go!go!vanillas 「LIVE! TO \ワー/ RECORDS feat. go!go!vanillas ~新曲大解禁~」
go!go!vanillas | 2019.05.07
go!go!vanillasとタワーレコーズが共同開催する東名阪のツアー「LIVE! TO \ワー/ RECORDS feat. go!go!vanillas ~新曲大解禁~」。そのタイトルにあるとおり、5月15日にリリースされるニューアルバム『THE WORLD』からの新曲も解禁となる、スペシャルなタイミングでのツアーだ。そしてそれ以上に、この時期にツアーを敢行するということ自体が、バニラズというバンドの姿勢を雄弁に物語っている。
知っての通り、昨年12月にベーシストの長谷川プリティ敬祐が事故に遭い、一時は意識が戻らないほどの重傷を負った。幸いプリティは驚異的な回復を見せ、今は復帰に向けてリハビリに励んでいる最中だということでファンとしては一安心だが、驚くべきは、そんな危機的な状況にあってもバンドとしての歩みを止めなかったバニラズというバンドの強さだ。年末のフェス出演では旧知の仲間たちがサポートし、年明け1月にはニューシングル「No.999」をリリース。そしてこのツアーである。彼らは一瞬たりとも立ち止まることなく、ロックンロールを鳴らし続けている。なぜか。何があっても鳴り止まず、逆境こそをパワーに変えて輝くのがロックンロールであると、彼らは信じているからだ。
あえてサポートメンバーを入れず、3人でステージに立つ今回のツアー。初日となったZepp Tokyoの公演は、気合いのみなぎるパフォーマンスとなったのはもちろんのこと、メンバーがひとり不在だからこそ4人の強い絆をも感じさせる感動的なライブとなった。
ステージ向かって右側にギターの柳沢進太郎、左側にドラムのジェットセイヤ、そしてセンターにはもちろんヴォーカル・ギターの牧達弥。見慣れないフォーメーションで音を鳴らし始めたバニラズは、1曲目「Hey My Bro.」からアクセル全開だ。セイヤの叩き出すじゃじゃ馬ビートに牧のブルースハープが絡むこの曲のキモはプリティならではの弾むようなベースライン。今回のライブ、ベースは生音ではなく演奏に同期させたレコーディング音源なのだが、それを感じさせないくらいの塊感で、バニラズのロックンロールは突き進む。2曲目「マジック」で早くもフロアは沸騰状態。とはいえ沸騰しているのはオーディエンスだけではない。バニラズの3人も明らかにいつもよりテンションが高い。MCでは牧が「いつもよりドラムセットが近いから、すごい元気がいいんです。今日は10割増しですよ!」と、確かに近さゆえにある種の危なっかしさすら感じさせるセイヤのことを形容していたが(実際シンバルとかスティックとかばんばか投げるし、この人)、彼に限らず、ぎゅっとタイトで熱いバニラズの姿は、この日のライブ中一貫していた。
「SUMMER BREEZE」など最近の曲から「ヒンキーディンキーパーティークルー」や「エマ」などの定番曲まで、ディスコグラフィを網羅するようなセットリストの中、ひときわ大きな歓声を浴びていたのはこの日が初解禁となるアルバムからの新曲たちだった。それはもちろん、ツアータイトルにもあるから集まったファンもそれを期待してきたわけだし……というのもあるが、それ以上にそれらの楽曲たちが思いっきりフレッシュでエモーショナルな音を吐き出していたからにほかならない。シングルリリース以来ライブで鳴らされることのなかった「No.999」も、シリアスなテーマを逆噴射するようにしてポジティブなメッセージソングへと生まれ変わっていた。こうして新曲たちがエネルギーを爆発させていることが、今のバニラズにみなぎる思いの表れだと思った。そしてその空気は、音源での参加とはいえちゃんとプリティがベースを「弾いていた」からこそだ。確かにステージ上には3人しかいなかったけれど、そのグルーヴはまぎれもなく4人のバニラズそのものだった。
「俺たちはバンドをやる使命があると思ってます」。牧はこの日のライブ中にそんな言葉を口にしていた。また、別のタイミングでは「続けてこないとわからないこともあるし、困難があるから感じられることもある」「人間は予期できない。それがロックや」とも語っていた。いろいろあったけど今が最高、そう言って笑えることはロックンロールの特権のひとつだ。この日のバニラズはそういう意味でロックンロールそのものだったといっていい。
終盤に披露された鉄板曲「カウンターアクション」では進太郎が最初ツアータイトルでフロアと言葉のやり取りをしようとして「間違えた!」と撤回。そして改めてプリティの名前でどでかいコール&レスポンスを成功させた。そしてあえてアンコールなしで終えたライブの最後に牧は、今年の秋にこのツアーのファイナルシリーズを開催することを宣言した。「そのときにはプリティも帰って来させるから、この続きをやろう!」という彼の言葉に、割れんばかりの歓声が巻き起こったことはいうまでもない。バニラズはこれからも突き進む。その行く先がどう考えても眩しく光っていることを、この日会場に集まった全員が確信したに違いない。
【取材・文:小川智宏】
【撮影:ハタサトシ】
リリース情報
THE WORLD
2019年05月15日
ビクターエンタテインメント
02.チェンジユアワールド
03.SUMMER BREEZE
04.No.999
05.サイシンサイコウ
06.雑食
07.スタンドバイミー
08.ワットウィーラブ
09.GO HOME?
10.Do You Wanna
11.NO NO NO
12.Hey My Bro.
セットリスト
LIVE! TO \ワー/ RECORDS feat. go!go!vanillas ~新曲大解禁~
2019.4.14@Zepp Tokyo
- 01.Hey My Bro.
- 02.マジック
- 03.SUMMER BREEZE
- 04.チェンジユアワールド
- 05.ラッキースター
- 06.FUZZ LOVE
- 07.ヒンキーディンキーパーティークルー
- 08.パラノーマルワンダーランド
- 09.ライクアマウンテン
- 10.触れたら
- 11.Do You Wanna
- 12.Ready Steady go!go!
- 13.エマ
- 14.No.999
- 15.ストレンジャー
- 16.カウンタ―アクション
- 17.平成ペイン
- 18.ギフト
お知らせ
THE WORLD TOUR 2019
5/30(木) 大分 DRUM Be-0
6/1(土) 熊本 B.9 V1
6/2(日) 長崎 DRUM Be-7
6/6(木) 浜松 窓枠
6/8(土) 三重 M’AXA
6/9(日) 岐阜 CLUB-G
6/20(木) 周南 RISING HALL
6/22(土) 岡山 CRAZYMAMA KINGDOM
6/23(日) 米子 laughs
6/27(木) 長野 CLUB JUNK BOX
6/29(土) 福井 響のホール
6/30(日) 金沢 EIGHT HALL
7/18(木) 郡山 Hip Shot Japan
7/20(土) 盛岡 CLUB CHANGE WAVE
7/21(日) 秋田 Club SWINDLE
10/11(金) 名古屋 Zepp Nagoya
10/12(土) 大阪 Zepp Osaka Bayside
10/14(月・祝) 福岡 Zepp Fukuoka
10/19(土) BLUE LIVE 広島
10/20(日) 高松 festhalle
10/26(土) 札幌 Zepp Sapporo
11/09(土) 新潟 LOTS
11/10(日) 仙台 PIT
11/15(金) 東京 Zepp Tokyo
11/16(土) 東京 Zepp Tokyo
※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。