THE ORAL CIGARETTES、ツアーファイナルの集大成となる横アリ公演をレポート!
THE ORAL CIGARETTES | 2019.03.20
3月17日、THE ORAL CIGARETTESの『Kisses and Kill Tour 2018-2019 Arena series ~Directly In a wide place~』のファイナル公演が神奈川・横浜アリーナで開催された。昨今、多くのアーティストがこの会場を目標に掲げるが、この日のチケットは瞬く間にオール・ソールドアウト! 上昇気流にある彼らの勢いを象徴するようなファイナルとなった。さらには最新シングル「ワガママで誤魔化さないで」のリリース直後という絶好のタイミングでもあり、いやが上にも期待は高まる。
ちなみに、このアリーナツアーは、昨年6月にリリースしたアルバム『Kisses and Kills』を掲げた全国ツアーの進化形。ライブハウスを大盛況でブチ上げてきた彼らが、この広い空間の会場で、どんな景色を見せてくれるのだろうか。
開演時間となり、照明が落ちた瞬間、1万2千人から“わぁっ!”と声が上がった。
ここで山中拓也(Vo&Gt)の「1本打って…2本打って…」の声をキッカケに観客が手拍子で応え(これはライブでは恒例)、いよいよ本編がスタート! まずはワイドビジョンに、近未来の都市の映像が映し出される。“人間は両極端なものを持つことで成立する”というメッセージが映し出され、『Kisses and Kills』のコンセプトが浮き彫りに。この流れで、「Kisses編」つまり“愛”をテーマにした前半が展開していった。
メンバーの登場も強力なインパクトを与えた。最初に姿を見せたのはドラムの中西雅哉。しかも、下からドラムセットごとせり上がるという派手な演出に観客は大いに沸く。次に爆音とともに山中拓也、鈴木重伸(Gt)、あきらかにあきら(Ba)が出現。「What You Want」からオーディエンスが一斉にうねり始めた。
「今日1日、ヤバい日にしようぜ!」と、山中が呼びかけ、場内は一気にヒートアップ。派手な照明もステージを盛り上げていたが、豪華な演出に負けず劣らず、各メンバーが大きく見える。鈴木も前半からアタマを振りながらギターを弾きまくり、あきらかにあきらも激しく動きつつ、コーラスやテクニカルなプレイでステージを彩り、中西のパワフルなドラミングは奔放なメンバーの音をしっかりと支えていた。ツアーで鍛え上げられた楽曲達も観客のコーラスを完璧に引き出し、冒頭から出色のノリが生み出されていく。
MCでは天井につるされた人工知能を持つという箱状の物体が“KK CUBE”が紹介された。この“KK CUBE”が山中の問いかけにユニークな回答を返すなど、進行の一端を担っていたのも面白い試みだった。この“KK CUBE”、あきらかにあきらには“女の子の口説き方を教えてください”と無茶ぶり(?)をして、笑いを誘う一面も……。緊張感の中にも緩さを挟んでくるのは彼ららしい。
その後も、広い会場を包み込むバラード「不透明な雪化粧」や、アッパーな超キラー・チューン「起死回生STORY」など、変化に富んだ選曲で進行。前半ラストは山中だけがステージに残り、アコギ1本で「ReI」をしっとり響かせてくれた。東日本大震災を受けて作った特別な曲だが、アリーナ規模の会場でも、堂々とシンプルな歌で魅了した山中の底力は圧巻。ライブとハコのサイズは関係がないが、広い会場でも隅々まで歌を染みこませたこのパフォーマンスには、胸を打つものがあった。
後半は「Kills編」。ダークサイドな部分がフィーチャーされた曲が続々とプレイされていく。「Ladies and Gentlemen」「PSYCHOPATH」など、アグレッシヴな楽曲で再び観客は体を揺らせて熱狂。さらに、最新シングルの「ワガママで誤魔化さないで」は、曲を聴きこんできた観客によって、完全に受け入れられていた。これはオーラルにとって、新たなサウンドアプローチを取り入れた意欲作だが、すっかりライブになじんでいる。“いい音楽を鳴らせばいいお客さんがついてくるはず”――先日、山中がインタビューで答えてくれた言葉が頭をよぎる。そんな彼はMCで、「6ヶ月ツアーをやってきて、今日が一番楽しいです! メッチャ楽しい! どうしよう(笑)」と、嬉しさを素直にさらけ出していた。
喜びを語る一方、「オーラルにしかできないことを探していく」、また「世界に誇れる日本のバンドになりたい」――など、次のステップを見据えている思いも語られた。そこには「もともと弱虫だからロックをやるんです。弱くていいんです! オーラルにしかできないことが何かある」という、負の感情をも飲み込んだ逞しさがにじむ。彼らの音楽が多くの人に支持されるのは、そんな部分があるからなのかもしれない。
