充実のネクストフェーズへ――鮮やかな未来を描くチェコの最新ツアーの模様をお届け。
Czecho No Republic | 2019.06.21
Czecho No Republicの全国ツアー「ツアーオデッセイ~未知との遭遇2019~」東京公演(2019/6/11 渋谷CLUB QUATTRO)。新作EP「Odyssey」を軸にしたこのツアーでメンバーの武井優心(Vo/Ba)、タカハシマイ(Gt/Syn/Vo)、砂川一黄(Gt)、山崎正太郎(Dr)は、“4人体制のCzecho No Republic”の魅力を(音楽性、サウンドメイク、パフォーマンスのすべてにおいて)ダイレクトに見せつけながら、圧倒的なポジティブ感に溢れたステージを繰り広げた。
宇宙空間をイメージさせる装飾が施されたステージに登場したメンバーは、全員が宇宙服をモチーフにした衣装。「渋谷星発、ワンダーランド行のCzecho No Republic号、あと1分で発射します」というタカハシマイのアナウンス、そして、EP「Odyssey」の収録曲「Everything」からライブはスタート。“近未来のディスコサウンド”と称すべきグルーヴによって、観客は気持ちよさそうに体を揺らす。「渋谷星の皆さん!僕たちとみんなで、まだ誰も見たことはないワンダーランドに一緒に行こう!」(武井)という言葉にリードされた「テレパシー」でフロアと会場の距離をグッと縮め、10年代インディーギターポップ直系の「MUSIC」ではハンドクラップが発生。バンドとオーディエンスの一体感が気持ちいい。
“Czecho No Republic号で様々な星を経由して、ワンダーランドを目指す”というコンセプトで構成された今回のツアー。最初の目的地は“子供の心を持った人しか入ることができないチャイルド惑星”ということで、まずは「ネバーランド」を披露。「さらに笑って輪になって僕ら踊ろうよ」と祝祭的なフレーズが響いた「Festival」、「Wake Up!」ではサビのフレーズに合わせて“Hey!”の大合唱が生まれ、心地よい高揚感につながっていく。4人体制になって以降、確実に解放感を増しているチェコ。そのオープンマインドな姿勢は、このツアーによってさらに明確になっているようだ。
「子供の時に思い描いていたもの、今のあなたが思い描いているもの。夢を叶え、舞い上がっていこう」というタカハシの言葉に導かれたのは、新作EPのタイトル曲「オデッセイ」。80年代のネオアコを想起させるバンドサウンド、タカハシの柔らかいボーカル、“夢に向かってゆっくり進んでいこう”という前向きな意志をたたえた歌詞がひとつになったこの曲は、今のCzecho No Republicのモードを端的に示していたと思う。
武井、タカハシのデュエット感が印象的な穏やかなポップチューン「Baby Baby Baby Baby」のあと、Czecho No Republic号は“ミラーボール惑星”へ。「この惑星の住人は音楽を愛し、リズムを愛し、踊ることをこの上なく愛しています。自由にこの惑星を楽しんでもらえたらと思います」(武井)というMCとともに放たれたのは、エレクトロ・テイストを取り入れたダンスチューン「エンドルフィン」。ミラーボールの光が舞うなか、武井はハンドマイクで歌い、観客と積極的にコミュニケーションを取る。「Electric Girl」ではタカハシがいったんステージを去り、なんと宇宙人(“ミラーボール星の住人”だそうです)のマスクを被って登場。奇天烈なダンスを披露し、会場を沸かせた。
MCでも楽しい“仕掛け”が。“宇宙人が置いていった銀色の箱”をチェックしてみると、中には手紙が。「こんばんは宇宙人です。あなたたたちに差し入れがあります。砂川・母の手こねハンバーグ。おいしいよ」(砂川)ということで、なぜか砂川の母親が手作りしたハンバーグをメンバー全員で試食。「劇団チェコ座」公演(2019/1/19 東京・shibuya eggmanにて行われたワンマンライブ「男性メンバー持ち込み企画!俺たちだって演技はできる!劇団チェコ座一日限定公演!」)に続く芝居交じりの演出が楽しい。
「この宇宙船、荒れ狂う流星群の中に突入します!」(山崎)、「今日いちばんの盛り上がりを見せれば、ワンダーランドはもう目の前です!」(武井)というセリフを合図にライブは後半へ。「Amazing Parade」「No Way」などのライブアンセムが次々と放たれ、フロアのテンションはさらにアップ。“Czecho No Republic号の宇宙の旅”という設定によってお馴染みの楽曲を新鮮に響かせる構成も素晴らしいが、ライブの軸になっているのはやはり4人の演奏と歌。バンドのアンサンブルはさらにタイトになり、原曲の良さがしっかりと増幅されていたのだ。特に印象的だったのは、武井のベース。グルーヴ力のあるオクターブ奏法やメロディアスなフレーズを駆使した彼のプレイはまちがいなく、現在のCzecho No Republicのポイントだと思う。
