眉村ちあき 新たな曲も誕生!? 真の“ライブ”を体現した『眉村ちあき 追加公演 -ヤッターアハハハハハハハハハハハハハハダンスら-』
眉村ちあき | 2019.11.25
10月21日に恵比寿リキッドルームで行われた『眉村ちあき 東阪ワンマンライブ LIQUIDROOM~過剰なダブルピース~』は、本当にすごかった。眉村ちあきが自由奔放に動き回りながら歌声を響かせ、観客をグイグイと巻き込んでいった様が、生々しく思い出される。その興奮も冷めやらぬ中、渋谷WWWで行われた『眉村ちあき 追加公演 -ヤッターアハハハハハハハハハハハハハハダンスら-』。いつもよりも口紅を厚塗りしていて、あのファビュラスな某有名姉妹を意識しているのだという旨を語った本人による開演直前の影アナを聴きながら、マユムラー(眉村ちあきファンの呼称)は、居ても立ってもいられないほどワクワクしている様子だった。
「はっけよーい、のこった!」という声が響き渡り、突然、巨漢のおすもうさんの着ぐるみを身に纏ったちちゃん(眉村ちあきの愛称)が登場。「この扮装は、「ブラボー」の歌詞に出てくる《次会うときは6回り大きいよ》を表しているのかも?」などという強引なこじつけじみた解釈をする余裕があったはずもなく、「かわいい! 面白い! 素敵!」とキャアキャア盛り上がっていた我々に、「眉村ちあき、始めます!」と宣言して四股を踏んだ彼女の姿が勇ましかった。そして、「奇跡・神の子・天才犬!」がスタート。ハイテンションに歌いながらカラーボールを次々とフロアの後方にも届くように投げ込んだパフォーマンスは、彼女の身体能力がとても高いことを早速、実感させてくれた。しかし、用意した100個のカラーボールを歌いながらノンストップで投げるのは、やはり大変だったのだろう。途中で、ふと息切れした様子を見せていたのは、なかなか貴重な場面であった。
「いや~ん! 見ないで!」。スタッフに手伝ってもらって着ぐるみを脱ぎ、普通の服装(オリジナルグッズの“ブツブツちあきTシャツ”と“ブツブツちあきステテコ”)に戻ったところで突入した2曲目「MC マユムラ」。マユムラーの全力のコールが醸し出す熱気がものすごい。そして、それ以降も、会場内の熱気の上昇は、とどまるところを知らなかった。満員のフロアを実に嬉しそうに見回しながら歌っていたちちゃんの姿が印象的だった「ブラボー」。「1曲目でやりたいこと全部やったわ。だから、今からアンコールということでよろしく!」と我々に呼びかけてから歌い始めて、明るい大合唱を巻き起こした「トリプルキングミツバチ」。幻想的な世界へと我々を連れて行ってくれた「宇宙に行った副作用」。穏やかな手拍子を誘った「緑のハイヒール」……先日の恵比寿リキッドルームでは演奏しなかった曲もたくさん盛り込まれていたセットリストは、追加公演にふさわしい工夫が凝らされていた。
「新しい曲をいっぱい作ってるから、その中から小出しにしていこうと思うの。小出し商法を今から始めたいと思います! 私が飼ってた犬のレオンの歌。この間、死んじゃったの。すごく泣いて、悲しかったけど、明るい曲を作ろうと思ったの」と語ってから、初披露された新曲「スーパードッグ・レオン」。興奮するとおしっこを漏らす癖があった愛犬レオンの思い出を歌いつつ、随所で温かいウィットを利かせていたこの曲は、マユムラーの心を和ませていた。そして、既にライブで何度か披露されている新曲「DEKI☆NAI」と「壁みてる」を経て「代々木公園」も届けられたことによって、ますます穏やかなムードに包まれた渋谷WWW。大人っぽい妖艶さを交えながら歌い上げた「開国だ」。アコースティックギターの弾き語りが、マユムラーをうっとりとさせた「おじさん」……豊かな表現力で裏打ちされた歌が、伸び伸びと煌めき続ける場面の連続であった。
恒例の“左手だけで踊る人ダンス”と「右手!」という元気いっぱいのコールを巻き起こした「Queeeeeeeeeen!」は、途中でちちゃんがフロアに突入。マユムラーの間を縫いながら移動して、フロア後方の柵に座りながら歌い始めたのだが……彼女の身にとんでもないハプニングが襲いかった。途中で突然、目を丸くしながら「歯が欠けたんだけど!」と言うもんだから我々も仰天! おそらくマイクが前歯に当たったのだろう。さすがの彼女も動揺した様子であったが、そのような状況の中、ステージに置いてあるPCから、もともと予定していた曲順通りに流れ始めたトラックは、なんと「Teeth of Peace」! 予約を自分で入れて、ちゃんと保険証も持って、誰にも付き添われずに歯医者に行くという偉業について歌っているこの曲が、このタイミングでスタートしたという奇跡は、今後もマユムラーの間で語り継がれるに違いない。
