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KREVAソロデビュー15周年ライブ「KREVA NEW BEST ALBUM LIVE - 成長の記録 -」

KREVA | 2019.07.05

 バンドメンバーの柿崎洋一郎(Key)、白根佳尚(Dr)、近田潔人(G)、大神田智彦(B)、熊井吾郎(DJ+MPC)が登場。真っ白なスモークが漂うステージで演奏がスタートするとKREVAも現れた。1曲目に届けられたのは、バンド演奏によるアレンジで新たな装いとなった“2019 Ver.”の「居場所」。15周年という節目に『成長の記録 ~全曲バンドで録り直し~』をリリース。これまでの足跡を総括しつつ現在地点を示した彼が、さらに前進する意欲を燃え盛らせている様が、上下真っ白の衣装に身を包んで歌っている姿から伝わってくる気がする……。《守るだけじゃ増えない居場所》というこの曲の一節は、これからも彼の根底にあり続ける信条なのだと改めて感じた。

 その後も“2019 Ver.”の曲が次々と披露されていったのだが、バンドを構成している楽器の紹介を随所で交えつつセットリストの各ブロックを組んでいたのが、特筆すべき点であった。「王者の休日」と「アグレッシ部」を経て、最初にフィーチャーされたのはDJ+MPC。ターンテーブルのプレイにプラスアルファのエッセンスを加えるMPCの役割を説明した後、熊井の巧みな機材操作によるビートと共に届けられた「ACE」。お馴染みの「国民的行事」のトラックを素材としてマッシュアップしていく様が、猛烈にスリリング!「みんなが知ってる曲だって、生まれ変わっちゃうから」――スタートする前にKREVAが言っていたことを、鮮やかに体感することができた。

 2番目に紹介されたのはドラム。KREVAはこの楽器に関して、“リズムキープ”を徹底的に重視しているのだという。「ビートが一定の上で、どういう風にリズムにのっかるか?という業(わざ)をラッパーは見せたいんです。ビートの後ろにのっかっていきたい時にドラムが俺についてきてしまうと、曲がどんどん遅くなっていってしまう」――リズムキープの意図をドラマーの白根に伝え続けた結果、バンドサウンドは、どんどん理想的なものとなっていったという。「タイトなドラムを叩いてくれるようになり、今度はドラムの方が俺に歩み寄ってくれるようになりました。ビートをキープしながら俺の歌詞をキャッチして、歌詞にドラムをハメてくるようになった。その気持ちよさは、DJでやるだけでは味わえないものでした」。この説明の後にドラム+ラップで披露された「中盤戦」。一定のビートを巧みに乗りこなすラップ、放たれる言葉に反応しながら熱量を変化させるサウンドの相互作用によって醸し出された刺激は、“グルーヴ”という言葉で説明するのはなかなか難しい事柄も、とてもわかりやすい形で示していた。

 続いてスポットが当てられたのはベース。昔のKREVAはベースの魅力に気づいておらず、ベースレスの曲も多かったのだが、後にそのかけがえのない持ち味を発見するようになったのだという。「スピーカーで音楽を鳴らさない人、ベースが聞こえていないこと多くないですか?なぜならベースって低い音だから。低い音を鳴らすためには、ある程度の箱が必要なんです。胴が大きくないと、低い音は鳴らないんですよ(※生楽器の場合)」と言って、ベーシストの大神田が手にしたウッドベースを観客に指し示したKREVA。そして、ウッドベースの艶めかしい低音に彩られながら披露された「Under The Moon」は、ビートを司るリズム楽器でありつつ、空気感も濃厚に醸し出せる“ベース”という楽器の特性を理解するための絶好の実例となっていた。

