Amelieのツアーファイナルにして4年ぶりのホーム・渋谷eggmanワンマンを観た!
Amelie | 2019.08.22
「~的だ」「~っぽい」と称されることがある。当該者は「えっ!? そうかな……?」なんて訝しがったり否定する場合もあるが、ふと省みると、身に覚えがあったりもする。自分のことは自分が最もわかっている……つもりだが、こと「的な」や「っぽさ」は、第三者の観察や視点により発見され、決定され、それが自覚へと繋がることも多い。加えて、この「っぽい」の類は、溢れ出たり、滲み出たり、漏れたりと無自覚に現れるケースも多々。そこに人は各々の人間性や本質を見出し、親しみやすさやシンパシーを抱く。
この日のAmelieのライブもまさに「Amelieっぽさ」に溢れ出、滲み出、そこに集まった者たちはより一層のシンパシーを抱いた。彼らのその日の「Amelieっぽさ」も、当初から計画されていたものとは異なる類い。きっともっとかっこよくスタイリッシュにする予定だったのだろう。だがしかし、やっていくうちに、いつしか「今までの自分たちっぽさ」が自然と漏れ、滲み出、ついには溢れ出してしまい、人間味や人柄、性格や気性、これまでの人生経験や体験や体感を含め、終始「ライブバンドAmelieっぽさ」に満ちたものになった。そして集まった者たちはそこにさらなるシンパシーや信憑性、信頼や今後の並走への期待の育みを多分に感じていた。
Amelieが5月の主催サーキットフェス「鐘フェス」を皮切りに、全国8ヵ所で行った全国ツアー「ノンフィクション Release Tour 2019」を、この7月28日の渋谷eggmanでの大成功をもって閉幕させた。同ツアーは各会場2マン形式で敢行され、このファイナルのみワンマンであった。
今年4月にリリースされたシングル「ノンフィクション」とともに全国を回った今回のツアー。それらの曲たちが、このファイナルでも彼らの醸し出す信憑性や信頼とともに、集まったオーディエンスに大合唱や多分なバイタリティを生んでいった。
意外にも今年初のワンマンでもあったこの日。渋谷eggmanでのライブも、ホームグラウンドながら単独での登場は実に約4年ぶりであった。この日会場に入り、これまでとの客層の変化が目を引いた。従来のいわゆるキッズやフェス好きのユーザーから、いい意味で普通の邦ロックやスペシャ等が好きそうな層へのシフトも窺え、女性の数もグンと上がっている。
ブレイブなSEに乗り、メンバーが飛び出すようにステージに登場。スタンバイ後、まずは4人からガツンとしたデモンストレーション音が放たれ、「嘘なしでやっていくからついてこれるよね!!」とmick(Vo/Gt/Piano)が場内の熱気をグイッと引き上げる。1曲目は「ライアーゲームじゃ始まらない」。嘘やフェイクなんて必要ない、事実や真実だけがすべてと訴えているような、このツアーの本質を改めて提示するかのようなオープニングだ。ドライブ感のある同曲が会場を引き連れんとばかりにグイグイと引き込んでいく。間髪置かず、「ツアーから帰ってきました! ただいま!!」とmick。あっきー(Ba/Cho)のベースがイントロを引っ張り、クラップと呼応の中から「メグリメグル」が現れる。哀愁と歌謡性が一気に炸裂し、アサケン(Dr/Cho)によるサビの4つ打ちで高揚感をアップさせていく。直人(Gt/Cho)のギターソロも哀愁大全開に炸裂。場内の盛り上がりの火にさらなる油が注がれた。
ここでMC。「全国ぐるぐる回って、今回このeggmanに戻ってきた。みんなが来てくれたことがほんとうれしい。最後の最後までAmelieらしく、心の底から心を込めて歌うんで、今日は一緒にいい時間を作っていこう!」とmick。「やっぱり、ここに戻ってきたいと思ってしまうのは、ここに君の手があるからなんだよね」と入ったのは、新作シングルから「手と手」。サビでの開放感が会場を引き寄せ、フロアとステージとの間に手と手がガシッとつながり組み合うのを見た。打って変わり横ノリが現れたのは、mickが鍵盤に移った「フェイク」。場内に広がるロックンロールを基調とした不穏さやスリリングさの上に、胸を刺すファクトの数々が次々と突きつけられる。また、続く「WONDER」では、駆け抜けていく疾走感とともに、「一緒にそのフェンスを乗り越えようぜ!!」と腕を引っ張るような誘いを感じた。
「前回のワンマンより圧が凄い(笑)」とあっきー。納得だ。
「もっと最高のドラマチックな夜にしよう」(mick)と、この日を最高に彩る「ドラマチック」が、mickの歌や場内をバウンスさせた中盤のラテンビートを通して、《もっともっとありのままで》《人生よ、ドラマチックであれ》と誘う。
