眉村ちあき 3rdワンマンライブ「眉村ちあき 3rd ワンマンライブ~東京湾へダイビング!~」
眉村ちあき | 2019.06.10
開演前、ステージを覆っている幕に映し出されたのは、TVショッピングの番組であった。眉村ちあきと、マユムラー(眉村ちあきファンの呼称)にはお馴染みの人物「谷さん」が、テンポ良く会話を繰り広げながら、オリジナルグッズを紹介。そして、映像が終了した後、「あと5分で始まりますので、いい子で待てますか? それじゃあ、また後で!」という影アナが流れると、フロアを埋め尽くしているマユムラーの間から熱い歓声が上がった。
会場内が暗転して、流れ始めたオープニングムービー。恐竜に襲われている東京に現れたのは、様々な衣装の眉村ちあきが集結している正義のスーパー戦隊だった。かっこいい映像を目の当たりしてマユムラーが沸き立った直後、ステージを覆っている幕の表面に浮かび上がった眉村と恐竜のシルエット。そして、幕が切って落とされてスタートした1曲目「東京留守番電話ップ」。巨大な恐竜の背中に座りながら歌っている彼女の姿が実に楽しそう。2曲目「ブラボー」は、上手側に移動した恐竜に睨まれながら届けられ、その後に続いた「メソ・ポタ・ミア」は、何本もの真っ赤な火の玉がダイナミックに上がる中で披露。彼女のライブは、いつも何が起こるかわからないが、今回のライブはいつにも増してスケールが大きなものとなることを予感させられた。
「怖い!この人、恐竜だわ!私は今からこの恐竜と戦わないといけないの。みんな、力を貸してくれますか?人間は音楽で1つになったら最強なのです。しかし、ここいるのはじじいとばばあばっかりです。この前、大阪でワンマンをしたでしょ?そのタイトルは、『眉村出産』。誰も産んでないとでも思ってるの?それじゃあ、仲間を紹介します!」と彼女が言って、ステージに現れた6人のキッズダンサー。彼らと一緒に踊りながら届けられた「Queeeeeeeeeen」では、先程からステージに居座っている恐竜とのバトルが展開した。眉村とキッズダンサーが《左手だけで踊る人 チッチッチチチ…(右手)》というフレーズに合わせて一斉に力強く右手を突き出すと、怯んでジリジリと後退を始めた恐竜。素晴らしい戦いぶりに興奮したマユムラーは、大きな拍手と歓声を送った。
眉村とキッズダンサーの全力のパフォーマンスをマユムラーの明るい大合唱が讃えた「ほめられてる!」。ワイヤーで吊られた眉村が、空中遊泳をした「ナックルセンス」。ビニールボートに乗ってマユムラーの頭上を移動しながらフロア後方のサブステージに辿り着くと、皆にスクワットをさせながら熱唱した「スクワットブンブン」。再びビニールボートに乗り込んで、歌いながらメインステージへと戻っていった「MCマユムラ」……ここまでは怒涛の展開の連続だったが、「コカコ○ラのスリッパ壊れた」によって、一気に瑞々しいムードに包まれた会場内。続いて届けられた「おじさん」は、ピンスポットを浴びながらのアコースティックギターの弾き語り。スリリングなパフォーマンスも彼女の大きな魅力だが、シンガーとしての正統派の実力の持ち主であることを改めて強く実感させられた。
黄緑色の衣装に着替えてステージに現れた眉村。「ピッコロ虫」をアカペラで歌い始めたのだが……《衣装かわいい?ポケモンみたい?》と歌うなど、ユーモラスな替え歌となっていたのでマユムラーは大爆笑。「ピッコロ虫を食べる~」「虫を食べたらピッコロリン~」といった奇妙なフレーズを交わし合うコール&レスポンス、アコースティックギターを弾きながら即興で歌った場面を経て、正式な歌詞で届けられた後半にも、粋なヒネリが加えられていた。《明日朝起きたら 眉村ちあきのまんまでいい》という歌詞のアレンジに気づいた人は、胸に深く迫るものを感じたのではないだろうか。
激しく踊りながら届けられた「荻窪選手権」。この曲の途中で起こった出来事は、一瞬、現実のこととは思えなかった。いきなり袖から現れた海パン姿の男性は、眉村がリスペクトを表明していて、共演したこともあるスギムことクリトリック・リス。「なんで彼がここに!?」と思っていたら、宙吊りされて、ますますびっくり! あのシュールな衝撃を何と表現すべきか?《月が出た出た 月が出た ヨイヨイ》というフレーズに差し掛り、トレードマークの見事なスキンヘッドが、まるで満月のように美しく光り輝いた瞬間、彼がここに呼ばれた意味がよくわかった。そして、その直後の「I was born in Australia.」でも彼は大活躍。《ぐずってるおじさん・・・》という眉村のソウルフルな歌声に反応して、引き続き宙吊りされながら身体を悩ましくクネらせた姿が、とても眩しかった。そのすぐ隣では、お腹を空かせた様子の恐竜が口をパクパク……こんなにぶっ飛んだ形でクリトリック・リスと眉村の共演が実現するとは!
