前へ

次へ

ファンキー加藤、5周年「会いたかったゼ!ファンキー号CREWー!」

ファンキー加藤 | 2019.05.29

 「熱唱戦隊ゴネンジャー」とはまさしく…と観ている間、何度も同感した。ただし私の場合はそれが「5年=ゴネン」と戦隊ものに引っ掛けた妙(たえ)ではなく、むしろ「熱唱戦隊」の方ではあった。「熱唱」からは、多くの人が同様にイメージする、ファンキー加藤の片足をモニターにかけ、ハンドマイクを両手で渾身に握りしめ、全身全霊をかけて、<歌に込めたり、秘めたりした想い>を力の限り歌ってきた、その歌唱スタイルを想起させ、「戦隊」からは、「けして順風ばかりではなかったこの5年間をファンキー号CREW(=ファンクラブ会員の総称)も含めたファンと共に戦い航海をし続けてきた」、その共闘性を感じたのだ。

 ファンキー加藤がソロデビュー5周年を迎え、それを自身やファンと分かち合うべく新木場STUDIO COASTにてファンクラブ限定イベント『熱唱戦隊ゴネンジャー ~FUNKY KATO 5th ANNIVERSARY~』を行った。ここまでの彼の足跡と縮図が、<これまでありがとう、そしてこれからもよろしく>との気持ちが溢れんばかりに終始伝えられたこの日のライブは、これまでの彼の歴史を振り返ると同時に、都度移り変わってきた想いや伝えたい気持ち、そしてその様々な伝達方法を改めて感受することが出来た。

 この日はある意味お祭り。会場の新木場STUDIO COASTも開場前からそんなムードに満ちていた。巨大なビニール人形や派手な入場ゲート、記念フォトスペースや展示物、また随所にバルーンやノボリ等も立てられ気分を盛り上げてくれる。

 場内に入ると加藤がみんなの為に選曲したBGMが歓迎してくれた。彼が影響を受けたり、所縁があったりと、この選曲からも彼のライブからだけでは伺い知れないバックボーンも垣間見れ、より親近感を沸かせてくれた。

 ステージ前は巨大な幕。そして用意されたランウェイも見える。

 まずは恒例のファンキー応援団体操から。サブステージにファンクラブ「ファンキー号」にちなんで、船員体操服姿の2人のマネージャーによるレクチャーの下、みんなが来たるライブに向け心も身体もほぐしていく。

 この日に向け特別仕様のデパーチャーSEに乗り幕がゆっくりとあく。いきなり飛び交うレーザーやライティング。背後には巨大なイベントロゴのバックドロップが掲げられたステージに、この日アオネンジャーを担当したDJ、キーボードの田中隼人と、この日キネンジャーを担当したコーラス・バカムスコ翔、アカネンジャー役のファンキー加藤がステージへ。加藤が「よく来たね」的なポーズで満場を歓迎する。

 オープニングは「リスタート」。4つ打ちの力強いビートに乗り、「ゴネンジャ~!、飛べー!」との加藤の開始の合図と共に会場全体がバウンスする。≪どんな空白だって あっという間に埋めるから≫歌が力強くフロアをグイっとステージへと引き寄せていく。続いてランウェイをゆっくり歩みながら歌った「FLY」では、昨日までの自分を飛び越えて自己を更新していこうと、彼のこの5年の信念を想い返させ、疾走感溢れる「春雄の唄」では、自身のこれまでや生き方を全力で肯定してくれ、かつファンキー加藤主演映画『サブイボマスク』の主人公・春雄の姿も感じさせた。

 「会いたかったゼ!ファンキー号CREWー!」と加藤。改めて誇らしく「ファンキー加藤だ~!」と力強くこぶしを天に突き上げる。「この5周年、みんながここまで連れてきてくれました。平成ではお世話になりましたが、令和ではなお一層よろしくお願いします」と挨拶。

 「令和一発目のライブだぞ! みんな踊り狂え!!」と「花」へ。疾走感のあるバンドサウンドと共に、同曲が哀しみを経るからこそ自分の咲させた花が最も美しいと思えることを信じさせてくれる。「終わらない未来」では、これから先も共に夢や希望を捨てず、信じ、頑張っていこうぜと、令和という時代も共に歩み、走ろうと呼びかける。対して「つながるから」では、ここ5年、時折現してくれたメロウさが再び味わえた。同曲には、きっといつかは繋がり、この想いもきっと誰かに通じることを期待させてくれるものがあった。

 「ホールでやることが多かったんで、今日は久しぶりのスタンディング。やっぱり密着感が半端ない」と、全身汗だくのなか語る。

 ここでインカムを装着。この日はライブ以外にアトラクションも用意されていた。加藤、田中、翔が場内も交え、赤チーム・青チーム・黄チームに分かれ3本勝負。肺活量。集中力玉入れ。障害物競争等で競う中、栄冠は見事、青チームの田中の手中に収まった。

 中盤ブロックからは加藤のこの5年の歴史が年代を遡るように次々と放たれていった。「希望のWooh」での“Wooh oh”の叫びはもちろん会場中が渾身の力を込めて大熱唱され、加藤のブルースハープも飛び出した「冷めた牛丼をほおばって」では、何回も立ち上がってやるとの当時の決意が蘇えってきた。また、オレンジの暖色に包まれたステージの上、レゲエの心地よいリズムに乗せて、あの頃の気持ちで走れと、当時の情熱を呼び覚ましてくれた「走れ 走れ」、「今もあなたはこの歌で笑ってくれますか? 今日はファンキー号のクルーにこの歌を捧げます」との言葉と共に贈られた「ブラザー」では、会場中が自身のヒーローを目の前の加藤にダブらせていく。