ミディアムさがブレンドされたのは、「クルテク」からであった。同曲に込められた、ただ愛したいだけ、ただ君に会いたいだけ、という正直な気持ちが歌や演奏と交わり、場内いっぱいに広がっていく。また、この日は久々ながらAmelieの出自とも呼べる曲も飛び出した。「この歌が色々な場所につれていってくれた」と始めた「グッバイハロー」は、オルガンの音色を交えて時を超え、変わらぬたくましさを携えて我々を引き連れていく。特にこの辺りに彼ららしい信憑性を多分に感じた。また、ピアノの音色を交えて贈られた「君といま生きている」では、場内も身体に染み込ませるように聴き浸っていたのが印象深い。ラストのハミングが3声のコーラスとともにエモく広がっていった。
後半戦は「キセキ」を口火にライブが走り出した。みんなで誇らしく気高く歌うこの楽曲が鳴り渡れば、会場もそこに謳歌のごとく雄々しい声を重ねていく。「朝は来る」ではステージに向けてのたくさんの力強い拳を見た。そして会場の大合唱から始まった、ドライブ感たっぷりの「手紙」では、しっかりと歌を通して言葉で伝えてきた彼らの真骨頂のような同曲が、しっかりと会場の隅々にまで行き届いているのを実感した。
会場に勇気を与え、改めて深くうなずかせたり、気づかせてくれる曲は続く。「ゼロじゃない」も、昨日までの自分にさよなら、新しい自分にこんにちはと、何度でもやり直したっていいことを改めて諭してくれ、対して絆と証を残すべく歌われた「愛とか恋とか君との証」では、ここで何かを残してやると言わんばかりの歌と演奏、会場の呼応が炸裂した。また、君といる景色がずっと続きますようにとの思いを込めて鳴らされた「step!」でのお客さんの呼応と大合唱も尊かった。
本編ラスト2曲はまさにラストスパートであった。出会ってくれたことへの感謝も込めて届けられた「ヒーロー」が、まるで「いつまでも自分たちがあなたたちのヒーローでい続けてやる!!」という宣言のごとく鳴り響いた。そして、本編最後はmickの歌と直人の爪弾きから「ノンフィクション」へ。「Amelieは自分たちの音楽を信じて前だけを向いて進んでいくんで、これからも一緒に歩んでください!!」(mick)の言葉とともに、改めてアライアンスが組まれた感を得た楽曲。苦楽を超えたがゆえに辿り着き、掴んだ心理のような歌が雄々しく場内に鳴り渡った。
アンコールでは、メンバー各々これまでとこれからについて、Amelieらしく誇示された。まずは11月リリース予定のニューミニアルバムから新曲「カントリーロード」が贈られる。エモさを擁した疾走感とドライブ感があるサウンドの上に、大切な故郷を歌った新曲は、「何万キロ離れたって、幾ら大人になったって、変わらない想いや変わりたくない」という気持ち、繋がっていたい願いや感謝が込められているように私には響いた。そして最後はハッピーに、始まりの鐘を再度高らかに鳴らすべく、「君が為に鐘は鳴る」がありったけの愛と感謝を込めて満場に放たれた。
「ツアーはこれにて終幕。バイバイ!」とmick。やり遂げた達成感いっぱいの顔を残し、4人はステージを降りた。
上述の「~的な」や「っぽさ」が凝固したもの、それがAmelieの歌であったことに改めて気づかされた感もあるこの日のライブ。もっと、かっこもつけられたはずだ。もっとスタイリッシュに、スマートに、背伸びして大きくみせることもできたはずだ。しかし彼らはそうはしなかった。いや、厳密にはそうしようとトライはしたができなかった…と言うべきか。たとえ取り繕っても、圧倒的に彼ら特有のベタな「Amelieっぽさ」が染み出し、滲み、溢れ出し、それらを上書きしてしまっていたのだから。
ライブのアンコールでは「重大発表」と銘打ち、11月13日のミニアルバムリリースと、初の東名阪ワンマンツアーの告知もあった。しかも、そのニューアルバムのタイトルが『アイデンティティ』。それって、まさしく「自分たち的な」って意味じゃん? なんだ、やっぱり!! 数々のパズルのピースがガシッガシッと大きな音を立ててハマり、そこに次のフェ-ズに向かうAmelieの4人の雄姿が浮かび上がった。ツアーこそ終われど、Amelieのノンフィクションな毎日はこれからも続いていく。ドラマチックにフィクションみたいに駆け抜けようと、我々の手を求めながら。
【取材・文:池田スカオ和宏】
【撮影:岩淵直人】
リリース情報
ノンフィクション
2019年04月24日
[NOiD] / murffin discs
1, 手と手
2, ノンフィクション
3, 愛とか恋とか君との証
[DVD]
1, ライアーゲームじゃ始まらない
2, 手紙
3, メグリメグル
4, 朝は来る
5, step!