後半になると、彼らが昔から設けてきた“キラーチューン祭り”のコーナーも飛び出し、ファンの要求にもしっかり対応。個人的にはもはや、彼らの曲はすべてキラー・チューンだと確信しているが、それでもライブハウスで育ってきた曲達をキラーチューン祭りとしてライブで楽しめるのは格別だ。「CATCH ME」「カンタンナコト」「狂乱 Hey Kids!!」、そしてラストの「BLACK MEMORY」など、ライブハウスと変わらないがむしゃらなパフォーマンスは、一気にアリーナにもライブハウスの空気を呼び戻した。
アンコールは(恒例となっている)中西によるグッズ紹介のコーナーでスタート。相変わらずの空気にホッとさせられる。その後、あきらかにあきら、鈴木、山中も登場して、軽快なトークで笑いを誘ったが、演奏を前に山中が現在の心境を語り始めた。
「東京に出てきた時は奈良に帰りたいと思っていたのが、気がついたら友達ができて、気がついたら東京が魅力的に変わってました」
そして、「あなた達もツレと思って一生大事にする」――と胸アツな発言で場を引き締めた。その流れで披露したのが「ONE’S AGAIN」。MCのあとだけに、歌詞がより味わい深いものに感じられる。《もう一回 1人になったって 帰れる場所がいつもここにあること》という言葉をかみしめたファンも多かったに違いない。
続くラスト曲に選ばれたのは「嫌い」。ライブハウスで昔からずっと演奏してきた曲が、横アリの空間にハマっていく瞬間は、非常に感慨深い。
全編、余すことなく楽しませてもらいながらも、バンドの進化にひたすら圧倒されたライブだった。
もちろん、横浜アリーナはゴールではない。彼らが目指しているのは、まだまだ先のもっと大きい“何か”なのだ。5月には初のアジアツアーが決定し、9月14、15日にはバンドにとって初となる2日間の野外主催イベントが大阪・泉大津フェニックスにて開催される。
この頼もしい決定が、またどんな驚きや感動を与えてくれるのだろうか。今年も彼らの周辺は面白いことになりそうだ。
【撮影:Viola Kam (V’z Twinkle)】
【撮影:鈴木公平 】
【取材・文:海江敦士】
リリース情報
ワガママで誤魔化さないで
2019年03月13日
A-Sketch
02. Color Tokyo
03. Like the Music
04. ワガママで誤魔化さないで(Instrumental)
お知らせ
BKW!! Premium Party ~最初の晩餐~
03/19(火)恵比寿LIQUIDROOM
03/21(木祝)六本木EX THEATER ROPPONGI
LIVE HOLIC extra vol.3
03/29(金)幕張LIVE HOLIC
HEY-SMITH 「Life In The Sun TOUR」
04/13(土)松山WStudioRED
04/14(日)広島CLUB QUATTRO
石川テレビ 開局50周年 POP HILL in KANAZAWA
04/27(土)金沢POP HILL in KANAZAWA
REQUESTAGE 2019
04/29(土)大阪城ホール
VIVA LA ROCK 2019
05/03(金/祝)さいたまスーパーアリーナ
JAPAN JAM 2019
05/05(日)千葉市蘇我スポーツ公園
THE ORAL CIGARETTES KK Tour 2019
05/11(土)上海
05/12(日)北京
05/30(木)台北 THE WALL
※詳細は後日発表
METROPOLITAN ROCK FESTIVAL 2019
05/18(土)METROCK 大阪特設会場
05/26(日)新木場・若洲公園
LOVE MUSIC FESTIVAL 2019
06/02(日)幕張メッセイベントホール
カローラ福岡Presents NUMBER SHOT 2019
07/20(土)海の中道海浜公園
OGA NAMAHAGE ROCK FESTIVAL vol.10
07/26,27,28
男鹿市船川港内特設ステージ(秋田県)
THE ORAL CIGARETTES主催泉大津フェニックス2daysイベント(仮)
09/14(土)泉大津フェニックス
09/15(日)泉大津フェニックス
※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。