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MOSHIMO、恵比寿リキッドルームで新たな未来を示した大忘年会

MOSHIMO | 2019.01.17

 予想はしていた。しかし、この日のMOSHIMOの「ロックバンド然とした姿勢」と「多くの悶々鬱々とした気持ちを一手に引き受け、かわりに打ち負かす代弁者的な自覚」の確立と覚醒は、それを遥かに凌駕していた。

 振り返ると、昨年末の渋谷クアトロ・ワンマンで自身のパブリックイメージに対しての交戦スタイルを始め、今夏ワンマンでもサウンドの変化、岩淵紗貴(Vo&G)の佇まいもロックバンドのフロントウーマン然とし、その後もビジュアルの一新や最新曲「電光石火ジェラシー」での放射性など。その予兆や伏線は確かにあった。

 MOSHIMOが年末恒例の忘年会ライブを恵比寿LIQUIDROOMで行った。『「BARI BARI ROCK」~大忘年会 嫌なこと全部ぶっ飛ばす!!編~』と冠された今年は、生きていくうちに起こったり、降りかかったり、湧いてくる不可抗力な悩みや不安を一時期かもしれないが消すかのように行われたもの。開演前のステージにはツーバスのドラムキットとその背後には巨大な「ロックバンドMOSHIMO」を象徴する新ロゴのバックドロップがメンバーの登場を待ち構えていた。

 SEと共に一瀬貴之(G)、宮原颯(B)、本多響平(Dr)がまずはステージに現れ、間を置き岩淵も登場。ドラムの前で円陣を組み、デモンストレーション音の中、「今日はイヤなことをブッ飛ばすライブだから最後までよろしく!」と岩淵。口調もロック姉御然としている。まずは骨太でガツンとしたバンドが放つインスト曲の上、岩淵が会場をラップ然とした歌い方で煽る。同時にフラッシュやストロボ、レーザーやムービングライトが飛び交い、このクラスの会場ではあまり見られない規模の豪華なロックショーばりのライティングとのシンクロを魅せる。明らかにこれまでとは違った様相だ。会場中が持ち寄って来たヤなことツラいことを全て背負い、ブッ飛ばし、霧消する気満々で歌いアジる岩淵。一瀬のギターリフのザクザク具合も凄みを増し、時折交える本多のツーバスの連打が地響きを起こす。極めつけは岩淵によるスクリーム&シャウト。

 「よっしゃ行くゾ! お前ら!!」と岩淵。続いて会場を恋ならず音と歌で支配すべく「猫かぶる」へ。リリックにある心と体が一つになるまでを実感する。

 この日は彼らのワンマンへの初参加者も多かった。見回すと以前とは客層も変わり、若者やライブキッズが中心となっている。そんな者たちに向け、「今日はしっかり刻み込んで行けよ! こちらも刻み込んでやるからよ! 行くぞ、大忘年会! 2019年に向けイヤなこと全部ブッ飛ばしていこうゼ!」と岩淵が豪気に叫ぶ。続いての「96メモリー」ではソリッドでタイトながら、あえて一瞬艶めかしさを交え、「吾輩は虎である」では、好きな人の前では素直になれない気持ちや一途な恋心の為、気づけば傷だらけな歌たちが放たれていく。

 中盤では前身バンドの曲が続けて歌われ、ちょっとしたクールダウンを場内に促していく。一瀬のギターフレーズから入った、岩淵が人生で初めて作った曲「強がり虫」もその一つ。オリジナルは若干ファンタジーだったが、今回は力強く秘めた部分を強調。宮原もコーラスを加え楽曲にふくよかさを寄与していく。また、ピンスポのなかギター爪弾きサビからゆっくりと広げていった「寝グセ」では一瀬のギターソロもどこかしら光景的。長めに取られたアウトロが会場の各人に各々愛しい人を想い浮かばせる。

 中盤のMCでは各人のクリスマスの過ごし方が振り返られた。一瀬はインスタライブを実施し、本多は代々木公園のイルミネーションを一人で観に行き、岩淵は女性3人でワイン5本を空け、気づいたら家でお風呂に入っていたエピソード等が微笑ましく語られた。

 後半に入ると再びライブは盛り上がりゾーンに。まずは岩淵のフリースタイル中に宮原がセンターに移動。彼が一部ベース&ボーカルを取った「FUWA-FUWA」では、サビの2人のユニゾンを経て、2番はハンドマイクにて岩淵も続け、男女各々の胸の内を交差し激突させると、ダウンチューニングした一瀬のギターフレーズの上、岩淵がポエムを朗読。宮原を架空の彼氏に想定し、彼へと愛しさが募るが故の念の込もった心の手紙を綴った後、「新曲をお前に送るぞボケ! 耳の穴かっぽっじてよく聴けよ!!」(岩淵)と、疾走8ビートな未発表曲「釣った魚にエサやれ」が。エサさをくれ的な怨念も込もったリリックや歌唱も特徴的。間には寸劇も交え、大漁節やソーラン節が組み込まれた土着さもユニークな楽曲だ。そして、岩淵がステップに乗りハンドマイクで会場を煽り、続いて抱きしめるように歌った「圧倒的少女漫画ストーリー」では、会場中に恋をする常習性や慣習性を想い起させてくれた。

 ラストスパートに向け発表されたばかりの新曲「電光石火ジェラシー」がここで放たれ、ライブはさらに激化の様相を魅せる。一緒に楽しめるフリも交えられ、楽しさとパーティ感、ご機嫌感の中、やや恨み節が混じる同曲と共に場内は大盛り上がり。岩淵が客席にCO2ガスを噴射し、さらに会場のボルテージは上がる。