 その次に紹介されたギターは、KREVAの原点とも言うべき楽器であった。彼が音楽に本格的に触れた最初のきっかけが、4歳の頃から通うようになったクラシックギター教室だったのだ。幼き日々に使っていた可愛らしいサイズのガットギターがステージに運び込まれて、大いに沸いていた観客。「ギターを習いに行って最初の授業、弾かなかったんです」――ボディバックを叩いてリズムを刻むことから始まったレッスンは、リズムに対する強い感覚や鋭敏な耳を育んだのかもしれない……という旨を語ってから披露されたのは、「希望の炎」。ソロ作品として初めて世に出たこの曲が、近田の奏でるアコースティックギターと共に届けられ、ラップをしているKREVAの背後では、4歳の時に手にしたガットギターが見守っている――という空間は、彼の原点が多彩な形でリンクした空間にもなっていた。ステージを見つめながら感慨深い気持ちになった観客が、たくさんいたのではないだろうか。

 最後にフィーチャーされたのは、キーボード。「みんなが1回でも弾いたことのある楽器と言えば、ピアノを筆頭にエレクトーン、オルガン、鍵盤ハーモニカとかに代表されるあの楽器が一番なんじゃないかなと。どうしてみんなにやらせるんでしょう?ギター、ベース、ドラムみたいな、ある場所を押さえて、ある一定の強さで弾くという技術を求められる楽器に対して、この楽器も音の強弱はあるけれど、ドを押したらドが鳴ってくれる。それが素晴らしいところじゃないかなと思います。それがゆえに、音の組み合わせから生まれる複雑さ、響きに胸を掴まれるんじゃないですかね?」――鍵盤楽器の特性の説明を経て、エレクトリックピアノの音色で届けられた「瞬間speechless」は、とても温かい質感で溢れていた。

 “楽器の特性を捉えながら、どのように音楽を生み出してきたのか?”ということを実演で示した様々な場面を経て突入した終盤戦も、見どころが満載であった。その皮切りとなった「C’mon, Let’s go」は、メンバー各々のソロプレイでも盛り上げて、KREVAのDJ+MPCプレイも炸裂! 途中で「ひとりじゃないのよ」へと転じていったのも、胸に深く迫るものがあった。アカペラで1コーラスを歌った後、この曲について語った言葉が印象的だったので紹介しておこう。「ソロデビューが決まって最初に書いた歌詞だと思う。《ゆっくりゆっくり歩く長い道のり》がその時に始まって、今日こうして15周年をみんなと祝えるのが、本当に嬉しいです。俺の楽器、俺の担当はラップ。声と言葉だと思います。《言葉 音がオレのメディア》。これが俺の武器だと思ってます。これだけいっぱいの人の前に立てるこの瞬間があれば、またやっていける気がします」――というMCを挟んで再びアカペラで歌い始めた「ひとりじゃないのよ」は、観客の手拍子も加わりながら力強く響き渡っていた。

 突然取り出したハーモニカをKREVAが吹き鳴らして大喝采を浴びた「イッサイガッサイ」。瞳を潤ませながら耳を傾ける観客がたくさんいた「音色」。そして、「みんな、どうもありがとう。何も思い残すことがないくらい、でっかい声を出してください。これは俺の成長の記録じゃないぜ。俺とみんなの成長の記録!」という言葉を添えてスタートした「Na Na Na」が、本編をドラマチックに締め括った。全力で歌うKREVAと観客の声が完全に1つになった様は、あの場にいた全ての人にとって至福のひと時だったはずだ。

 アンコールを求める歓声に応えてステージに戻ってきたKREVAは、活動をずっと支えてくれたベーシスト、彼のバンドのバンマスでもあった岡雄三が、先日逝去したことを観客に告げた。彼との出会いは、“久保田利伸 meets KREVA”名義で2007年にリリースされた「M☆A☆G☆I☆C」のレコーディング現場。それがKREVAがベースの深い魅力を知った切っ掛けだったのだという。そのことに改めて心から感謝した彼は、岡がベースを弾いた7曲をDJプレイで披露。「M☆A☆G☆I☆C」「愛してたの」「Sanzan feat. 増田有華」「あえてそこ(攻め込む)」「Glory」「千%」「Keep It Up」……極上の低音が鳴り響いていた。

