coldrain、彼らにとっての聖地で行われた“THE SIDE EFFECTS ONE MAN TOUR 2019”追加公演
coldrain | 2019.12.04
「今日のライブは、昔、想像していた光景との答え合わせのようだ!!」。この日のライブ中のMCにて、Masato(Vo)はそこに広がる光景をそのようなニュアンスで称した。
目標とし、いつしかそれをクリアし、例えそれ以上になっても「戻りたくなる場所」が誰にでもある。正直、今のcoldrainは、この日の会場であった新木場STUDIO COAST(約3000人収容)では収まりきらない動員を誇る。しかし、ことあるごとにあえてこの場所に立つのは、やはり、ここに大切なタイムカプセル的なものを活動初期の頃に埋めていたからに違いない。そして時々はここにきてそれを掘り返し、現在の自身を改めて確認し、また次へと進んでいく…。
この日の彼らもまさにそうであった。どこかウキウキとしたメンバーの雰囲気と気概。止まらないMC。我慢し切れずフロアに降り会場ど真ん中でみんなに揉まれながら歌ったり、急遽追加された楽曲のサービスプレイ等々。そのどれもが、“いつか満場の中でこんなことを…”と、まだそこでのワンマンすら叶わなかった時代に思い描いていた自身や光景との答え合わせでもあったように今は映る。
coldrainが今夏発売したアルバム『THE SIDE EFFECTS』と共に、追加公演も合わせ全国11箇所回ったワンマンツアー“THE SIDE EFFECTS ONE MAN TOUR 2019”が大成功を収め完遂した。ニューアルバムのほぼ全曲がプレイされ、且つ人気曲、代表曲、はたまた懐かしい曲が散りばめられ贈られた同ツアー。以下は同ツアーの追加公演、彼らにとっての聖地・新木場STUDIO COASTでのドキュメントだ。
開演の10分前から紗幕にカウントダウンが刻まれていく。それが10を切ると、場内からカウントダウンの声があがる。SEが轟き、場内のクラップの中、紗幕にメンバーのアップや工場地帯の映像が映し出される。高まる緊張感。彼らのロゴと、最新アー写に近い誘うようなポーズの映像がその最後を飾り、ノイズとバグがそれらを奪っていく…。紗幕に赤くライトが明滅し、メンバーのシルエットが…。1曲目は『THE SIDE EFFECTS』の一曲目を飾っていた「MAYDAY」。同曲のイントロと共にその幕が切って落とされる。合わせて場内も激しくバウンス。スモークも噴射され、ヘヴィながらも躍動感を擁した同曲が会場を惹き連れて走り出していく。「行こうぜ!新木場!!」と煽るMasato。お馴染みの骸骨マイクを握る姿も勇敢だ。序盤の3曲はニューアルバムからの勢いのある曲たちが連射された。続く「REVOLUTION」では雄々しいシンガロングが場内に活力を寄与。間にはトラップミュージックを挟み起爆を誘っていく。Katsuma(Dr)によるカウパンクのりのビートと、中盤での地響きを立てるようなツインペダル、そしてY.K.C(Gt)のライトハンドも印象的だった「ANSWER/SICKNESS」では、サビの性急部にて会場にサークルの大きな花を咲かせていく。
「coldrainがSTUDIO COASTに帰ってきましたよ。すでにカオスですが、やるからには最高のライブをするから。3000人対5人。絶対に負けねえからな!かかってこいよ!!」とMasato。「The Revelation」ではフロアに無数の巨大サークルが育まれ、その混沌さを超えた先に現れる彼ら特有の哀しさを宿したサビが一段と美しく響いた。また、シンセやスクラッチの同期も加わり神々しかった「Voiceless」に入るとRxYxO(Ba/Ch)のステージアクションも一段と激しさを増していく。と同時に同曲にて、Sugi(Gt)とY.K.Cの2本のギターが重なりモータードライブを魅せにかかれば、対して新作からの曲も負けてはいない。「COEXIST」では神秘性が場内を支配し、そこを抜けて現れた哀しさを帯びたメロディアスさが場内を魅了。また、「SPEAK」では、火花も上がる中での各位の雄姿も目に焼きついている。
今や幅広い層が会場に足を運ぶ現状を鑑み、「親に反対されてきた中、ここまで続けてきたけど、今や親世代の人たちにも観てもらえて嬉しい」とMasato。「だけどその今の笑顔を無くすぐらいの凄いライブをしてやるから!!」と続け、再び場内のエネルギーを奪いにかかる。「F.T.T.T」では無数のサークルを生み出し、ストレート部ではクラウドサーフ部隊も黙っていない。無数のダイバーがステージに向かって押し寄せれば、「Six Feet Under」ではSugiもグロウルなシャウトを楽曲に加えていった。また、同曲ではY.K.Cのソロに続くSugiのソロ、そして合わさったツインリードが鳥肌を立てさせた。また、ダイナミズム溢れる「R.I.P.」では、とてつもない大地感が場内いっぱいに広がっていく様を見た。
Y.K.Cがアコギを手にハイチェアに座る。アルバムからのバラード曲「JANUARY 1ST」がここで登場した。その綴られる哀しい物語に場内も聴き入る。続いてピアノ音が「INSOMNIA」のイントロを奏で出す。ステージを覆うスモークの雲海が神秘さを作り出し、間ではストームのようなY.K.Cのギターソロも堪能できた。「ニューアルバムで一番重要な曲」とのMasatoの紹介の後、ニューアルバムのタイトル曲でもあった「THE SIDE EFFECTS」が。間にはトラップミュージックを織り交え、同曲が内包したその哀しさを場内いっぱいに広げていく。