 本編ラストは、「1000%全力でお前らにブツかっていくから、お前らこれからもよろしくな!」(岩淵)の言葉のあと「触らぬキミに祟りなし」が。「カッコ良くなくたって、泥臭くたっていいじゃねえか!しっかり生きていこうぜ!!」と岩淵がシャウト。一瀬も最高のギターソロをかまし、“明日からも頑張ろう”との活力が場内に寄与されていく様を見た。

 アンコール。まずは来年の目標を「2019年は3日に1回ぐらいはライブがしたい。2019年も全力でブツかってこいよな!」と岩淵が語り、会場から高い期待値交じりの呼応が返る。まずは、本当は愛して欲しかったり大好きなのに、それとは裏腹に素直に伝えられない数々の歌を放つMOSHIMOの真骨頂的な代表曲「大嫌いなラブソング」が、そして最後は「今年は『私って最高!』と言えるように生きていく」との誓いを込めて、「命短し恋せよ乙女」が力強く、恒例の大人気コール&レスポンスを交え、みんなの恋を全力で応援してくれた。

 「また会おうぜ! MOSHIMOでした!」の言葉と共に今年最後の単独ライブの幕を下ろした彼ら。その後、スクリーンが下り、そこにこの春~初夏にかけての全国ワンマンツアーの発表とそのファイナルが7月19日にマイナビBLITZ赤坂にて行われる映像アナウンスが映し出され、会場が驚喜の声を挙げた。

 この日、MOSHIMOは改めて、「これから自分たちはこのような方向性で行く。頼ってついて来い!」そんな、信じ、集ってきた者をグイっと惹き寄せ、背中におぶり、一心同体のていでこれから突き進んでいく高らかな誓いを宣言してくれた。

 ロックバンド然に変貌した各曲たちと共に集った多くの者が持っていた「闇」までも引き受け、打ち負かしてもらい、なんだか妙にスカっとした開放感と、何でも出来そうなワンダーな意気を我々に与えてくれた、この日のMOSHIMO。終演後、入場時よりも明らかに気持ちが軽くスッキリとした心持ちになっていたのは、きっと私だけではなかったにちがいない。会場を後にする同じような清々しそうな無数のオーディエンスたちの表情がそれを物語っていた。

【取材・文:池田スカオ和宏】

tag一覧 ライブ 女性ボーカル MOSHIMO

リリース情報

TODOME

TODOME

2019年03月13日

LASTRUM

01.電光石火ジェラシー
02.ヤダヤダ
03.釣った魚にエサやれ
04.Yankee
05.いいじゃん
06.美女と野獣の逆はないよね
07.浮気をするならバレずにやれよ

セットリスト

「BARI BARI ROCK」~大忘年会 嫌なこと全部ぶっ飛ばす!! 編~
2018.12.26@恵比寿LIQUIDROOM

  1. 00.Inst
  2. 01.猫かぶる
  3. 02.支配するのは君と恋の味
  4. 03.96メモリー
  5. 04.吾輩は虎である
  6. 05.強がり虫
  7. 06.寝グセ
  8. 07.FUWA-FUWA
  9. 08.釣った魚にエサやれ
  10. 09.圧倒的少女漫画ストーリー
  11. 10.電光石火ジェラシー
  12. 11.触らぬキミに祟りなし
【ENCORE】
  1. EN-1.大嫌いなラブソング
  2. EN-2.命短し恋せよ乙女

お知らせ

■ライブ情報

MOSHIMO 2019初夏ワンマンツアー「猫かぶるのヤメマシタ」
5/25(土) 北海道 COLONY
6/2(日) 福岡県 DRUM LOGOS
6/8(土) 宮城県 仙台MACANA
6/15(土) 愛知県 ell.FITS ALL
6/16(日) 大阪府 梅田Shangri-La
6/29(土) 新潟県 GOLDEN PIGS BLACK STAGE
7/19(金) 東京都 マイナビBLITZ赤坂

MOSHIMO presents MOSHIFES.2019
3/9(土) 福岡 BARKUP FUKUOKA(MOSHIMO主催ロックフェス)
w KEYTALK / フレンズ / ユアネス / 緑黄色社会 / 超能力戦士ドリアン(O.A)



日本工学院ミュージックカレッジ presents #l4l(エル フォー エル)
1/24(木) 東京 SHIBUYA TSUTAYA O-EAST
w 緑黄色社会

RAD CREATION&RAD ENTERTAINMENT presents でらロックフェスティバル2019
2/3(日) 名古屋 DIAMOND HALL
※MOSHIMOはDIAMOND HALLで18:00-18:30の出演

LONGMAN TOUR2019 ”WALKING IS DEAD”
2/10(日) 仙台 spaceZero
w LONGMAN

DRAMATIC ALASKA TOUR 2019
2/18(月) 梅田Shangri-La
w ドラマチックアラスカ / Bentham

DRAMATIC ALASKA TOUR 2019
2/19(火) 高松 DIME
w ドラマチックアラスカ / Bentham / POT

夢チカLIVE VOL.136
2/23(土) 札幌KRAPS HALL
w ウソツキ / Freaky Styley / LEGO BIG MORL / 浪漫革命

HIROSHIMA MUSIC STADIUM-ハルバン’19-
3/24(日) 広島市内のライブハウス

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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