彼女が本当に“奇跡・神の子・天才犬!”であることが証明されてしまったところで迎えたインターバル。「道がない!」と叫ぶと、ステージへの延長戦上にいるマユムラーたちが背中を丸めながらフロアに伏せて、歩きやすい道ができる――という映画『十戒』のモーゼを想起させる御業を使って、十数人の背中の上を歩きながらステージに戻った彼女は、まだ歯が欠けたことを気にしている様子だったが、「さーて、気を取り直して」と、すぐに立ち直り「書き下ろし主題歌」を歌った。そして、“歯医者に早く行きたい”“私は予約ができない”“欠けた前歯はどうやって治すの?”“欠けたところがザラザラして気になる”という魂の叫びを込めた即興ラップを経て、再びMCタイム。「今日は、追加公演に来てくれてありがとう。なんで追加公演になったかというと、この間のリキッドルームがすぐに売り切れたから」と言って、拍手喝采を浴びた彼女は、たくさんのマユムラーの顔を、愛おしそうに眺めた。「甘やかされてるの、私。みんなは私のことを知ってるじゃん? でも、知らない人の集団に入ると、誰にも甘えられないじゃん? 絶好の場所なんだ。私にとってここが生きがいなの!」と語ってから披露された「本気のラブソング」は、マユムラーを優しく包み込んでいた。
「大丈夫」が届けられて、温かい感動が広がった後、「メソ・ポタ・ミア」によって爆発的な盛り上がりへと突入。そして、本編を締め括ったのは「顔面ファラウェイ」。先日の恵比寿リキッドルーム公演で初披露された曲だが、既にマユムラーたちからの熱い支持を集めている様子だった。そして、鳴りやまない拍手と歓声に応えて行われたアンコール。厳かにスクリーンが降下してきたので、何か映像が流れることが予想されたが……中途半端なタイミングで2回、クラッシュシンバルの音が鳴り響いたのみで、かなり長い沈黙状態が続いたのはどういうわけなのか? 「ははーん。告知をするフリをして我々を散々ジラすという、いつものやつだな」と思ったところで、「情報解禁でした! すごい? びっくりしたでしょ?」と得意げに言いながら現れたちちゃん。「やっぱり、イタズラだったんだ」と納得した我々であったが、「戻って!」と突然スタッフに言われた彼女は、慌ててステージ袖に引っ込んでしまった。すると、スクリーンで流れ始めた告知映像。単に機材トラブルが起こっていただけらしい……。「2020年1月8日 アルバム『劇団オギャリズム』発売」「2月より全国ツアーがスタート」「4月に東京で行うツアーファイナル公演の詳細は後日発表」――ということが、しっかりとアナウンスされた。
アンコールの1曲目「おばあちゃんがサイドスロー」を披露した後は、一応MCタイムだったのだが、アカペラの「もののけ姫」が、いつの間にかひとりで演じるラップバトルへと転じたのは、シュール極まりなかった。「どっちが本物のもののけなのか?」という件でラッパー同士が争っていたはずなのに、「のりたまを黄色と緑の粒に分けるバトル」と化していったのは、一体何だったのか? ラッパーの妻(主婦)、彼女(ギャル)も召喚されて、ますますのカオスへと雪崩れ込む様を爆笑しながら見守りつつ、《へーい! 仕分けよう のりたま仕分けよう》と、あたかもお馴染みの曲のように大合唱を始めたマユムラーの対応力は、さすがであった。何が起こるのか予想できないちちゃんのライブは、こういう素晴らしいファンに支えられているのだ。
「これだよ、これ! これがライブってものでしょ! これが音源化されたら、みんなはその場にいた証言者になるんだよ。私がどれだけノリで曲を作ってるのか、今、証明されたでしょ?」と言い、マユムラーと一緒に歌った即興ソングをとても喜んでいたちちゃんが、アカペラで歌い始めた「ピッコロ虫」。エレキギターを弾きながら“絶対に音楽をやめないという決意”“Mステや紅白に600回出るという目標”を即興で歌った場面を経て、トラックをスタートさせると、一際力強く歌声を響かせた。そして、「ナックルセンス」も披露されて一旦は終演を迎えたように思われたのだが、熱い歓声に応えてダブルアンコール(彼女の発音に忠実に表記するならば“ダボアンコー”)が行われた。届けられたのは、「ビバ☆青春☆カメ☆トマト」。爽やかな大合唱が、このライブのラストを華麗に飾った。
