Bentham史上最大規模の全国ツアー「GOLD RUSH TOUR 2019」
Bentham | 2019.07.23
現時点のバンドのベストを詰め込んだセカンド・アルバム『MYNE』の世界観を日本中のファンに届けるため、バンド史上最長25本に及ぶ〈GOLD RUSH TOUR 2019〉に挑んだBenthamが、遂にファイナルの地・東京へ帰ってきた。会場となった渋谷WWW Xは開演ぎりぎりまで入場者が途切れず、友人や関係者が多いのもバンドの交友関係の広さとシーンに築いてきた立ち位置の大きさを物語る。結成9年、初CDリリースから5年、バンドが常に上り調子を続けているのはフロアを見れば一目瞭然だ。
暗闇の中にアンビエントなサウンドが響き渡り、須田原生(G&Cho)、鈴木敬(Dr&Cho)、辻怜次(B)、そして最後に小関竜矢(Vo&G)が登場してバンドのアンサンブルが完成してゆく、ドラマチックなオープニング。1曲目は『MYNE』と同じく「cymbidium」で、ほのかな照明の下でうねるようなスロー・テンポのサウンドと、メランコリーたっぷりの歌声が会場を包み込む。「楽しむ準備、できてますか?」と小関の言葉をきっかけにムードは急転、はじけるダンス・ロック「クレイジーガール」で一気にフロアが明るくなり、「TONIGHT」「FATEMOTION」とスピーディーな曲をこれでもかとたたみかける。須田と辻が向き合ってニコニコ笑ってる。小関が最前列に乗り出してオーディエンスを煽る。ぎゅうぎゅう詰めのフロアは手振りと手拍子でそれに応える。今日がツアーの総決算、お互いやる気も自信も満々だ。
「バンド最大のリリース・ツアー、ちゃんとみんなに届いてると思えた25本です。もう出ないよというぐらい出し切るので最後までよろしくお願いします!」
小関の挨拶のあと、ハッピーなエイトビート・チューン「トワイライト」を経て、強力ダンス・ロック「BASSBALL」へ。タイトルは野球のベースボールではなく辻のベース・エフェクターの名前らしいが、「一発当てたらどうだい?」というコール&レスポンスの応酬は、ドカンと一発ホームラン級の楽しさ。最近めっきり増えたという男ファンの野太い声も実に頼もしい。「初恋ディストーション」は須田のシャープなカッティングとディスコっぽいベースラインが爽やかな夏を思わせるポップ・チューンで、フロアは漏れなくノリノリ。Benthamのファンは実に素直で明るく楽しむことが大好きだ。
ぎっくり腰について熱く語る須田の長いMCでひとしきり笑いが起きたあとは、『ウルトラマン ニュージェネレーションクロニクル』主題歌になった「Hope the youth」を高らかに雄大に響かせ、スウィートな愛のミッド・バラード「クラクション・ラヴ」では息の合ったコーラスと切ないメロディをじっくり聴かせる。勢い溢れる序盤から聴かせる中盤へ、セットリストの流れはとてもスムーズ。「five」も似たタイプの曲で、激しいだけじゃない、メランコリー溢れる世界観もBenthamには欠かせないことを見せつける。バンドの一体感には1ミリの揺らぎもない。
MCのあとは、テンションMAXのダンス・ロック「ASOBI」からの、「White」「サテライト」を経てまた「ASOBI」に戻る長尺メドレー。複雑な変拍子や緻密な曲の繋ぎも自信たっぷりに乗り越えて、ハイ・テンションを保ったままフロアを踊らせる。長いツアーは確かにバンドを成長させ、グルーヴはさらに強固になったようだ。
楽しい時間はどんどん加速し、後半開始を告げる合図の1曲は鈴木の作詞作曲による「SUTTA MONDA」。リズムボックスを使ったファニーなノリが楽しいダンス・チューンで、小関はハンドマイクでフロアを煽り、オーディエンスも負けじとコーラスで応戦。全員参加の♪フ~フ~!コーラスで盛り上がったあと、今度は♪ウォ~ウォ~!コーラスの大合唱になったアッパー・チューン「Cry Cry Cry」へ。車に例えると、バンドは各地でファンの熱量というガソリンを給油してツアーを走っているようなもの。「本当に愛おしく思っています!」と思わず叫んだ小関の言葉は本音だろう。会場内の温度は上がり続けている。
フロアから無数の拳が上がったメロコア調の「激しい雨」から、バンドの始まりの曲と言っていい「パブリック」へ。どうやって君の事 振り向かせたらイイの? 明るいダンス・ロックだが聴き手を求めるメッセージは今も変わらず切実だ。その切実さを残したままアンビエントなエフェクトを駆使して、ラストを飾るバラード「夜な夜な」へと繋げた演出は見事のひとこと。小関が思い入れたっぷりにマイクに歌を注ぎ込む。フロアはじっと立ち尽くして聴き入るのみ。やがて音はクライマックスへ達し、オープニングとは逆に一人また一人とステージを去り、最後に残った須田がギターを置く。はっと夢から覚めたように鳴り響く温かい拍手。セットリストというよりはドラマの脚本と言ってもいい、これがBenthamが今一番聴かせたいライブの形だ。
