SiM 15th ANNIVERSARY CLASSiCKS TOUR東京公演Zepp DiverCity
SiM | 2019.02.20
この日「Blah Blah Blah」の際、MAH(Vo)は「俺は昨日もゲロゲロになるくらい歌った!」と告げ、さらに気迫のこもった「oh na na na~♪」で観客の心を芯から焚き付けていく。
もうライブで何度も聴いているはずなのに、別の曲に聴こえてしまうほど、凄まじい爆発力を放っていた。今日はとんでもないライブになりそうだなという確信。
というより、今回のツアー自体がSiMにとって重要な意味を持つのではないか。そんな考えが頭を過るくらい、新鮮な衝撃と発見の連続であった。
バンド結成15周年を記念して行われたワンマンツアー「SiM 15th ANNIVERSARY CLASSiCKS TOUR」東京公演のZepp DiverCity2デイズ最終日。
19時13分、ライブは昨年11月に配信された「Red Bull Crashed Ice Yokohama 2018」テーマソング「DiAMOND」で幕を開け、ラウドとキャッチーの両面を見事に同居させた曲調でファンのハートをいきなり鷲掴み。
また、この曲に限らずだが、今回はレーザー光線とLED映像によるショウ・アップを図った演出も効果的で、楽曲の世界観により一層のめり込むことができた。
それから「PANDORA」、「BRAiN」、「March of the Robots」、前述した「Blah Blah Blah」と3rdアルバム『PANDORA』収録曲を立て続けにプレイした後、MAHが今回のツアーについておもむろに口を開く。
要約すると、マネージャーが周年を間違えて、今年はまだ14周年という衝撃の事実が明かされる。確かにバイオを確認すると、Silence iz Mineを04年に結成、SiMに改名したのは05年なので、そこからカウントすれば今年で14年目なのだ。
とはいえ、現メンバー4人に固まって今年で10周年という節目を迎える。「聴き慣れない曲もあるだろうけど、SiMのかっこ良さは変わらない」とMAHは付け加えていたが、まさにその言葉を次のセクションで思い知るはめになる。
ここから10年に発表した1stミニ・アルバム『LIVING IN PAiN』収録曲が続く。静謐な「in the rain」を経て、「Turn Around」をやり終えると、「こういうスチャスチャした曲にブレイクダウンを入れて、SiMはイカれてると言われてた。
今からやるのも初期の曲、今もやってる日本人はいない」と語ると、1stアルバム『Silence iz Mine』から「Here I am」を披露。ラップやラガマフィン調のヴォーカルを交え、カテゴリー不要のレゲエサイケ・ロック(?)をかます。
赤、緑、黄のラスタカラーの照明も映え、SiMのルーツにあるディープな音色に心底酔いしれた。
そして、GODRi(Dr)がドラムソロで場内を盛り上げた後、このメンバー4人で初めて作った500円タワレコ限定シングル『ANTHEM』に伴うツアーでSHOW-HATE(G)が脳梗塞で倒れたことに触れ、
「立ち上がることが大事」という言葉を文字通りに体現したと言うと、同シングルから漏れなく全3曲をプレイ。 「Vitamin」では、月と海などがスクリーンに映される中、MAHがまっすぐに歌い上げるメロディが心に突き刺さる。
個人的にはDEFTONESに通じる深淵なエモーションに惹かれた。その後の「wishing」、「ANTHEM」もレゲエ・テイストを取り込んだ緩急溢れる曲調で観客を血祭りに上げる。
「昔の自分たちのCDを久しぶりに聴いたら、こんな音を入れてたんだって。1stアルバム(『Silence iz Mine』)から聴いて、SiMってほんとにかっこいいし、こんなヘンなバンドはいない」とMAHが言うと、今年中にはニュー・アルバムを出したいと述べ、ファンを喜ばせていた。
それから悩んだ時期に作った大事な曲と前置きして「Rum」へ。エフェクトをかけたヴォーカルと繊細なギターフレーズが相まって、聴き手を奥深い世界に誘う。
次はヘヴィなベースがうねり上げる「Upside Down」に入ると、スクリーンには日本語訳が流れ、「人々が俺の叫びと共に拳を掲げる日が来ることを」の歌詞パートでまさにフロアは拳を掲げた観客でビッシリと埋め尽くされていた。
その光景を眼前にして、鳥肌が立ったのは言うまでもない。何があろうとも、自分たちが信じた道を歩み続ける。それを身をもって体現しているSiMの勇姿に、多くのファンが魅了され続けているのだろう。
本編を「KiLLiNG ME」で締め、アンコールで再びメンバー4人が登場。
すると、今年の抱負を一人ずつ語るくだりとなり、「お前らを笑顔にすることだぜ!」(SHOW-HATE)、「お前らを楽しませることだぜ!」(SIN)、「お前らを悲しませないように頑張るぜ!」(GODRi)と続くと、
「今年の夏は違うことをやる。楽しみにしておいて」(MAH)と意味深なコメントを放ち、ここで新日本プロレスリング主催のイベント『WRESTLE KINGDOM 13 in 東京ドーム』テーマソングとして書き下ろした「LiON’S DEN」を披露。
これがラップと重低音を用いた00年前後のミクスチャー・ロックを彷彿させる作風で、繰り返す「wei oh~♪」のコーラス・パートも抜群にキャッチー。
観客を巻き込んで大合唱を起こし、最新のSiMの楽曲にも度肝を抜かれた。
ラストは「Get Up,Get Up」、「f.a.i.t.h」と怒濤の2連打で鮮やかなフィニッシュを決めて終了。
普段聴けない過去曲をたくさん盛り込むことで、アーティストとしての揺ぎない"信念"が浮き彫りになった今回のショウ。時代を超越したSiMの先進的な楽曲センスと、そこに込められた熱き魂に僕は惚れ直した。
【取材・文:荒金良介】
【撮影:スズキコウヘイ】
リリース情報
LiON’S DEN
2018年12月13日
EMI Records
セットリスト
SiM 15th ANNIVERSARY CLASSiCKS TOUR
2019.2.2@Zepp DiverCity
- 01. DiAMOND
- 02. PANDORA
- 03. BRAiN
- 04. March of the Robots
- 05. Blah Blah Blah
- 06. JACK.B
- 07. In the rain
- 08. Turn Around
- 09. Here I am
- 10. Vitamin
- 11. wishing
- 12. ANTHEM
- 13. GUNSHOTS
- 14. IKAROS
- 15. On and on
- 16. Rum
- 17. Upside Down
- 18. KiLLiNG ME 【ENCORE】
- EN-1. LiON’S DEN
- EN-2. Get Up, Get Up
- EN-3. f.a.i.t.h
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※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。