THE BACK HORN 20th Anniversary「ALL TIME BESTワンマンツアー」~KYO-MEI祭り~
THE BACK HORN | 2019.02.15
この日はTHE BACK HORNの3度目となる日本武道館ワンマン。結成20周年を祝うこのツアーの締めくくりとあって、現場には温かい空気が満ちていた。会場には全国から集まったファンが詰めかけている。オーディエンスが開演を今か今かと待ち構えていると、突然の暗転。会場がどよめいた。続いてスクリーンにはこれまでのアートワークが映し出され、期待の高まる演出。これに続いてメンバーの山田将司(vo)、菅波栄純(gt)、岡峰光舟(ba)、松田晋二(dr)が登場した。ここから結成20周年ツアー最後の祭が始まる。
ギターの一音目で大歓声。記念すべきこの夜は「その先へ」で幕を開けた。骨太なリフの上、乾いた声で歌い始める山田がクール。曲とシンクロする照明にも胸をつかまれる。二曲目の「ブラックホールバースデイ」では観客から手拍子があがった。スカのリズムで始まったメジャーデビュー曲「サニー」は真っ赤なライトがサビに華を添えていた。
MCは松田がマイクをとる。「ツアーファイナル日本武道館、ようこそお越しくださいました!20周年の記念ツアーということで全国を駆けめぐって参りました。20年やってこれた感謝、まだまだやってくぞという想いを共有していくツアーです。締めに相応しい武道館の夜をみんなと一緒に作っていきたいと思います!」
話し終わった松田が早いカウントを出し「罠」で演奏再開。荒々しさを感じさせながらも安定感がある演奏。満席となったフロアも演奏をサポートするような手拍子や歓声で、松田のMCの通り「みんなで作り上げる」ものだった。岡峰のベースの光るフレットも目を引いていた。静と動のコントラストが印象的だった「ひとり言」では、ステージ中央のドラム前でメンバーが体を揺らしながらパフォーマンス。
「悪人」「雷電」の様な色っぽい曲も並べ、映像の同期も交えてステージを展開していった。菅波のギターも存在感を示す。「コワレモノ」では山田のラップも。ファンキーなグルーヴでフロアが揺れる。また各自のソロリレーのあと、菅波の扇動による「神様だらけの/スナック」というコールアンドレスポンスもあった。観客は大盛り上がり。
ここで再度MC。松田が重ねてツアーの感謝を届けた。岡峰と菅波は「三回も武道館でワンマンできるバンドなんだね」としみじみ。10年前の武道館公演のMCで柔道の話をした岡峰は「(10年前)そんな話をしたら、またオリンピック来るもんね。すごいよね」と感慨深げな表情だった。山田も「本当にありがたいよね」と20周年、三回目の武道館に立った気持ちを滲ませていた。
セットリストは折り返し地点に。「初めての呼吸で」はシンプルな演奏のなかで歌が際立つ。ギターのかき鳴らすソロがエモーショナル。レゲエのビートを持つ「ヘッドフォンチルドレン」は山田が鍵盤ハーモニカを披露。牧歌的なサウンドのなかに力強さを感じた。最後まで音を抱きしめる様な「美しい名前」のエンディング、「未来」の振り絞るボーカルにもぐっとくる。
「胸が一杯です。20年続けてきて、人生の半分以上をTHE BACK HORNと歩んで。THE BACK HORNから、みんなからも色々なことを教えてもらって。人としてちゃんと生きていこうという力をもらっている気がします。みんなを見ると、一曲一曲が届いているという顔をしてくれている。ありがとうございます。20周年をみんなに祝ってもらうだけでなく、俺たち自身も祝いながら、みんなが生きてきたことを祝福するようなライブをしていきたいと思っています。これからもよろしく!」
山田のこのMCで、本編はエンディングまで一気に駆け抜ける。「Running Away」。八分音符のスピードでステージから炎が上がった。オーディエンスは手を挙げてリズムに乗る。瑞々しいギターのアルペジオが鳴ってから始まった「グローリア」。山田がステージ左右を駆ける。本編最後の曲は「刃」。岡峰がステージ中央、山田が上手、菅波が下手に分かれてパフォーマンスしていく。合唱する観客の声が武道館に響いた。
そしてアンコールがおき、もう一度THE BACK HORNがステージに戻ってくる。松田がもう一度口を開いた。「結成した時はその時の10代、20代の気持ちを曲にしていました。それから10年、20年経って色々なことが変わって前向きになれたり、バンドと音楽に救われてみんなと成長してこれたと思います。これからもみんなの心を満たす、そんな音楽を目指していきたいと思います。今日は本当にありがとうございました」。大きな拍手が送られて延長戦が始まる。
まずは「冬のミルク」。オーディエンスは、だんだんとこのライブが終わってしまう寂しさも感じていたことだろう。そして、最新曲である「ハナレバナレ」。マイナーな曲調で疾走していく。締めくくりは「無限の荒野」。キャノンも発射され、盛大な祭の終わりとなった。こうして彼らの20周年ツアーファイナルは終わりを迎えた。
【取材・文:小池直也】
【撮影:RUI HASHIMOTO(SOUND SHOOTER)】

リリース情報

ALL INDIES THE BACK HORN
2018年10月17日
ビクターエンタテインメント
01. ピンクソーダ
02. カラス
03. 冬のミルク
04. 魚雷
05. 雨乞い
06. 怪しき雲ゆき
07. 晩秋
08. 何処へ行く
09. 風船
10. ザクロ
11. 桜雪
Disc-2
01. サーカス
02. 走る丘
03. 新世界
04. リムジンドライブ
05. 無限の荒野
06. 甦る陽
07. 茜空
08. ひとり言
09. さらば、あの日
10. 泣いている人
このアルバムを購入

セットリスト
THE BACK HORN
20th Anniversary「ALL TIME BESTワンマンツアー」〜KYO-MEI祭り〜
2019.2.8@日本武道館
- 01. その先へ
- 02. ブラックホールバースデイ
- 03. サニー
- 04. 罠
- 05. ジョーカー
- 06. ひとり言
- 07. 悪人
- 08. 雷電
- 09. コワレモノ
- 10. 初めての呼吸で
- 11. ヘッドフォンチルドレン
- 12. 美しい名前
- 13. 未来
- 14. Running Away
- 15. グローリア
- 16. シンフォニア
- 17. コバルトブルー
- 18. 刃 【ENCORE】
- EN-1. 冬のミルク
- EN-2. ハナレバナレ

お知らせ
マニアックヘブンVol.12
08/12(月・祝) 新木場STUDIO COAST
※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。