「これで俺の成長の記録が一段落した感じがします。じゃあ、気持ちを切り替えていこうかと。“その後、お前、どうすんだよ?”っていう。もちろん、新曲がバンバンできてますよ。“やべえ、俺、また人気出んじゃね?”っていう(笑)。ちょっとそれをかけちゃおうかなと。先行試聴会をしようと思います!」と言って、さらにもう1曲披露されたのは、昨年の『908 FESTIVAL』の際、両者が共演したことがきっかけで生まれた新曲「One feat. JQ from Nulbarich」。岡との最後のレコーディングともなったこの曲も、観客の大喝采を浴びていた。KREVAの言葉を借りるならば「1+1=2じゃなくて、でっかい1になろう」という想いがこめられているそうだが、心地よいグルーヴでダイナミックに包み込んでくれる曲だった。配信リリースされる8月5日が、とても楽しみだ。

「まだ俺のことを知らない人がいるみたいなんですよ。15年間応援してくれた人からすると、“えっ!?”っていう感じだと思うんですけど(笑)。そういう人に届くように、これからも頑張っていきたいと思うんで、よろしくお願いします!」――というMCの後、さらにお楽しみが待っていた。「最後は、もう1曲歌おうかなと。この曲、この後、12時(7月1日0時)にリリースします!どうやら界隈では、“ハードなクレさんが最近少ないんじゃない?”みたいな。ふざけんじゃねえ!(笑)。ライブの最後に歌うような曲じゃないけど、ふざけんじゃねえ!っていう気持ちをこめて歌いたいと思います」。そして、披露された新曲「無煙狼煙」。「俺が上げる狼煙(のろし)、それはつまり音だから、煙がないんですよ」と説明していたが、とても熱く、激しく、雄々しく迫ってきた。

 終演後は、スクリーンで今後の活動予定が一気に発表された。「9ヶ月連続リリース!第7弾 新曲「無煙狼煙」7月1日配信スタート!」「8月5日 新曲「One feat. JQ from Nulbarich」配信リリース!!」「9月4日 LIVE DVD & Blu-ray『完全1人ツアー2018 at Zepp Tokyo』発売!!」「9月18日 オリジナルニューアルバム『AFTERMIXTAPE』発売!」「9月26日『908 FESTIVAL 2019』横浜アリーナ 開催決定!」――目が離せない動きばかりだ。KREVAの“成長の記録”は、まだまだフレッシュに更新され続けるに違いない。

【取材・文:田中 大】
【撮影:岸田哲平、中河原理英、川澤知弘】

tag一覧 J-POP ライブ 男性ボーカル KREVA

リリース情報

AFTERMIXTAPE

AFTERMIXTAPE

2019年09月18日

ビクターエンタテインメント

01. MIX / TAPE
02. 敵がいない国
03. One feat. JQ from Nulbarich
04. S.O.S.が出る前に
05. アイソレーター
06. リアルドクター K
07. 人生
08. Don’t Stop Y’all, Rock Rock Y’all
09. もしかしない
10. 無煙狼煙
11. それとこれとは話がべつ! feat. 宇多丸, 小林賢太郎
12. 君の愛 Bring Me To Life

お知らせ

■ライブ情報

908 FESTIVAL 2019
09/26(木) 横浜アリーナ
出演:KREVA / 三浦大知 / and more



E.YAZAWA SPECIAL EVENT ONE NIGHT SHOW 2019
07/6日(土) 幕張メッセ 国際展示場 4-6ホール

J-WAVE LIVE 20th ANNIVERSARY EDITION
07/14(日) 横浜アリーナ

NUMBER SHOT 2019
07/21(日) 海の中道海浜公園

ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2019
08/04(日) 国営ひたち海浜公園

SUMMER SONIC 2019
08/17(土) 舞洲SONIC PARK
08/18(日) ZOZOマリンスタジアム&幕張メッセ

SWEET LOVE SHOWER 2019
08/31(土) 山梨県 山中湖交流プラザ きらら

宗像フェス~Fukutsu Koinoura~
09/21(土) 恋の浦 夕日の丘 野外ステージ

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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