ラストはEP「Odyssey」の収録曲「STAR」。「この旅が終わっても、みんなの旅は続いていくと思います。その旅がキラキラに溢れ、ワクワクに溢れ、ハッピーに溢れ、ドキドキに溢れ、いろんな出会いと刺激と経験に溢れている最高な旅になることをクルー一堂、心から祈っています」(武井)という言葉とともに披露されたこの曲は、カントリーミュージックのテイストを交えたミディアムチューン。“何が起きるかわからないけど、希望を持って前に進んでいきたい”という思いに満ち溢れた歌がゆったりと広がり、ライブ本編は終了した。
アンコールではまず、「未知との遭遇ということで、新曲をやろうと思います」(武井)と未発表曲を初披露。“インディーポップの進化型”と言いたくなるようなこのサマーチューンは、今後のチェコの方向性を鮮やかに示していた。
「Czecho No Republic、実は来年で10周年を迎えます。もともと特にテーマもなく、正太郎と始めたバンドなんですけど、いろんな人を巻き込んで、助けられ、ここまでやってくることができました。自分たちの音楽を貫いて、自分たちがワクワクするほうに進んできて、こうして今日、皆さんと会うことができて。それだけで俺の中では100点です。来年に向けて、誰ひとり欠けることなく、素晴らしい景色を作れたらいいなと思います」という武井の真摯な言葉も強く心に残った。
この日、いちばん大きなシンガロングが巻き起こった「ダイナソー」を放ち、ここでライブは終了……と思いきや、鳴りやまない拍手とコールに導かれ、メンバーは再びステージに。2度目のアンコールで演奏されたのは「Oh Yeah!!!!!!!」。武井は客席に降り、観客とハイタッチを交わしながらフロアを一周。笑顔と興奮が広がるなか、ライブはエンディングを迎えた。
ライブ全体を貫くコンセプト、演出とステージング、そして、4人が生み出す音楽の質の高さを含め、今回のツアーは明らかに過去最高。結成10周年を目前にしたCzecho No Republicはここから、さらなる充実期に突入するはず。そのことを確信できたことが、このツアーの最大の収穫だったと思う。
【取材・文:森 朋之】
【撮影:山川哲矢】
リリース情報
Odyssey
2019年04月03日
murffin discs records
2.Everything
3.Wake Up!
4.オデッセイ
セットリスト
ツアーオデッセイ~未知との遭遇2019~
2019.6.11@渋谷CLUB QUATTRO
- 01.Everything
- 02.テレパシー
- 03.MUSIC
- 04.ネバーランド
- 05.Festival
- 06.Wake Up!
- 07.オデッセイ
- 08.Baby Baby Baby Baby
- 09.エンドルフィン
- 10.Clap Your Hands
- 11.Electric Girl
- 12.Amazing Parade
- 13.No Way
- 14.Firework
- 15.好奇心
- 16.STAR
- 01.新曲
- 02.ダイナソー
- 01.Oh Yeah!!!!!!!
お知らせ
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06/22(土) 名古屋 APOLLO BASE
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06/29(土) 北京 MAO Live House
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07/09(火) 青森Quarter
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07/18(木) 仙台LIVE HOUSE enn 3rd
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07/30(火) 仙台 darwin&CLUB JUNK BOX
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08/04(日) 舞洲スポーツアイランド 太陽の広場 "ジャイガ" 特設会場
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※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。