「Ca Va?」に始まり「Ca Va?」で幕を閉じた一夜限りの「Voom Voom Room」
ビッケブランカ | 2019.06.27
登場する直前も、登場のシーンも、1曲目が始まった瞬間も、そして最後の最後までずっと、音楽による多幸感に包まれていたビッケブランカのONE MAN SHOW「Voom Voom Room」。一夜限りのスペシャル感で最高のおもてなしをしつつも、ステージとフロアを隔てるような垣根は一切なし。ホストもゲストも一丸となって音を楽しんだ全17曲、至福の2時間だった。
オープニングSEが流れるなか、ビッケブランカのライブではすっかりおなじみとなったバンドメンバー――若山雅弘(Dr)、大澤DD拓海(Ba)、井手上誠(Gt)、にしのえみ(Key)が登場。続いて白いロングジャケットの裾をなびかせながらビッケブランカが現れ、大歓声を浴びながら、ステージ後方からの照明を背にポジションについた。1曲目「Ca Va?」のイントロとともに本公演のタイトルがデザインされた幕が勢いよく下ろされ、ショウがスタート。SpotifyのテレビCMでもおなじみのこの曲は、この日がライブ初披露になるのだが、まさにこの瞬間のために生まれてきたといっても過言ではないくらいのハマりっぷりだ。溜めに溜めて歌い上げるフランス語の歌唱部分でこれでもかと惹きつけ、「C-C-C-C-Cmon Ca Va?」の応酬で双方のテンションをぶち上げると、トップスピードのまま「ファビュラス」へと突入。2000人の興奮が渦巻くダンスフロアの景色はとにかく圧巻だった。「A-HA!」のコール&レスポンスもバシッと決まった「Want You Back」を歌い終えると、ステージのセンターに黒い布で覆われた楽器が登場。DDと井手上による<動かない!><重くて持てない!>的パントマイムからの、それを軽々と持ち上げるビッケ。その手には、本邦初公開となるホワイトファルコン! のちのMCで「このホワイトファルコンは最高峰のギタリストが好んで弾く伝説のギターであり、世界一美しいと言われるギター」と紹介していたが、実は「大した歴史も知らず、店に入ってほぼ10分で買った」という驚愕のエピソードを披露(笑)。そんなビッケのギターが登場したということで、ビッケ、にしの、井手上によるトリプルギターが目にも楽しい「Buntline Special」、そして疾走感全開の「Black Rover」へと続き、前半戦を駆け抜けた。
MCでは、今日のこのライブをとても楽しみにしていたことや、シングル「Ca Va?」のリリースが決まった頃にはすでにこのライブをやると決めていたこと、今のこの目の前の景色をとても幸せに思っていることなどを伝え、「最後までシンプルに楽しんでほしい」とビッケ。フロアからの拍手をそのまま「アシカダンス」のクラップへと導き、「Bad Boy Love」ではストーリー性の高い歌詞を持つこの曲のヒロイン役を兼ねて、バイオリンの岡部磨知が登場。美しい音色で楽曲を彩るとともに、ビッケとのコミカルなやりとりで会場を沸かせていた。
ミディアムテンポの「夏の夢」、「ソロー*ソロー」が心地よい中盤の流れを作ったあとに披露されたのは、テレビアニメ『フルーツバスケット』のエンディング曲として書き下ろされた「Lucky Ending」。ここではイントロのピアノを2度も間違えるという珍しい事態が発生したのだが、「元々好きな作品であり、僕の身に起こった出来事と作品の世界観が奇跡的に合致。書かされたというか、書くべき曲だった」というトークを間違えるたびにテイクを重ねるように繰り返しながら、逆にこれは演出なのか!?と思わされるほど見事な展開でクリア。結果的には笑いも感動をも巻き起こすという印象深い1曲となっていた。
次のMCのコーナーでは、先ほど登場した第1バイオリンの岡部ともうひとり、第2バイオリンの天野恵が登場。この「Voom Voom Room」のために参加してくれたということで、「自分の曲はバイオリンを使うことも多いので、表現の幅や自由度がより増えた」と感謝を伝えていた。新生ビッケブランカ・バンドで届けられたここからは、アニメーション映画『詩季織々』の主題歌として書き下ろされた「WALK」と、テレビドラマ『獣になれない私たち』の挿入歌として多くの人の心を魅了した「まっしろ」をじっくりと。音源とも、これまでのライブ演奏ともまた違う生命力が宿っているようで、楽曲の新たな表情が見出せたような2曲を堪能することができた。
