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Official髭男dism 初の武道館となった『Official髭男dism one-man tour 2019』追加公演

Official髭男dism | 2019.07.12

『Official髭男dism one-man tour 2019』追加公演の会場となったのは、なんと日本武道館! この大舞台でのライブは、どのようなものだったのか? ツアーは、7月21日、22日に行われる東京・Zepp DiverCity公演まで続くので、セットリストの構成、曲順、全体の流れなど、詳細がわかってしまいそうな描写は避けるが、あの空間の模様を、できる限りお届けしたいと思う。

 会場内に入って目に飛び込んできた風景は、早くも期待を激しく掻き立ててくれた。ステージの正面には、口髭の形をした大きなオブジェが飾られていて、後方には「ヒゲダン」を意味する4文字の大きなアルファベット「H」「G」「D」「N」が並んでいる。そして、ステージを囲む360°は客席。武道館のキャパシティーを最大限に活用しているこの会場に、どうやら1万2千人が集まっているらしい。幅広い年齢層の人々によって完全に埋め尽くされたアリーナ席、1階席、2階席から漂ってきたムードは、明るい幸福感に満ちていた。

 そして、ついに迎えた開演。藤原聡(Vo/Pf)、小笹大輔(Gt)、楢崎誠(Ba/Sax)、松浦匡希(Dr)、サポートプレイヤーたちがステージに登場し、演奏がスタートするや否や生まれた世界は、何とも言えないほど心地よかった。軽やかにステップを踏んだ観客の間から大合唱が自ずと起こっていた「犬かキャットかで死ぬまで喧嘩しよう!」。ホーンセクションに彩られながら瑞々しいメロディを華麗に開花させていた「宿命」。何本もの真っ赤な火柱が上がる中でエネルギッシュな演奏が炸裂した「FIRE GROUND」。突然出現したドラムセットを藤原が叩き始めて、松浦とのツインドラム体制で披露されるというサプライズが観客を沸かせた「Amazing」。ドラムを叩いている松浦以外のメンバーとサポートプレイヤーたちがステージ上をパレード。楢崎が吹き鳴らしたバリトンサックスが存在感を発揮しつつ、全エリアの観客を陽気な昂揚感の渦に巻き込んでいった「ブラザーズ」。まだリリースされていない曲だが、観客が歌ったり手拍子したりする部分も絶妙に織り込みながら目いっぱいに盛り上げた「明け方のゲッタウェイ」……などなど、印象的な場面の連続であった。

 その他にも、触れておきたい曲ばかりだ。「LADY」は、ライブで披露される度に瑞々しいメロディの輝きに圧倒される曲だが、広大な武道館で響き渡ると、ひと際その魅力がまぶしいくらいに迫ってきた。ヒゲダンの存在がたくさんの人々に知られる大きなきっかけとなった『コンフィデンスマンJP』の主題歌「ノーダウト」と「Pretender」が、ファンに深く愛されていることも鮮烈に再確認させられた。また、「Stand By You」が、観客の大合唱と手拍子が加わったことによって、聖歌のような壮大で清らかな響きを帯びていたことも、ありありと思い出される。ライブの中盤辺りのMCで「みんなと一緒に作る音楽が楽しくて楽しくて仕方ないです。曲を作って、CDを出して、ライブをやれるだけでもすごいけど、“届いてる”と実感するのは、嬉しいんです」と藤原は言っていた。この曲はヒゲダンの4人にとって、まさにそういう嬉しさの極みだったに違いない。「僕たちの初ライブは、2012年7月7日。七夕でした。そこから7年と1日経ちました。“バンド楽しいな”って思って続けてきたら、僕たちの音楽に出会ってくれて、足を運んでくれた人がこれだけいるっていうことに、すごく感謝してます。これから歌う曲、まさか武道館で響くとは。そんなこと言ったら、どの曲も一緒か(笑)」と藤原が語ってから披露された「コーヒーとシロップ」も、胸に深く沁みた。この曲は、地元の島根で会社員をしていた頃の藤原が抱えていた想いが描かれている。ヒゲダンが上京する前の日々から生まれたメロディと言葉が、こうして武道館で鳴り響いたというのは、本当にドラマチックなことだった。