「メンバー紹介します! 眉村ちあき! マユムラー!」――共に最高の空間を作ったマユムラーを、ちちゃんは“メンバー”として誇らしげに讃えていた。投げキッスをたくさん投げつつ心から名残惜しそうにしていた彼女が、ステージからの去り際に発した「また一緒にライブしようね!」という言葉は、あの場にいた全てのマユムラーにとって心底嬉しかったに違いない。“ライブ”という言葉の真の意味が、完璧に体現されている眉村ちあきのライブは、本当に楽しくて美しい。彼女を心から応援するマユムラーの輪は、今後も劇的な勢いで広がり続けるだろう。
【取材・文:田中 大】
【Photo:樋口涼】
リリース情報
劇団オギャリズム
2020年01月08日
TOY’S FACTORY
02.壁みてる
03.夏のラーメンワルツ
04.おばあちゃんがサイドスロー
05.タイムスリッパー
06.あたかもガガ
07.緑のハイヒール
08.チャーリー
09.スクワットブンブン
10.私についてこいよ
11.スーパードッグ・レオン
12.顔面ファラウェイ
13.ぬ
Bonus Track:アハハハハ
セットリスト
眉村ちあき 追加公演 −ヤッターアハハハハハハハハハハハハハハダンスら−
2019.11.7@渋谷WWW
- 1.奇跡・神の子・天才犬!
- 2.MC マユムラ
- 3.ブラボー
- 4.トリプルキングミツバチ
- 5.宇宙に行った副作用
- 6.緑のハイヒール
- 7.スーパードッグ・レオン
- 8.DEKI☆NAI
- 9.壁みてる
- 10.代々木公園
- 11.開国だ
- 12.おじさん
- 13.Queeeeeeeeeen!
- 14.Teeth of Peace
- 15.書き下ろし主題歌
- 16.本気のラブソング
- 17.大丈夫
- 18.メソ・ポタ・ミア
- 19.顔面ファラウェイ 【ENCORE】
- EN1. おばあちゃんがサイドスロー
- EN2. ピッコロ虫
- EN3. ナックルセンス 【W ENCORE】
- WEN1. ビバ☆青春☆カメ☆トマト
お知らせ
全国ツアー【CHIAKI MAYUMURA 2nd Tour 劇団オギャリズム】
2020/02/07(金)宮城・仙台spaceZero
2020/02/09(日)北海道・札幌COLONY
2020/02/11(火)新潟・GOLDEN PIGS Yellow Stage
2020/02/22(土)静岡・ FMステージ磐田
2020/02/23(日)愛知・名古屋SPADEBOX
2020/02/24(月)大阪・BANANA HALL
2020/03/06(金)福岡・DRUM Be-1
2020/03/08(日)広島・SECOND CRUTCH
2020/03/22(日)栃木・ HEAVEN’S ROCK 宇都宮 VJ-2
ちのてきこえん! 第80回
2019/11/29(金)心斎橋SUNHALL【ワンマン】
打首獄門同好会の47都道府県ツアー『獄至十五ツアー』
2019/12/1(日)桜坂セントラル(沖縄)
下北にて`19(イベント)
2019/12/7(土)下北沢ガレージ
エアトリ presents 毎日がクリスマス『クリハ!!』
2019/12/15(日)横浜赤レンガ倉庫 1号館 3Fホール
ちのてきこえん!第704回 渋谷編
2020/01/13(月)TSUTAYA O-EAST【ワンマン】
「クソイベ」(ゴールデンボンバー鬼龍院翔 企画ライブ)
2020/01/15(水)TSUTAYA O-WEST
2020/02/04(火)大阪BIG CAT
試練の虎 2019~タイトラ5DAYS突然監禁ライブ(突然少年イベント)
2020/01/27(月)神戸 太陽と虎
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