アンコールでは、デビュー5周年を記念したワンマン・ライブを11月22日に東京キネマ倶楽部で開催、そして冬には初のベスト・セレクション・アルバム『Re:Public〈2014-2019〉』をリリースすることを発表。ファンの要望も反映するベストになるらしいので、詳細はバンドのオフィシャル・ホームページをチェックしよう。5周年は通過点、バンドの最高点はまだまだこれからだ。
「これからワンマンいっぱいやります。ついてきてください!」
小関の叫びを合図に突入したアンコール・タイム1曲目は、天下御免の無礼講ダンス・ロック「HEY!!」。須田がコール&レスポンスの文句を丁寧に教えてる。「オゼ、スダ、ツジにタカシでBentham!」語呂のいい言葉もばっちり決まった。そのままなだれ込んだラストは『MYNE』の中でも最大のキラー・チューン「MIRROR BALL」で、ダンス・ビートのトラックを流しながらミラーボールがぐるぐる回る、今ここはライブハウスというよりもはやディスコティック。小関がハンドマイクを握って飛び跳ねる。これが今のBenthamのベスト・パフォーマンス。もう出ないよというぐらい出し切った、限界オーバーのライブ。
「ありがとう。これからもよろしくね。また会いましょう」
次は11月22日、いやその前に夏フェス秋イベントにガンガン出るからそちらをチェックしよう。やりたい音と見せたいパフォーマンスはしっかり固まった。5周年の記念日の向こう側へ、Benthamは全速力で駆け抜ける。
【取材・文:宮本英夫】
【撮影:白石達也(Tatsuya Siraishi)】
リリース情報
MYNE
2019年02月27日
ポニーキャニオン
2.Cry Cry Cry
3.Hope the youth
4.トワイライト
5.five
6.ASOBI
7.MIRROR BALL
8.BASSBALL
9.SUTTA MONDA
10.夜な夜な
セットリスト
GOLD RUSH TOUR 2019
2019.7.15@Shibuya WWW X
- 01.cymbidium
- 02.クレイジーガール
- 03.TONIGHT
- 04.FATEMOTION
- 05.トワイライト
- 06.BASSBALL
- 07.初恋ディストーション
- 08.Hope the youth
- 09.クラクション・ラヴ
- 10.five
- 11.ASOBI~White~サテライト~ASOBI
- 12.SUTTA MONDA
- 13.Cry Cry Cry
- 14.激しい雨
- 15.パブリック
- 16.夜な夜な 【ENCORE】
- EN01. HEY!!
- EN02. MIRROR BALL
お知らせ
ヨイズ presents. 「瞳のサイレン」
07/26(金)渋谷TSUTAYA O-Crest
GLICO LIVE “NEXT”
08/05(月)心斎橋Music Club JANUS
ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2019
08/11(日)国営ひたち海浜公園
THE REAL THINGS
08/15(木)新宿LOFT
ベリテンライブ 2019
08/27(火)HEAVEN’S ROCK宇都宮VJ-2
リアクション ザ ブッタ 3ヶ月連続2マンライブ~Sparkle旅行編~
09/06(金)宮城 仙台LIVE HOUSE enn 3rd
TOKYO CALLING 2019
9/15(日) 下北沢会場
ROCK the ROCK!!
09/25(水)名古屋CLUB UPSET
MINAMI WHEEL
10/12(土)大阪ミナミエリア
10/13(日)大阪ミナミエリア
10/14(月・祝)大阪ミナミエリア
※出演日は後日発表
PIRATE SHIP 2019
10/12(土)大分 T.O.P.S Bitts HALL
10/13(日)大分 T.O.P.S Bitts HALL
※出演日は後日発表
東京パノプティコン ~Re:Public~
11/22(金)東京キネマ倶楽部
※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。