マカロニえんぴつ、「マカロックツアーvol.6~甘すぎた青春の忘レモン篇~」で新曲披露!
マカロニえんぴつ | 2018.12.14
物事を続けていく際に必要なのは何か? 楽しみ、歓び、約束、プライド、代償、恐怖、罰…挙げれば挙げるほど沢山ある。ただその中でも何か共通して「コレ!」ってものがありそうだ。そうだ、その一つが“信じる”ってことだ。人は自分を信じ、相手を信じ、何かを信じそこに向かい、気づけば成し遂げたり、達成したり完成していたりする。偶然を除けば、その目的の終着点は信じた末のご褒美のように待っていてくれるものばかり。
ことマカロニえんぴつの今ツアーも、信じ、向かい、その先にキチンと“待ち望んでいた光景”が広がっていたように映る。もちろんそれも通過点の一つ。とは言え一つの目標であったことは確かだ。そして、それを得るために自身を信じ、相手を信じ、時に自身を騙し言い含めたりしながら進んできた。そんなご褒美のような光景と、次へと想いを馳せさせる輝かしい希望がこの日のライブからは一貫して見れて取れた。
マカロニえんぴつの全国ツアー「マカロックツアーvol.6 ~甘すぎた青春の忘レモン編~」が、12月7日にファイナルの渋谷eggman公演の大成功を持って幕を閉じた。このツアーは10月3日発売のニューシングル「レモンパイ」を携えて行われたもの。バンド史上最長最大のツアーにして、全国16箇所を各地毎に多彩なアーティストたちと共演した。内13箇所を完売させた同ツアー。そのファイナルは2を迎えての饗宴だった。
先攻は2だった。初期衝動むき出しのエネルギー乱射しまくりなそのステージングは、後のマカロニえんぴつと対称性を魅せる。古舘佑太郎(Vo/Gt)、加藤綾太(Gt)、赤坂真之介(Ba)、yucco(Dr)が現れ、ドラムのシンバル・カウントから「ケプラー」にインすると、ソリッドながらも間には高揚感と至福性と神々しさを間に交えた同曲がフロアめがけて突っ込んできた。続いて披露された「PHYCHOROGIST」は、場内にドライブ感が寄与され、サビの爽快さを有したストレートさが気持ち良い。「土砂降りの雨が降った街」では、サウンドの平熱感と古舘の歌のエモーショナルさの対称性とマッチングが楽しめた。
「今日は駆け抜けていくんで最後までよろしく!」と赤坂。反面、たゆたう感じも心地良かった「NEVERLAND」では、不思議な沈殿感を擁し、加藤のスライドギターが浮遊感を付与していき、フロアに孤独さを満たしていった「LONELINESS BOY」や、激しさとダンサブルさの波状攻撃も魅力的な「ヤケのダンス」、メンバー各位のパフォーマンスもアグレッシブだった「ロボット」や「DEAD HEAT」が連射されていった。
後半は熱量もグングン上昇。激情性全開で突っ走った「Family」や「ニヒリズム」が場内を駆け抜ければ、それらを抜けたラストの「How many people did you say "GoodBye"」では、同曲の解放感や安堵感が、これまでの性急さを乗り越えて得られた分、より安心と牧歌、平和さや大団円感として味わえた。
続いてはマカロニえんぴつ。赤く照らされたステージに田辺由明(Gt)、高野賢也(Ba/Cho)、長谷川大喜(Key/Cho)、サポートドラムの高浦充孝が登場。そして、少し間を置き、はっとり(Vo&Gt)も現れる。
まずはオルガンの音色も特徴的なドライブ感溢れる「眺めがいいね」が会場全体を眺めがいい場所まで誘い、フロアに無数のキラキラとした笑顔を広げていく。続いて、ピアノ音とはっとりの歌い出しからの「girl my friend」でライブは更に走り出す。同曲のラストでは田辺&長谷川のギター&キーボードのユニゾン・フレーズもがっちりと決まり、各人の見どころも作り出されていく。ライブはさらに加速し、サビでの抜けたストレートさが気持ち良かった「keep me keep me」がフロアにその音塊を放つ。
「今日は各地で得てきたエネルギーを全力で最大限ブツける。みんなもその覚悟で挑んできて欲しい」とはっとり。流れで勢いのある曲に突入するかと思いきや、ここで「零色」。ちょっとした切なさが織り混った同曲にヤラれた感が。対して、「two much pain」では彼らのダイナミズムが味わえた。《泣かないで、ぼくの好きなひと/形のないものばかりを追い求め過ぎたかな/いかないで、ぼくの好きなひと/愛してる、今も愛してる》のフレーズには、この日もグッときた。とは言え、この曲の魅力は秘めたエモーショナルさ。その辺りの秘めた感情も含めラストの、《今でもあなただけを愛してる》のフレーズが胸を焦がす。
「ここからはみんなのいい表情が見える」と、はっとり。その表情をもっと輝かすべく「ワンドリンク別」に。彼らのレパートリー中もっとも性急的な同曲では会場とのコーラス&レスポンスも楽しみの一つ。この日も待ってましたとばかりにみな、一緒に声を合わせる。また、「ハートロッカー」では、カウパンクのりの同曲が会場をロデオ状態にしていく。転調でどんどんライブが回転していくのもおもしろい同曲。長谷川による超絶な鍵盤が華麗さを加えていく。反面、ミディアムさを場内に染み渡らせた「MUSIC」では、逆に隙間も楽しませてくれた。