 アンコールでの藤原のMCも紹介しておきたい。「この4人で“音楽って楽しいなあ! バンドって楽しいなあ!”って思いながら、ずっと活動してきました。ずっと笑ってました。そんな時間がずっと続いて、7年と1日が重なった時に、今日というステージがありました。自分たちが作った音楽を通じて、これだけのみなさんが集まってくれたことが本当に嬉しいです。これからもいい音楽をいっぱい作って、みんなに届けて、ライブで一緒に歌って……そうやって歳を重ねていきたいなと思ってます。バンドとしての夢や目標は、もちろんたくさんあるけど、1日でもこのバンドを長く続けて、グッドミュージックを1曲でも多く作って、あなたと1日でも長く音楽を通して一緒に時間を重ねていくということが、今の僕の夢です」――ヒゲダンの活動の根本にある想いが伝わってくる言葉だった。

 そして、メンバー同士のやり取りも、このバンドの実像を自ずと示していた。「俺、実家に『DEAD AT BUDOKAN』っていうKen Yokoyamaさんの武道館ライブのDVDのポスターを飾っとってね。ただのギターが好きな少年だった自分がメジャーデビューして、武道館に立てる日が来るなんて、びっくりだ!」と小笹が喜びを露わにしたのを見て、「こんなの、あと15年は続くよ。このバンド」と言った楢崎。すると、「25!」「30!」など、様々な数字がメンバーたちの間から上がったのだが、松浦は「100!」と力強く言い切った。このような長期にわたる目標を達成するために、「来年は、みんなで健康診断に行こう!」と小笹が提案して、全員が和やかに笑い合っていた場面は、4人の仲の良さが窺われて、実に心温まるものがあった。

「10月 ニューアルバム発売決定」「全国29公演大ホールツアー決定」という文字が書かれた垂れ幕が上手く開かなかったので、仕切り直し。予定外のフリートークで場を繋がなければいけない……というアンコールの途中で起こったハプニングも、観客と一緒に笑いながら楽しんでいたヒゲダン。これは彼らにとって初の武道館公演だったわけだが、気負い過ぎることはなく、しかし、特別な舞台に立てる喜びにも満ち溢れていた4人の姿は、とても素敵だった。彼らの快進撃は今後も続くに違いないが、このバンドの本質にある穏やかなトーン、優しさ、温もりは、決して変わらないのだろう。そんなことも感じて、心底嬉しい気持ちになったライブであった。

【取材・文:田中 大】
【撮影:TAKAHIRO TAKINAMI】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル Official髭男dism

リリース情報

宿命

宿命

2019年07月31日

ポニーキャニオン

M1.宿命
M2.宿命(instrumental)

お知らせ

■配信情報

↓「宿命」配信ダウンロードはこちら↓
https://lnk.to/shukumeiPR



■ライブ情報

Official髭男dism one-man tour 19/20
10/26(土) [千葉]市川市文化会館
10/30(水) [奈良]なら100年会館 大ホール
11/01(金) [大阪]グランキューブ大阪(大阪府立国際会議場)
11/02(土) [大阪]グランキューブ大阪(大阪府立国際会議場)
11/07(木) [埼玉]大宮ソニックシティ 大ホール
11/10(日) [石川]本多の森ホール
11/15(金) [北海道]小樽市民会館
11/17(日) [北海道]札幌文化芸術劇場 hitaru
11/23(土) [香川]サンポートホール高松
11/24(日) [兵庫]神戸国際会館 こくさいホール
11/29(金) [愛知]愛知県芸術劇場 大ホール
11/30(土) [東京]オリンパスホール八王子
12/07(土) [岐阜]長良川国際会議場メインホール
12/08(日) [愛知]日本特殊陶業市民会館 フォレストホール
12/13(金) [広島]広島文化学園HBGホール
12/15(日) [島根]島根県民会館 大ホール
12/20(金) [宮城]仙台サンプラザホール
12/22(日) [福島]いわき芸術文化交流館アリオス 大ホール
01/04(土) [福岡]福岡サンパレス
01/05(日) [福岡]福岡サンパレス
01/12(日) [神奈川]パシフィコ横浜 国立大ホール
01/13(月) [神奈川]パシフィコ横浜 国立大ホール
01/19(日) [鳥取]米子市公会堂
01/21(火) [岡山]倉敷市民会館
01/26(日) [新潟]新潟テルサ
01/31(金) [鹿児島]宝山ホール
02/02(日) [熊本]熊本県立劇場 演劇ホール
02/10(月) [神奈川]パシフィコ横浜 国立大ホール
02/11(火) [神奈川]パシフィコ横浜 国立大ホール

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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