SiM主催、今年で10回目を迎えた「DEAD POP FESTiVAL 2019」初日レポート
SiM | 2019.07.09
SiM主催の「DEAD POP FESTiVAL 2019」は、今年記念すべき10回目を迎えた。6月22日、23日に例年同様に2デイズ開催となり、初日は「メロディック」、2日目は「ラウド」と出演アーティストの色合いは多少分かれていたように感じる。今回はその初日の模様をお伝えしたい。
【INNOSENT in FORMAL】
この日のオープニング・アクトは出演権を自ら勝ち獲ったINNOSENT in FORMAL。「CHOAS STAGE」のトップを飾った彼らはラップ主体のミクスチャー・サウンドでクール&ホットに攻める。「Jackin’ Rock Beats」では70’Sハード・ロックのテイストを仕込んだアレンジで惹き付け、どしゃ降りの雨を吹き飛ばす熱演を叩き付けた。
【ヤバイTシャツ屋さん】
「めちゃくちゃな2日間にしようぜ!」とこやまたくや(Vo/G)が叫ぶと、「CAVE STAGE」にヤバイTシャツ屋さんが登場。こやま、しばたありぼぼ(Vo/B)の高低差の激しい男女ツイン・ボーカルを武器に、「KOKYAKU満足度1位」ではデス/キャーキャー声を織り込み、ガンガンと焚き付けていく。この頃になると、一旦雨が止んだものの、ライブ後半にはまた激しく降り始めたが、それさえも盛り上がりの燃料に変えてしまうのが今のヤバTだ。特に「ヤバみ」~「ハッピーウェディング前ソング」の流れは凄まじく、3ピースのカタマリ感を強めた演奏には危機迫るものがあった。ポップとアグレッシブの両面に磨きをかける音像は強烈無比だ。
【ハルカミライ】
続いて「CHAOS STAGE」二番手に出たのはハルカミライ。今年は04 Limited Sazabys主催の「YON FES」にも出演し、度肝を抜くライブを見せつけた彼ら。この日も同業者とファンを鷲掴みにする暴れっぷりを発揮した。「君にしか」で始まると、橋本学(Vo)は観客の中に突っ込んで「どしゃ降り最高だぜ!」と吠え、関大地(G/Cho)はペットボトルの水を頭から被る有り様。「ファイト!!」では巨大なシンガロングを作り上げ、観客を一人残らず巻き込んでいく。さらに橋本はマイク・コードを伸ばせるだけ伸ばし、上半身裸の状態でPA卓がある白いテントまで到達。ド直球の日本語ロック同様、ダンプカーのごときガムシャラ・パワーで観る者の魂を揺さぶり続け、ラスト曲「アストロビスタ」においては「いつかあのステージ(「CAVE STAGE」)のトリ前やりてぇー!」と叫ぶ姿も印象的であった。
【10-FEET】
SHISHAMOの後、「CAVE STAGE」四番手を務めたのは10-FEETだ。「蜃気楼」で幕を開けると、次は躍動感満載の「VIBES BY VIBES」へ急カーブを切ると、肩を組んで輪になって踊る人たちが増えていく。それから5月に自身最大キャパのワンマンライブ・長崎市稲佐山公園野外ステージで初披露した新曲「ハローフィクサー」をここでも披露。穏やかな歌メロから一点、ヘヴィなリフに血は煮立ち、柔らかなメロディにツボを突かれると、緩急鮮やかな10-FEET流ミクスチャーを体現した名曲に改めて感服。「1sec.」においてはSiMのMAH(Vo)のウォールオブデスをマネして、TAKUMA(Vo/G)は両手でこじ開ける仕草をした後、また閉じて観客を笑わる場面もあった。そして、様々な思いの丈を吐き出した「その向こうへ」には胸を深くえぐられてしまった。
【My Hair is Bad】
続いて同ステージに姿を見せたMy Hair is Bad。「ワクワクしようぜ!」と椎木知仁(G/Vo)は観客に爽やかに声をかけ、「アフターアワー」で火蓋を切ると、胸の高ぶりをそのまま音に乗せて冒頭から突っ走る。「こうして先輩のフェスに呼ばれて嬉しい。俺らは全力で走るから、付いてきてほしいんだよ。もっとあげるから、もっとくれよ!」と心の奥底を曝け出し、観客と真正面から対峙する。感情の赴くままに一心不乱に歌い上げる「真赤」を経て、「SiMと出会って10年、MAHさんも結婚して、子供ができて、後を追いかけようと思います」と言うと、「いつか結婚しても」で鮮やかなフィニッシュを決める。
【04 Limited Sazabys】
イベントも残すところ3組となり、マイヘアに続き同ステージを務めたのは04 Limited Sazabysである。エッジの鋭い「knife」で始まるや、気迫のこもった演奏で驀進。「デッドポップに合う曲をたくさん持って来た!」と告げると、「Alien」では観客をスカダンスさせたりと、とにかくフィジカルに訴える熱いアプローチが続く。「このフェスは我々的に輝きやすくて、やりやすい」とGEN(B/Vo)は述べ、怒濤の2ビートを用いた「My HERO」においても激しいサークル・モッシュがあちこちで勃発。確かにフォーリミとデッドポップの相性は最高だ。後半、今年の「YON FES」でMAHからイジられたことにも触れ、斜め45度の角度からやり返すGENのセンス・オブ・ユーモアに笑いが広がる一幕もあった。ラストは「Squall」、「monolith」と強烈なアンセム・チューンを畳み掛け、パワフルなエモーションで観る者の魂を奪い去った。
【NAMBA69】
