ヤバイTシャツ屋さん 7thシングル「とってもうれしいたけ」レコ発ツアー・ファイナル
ヤバイTシャツ屋さん | 2018.12.03
ヤバイTシャツ屋さん(以下ヤバT)の7thシングル「とってもうれしいたけ」に伴うレコ発ツアー・ファイナルは、こやまたくや(Gt&Vo)曰く「憧れのメロコア・バンド」である同郷のGOOD4NOTHINGを対バンに迎えた。そう、ヤバTは"メロコア・バンド"と自称(※現在ホームページでは3人組ガールズテクノポップユニットと、ツッコミを入れたら負けみたいな説明になってます)しているように、その音楽ルーツの底流にメロコアがある。ゆえに今年結成20周年となる大先輩・GOOD4NOTHINGを自身のファイナルに呼んだのは当然の成り行きとも言えるのだ。TANNY(Vo&Gt)が段ボールで作った"しいたけ"の被り物で後輩を祝福(?)しつつ、1曲目「RIGHT NOW」からヤバTファンを早速興奮のるつぼに陥れる。さらにニュー・シングル表題曲「THIS SONG’S TO MY FRIEND」やライブ鉄板曲「It’s My Paradise」などを放ち、フロアはもちろん、2階席の観客までジャンプ&拳を突き上げ、終始アゲアゲで焚き付けまくる怒濤の攻撃力を発揮。「堺のヤバイおっさん屋さんでした!」とU-tan(Vo&Gt)は別れの挨拶を告げ、トリのヤバTにバトンを託した。
こやま、しばたありぼぼ(Ba&Vo)、もりもりもと(Dr&Cho)のメンバー3人が満杯に膨れ上がった会場に登場すると、今夏のフェスでも凄まじい破壊力を見せていた「ハッピーウェディング前ソング」を投下。≪キッス!入籍!≫の歌詞のくだりでは天井を突き破らんばかりの大合唱を巻き起こし、ド頭からとんでもない盛り上がりを呈す。それからライブで培った強靭な足回りで疾駆する「Tank-top of the world」をプレイ。フロアの温度は一段と高まり、観客はもみくちゃ状態に加え、ダイバーもひっきりなしのカオティックな景色が広がる。次は童謡にも通じる親密なメロディを配した「タンクトップくんのキャラソン」に移行すると、こやま&しばたがセリフ調に掛け合うパートもあり、演劇を観ているような面白さで顔がニヤリと綻ぶばかり。すかさず「飛べ! 飛べ!」と煽ると、「メロコアバンドのアルバムの3曲目ぐらいによく収録されている感じの曲」へ。メロコア・マナーを踏まえたエネルギッシュな曲調で観客と一体化する腕っ節の強さをアピール。
そして、今ツアー15本中メンバーと遊園地に2回行ったというエピソードを報告したりと(※その内のひとつが筆者の地元・大分の『サンリオキャラクターパーク ハーモニーランド』!)、バンド間の仲の良さにもほっこりした。しばたのスラップ・ベースが飛び出す「DANCE ON TANSU」を挟み、ライブで聴きたかった楽曲のひとつである「君はクプアス」をやってくれた。"クプアス"ワード波状攻撃に必至に笑いを堪えながら、メロディ・センスの良さに心を奪われるという不思議な矛盾に板挟みにされてしまう。この曲に限らずだが、それもヤバTの奥深い音楽的魅力と言っていい。また、もりもとがハーモニカを吹く場面では、こやまとしばたがステージに腰を下ろして彼の方を見つめたりと、どこか青春ちっくな色合いを滲ませた曲調も良かった。
スロー・ナンバーでしっとり聴かせた後は、ここから韋駄天走りで駆け抜けていく。「Universal Serial Bus」、「ざつにどうぶつしょうかい」、「スプラッピ スプラッパ」と続き、フロアにはいくつものサークル・モッシュの渦が出来上がる。
「凄いね、平日にいっぱい集まってもらって。本気でやっているので本気でかかって来てください!」と、こやまはいつもよりシリアス気味にMCを織り込んでいく。それから感情爆発とも言えるこやまの絶唱に胸倉を掴まれ、奥底にあるロック魂を突きつける「サークルバンドに光を」は、この日も多くの観客を骨抜きにしていた。
改めて10代の頃に自分が聴いて育ったメロコア・バンド、GOOD4NOTHINGが出演してくれたことに感謝の言葉を告げ、「夢がありますわ!」と興奮気味に語ると、ヘヴィな爆発力に富む「KOKYAKU満足度1位」においても観客を狂喜乱舞させ、ここからさらにフルスロットルの演奏が続く。「喜志駅周辺なんもない」、「とりあえず噛む」、「鬼POP激キャッチー最強ハイパーウルトラミュージック」とファンに馴染みの深いライブ不可欠ナンバーの応酬に熱気は右肩上がりに上昇。「俺なりのメロコア!」と付け加えると、トドメに「無線LANばり便利」も飛び出し、大先輩GOOD4NOTHINGに食らいつく気迫の演奏を叩き付け、本編ラスト曲「ヤバみ」まで雪ダルマ式に熱を拡大させていた。