2人のおばあちゃんの変装をしたダンサーと共に踊った「おばあちゃんがサイドスロー」を皮切りに突入した終盤戦。カラフルなレーザービームや火の玉の演出で彩られた「スーパーウーマンになったんだからな!」「開国だ」「ツクツクボウシ」「奇跡・神の子・天才犬!」は、眉村が大きい会場も似合う存在となったことを堂々と示していた。そして、「最後の曲はみんなの目を見て歌うから」と言って、サブステージの360°を囲んでいるマユムラーを見回した彼女。「こんな広いところに辿り着けたんだけど、それでも私は離れたくないの。ほんとは一緒に住みたいって思ってるくらいだから。それくらい好きって思ってるのにさあ、想いと反して、こちとら売れたいじゃん?それでも心は離れたくないよね? だから“心繋がっていような!”って意味をこめてこの曲を届けます」という言葉を添えた「代々木公園」が本編を締め括った。彼女は時々、公式LINEを通じて呼びかけて、ハンカチ落としなどをしながらマユムラーと遊んでいる。そんな平和な日々への想いがこめられているこの曲は、とても温かく会場全体を包んでいた。
本編が終了した後、スクリーンに流れた映像で今後の活動予定がアナウンスされた。9/20(金)BIGCATワンマンライブ『BIG LOVE』。10/21(月)リキッドルームワンマン『過剰なダブルピース』。6/22(土)代々木公園で遊ぶ。6/23(日)バスジャックin渋谷。7/21(月)22:30~CS 日テレプラスにて特番放送。6/25(火)仮免許取得予定……そして、アンコールを求める声に応えてステージに再登場した眉村は、「書き下ろし主題歌」を披露。続いて新曲「緑のハイヒール」も届けられたが、口笛の音色を交えた牧歌的なテイストのサウンドが、新境地を示していた。
「どうだった?わりといい?“めちゃくちゃいいよ!”って言われた(笑)。これでメジャーで大丈夫そう?」と、新曲の感想を訊いた後、アコースティックギターを弾きながら歌った「大丈夫」。続いて、サブステージで披露された「本気のラブソング」は、巨大なミラーボールがフロアの頭上でゆっくりと回転。たくさんの光の粒子が煌めきながら広がる様が美しかった。そして、ラストを飾ったのは「ビバ☆青春☆カメ☆トマト」。途中でステージから降りた眉村は、歌いながらフロアの後方を移動。《ビバ☆青春☆カメ☆トマト》と大合唱するマユムラーの声が果てしなく陽気に高まっていく様が、とても感動的だった。
ビニールボートに乗って《We are the champions, my friends》と歌いながらメインステージへと帰還。手を振りながら眉村がステージを後にすると、クイーンの「We Are the Champions」が鳴り響いたのだが、すぐに音がストップ。するとスクリーンにバックステージの模様が映し出された。スタジオコーストの敷地内にあるプールを東京湾に見立てて彼女が勢いよく飛び込むと、マユムラーは激しい歓声を上げながら拍手。このライブのサブタイトル『東京湾へダイビング!』が、ウィットに富んだ形で実現された。
終演後、眉村は会場の出口に現れて、ハイタッチでマユムラーを見送った。ライブ中のMCでも語っていた通り、彼女のマユムラーへの愛情はとても深い。メジャーデビュー以降、たくさんの人々からの注目を集めるようになっているが、今後もその姿は変わらないはずだ。そして、確かな歌唱力、センス抜群のソングライティング、身体能力の高さに裏打ちされたパフォーマンス、柔軟な発想を武器としながら、さらに快進撃を重ねていくに違いない。「眉村ちあき」という名前が気になりだしている人は、早速、彼女について調べた方がいい。とても楽しいマユムラーとしての生活が、そこから始まることになるだろう。
【取材・文:田中 大】
【撮影:I.ITO・KOHARU】
リリース情報
めじゃめじゃもんじゃ
2019年05月07日
TOY’S FACTORY
2.ピッコロ虫
3.奇跡・神の子・天才犬!
