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ずっと真夜中でいいのに。、ツアー千秋楽で心奪われた1秒先に何が起こるかわからない爆発寸前の高揚感

ずっと真夜中でいいのに。 | 2019.12.05

 ずっと真夜中でいいのに。(以下、ずとまよ)とは、混沌とした社会状況が生み出した願望なのかもしれない。時代の空気を暴く、コミュニケーション不全をエモーショナルに爆裂させるパンキッシュなポップセンス。その着火ポイントは“苛立ち”だ。なりたい自分となれない自分。1秒先に何が起こるかわからない爆発寸前の高揚感に心奪われた瞬間だった。

 ずとまよ、全国ツアー『潜潜ツアー(秋の味覚編)』におけるZepp Tokyoで行われたファイナルを目撃した。開演直前、目の前に広がるコンクリートとパイプがむき出しなアジトのような空間にコタツがおかれた異次元空間。非日常の、異色空間にドキドキが加速する。

 10月30日、1stフルアルバム『潜潜話』をリリース。メジャーデビューから早1年。動画総再生回数3,600万回を突破した「秒針を噛む」を含む珠玉のナンバーがうねるような物語として再構築されていく名場面の数々。ボーカリスト・ACAねによる感受性の強さが言葉や佇まいなどから伝わってくる。緊張が解けていくオーディエンスとの絶妙なる距離感。独特な空気感を持つライブ空間だ。



 度肝を抜かれたのは、まるでダンサー感覚でオープンリール式のテープレコーダーを改造して楽器として演奏するアート集団Open Reel Ensembleを迎えたコラボレーションだ。アナログなサンプリング感覚によってリアルタイムに音像が再構築されていく、時間軸を歪ませる表現センス。ああ、これは映像演出に特化しがちな昨今の一般的なライブとは異なる、視覚と聴覚の意味を問いただす表現への挑戦だ。ずとまよが解き放つ表現からあなたは何を感じ取るだろうか? そんな挑戦のように受け取れた、先鋭的かつポップセンスを忘れない瞬発力の異常に高いパフォーマンスとなった。高度に練りこまれたアンサンブルと豊かなグルーヴ、物語を先導する情景を浮き彫りにするストーリーテラーとしてのセンス。まさに圧巻なステージだった。

 このライブを観て、そもそもライブレポートなんて、演奏順に楽曲を解説したりMCをそのまま書き起こすなんて野暮だと思った。最近では、ライブ数分後にアップする即あげレポが当たり前というふしがあるが、いきすぎたジャーナリズムは表現活動の邪魔になる。そんな思いを断ち切るほどに鮮烈なライブだった。なので、このレポートでは詳細は書かない。ひとつ言えるのは、ずとまよは確実にネクストステージへ足を踏み入れたということだ。本編後に発表された、2020年5月5日(火)、6日(水)幕張メッセイベントホールで開催する2デイズ公演は必見だ。未来の音楽シーンを占う、必ずや体験して欲しいライブだ。



【文:ふくりゅう(音楽コンシェルジュ)】
【撮影:鳥居洋介】

tag一覧 ライブ 女性ボーカル ずっと真夜中でいいのに。

リリース情報

潜潜話

潜潜話

2019年10月30日

ユニバーサル ミュージック

01. 脳裏上のクラッカー
02. 勘冴えて悔しいわ
03. 居眠り遠征隊
04. ハゼ馳せる果てるまで
05. 蹴っ飛ばした毛布
06. Dear. Mr「F」
07. こんなこと騒動
08. 眩しいDNAだけ
09. ヒューマノイド
10. グラスとラムレーズン
11. 正義
12. 優しくLAST SMILE
13. 秒針を噛む

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お知らせ

■ライブ情報

・COUNTDOWN JAPAN 19/20
2019/12/31(火) 幕張メッセ国際展示場1~11ホール、イベントホール

・2020/05/05(火・祝)、06(水・祝) 幕張メッセ幕張イベントホール

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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