 後半に向けても代表曲たちの連射は続いた。目の前の道を信じて進んでいくんだと歌い伝えた「中途半端なスター」に会場中も心でうなずけば、パーティー感のあるEDMに乗り、ランウェイで歌った「MUSIC MAGIC」ではスモークも噴射。会場もビートに合わせて激しくバウンスを起こしていく。

  「無我夢中で走ってきた5年でした。ファンキー加藤というミュージシャンを5年間も生かしてくれてありがとう。出会いよりも別れの方が多かったこの5年だった気もするんだけど、これからも20年30年と歌い続けなくちゃいけないと感じています。これ以上さよならの言葉が出ないようにこれからはみんなを笑顔だけにしていきたいと思っています。今日はファンキー号CREWに救われてここまでこれたことを実感しました。これからもまっすぐに歌を届けていくのでおつき合い下さい!」と、この5年が決して順風満帆ではなく、色々な出来事や心の機微を経て今日を迎えられたことを吐露する。と同時に、ここからは更にみんなと上向きで進んでいこうとの力強い同盟が交わされる瞬間を見た。 。

 ラストスパートは更に、一緒に行くぞ! とグイッと腕をつかみ引っ張ってくれる楽曲が次々に現れた。田中の鍵盤生演奏から入ったミディアムナンバー「太陽」が、この腕をずっと離さないと誓ってくれ、「全てはこの歌からはじりました。まっすぐ受け止めて欲しい」と本編ラストはデビュー曲「My VOICE」が。この初心よ改めて届け!!とばかりに、会場全員の胸めがけて全力で歌われ、その際にステージに返る無数のコブシたちはとても力強かった。

 アンコールでは、ミドネンジャーやピンクネンジャーも加わり熱唱戦隊ゴネンジャーがここで勢ぞろい。ちょっとした寸劇の後、キャノン銀テープが放射され舞う中、5人でパラパラを踊りながら「急性ラブコール中毒Solo ver.」が歌われた。

 ここで加藤から重大発表が。来たる8月31日に同じくこのSTUDIO COASTにて、加藤主催の自分たちのスタイルと近しいアーティストたちを集め『OUR MIC FES』を行うことが告げられ、満場は大歓声に包まれた。

 そしてラストは「令和という時代も一緒に元気でいきましょう!」との思いを込め、楽しく軽快に、「まわせ!」が会場中にタオル大旋回の壮観を作り出していった。「10年20年と、みんなが応援し続けたいアーティストでいたい。ファンキー加藤は令和も走り続けていきます! ファンキー号CREWの皆さんこれからも背中を押してください!!」とのCREWとの改めてよろしくの力強いアライアンスを交わし、加藤は深々と感謝のこもったお辞儀を残しステージから去った。

 CREWたちと共に時にはサバイブも経て、この5年に渡る航海を乗り切り、今へと至った加藤。と同時に、この日のライブは、折々で伝え方や伝える内容は変われど、常に変わってなかったものも確認することが出来た。それこそが常に自分に言い聞かせるような歌を歌い続けてきたということ。そして、多くの人がそこに自身の想いや願い、希望の類を重ね、力強く前に進む糧にするかのように、まるで自分の為に歌われている歌として歌ってきた事実だ。

 ソロになってすぐに彼が私に語ってくれた、「いつか自分の歌が自分を離れ、その人の歌になってくれたら…」という思い。無我夢中で走ってきたこの5年の到達点は、その時に語ってくれた希望に、いつの間にか行き着いていたことに改めて気づかさせてくれるものがあった。ファンキー加藤は、これからも自分に向けて歌を歌っていく。それがいつか聴いてくれるあなたの歌に変わることを信じて。

【撮影:堂園博之】
【取材・文:池田スカオ和宏】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル ファンキー加藤

リリース情報

希望のWooh

希望のWooh

2018年09月26日

ドリーミュージック

1.希望のWooh
2.40
3.ラフソング

セットリスト

熱唱戦隊ゴネンジャー
~FUNKY KATO 5th ANNIVERSARY~
2019.5.3@新木場STUDIO COAST

  1. 01.リスタート
  2. 02.FLY
  3. 03.春雄の唄
  4. 04.花
  5. 05.終わらない未来
  6. 06.つながるから
  7. 07.希望のWooh
  8. 08.冷めた牛丼をほおばって
  9. 09.走れ 走れ
  10. 10.ブラザー
  11. 11.中途半端なスター
  12. 12.MUSIC MASIC
  13. 13.太陽
  14. 14.輝け
  15. 15.My VOICE
【ENCORE】
  1. En-1.急性ラブコール中毒 Solo ver.
  2. En-2.まわせ!

お知らせ

■ライブ情報

OUR MIC FES
8/31(土) 新木場 STUDIO COAST
【第1弾発表アーティスト】
ファンキー加藤
ET-KING/SEAMO/シクラメン/Jam9/バカムスコ翔/ぱんち☆ゆたかTHE BEAT GARDEN/ベリーグッドマン/メロフロート  and more!(五十音順・敬称略)
http://funkykato.com/ourmic_fes/ 
http://m.funkykato.com/r/ourmic_fes/
※開場時間など詳細後日解禁



8フェス
7/27(土)・28(日) 鈴鹿サーキット「BASE8耐」特設ステージ

MUSIC TRIBE 2019
8/10(土)・11(日) コンベックス岡山
※ファンキー加藤の出演は8/10(土)公演のみとなります。

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

トップに戻る