4.開国だ
5.Queeeeeeeeeen
6.なんだっけ?
7.ヘチマで体洗ってる
8.書き下ろし主題歌
9.おじさん
10.代々木公園
11.ゲロ
12.Teeth of Peace
13.荻窪選手権
14.ブラボー
15.本気のラブソング
16.大丈夫
セットリスト
眉村ちあき 3rd ワンマンライブ
~東京湾へダイビング!~
2019.6.4@新木場STUDIO COAST
- 01.東京留守番電話ップ
- 02.ブラボー
- 03.メソ・ポタ・ミア
- 04.Queeeeeeeeeen
- 05.ほめられてる!
- 06.ナックルセンス
- 07.スクワットブンブン(新曲)
- 08.MC マユムラ
- 09.コカコ○ラのスリッパ壊れた
- 10.おじさん
- 11.ピッコロ虫
- 12.荻窪選手権
- 13.I was born in Australia.
- 14.おばあちゃんがサイドスロー(新曲)
- 15.スーパーウーマンになったんだからな!
- 16.開国だ
- 17.ツクツクボウシ
- 18.奇跡・神の子・天才犬!
- 19.代々木公園
- 01.書き下ろし主題歌
- 02.緑のハイヒール(新曲)
- 03.大丈夫
- 04.本気のラブソング
- 05.ビバ☆青春☆カメ☆トマト
お知らせ
YATSUI FESTIVAL!2019
6/16(日) 渋谷
VS GAY - 2MAN GAY LIVE -
6/25(火) 新宿LOFT
出演:二丁目の魁カミングアウト / 眉村ちあき
Wienners presents BATTLE AND UNITY TOUR 2019
6/27(木) 仙台enn2nd
Wienners presents BATTLE AND UNITY TOUR 2019
6/29(土) 札幌COLONY
松永天馬対眉村ちあき!仲裁、吉田豪。
7/5(金) TSUTAYA O-nest
眉村ちあきとDJ後藤まりこ!!!!!
7/9(火) 下北沢SHELTER
出演:眉村ちあき / DJ後藤まりこ
川後さんといっしょ vol.2
~ゲスト:眉村ちあきさん~
7/15(月・祝) 中野区野方区民ホール
【出演】川後陽菜、吉田豪
【ゲスト】眉村ちあき
BIGCAT 20th Anniversary ZEROICHI LIVE!!-vol.7-
~supported by FM OH!~
7/19(金) 大阪BIGCAT
出演:嘘とカメレオン / Gacharic Spin / チャラン・ポ・ランタン / 眉村ちあき
BAYCAMP KOBE2019
7/20(土) 神戸Harbor Studio
タニタニピピリウス ~小籠包食べ放題(嘘編)~
7/25(木) 京都・紫明会館
出演:眉村ちあき / 谷さん
挫・人間 presents 城下町ワイワイワールドvol.2
7/26(金) 滋賀B-FLAT
※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。