そして、「暴れる準備はいいかい?」と難波章浩(Vo/B)が呼びかけると、「CHAOS STAGE」のトリを飾ったのはNAMBA69。今や4ピース編成でライブ力をメキメキ付け、人気と動員はうなぎ上りの彼ら。最新2ndアルバム『CHANGES』では難波、ko-hey(G/Cho)によるツイン・ボーカル曲も増え、戦闘力を高めたサウンドはライブを観るたびに進化を遂げている。この日もダイバーやモッシュが溢れ返り、とんでもない盛り上がりを記録。「俺たちはSiMの後輩です。今度はあっち(「CAVE STAGE」)のステージに立ちてえよ!」と難波は秘めた思いをストレートに告げ、終始爆発力漲る演奏でキッズの心を揺さぶり続けた。
【SiM】
けたたましいサイレン音をSEに、遂に大トリのSiMが登場。すると、デッドポップの旗を掲げたスタッフが観客側に入り、ムードを盛り立てる演出を施し、「A」で本編スタート。MAH、SHOW-HATE(G)、SIN(B)、GODRi(Dr)のメンバー4人は一丸となり、命を燃焼させる怒濤の攻撃力を発揮。極悪ヘヴィな鉈をブン回す「KiLLiNG ME」に入ると、観客はさらに前方へと押し寄せ、熱狂度はグングン高まっていく。「抜くぜ、伝家の宝刀」と言うと、「TxHxC」では巨大なサークル・モッシュを作り上げ、もはやSiMの独壇場と化していた。 「やかましい曲でお前たちを殺すのはとうに過ぎた。長く苦しめて殺す。20歳のときに作った曲。1stフル(『Silence iz Mine』)から」と言うと、「Here I am」へ。ヒップホップ、レゲエを巧みに取り込んだミドル・テンポの曲調は闇深い野外という景色に溶け込む。その流れを汲んだ「Same Sky」においてもSiMの引きの美学を突きつけ、多くの観客を酔わせていた。「EXiSTENCE」を挟むと、「今のSiMが一番かっこいい自信がある。お前はどうなんだよ?」と挑発すると、「DiAMOND」をプレイ。イントロから観客総出でジャンプする景色が広がり、王者の貫禄漲るサウンドを解き放つ。その音色を浴び、鳥肌が立つほど感動してしまった。アンコールでは「Blah Blah Blah」、「f.a.i.t.h」が炸裂し、完全に観客にトドメを刺して終了。バンドの演奏、スキル、表現力とますますスケール感を高めるSiMの圧倒的な存在感にひれ伏した。たゆまぬ進化と成長をし続ける彼らの凄みを骨の髄まで味わう、最上の一夜となった。
【取材・文:荒金良介】
【撮影:<CAVE STAGE>スズキコウヘイ】
【撮影:<CHAOS STAGE>半田安政】
【撮影:<景観>本田裕二】
ライブ SiM INNOSENT in FORMAL ヤバイTシャツ屋さん ハルカミライ 10-FEET My Hair is Bad 04 Limited Sazabys NAMBA69
リリース情報
LiON’S DEN
2018年12月13日
EMI Records
セットリスト
DEAD POP FESTiVAL 2019
2019.6.22@神奈川県 川崎市 東扇島東公園
CAVE STAGE
-
ヤバイTシャツ屋さん
- 1.あつまれ!パーティーピーポー
- 2.Tank-top of the World
- 3.Universal Serial Bus
- 4.かわE
- 5.KOKYAKU満足度1位
- 6.とりあえず噛む
- 7.無線LANばり便利
- 8.ヤバみ
- 9.ハッピーウェディング前ソング
- 10.貴志駅周辺なんもない
- 1.蜃気楼
- 2.VIBES BY VIBES
- 3.ハローフィクサー
- 4.RIVER
- 5.1sec.
- 6.その向こうへ
- 7.ヒトリセカイ
- 1.アフターアワー
- 2.熱狂を終え
- 3.ドラマみたいだ
- 4.告白
- 5.クリサンセマム
- 6.元彼氏として
- 7.真赤
- 8.いつか結婚しても
- 1.knife
- 2.Alien
- 3.Utopia
- 4.fiction
- 5.My HERO
- 6.Kitchen
- 7.Galapagos
- 8.Squall
- 9.monolith
- 1.A
- 2.KiLLiNG ME
- 3.TxHxC
- 4.Here I am
- 5.Same Sky
- 6.EXiSTENCE
- 7.DiAMOND
- En1.Blah Blah Blah
- En2.f.a.i.t.h
10-FEET
My Hair is Bad
04 Limited Sazabys
SiM
CHAOS STAGE
-
INNOSENT in FORMAL
- 1.Riff
- 2.Footloose
- 3.Jackin’ rock beats
- 4.One for you
- 1.君にしか
- 2.カントリーロード
- 3.ファイト!!
- 4.俺達が呼んでいる
- 5.春のテーマ
- 6.世界を終わらせて
- 7.Tough to be Hugh
- 8.エース
- 9.アストロビスタ
- 1.LOOK UP IN THE SKY
- 2.PROMISES
- 3.CHANGES
- 4.BLOOD SUCKING DOG
- 5.SUMMERTIME
- 6.MANIAC III
- 7.HEROES
- 8.MANIAC
- 9.THE WIND OF CHANGE
ハルカミライ
NAMBA69