PUSHIM、20周年に向けたアニバーサリーイヤーのスタート!
PUSHIM | 2019.01.17
PUSHIMが年末恒例のプレミアム公演を始めてから、今年で6回目を迎えた。PUSHIMのライブは常にアクティブで、観客と共に歌い踊り、老若男女を巻き込む開放的でフリーダムなもの。着席食事スタイルの会場はどうだろう?と思ったのは単なる杞憂で、これを見ないと1年が終われない風物詩としてすっかり定着した。いいことがあっても悪いことがあっても、終わり良ければすべて良し。12月27日のBillboard Live東京、『YEAR END PREMIUM LIVE 2018』の幕が開く。
階段を下りて客席の間を抜け、笑顔で手を振りながらステージに上がるPUSHIMとバンドのメンバーたち。オープニングは柔らかくゆるやかに、エレクトリック・ピアノの優しい音色に乗せた「In My Village」からスタート。9月のイベント『GROOVE VILLAGE 2018』でも歌われていた、リズムなしでも歌の力だけで観客を一気に引き込む、スローだがパワフルな新曲だ。
「トーキョー! 楽しんで参りましょう」
間髪入れずに、ご機嫌なスカのリズムが鳴り響く。これを聴いて体が動かない人はいないだろう、「Love This Music」はライブ序盤で勢いをつけるのにうってつけの1曲。続けて「Light Up Your Fire」は、ゆったりテンポのハートウォームなレゲエ・チューン。指先に触れるFeeling、行く手を照らす地上の太陽--。歌いながらテーブル席の観客の指先にタッチしてゆく、親密なパフォーマンスがうれしい。ステージ上からの呼びかけに、観客全員が大きな手振りで応える。着席だって歌えるし手を振れる。ライブハウスの熱さに大人の余裕を加えた、Billboard Live東京ならではの一体感ある盛り上がりだ。
「Rising Sun」はダークで力強いレゲエのリズムの上で、ギター・ソロやベース・ソロなど、優れたミュージシャンの個性をたっぷりと。レゲエのダンスにはエロティックなものが多いが、PUSHIMのダンスはそれだけでなく、エクササイズのようしなやかで健康的なムーヴが美しくかっこいい。体のキレも歌の伸びもばっちりだ。
「楽しんでますか? 飲んでますか? 今夜は自由にやりましょう」
紹介されたバンド・メンバーは、HOME GROWNからTANCO(B)とYUKKY(Dr)、そしてNODATIN(G)、Mi3(Key)、CHINO(Back Vo)というお馴染みの面々に加え、PUSHIMがその才能を高く評価するシンガーソングライターZIN(TOKYO CRITTERS/Soulflex)が今年のゲストアーティスト&バック・ボーカルで参加。ZINの透明感あるソウル・ボイスをフィーチャーした相聞歌「MATTAKU」は、PUSHIMとのデュエットで恋人ムードたっぷり、一つ一つのアクションに歓声が飛ぶ。歌い終わってZINの頬にキスをしたPUSHIMが、「堂々とパワハラやってます」と笑わせる。とてもいいムードだ。
恋する女の浮き沈みの激しい心理をリアルに語るMCのあとは、とびきりピュアな恋の歌「ねむれない夜」へ。ピアノ、ウッドベース、アコースティック・ギターの美しいアンサンブルはもちろん、PUSHIMの歌が圧倒的に素晴らしい。その歌はレゲエやブラック・ミュージックの枠を超え、もはやエイジアン・ソウルとでも呼びたい親しみと深みを持つオリジナルなものだ。
「2018年は災害、天災、いろんなことがありました。宇宙規模で、いろんな変化が起きています。だからこそ、毎日一生懸命生きていきましょう。年の瀬にこんなにたくさんの人が来てくれて、私はそれだけで幸せです」
ライブはそろそろ中盤。白いボルサリーノを伊達にかぶり、沢田研二のカバー「勝手にしやがれ」で一気にスパート。強力なレゲエ・ロック・チューン「The Freedom Rock」でぐんぐん加速し、「立って踊ってええねんで!」と観客を煽り、アップテンポの「JAMAICA JAMAICA」を畳みかける。NODATINがステージ最前線に飛び出してソロを弾きまくり、CHINOがパワフルな美声を響かせる。負けじとPUSHIMもステージ狭しと踊り歌い、中間部に「People In The Shadow」のフレーズを加えながら大熱演。会場内のボルテージは最高潮だ。
2019年は、メジャー・デビュー20周年。「3月13日に新しいアルバムをリリースします!」という発表に観客が沸いた。タイトルは『immature』=「未熟者」を意味するタイトルをあえて掲げ、20年目の再スタートへと向かうPUSHIMの決意は、彼女を愛し続けてきたファンに大きな勇気を与えるだろう。1999年のデビュー・ミニ・アルバムに収録されていた「For Your Song」と、2002年のヒット・チューン「Forever」を、まるで新曲のように丁寧に歌い上げるPUSHIM。その歌はいつどこで聴いても、初めて聴いた時の新鮮な感動を思い起こさせてくれる。
アンコール。レゲエ、ソウル、R&Bなどを深く消化した壮大なバラード「a song dedicated」は、PUSHIMからあなたへの最高の愛の歌だ。「君に」「君に」「君に」と、一人一人を指さしながらメッセージを送る、心あたたまるパフォーマンスもばっちり決まった。そしてラストを飾る「Messenger」は、あなたを含む世界のすべてを包み込むメッセージ・チューン。言えよ、未来はbeautiful--。PUSHIMの歌はすべてがラブソングで、励ましで、生きることを肯定する。「Happy Chrismas」のメロディを引用したエンディングに乗せ、「良いお年を!」と叫ぶPUSHIM。いつだってその豊かな歌声と笑顔が、我々を元気づけてくれる。
「I pray」を高らかに歌いながら、手を振りながら、階段をのぼり客席の間を抜けてゆくPUSHIMとバンドのメンバーに贈られる、スタンディング・オベーションと大歓声。今年もありがとう、来年また会いましょう。2019年もPUSHIMは素晴らしい歌を聴かせてくれる、そう確信する素晴らしいライブだった。
【撮影:@_24young _】
【取材・文:宮本英夫】
リリース情報
TO THE NEXT
2018年02月14日
徳間ジャパンコミュニケーションズ
2. Dreamin’ / PUSHIM×韻シスト
3. Rising Sun / PUSHIM
4. とまらない / 韻シスト
5. SPACE&TIME / 韻シストBAND
6. TO THE NEXT (DJ Mitsu the Beats REMIX) / PUSHIM×韻シスト
リリース情報
immature
2019年03月13日
徳間ジャパンコミュニケーションズ
セットリスト
YEAR END PREMIUM LIVE 2018
2018.12.27@Billboard Live東京
- 01.Intro
- 02.In My Village
- 03.Love This Music
- 04.Rising Sun
- 05.MATTAKU
- 06.ねむれない夜
- 07.勝手にしやがれ
- 08.The Freedom Rock
- 09.JAMAICA JAMAICA
- 10.For Your Song
- 11.Forever
- EN-1.a song dedicated
- EN-2.Messenger