「ここからはお前らの心に突き刺さるラウドな曲たちを喰らわせてやる!!」とばかりに入った後半戦では、憧れだった同会場にて、かつてワンマンを成功させた際のことを歌にした「Evolve」が会場を再び飲み込みにかかれば、「24-7」ではウォール・オブ・デスを始め、バウンスと無数のクラウドサーフを育み、これまた初期からの曲「Die tomorrow」が会場を雄々しくシンガロングさせた。
ここで一曲、特別に「FIRE IN THE SKY」が急遽加えられ、マッシブな曲に会場の海原がさらに波立つ。対して「STAY THE COURSE」では、これまたメローな隙間の多いサウンドと、Y.K.Cのセンチメンタル性を擁したギターソロで、哀しみを会場いっぱいに染み渡らせていった。そして、この日は特別に「SEE YOU」をフロアのど真ん中で歌った。客にリフトされ文字通りみんなと共に歌った同曲が感動を伴い、皆に生命力を与えていく。そして本編ラストは<駆け抜けん!!>とばかりに「ENVY」が会場のカオスを引き連れていった。
アンコール。「これまで十数年、みんなから力をもらってきたから、何年続けていけるか分からねぇけど、これからはその力をもらったぶん返せるバンドとしてやっていくから」とMasatoが満場にマニフェスト。ニューアルバムから「BREATHE」をダイナミズムたっぷりに、哀しみを帯びて響かせていく。対して、会場全体のヘッドバンキングを生んだ「WRONG」が先の公約通りのエネルギーを寄与してくれ、阿鼻叫喚とカオスを作り出しながらも、どこか清々しかった「No Escape」では真っ赤なライティングのステージと共に彼らも美しく燃えた。
「身をもって感じました…。お前ら気持ち悪いよ(誉め言葉)。お前ら普通じゃねえんだよ!最高なんだよ!!ここを出たらその(coldrainの)バンT(バンドTシャツ)は最強です。俺らの音楽がお前らにその力を与えられるなら、俺らはいつまでもバンドを続けるよ!!」と「Final Destination」が。最後は美しく火柱が上がり、会場中の信頼感たっぷりの魂を一身に受け、吸心し、巨大なエネルギーとなった同曲が、ステージに、そして会場にとてつもない力を与え合っていく。それらを与え終えると、その使命を終えたかのように、5人はまた次のステージに向け袖へと消えた。
2008年11月の『TASTE OF CHAOS 2008』にてオープニングアクトに急遽抜擢されて以来、このSTUDIO COASTを埋めるのが夢だったと、この日のライブ中に語ったMasato。深夜営業ではクラブ仕様に変わる、このミッドとローがキチンと効いたサウンドシステムと横に広い場内。超大箱ながら、わりと後ろまで近く感じる身近さもあり、この会場をフェイバリットに挙げるバンドやアーティストも多い。
もうとっくに満杯やソールドアウトの夢は叶えてきたが、それでも戻ってきたい。ここでまたプレイしたい。そしてそれが実現できている今…。普段のクールな彼らからはあまり感じられないそんな嬉しさに、この日は満ちていた。
今後もことある毎に、「その答え合わせ」をしに彼らはまたここに立つだろう。そしてそれを機にまた更に飛躍していく。その答え合わせの現場と、そこでこれまでの最高点が取れた瞬間に立ち会えて良かったと心から思っている。
【取材・文:池田スカオ和宏】
【撮影:@yamada_mphoto】
リリース情報
THE SIDE EFFECTS
2019年08月28日
ワーナーミュージックジャパン
02. COEXIST
03. SEE YOU
04. SPEAK
05. THE SIDE EFFECT
06. JANUARY 1ST
07. INSOMNIA
08. ANSWER / SICKNESS
09. BREATHE
10. STAY THE COURSE
11. REVOLUTION
12. LI(E)FE
セットリスト
THE SIDE EFFECTS ONE MAN TOUR 2019
2019.11.06@新木場STUDIO COAST
- 1.MAYDAY
- 2.REVOLUTION
- 3.ANSWER/SICKNESS
- 4.The Revelation
- 5.Voiceless
- 6.COEXIST
- 7.SPEAK
- 8.F.T.T.T
- 9.Six Feet Under
- 10.R.I.P.
- 11.JANUARY 1ST
- 12.INSOMNIA
- 13.THE SIDE EFFECTS
- 14.Evolve
- 15.24-7
- 16.Die tomorrow
- 17.FIRE IN THE SKY
- 18.STAY THE COURSE
- 19.SEE YOU
- 20.ENVY 【ENCORE】
- En-1.BREATHE
- En-2.WRONG
- En-3.No Escape
- En-4.Final Destination
お知らせ
PUNK ROCK THROUGH THE NIGHT SPECIAL Vo/9
2019/12/14(土)新潟LOTS
【振替】"THE SIDE EFFECTS" ONEMAN TOUR 2019
2019/12/15(日)仙台PIT
ポルノ超特急2019
2019/12/21(土)京都パルスプラザ
rockin’on presents “COUNTDOWN JAPAN 19/20”
2019/12/28(土)幕張メッセ国際展示場1~11ホール
NO MATTER LIVE
2020/01/11(土)Zepp Sapporo
テレ・マーカーpresents MUSASHI ROCK FESTIVAL2020
2020/01/13(月)豊洲PIT
BLARE FEST.2020
2020/02/01(土)ポートメッセなごや
2020/02/02(日)ポートメッセなごや
※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。