SAKANAMON ツアーファイナル マイナビBLITZ赤坂をレポート
SAKANAMON | 2019.04.18
演奏してほしい曲のリクエストを募ってから全国を回った今回のツアー。公演毎に異なっていた結果を反映したことにより、毎回、セットリストが変化していた。そして、ついに迎えたファイナル公演の会場はマイナビBLITZ赤坂。果たしてどのような曲が演奏されるのか? わくわくしながら待っている内に、ついに開演時間となった。
SEが鳴り響いて、藤森元生(Vo・G)、森野光晴(B)、木村浩大(Dr)が登場。勢いよく飛び出してきて観客を煽る姿は、やる気満々の様子であった。そして、「社会のしがらみにもだえ苦しむ人に贈るメッセージソングです!」と藤森が言ってスタートした1曲目「カタハマリズム」。ミニアルバム『泡沫ノンフィクション』(2012年)に収録されていた曲がいきなり飛び出して観客は大喜び。続いて「幼気な少女」(2014年)、「UTAGE」(2016年)、「反照」(2018年)……幅広い時期の曲を一気に披露。このライブが普段とは異なる趣きとなることを予感させた。
「起こしの・みな・さま・みんな・で・たの・しい・4・月7日・今日は・たの・しいと思います」――ところどころ意味不明で、不自然な箇所で途切れる藤森の挨拶で爆笑が起こった後も、多彩なナンバーが次々届けられた。「花色の美少女」「不明確な正解」「空想イマイマシー」……久しぶりに聴く曲もあったので、長年のファンは特に感慨深いものがあったのではないだろうか。メンバーたちにも独特な想いがあったようで、途中のMCでは、リクエスト投票の結果について話し合う場面が度々あった。特に彼らにとって意外だったのは、3位だった「花色の美少女」らしい。「この曲、リアクションがわかりにくいから人気ないと思ってた」(藤森)。「手挙げたりするだけが楽しみ方じゃないと学んだ」(森野)――と言っていた。
コアなファンを大喜びさせたに違いない「爆発ダイヤモンド」「リーマンビートボックス」「邯鄲の夢」を経て、今年の3月に配信リリースされた「アフターイメージ」、TALTOに移籍してからの初音源『cue』に収録されていた「テヲフル」を披露。SAKANAMONがメジャーのVictorからインディーズのTALTOに所属するようになってからも素晴らしい曲を着実にリリースしていることを改めて実感した。メンバーたちは、久しぶりにマイナビBLITZ赤坂のステージに立っていることへの感慨も大きかったようだ。「BLITZでのワンマンは5年ぶり。5年前は悔いの残るライブでした。今日はその頃の曲も入ってるので、個人的にリベンジになっております」と森野が語ると、観客の間から温かい拍手が起こった。
各地で興味深い投票結果が出た中、自身が手掛けた曲の人気の低さに不満そうだった木村。「俺が書いた「HOT AGE」は?」(木村)。「名古屋で1票」(森野)。「名古屋で「HOT AGE」をちょっとやったけど、全然反応がなかった(笑)」(木村)……というやり取りは、和やかな笑いを誘っていた。木村の作った曲といえば「AGEINST」もあるが、この曲には2票入ったらしい。その結果を喜んでいた彼は、「2票分だけやって次の曲へ行こうと思います! 2票分だけ楽しみましょう!」と宣言。「ア!」「ゲ!」という元気いっぱいのコール&レスポンスを2票分だけ交わし合ってから「マジックアワー」へ突入すると、観客は激しく手拍子ながら興奮を露わにした。そして、大合唱を巻き起こした「ミュージックプランクトン」の後に披露されたのは、投票結果が1位だった「君の○○を××したい」。続いて「ロックバンド」も届けられて、会場内に漂っていた熱気は果てしなく上昇していった。
「女子!」「男子!」「彼氏のいない女子!」「童貞の男子!」「これからも応援してくれる人!」と藤森が呼びかけつつ盛り上げた「TOWER」は、エネルギッシュなダンスフロアを生み出していた。そして、この曲を歌い終えた後、想いをじっくりと語った藤森。「本日はありがとうございます。『SAKANAMON THE UPDATE TOUR』は、ちゃんと意味というか、目的がございまして。みなさんの好きな曲を調べるというものでした。そのままです(笑)。“わかってくれてる”っていうのも感じて、非常に参考になりました。10周年が終わって、“来年はどうしようかな?”って思ってたんです。“何したら面白いかな?”って考えたんですね。みなさんのリアクションを参考にした上で、みなさんに媚びるでもなく、ちゃんと自分たちがいいと思うものを届けつつ……みなさんも好きな曲を聴けばいいだけです。みなさんのプレイリストの中の1曲が我々の新曲だったり、これからの活動の際の音楽だったらいいなと思っております。これからもどうぞ応援をよろしくお願いします!」――妙なタイミングで言葉を詰まらせるMCは、笑いを時折誘っていたが、真っ直ぐな気持ちが込められた言葉の1つ1つが観客の心を静かに動かしているのを感じた。
