバトンを受け取った。それをしっかりとオメでたに渡す!!」とボーカルのN’Eitaが力強く誓う。まさにこの日はそれを実践するかのように、ライブの盛り上がる曲たちのオンパレード。会場の火に次々と油が投下される様を見た。
まずは切り裂くような「I Bet My Life(or Death)」が会場をアンセム化させる。力強い拳がステージに返ると共に、Mako-Albert(Gt)のエッジの効いたギターと、Mr,Donuld Betch (Dr)の疾走8ビートが怒涛の激走を見せ、合わせて会場中がグイグイ惹き込まれていく。また、会場のクラップも交えて入った「Don’t let me go」では、サビでの開放感と共に、Chii,pucchi(Key)によるエレガントな鍵盤の美しさも披露。更に「AAO」では同曲の持つ楽しさを交えた一体感が場内の合唱を育み、アッパーなレイビーナンバー「Up All Night」に於いては、Ikki-Rodriguez(Samp/Prog)もステージフロント出て踊り煽る。
「4月からこのツアーが楽しみでスケジュールを空けていた」と嬉しそうにEita。続いて歌って踊れて一体感と至福感と起爆感がある、彼らの真骨頂が凝縮された「Like a Thunder」、反面「The Lights」では彼らの美しい部分もキチンとバランス良く披露。場内をグイッと抱きよせるような同曲に満天の星空に抱かれているような錯覚をおぼえた。
「(この日のバンドたちは)ステージからみんなの背中を押してあげられるバンドばかり。これからもみんなの背中を押し続けるし、逆にみんなも我々の背中を押して欲しい」(Eita)と告げ、「よう覚えておけ! 俺らが大阪のFABLED NUMBERや!!」と改めて自己を誇示。いつもよりエッジが効いてメタリックさが増した「YES」、ラストは彼らの美しさと雄々しさも味わえた「The King」でフロアをひとつにして締めくくった。

いよいよオメでたの登場だ。ミト充(Dr)、324(Gt)、ぽにきんぐだむ(Vo&G/Rap)、mao(Ba)の順にステージに現れた彼ら。やや間を置き赤飯(Vo)も登場。「ハッピーなバンドやと思ったやろ。今日はドロドロのグチャグチャにしに来たから!!」(赤飯)と早くも前出2バンドが残していった強烈な存在感やライブの衝撃を更に上書きせんとばかりの気概を伝える。
まずは変幻自在に声色を違え歌う赤飯のボーカルと、切り込むようなぽにきんぐだむのラップが冴える最新曲「日出ズル場所」から。1曲中に自身の真骨頂の数々を凝縮させた同曲。それらが惜しみなく次々と現れ放出されていく。また同曲では赤飯も超ロングトーンシャウトをキメ。場内を感嘆させる。続く彼らのラウドさと勢い疾走感が会場を駆け抜けた「えんがちょ!」では、同期にてエレクトロ的な上物も加わる。
この日は普段聴けない珍しい曲も楽しめた。「あれこれそれどれ」では無数のクラウドサーフが発生。負けてられるか!! と言わんばかりに、サビに於いては赤飯もフロアへとステージダイブしていく。
「むちゃくちゃ幸せになって帰ってもらいたい。感情は込めてもOK。ただし丁寧にやって欲しい。それが他の現場と違う俺らのライブの流儀」(赤飯)とオメでた流ライブの楽しみ方の啓蒙の後、「wosushi~ウォールオブ寿司~」では、恒例のフロアがシャリとネタに分かれ、激部が現れるとそれらが楽しく混ざり合う。また、メジャーデビュー曲でもある「鯛獲る」を経て、赤飯得意の女声が冴えた「推しごとメモリアル」では恒例のあえてのエアバンドスタイルにてプレイ。楽器そっちのけでメンバー全員がフロントに並び踊り、その際にはFABLEDのEita、ビレッジマンズの板野充もステージに加わっていく。
「Go To 幸三昧」のコールに変えて贈られた「スーパー銭湯~オメの湯~」ではサビのストレートさと、ぽにきんぐだむ、赤飯のツインボーカルでの駆け抜けも手伝い、かなりの沸点を記録。続く雄々しく響いた「We will luck you」では大合唱ととてつもない一丸性が育まれ、そこでステージに向けて掲げられた拳は力強く、より逞しく映った。そして本編最後は「オメでたい頭でなにより」がダブルピースと共に無数の笑顔の花を繚乱させるに至った。ラストは感極まった赤飯が再びフロアにダイブ。お客さんにリフトされながら歌っていた様も印象深い。
「お前たちの夢も背負っていく。遠くにいったと思わないで欲しい。一緒に大きくなって叶える」(ぽにきんぐだむ)とのMCを経た「ふわっふー」では、楽しく騒げ暴れる曲が贈られ、沢山の満足そうな笑顔の中、初日の幕は閉じた。