6, STAND BY YOU
7, ヒーロー
(2018.09.22 @恵比寿LIQUID ROOM)
リリース情報
アイデンティティ
2019年11月13日
[NOiD] / murffin discs
2.アイデンティティの証明
3.バウムクーヘン
4.月の裏まで
5.東京
6.フルスピードで
セットリスト
ノンフィクション Release Tour 2019
2019.7.28@渋谷eggman
- 1. ライアーゲームじゃ始まらない
- 2. メグリメグル
- 3. 手と手
- 4. フェイク
- 5. WONDER
- 6. ドラマチック
- 7. クルテク
- 8. グッバイハロー
- 9. 君といま生きている
- 10. キセキ
- 11. 朝は来る
- 12. 手紙
- 13. ゼロじゃない
- 14. 愛とか恋とか君との証
- 15. step!
- 16. ヒーロー
- 17. ノンフィクション 【ENCORE】
- 1.カントリーロード
- 2.君が為に鐘は鳴る
お知らせ
Amelie「アイデンティティ」 Release Tour 2019-2020
2019/11/29(金)大阪 アメリカ村BEYOND
2019/12/13(金)愛知 名古屋ell.SIZE
2020/1/18(土)東京 渋谷CLUB QUATTRO
※全公演ワンマン
あいくれ ONESELF革命ツアー TOUR FINAL
9/3(火)東京 下北沢SHELTER
w/ あいくれ
TOKYO CALLING 2019
9/16(月)東京 渋谷ライブハウス13会場
AliAliVe2019-realize-
9/21(土)東京 渋谷CYCLONE
w/ AliA / The Winking Owl
塾長 pre. COME BACK HOME THE FINAL
9/27(金)東京 立川BABEL
w/ Phantom Excaliver / Azami / WAFY / +1BAND
LAKESITE KASHIWA 2019
9/28(土)千葉 Kingfisher Garden
ちょこロックフェス! 2019 in OSAKA
9/29(日)大阪 SUNHALL / SUNHALLサブステージ / CLAPPER / Pangea / BRONZE / DROP / BEYOND
アルコサイト「逆風を力に変えろツアー」
10/3(木)茨城 mito LIGHTHOUSE
w/ アルコサイト / ソウルフード / ...and more
EASTSIDEROCKERZ pre. [PUNK AROUND THE WORLD VOL.119 ]〜13th anniversary
EVERLONG“消える灯"Release Tour & SAME『LIFE is TOUR 2019』
10/12(土)愛知 豊橋club KNOT
w/ EVERLONG / HERO COMPLEX / SAME / WAFY
FM802 30PARTY MINAMI WHEEL 2019
10/14(月・祝)大阪 ライブハウス20会場
しゅうにゃんフェス2019
11/3(日)山口 RISING HALL / LIVE rise / 周南市立徳山駅前図書館
w/ アルカラ / 夜の本気ダンス / ユアネス / mol-74 / 神はサイコロを振らない / BAN’S ENCOUNTER / LEGO BIG MORL / カナタタケヒロ / LOCAL CONNECT / 稲村太佑 / ...and more
The Cheserasera presents “over the fence"
11/9(土)東京 Shinjyuku LOFT & LOFT BAR
w/ The Cheserasera / WOMCADOLE / ユアネス / The Songbards / ...and more
※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。