アンコールに入ると、12月に全国公開される映画『ニセコイ』の主題歌になった「かわE」をライブで初めてプレイ。裏声を駆使したこやまの歌声は新鮮で、イントロからオイ! オイ!と大合唱を生み出す大フィーバーぶり。「もっとぐちゃぐちゃになってくれよー!」と叫ぶと、「Tank-top in your heart」を経て、今日のオーラスにぴったりの「あつまれ!パーティーピーポー」でビシッと締め括った。
後半に向かうにつれ、こやまの喉は嗄れ気味になっていたが、そんなことは全く問題にならないほど闘志を剥き出しにしたライブに圧倒されてしまった。こやま、しばた、もりもとの個性の強いメンバー3人の持ち味をフルに発揮した上で、百戦錬磨のライブ・バンドであるGOOD4NOTHINGに真正面から勝負を挑むヤバTの渾身のステージングに驚きを禁じ得なかった。何よりバンドとしてかっこ良くありたい。そんな彼らのピュアなエモーションが炸裂した灼熱のファイナル公演となった。
12月19日には待望の3rd FULL ALBUM『Tank-top Festival in JAPAN』がリリースされることも発表。ますますかっこ良さに磨きをかけるヤバTの次なる一手がとても楽しみだ。
【取材・文:荒金良介】
【撮影:KEIJU】
リリース情報
Tank-top Festival in JAPAN
2018年12月19日
ユニバーサルミュージック
・KOKYAKU満足度1位
・かわE
ほか全13曲収録
セットリスト
ヤバイTシャツ屋さん “とってもうれしいたけ” TOUR 2018
2018.11.15@神奈川・川崎 CLUB CITTA’
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■GOOD4NOTHING
- 01. RIGHT NOW
- 02. J.C.
- 03. IN THIS LIFE
- 04. STOMPING STEP
- 05. In The Mosh Pit
- 06. THIS SONG’S TO MY FRIEND
- 07. It’s My Paradise
- 08. IN MY EYES
- 09. BE FREE
- 10. SIGNAL
- 11. Cause You’re Alive
- 12. FOUND
- 01. ハッピーウェディング前ソング
- 02. Tank-top of the world
- 03. タンクトップくんのキャラソン
- 04. メロコアバンドのアルバムの3曲目ぐらいによく収録されている感じの曲
- 05. DANCE ON TANSU
- 06. 君はクプアス
- 07. Universal Serial Bus
- 08. ざつにどうぶつしょうかい
- 09. スプラッピ スプラッパ
- 10. サークルバンドに光を
- 11. KOKYAKU満足度1位
- 12. 喜志駅周辺なんもない
- 13. とりあえず噛む
- 14. 鬼POP激キャッチー最強ハイパーウルトラミュージック
- 15. 無線LANばり便利
- 16. ヤバみ 【ENCORE】
- EN-1. かわE
- EN-2. Tank-top in your heart
- EN-3. あつまれ!パーティーピーポー
■ヤバイTシャツ屋さん
お知らせ
ヤバイTシャツ屋さん "Tank-top Festival in JAPAN" TOUR 2019
01/27(日) Zepp Sapporo
02/01(金) Zepp Osaka Bayside
02/02(土) Zepp Osaka Bayside
02/10(日) チームスマイル・仙台PIT
02/16(土) Zepp Fukuoka
02/17(日) Zepp Nagoya
02/22(金) Zepp Tokyo
02/23(土) Zepp Tokyo
03/09(土) 高松festhalle
03/10(日) 高知CARAVAN SARY
03/12(火) 岡山YEBISU YA PRO
03/13(水) 米子 AZTiC laughs
03/19(火) MUSIC ZOO KOBE 太陽と虎
03/21(木・祝) BLUE LIVE HIROSHIMA
03/23(土) 鹿児島CAPARVO HALL
03/24(日) 熊本B.9 V1
04/07(日) Club Change WAVE
04/08(月) 福島HIPSHOT JAPAN
04/10(水) HEAVEN’S ROCK Utsunomiya VJ-2
04/11(木) 高崎clubFLEEZ
04/13(土) NAGANO CLUB JUNK BOX
04/15(月) NIIGATA LOTS
04/16(火) 金沢EIGHT HALL
※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。