「まっしろ」がこの先の自分のキャリアにとっても大きなものを与えてくれた大切な楽曲であること、季節がいつであれ、心にあるその時の思い出を思い返せるこの4分間が自分にとっても大切だということを真摯な口調で伝えたビッケだったが、温かい拍手を受けながら始めたメンバー紹介で、トップバッターのDDがいきなりのハイテンションで「Ca Va!?」とフロアに呼びかけ大爆笑に。「『まっしろ』の余韻、何してくれてんの……」とステージ上でいつものやり取りが始まり、挙げ句の果てには、それに大歓声で応えたオーディエンスまでとばっちりを受けるハメに(笑)。その後もまるで友達と友達を繋ぐような感覚でオーディエンスにメンバーを紹介し、ハッピーな空気が満ちていくなか、「Are You Ready!?」の声とともにライブはいよいよ後半戦へ。楽しげな弦の音色が存分に活かされた「Winter Beat」からイントロで歓声が上がった「Slave of Love」、そして「ウララ」。どでかいミラーボール以上の輝きを放っている2000人分の笑顔とシンガロングの声が途切れることはなく、ステージとフロアに渦巻く興奮は最高潮に達していた。2本のバイオリンが入るということは、音だけでなく視覚的な動きも増えるということ。楽しさそのものが倍増しているのだから、盛り上がらないわけがない。名残惜しくも迎えた本編ラストの楽曲は「強いわけじゃない 強くありたいだけ 誰だってそうやって生きてゆく」というメッセージが胸に響いた「THUNDERBOLT」。Thank youを繰り返し、「We know we can, yeh!」と力強く発した最後のひと言とともにステージの灯りも落とされた。
アンコールの拍手に導かれ、燃え尽きたと言わんばかりの表情で現れたビッケ。フロアからの声に応えて予定外の「秋の香り」をちらりと披露し、10月に行われる東名阪ツアーを改めて発表。「さらに大きな感動と歓喜がありますようにということで、よろしくお願いします!」と言葉を添えながら、改めて今日のライブへの感謝を口にしていた。バンドメンバーも揃ったところで演奏されたのは、この日2度目となる「Ca Va?」。冒頭のフランス語の部分を歌うように促されたオーディエンスは一瞬ざわついていたが、結果的には「いいじゃん! 世界に通用するぜ! すごーい!」とビッケも驚くほど。その後も半分以上はオーディエンス側がボーカルとなって進行し、オープニングの盛り上がりを超えるような熱気を放ちながらエンディングを迎えた。「Slave of Love」の高揚感や「ウララ」のキャッチーさとはまた違う角度から切り込んできた、このキラーチューン。次のツアーに向け、さらなる勢いで多くの人の耳を奪っていきそうだ。
【取材・文:山田邦子】
【撮影:Taku Fujii】
リリース情報
Ca Va?
2019年06月12日
avex trax
02. Lucky Ending
03. ウララ(acoustic ver.)
04. Ca Va?(Karaoke)
05. Lucky Ending(Karaoke)
セットリスト
Voom Voom Room
2019.6.14@新木場STUDIO COAST
- 01.Ca Va?
- 02.ファビュラス
- 03.Want You Back
- 04.Buntline Special
- 05.Black Rover
- 06.アシカダンス
- 07.Bad Boy Love
- 08.夏の夢
- 09.ソロー*ソロー
- 10.Lucky Ending
- 11.WALK
- 12.まっしろ
- 13.Winter Beat
- 14.Slave of Love
- 15.ウララ
- 16.THUNDERBOLT
- 01.Ca Va?
お知らせ
VickeBlanka Ca Va Tour
10/19(土) ZEPP NAMBA
10/21(月) ZEPP NAGOYA
10/25(金) ZEPP TOKYO
MORNING RIVER SUMMIT 2019
07/13(土) 大阪城音楽堂
篠島フェス2019 supported by ZIP-FM
07/14(日) 07/15(祝) 芝生広場
FM802 30PARTY MEET THE WORLD BEAT 2019
07/21(日) 万博記念公園自然文化園もみじ川芝生広場
ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2019
08/11(日) 国営ひたち海浜公園
SUMMER SONIC 2019
08/17(土) 舞洲SONIC PARK
08/18(日) ZOZOマリンスタジアム&幕張メッセ
WILD BUNCH FEST. 2019
08/23(金) 山口きらら博記念公園
Zoff Rock 2019
08/29(木) 都内某所
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