後半ではライブは更にシフトアップを魅せる。三声のハーモニーも活きた「洗濯機と君とラジオ」、また、同日の大本命「レモンパイ」では、悶々とした気持ちとそれを乗り越えて触れられた感を与えてくれ、甘く感じたり酸っぱく感じたりと、聴く毎に感受が変わる同曲が、この日の私には甘く感じた。そして、高野と田辺がフロントまでせり出してのソロプレイも印象的だった「鳴らせ」を経て、ラストに入る前のはっとりからのMCは再び会場とステージを更に近づけ同化させる力を宿していた。
「真剣に何かに向き合うには必ず信じることや信じてもらうことが必要となってくる。そのしんどさや尊さをこの1年で学んだ。何も分からずに走り続ける中、どこに向かっているのか? 誰に届いているのか? 不安に感じることも多々あった。でも、それでも信じて、こうして進んできて良かった。そして今回、16公演中13公演ソールドアウトも実現できた。目の前のみんなの顔を見れば、俺たちは凄いカッコいいバンドをやっていると心から自信を持てる。信じてやり続けて良かった。あなたたちも自信を持って信じ続けて下さい」の言葉の後、誇らしげに鳴り響いたのは、同期のホーンも華やかにして、「俺たちはそんな存在なりたいけど、それはならないゾ!」との宣言のような「OKKAKE」だった。ずっと鳴り続け、誇り続け、流行らなくても名曲を叫び続けていく。ある意味、それは彼らの宣言や決意のようにも響いた。
アンコールは嬉しい知らせからだった。はっとりから2月13日にニューミニアルバム『LiKE』を発売する旨が告げられ、そのタイトルについて、「~みたいな(like)から、付き合っていくうちに気づいたら好き(like)に変わり、そのうち離れられなくなる」、その自分たちの理想の音楽性やバンド像のダブルミーニングから成ることも併せて教示してくれた。
また、春には10箇所にも及ぶ全国ワンマンツアーを敢行。ファイナルでは彼ら史上最大キャパの恵比寿リキッドルームで行われることも発表され、その告知毎に場内は歓喜に湧いた。
肝心のアンコールでは、その新作から1曲が本邦初披露された。「ブルーベリーナイツ」なるミディアム曲でややウェッティに進みながらも、サビでの抜けた開放感やちょっとしたキャッチーさも印象的な曲で、新しさもあるが、どことなく彼らしさも同居した感がある。そして、最後は会場を青空の下に誘うように「ミスターブルースカイ」が。6/8のロッカバラードが各人の頭の中にパーっと青空を広げていく。今日はことさら青々しく感じたのは、これまで以上に逞しく映った、今の彼らから放たれていたからに違いない。《いつか届け》と歌い放っていたはずの同曲が、今やしっかり各人の胸に届き、各々の心中に青空が広がっていくのを見た。
これまで2桁のライブツアーを行ったことの無かった彼らが乗り越え成し遂げた今回のツアー。その各地での動員や待っていた顔、そしてその人たちと一緒に作り上げた光景は、更に彼らに自信を与え、モチベーションになったことだろう。そして改めて思ったはずだ。信じて良かった。続けきて良かったと――。目標だって、ゴールだって、目的地だって、完成形だって、それらは全て、いつかそこに立ち、得ている自分を描き、それを信じることから始まる。そんなことも改めて教えてもらったような貴重な一夜でもあった。
【撮影:小川愛晃】
【取材・文:池田スカオ和宏】
リリース情報
LiKE
2019年02月13日
TALTO、murffin discs
2.トリコになれ
3.ブルーベリー・ナイツ
4.働く女
5.STAY with ME
セットリスト
「マカロックツアーvol.6~甘すぎた青春の忘レモン篇~」
2018.12.7@shibuya eggman
- 1.眺めがいいね
- 2.girl my friend
- 3.keep me keep me
- 4.零色
- 5.two much pain
- 6.ワンドリンク別
- 7.ハートロッカー
- 8.MUSIC
- 9.洗濯機と君とラジオ
- 10.レモンパイ
- 11.鳴らせ
- 12.OKKAKE 【ENCORE】
- En-1.ブルーベリーナイツ
- En-2.ミスターブルースカイ
お知らせ
マカロックツアーvol.7
~ライクからラヴへ、恋の直球ド真ん中ストライク初全国ワンマン篇~
03/30(土)広島BACK BEAT
03/31(日)福岡 Queblick
04/05(金)金沢 vanvanV4
04/06(土)新潟 GOLDEN PIGS BLACK
04/12(金)札幌 COLONY
04/14(日)仙台 enn2nd
04/20(土)名古屋 APOLLO BASE
04/21(日)大阪 MUSIC club JANUS
04/23(火)高松 TOONICE
05/12(日)東京 LIQUIDROOM
※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。