各バンド「一緒に最高の時間を作ろう!!」そんな共創の気概に溢れていた、この日。ツアータイトルから「仲良しバンドの愉快な徒党ツアー」を想像して臨んだものの、そんな生ぬるいものでは決してなく、むしろ全員が「この日のてっぺんを獲る!!」という気概に漲っており、それらが共食いの体で一体化や血肉化し、昇華されていく様を見た。
この後もなお、彼らはまた自身のライブやツアーを全国各地で繰り返していく。求められる求められないに関わらず、その宿しているバイタリティや活力を放出しに。その際には是非その闇雲なエネルギーを受け取って欲しい。それこそが明日からの日常にしばらくは立ち向かっていけるだけの「鼓舞」や「支え」、「力」の類に変わるものなのだから。この日も会場を出る多くの人たちの爛々とした表情が、それを立証してくれていた。

【取材・文:池田スカオ和宏】
【撮影:ゆうと。】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル オメでたい頭でなにより ビレッジマンズストア FABLED NUMBER

セットリスト

幸三昧
2018.11.10@渋谷WWW X

    ビレッジマンズストア
  1. 1.夢の中ではない
  2. 2.サーチライト
  3. 3.トラップ
  4. 4.ビレッジマンズ
  5. 5.MIZU-BUKKAKE-LONE
  6. 6.WENDY
  7. 7. 逃げてくあの娘にゃ聴こえない
  8. 8.PINK
  9. FABLED NUMBER
  10. 1.I Bet My Life(or Death)
  11. 2.Don’t let me go
  12. 3.AAO
  13. 4.Up All Night
  14. 5.Like a Thunder
  15. 6.The Lights
  16. 7.YES
  17. 8.The King
  18. オメでたい頭でなにより
  19. 1.日出ズル場所
  20. 2.えんがちょ!
  21. 3.おれこれそれどれ
  22. 4.wosushi~ウォールオブ寿司~
  23. 5.鯛獲る
  24. 6.推しごとメモリアル
  25. 7.スーパー銭湯~オメの湯~
  26. 8.We will luck you
  27. 9.オメでたい頭でなにより
  28. 【Encore】
  29. En-1.ふわっふー

お知らせ

■ライブ情報

オメでたい頭でなにより"1"マンツアー ~今 いくね くるね~
02/09(土)千葉LOOK
02/17(日)水戸LIGHT HOUSE
02/22(金)名古屋ボトムライン
03/09(土)仙台MACANA
03/21(木)梅田CLUB QUATTRO
03/31(日)金沢AZ
04/04(木)赤坂マイナビBLITZ
04/07(日)札幌Sound lab mole
04/11(木)広島SECOND CRUTCH
04/13(土)高松MONSTER
04/14(日)福岡LIVEHOUSE CB



ビレッジマンズストア御礼参り“聖地巡礼行脚"
12/08(土)東京 池袋Adm
12/14(金)名古屋 池下CLUB UPSET
[2019]
01/12(土)名古屋 池下CLUB UPSET
01/14(月・祝)大阪 十三FANDANGO
01/19(土)池袋 Adm
02/02(土)秋田 Club SWINDLE
02/11(月・祝)池袋 Adm
02/16(土)名古屋 池下CLUB UPSET
02/23(土)岡山 PEPPERLAND
03/08(金)名古屋 池下CLUB UPSET
03/10(日)池袋 Adm
03/20(水)大阪 Pangea



FABLED NUMBER presents 『Millionaire Tour』〜銭、もろてもええですか?〜
02/03(日)神戸太陽と虎
02/16(土)HEAVEN’S ROCK宇都宮VJ-2
02/17(日)HEAVEN’S ROCK熊谷VJ-1
03/08(金)渋谷TSUTAYA O-WEST
03/29(金)岡山CRAZYMAMA 2ndRoom
04/05(金)京都GROWLY
04/12(金)名古屋CLUB QUATTRO
05/11(土)静岡UMBER
05/17(金)富山SoulPower
05/18(土)金沢vanvanV4
05/24(金)千葉LOOK
05/25(土)F.A.D YOKOHAMA
05/31(金)福岡Quebilick
06/07(金)仙台enn 2nd
06/13(木)心斎橋BIGCAT

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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