本編を「シグナルマン」で締めくくり、手を振りながらステージから去った3人。しかし、激しい手拍子と、「ア! ゲ!」という声に応えてアンコールが行われた。8月7日にミニアルバム『GUZMANIA』リリース、9月からレコ発ワンマンツアー……告知の後に披露されたのは、2月に配信リリースした「鬼」。和的な鼓や鈴の音が盛り込まれていて、《オニ オニ》と観客も歌いつつ盛り上がるこの曲は、彼らの言葉を借りるならば“問題作”。しかし、不思議な爽やかさを放っていたのが印象的だった。そして、ラストを飾ったのは、最初期の代表曲の1つ「ハロ」。エネルギッシュに互いのサウンドを交わし合っていた3人の表情が、とても活き活きしていた。演奏しながら様々な思い出をよみがえらせていたのではないだろうか。
マスコットキャラクター「サカなもん」の人形を手にして、最前エリア付近の観客とハイタッチ。そして、「サカなもん」に昇龍拳を食らわす……という藤森による恒例のアクションと共にエンディングを迎えた瞬間、ステージを包んだ大きな拍手と歓声。様々な時期の曲をたっぷりと届けてくれたこのライブは、彼らがマイペースながらも、ファンにとってかけがえのない曲をコンスタントに生み続けてきたバンドであることを力強く証明していた。今後のSAKANAMONも、飄々としているようでありながらも実は逞しいその姿を我々に示し続けてくれるに違いない。
【取材・文:田中 大】
【撮影:Daisuke Sakai】
リリース情報
アフターイメージ
2019年03月06日
TALTO
セットリスト
SAKANAMON THE UPDATE TOUR ~BUDDY→Victor→TALTO~
2019.4.7@マイナビ赤坂BLITZ
- 01.カタハマリズム
- 02.幼気な少女
- 03.UTAGE
- 04.反照
- 05.花色の美少女
- 06.不明確な正解
- 07.空想イマイマシー
- 08.爆発ダイヤモンド
- 09.リーマンビートボックス
- 10.邯鄲の夢
- 11.アフターイメージ
- 12.テヲフル
- 13.マジックアワー
- 14.ミュージックプランクトン
- 15.君の○○を××したい
- 16.ロックバンド
- 17.TOWER
- 18.シグナルマン
- 01.鬼
- 02.ハロ
お知らせ
ミニアルバムリリースTOUR 2019 ” SAKANAMON ver.11-12”
9/29(日) 東京 渋谷eggman
10/4(金) 静岡 浜松LIVEHOUSE MESCALIN DRIVE
10/5(土) 兵庫 神戸MUSIC ZOO KOBE 太陽と虎
10/11(金) 香川 高松TOONICE
10/13(日) 福岡 福岡INSA
10/14 (祝月) 広島 広島BACK BEAT
10/25(金) 宮城 仙台enn2nd
10/27(日) 北海道 札幌Crazy Monkey
11/9(土) 愛知 名古屋CLUB UPSET
11/10(日) 大阪 心斎橋Music Club JANUS
11/23(土) 新潟 新潟GOLDEN PIGS BLACK
12/1(日) 東京 渋谷CLUB QUATTRO
め組 自主企画「春の新生活応援フェア ~大人も、子供も、おねーさんも! 進学・就職・引っ越しはめ組におまかせ!~」
4/23(火) 心斎橋Pangea
w/め組
グッバイフジヤマ「地獄からの脱出ツアー」
6/1(土) 心斎橋Pangea
w/グッバイフジヤマ
「tonetoneの太陽サンサンツアーツアー」
6/8(土) 西永福JAM
w/tonetone
※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。