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ちゃんみな「THE PRINCESS PROJECT 4」追加公演

ちゃんみな | 2019.12.25

 幼少の頃よりアーティストになる夢を抱き、今では、唯一無二のトリリンガルラッパー&シンガーとして活躍中のちゃんみな。そんな彼女の初となるホールツアー「THE PRINCESS PROJECT 4」が11月に開催され、そのチケットが即完売したことを受けて、12月12日、昭和女子大学人見記念講堂にて「THE PRINCESS PROJECT 4」の追加公演が行われた。

 これまでにも毎回全く異なるコンセプトを打ち出し、ライブを越えたエンターテイナーショーを繰り広げてきた彼女だが、本ツアーは、最新アルバムのタイトルが「大人にならない」という意味を持つ『Never Grow Up』であることから“ネバーランド”がコンセプト。と同時に、“天国と地獄”や“二面性”もテーマとしていたようで、異様なほど真っ白に彩られた天国ブロックと、禍々しいほど赤く染まる地獄ブロックで、異なるテイストの楽曲を届けていたことも印象的だった。そして、ステージは上段・下段に分かれ、下段の後方(上段の階段下)には生バンドがスタンバイ。公演中、ステージ後方の大画面にはコンセプトを象徴するように巨大な時計が鎮座し、時計に見守られる形でライブは展開された。

 開演時刻を少し過ぎた頃、突如、その巨大な時計が、時間を巻き戻すかのように猛スピードで逆回転し始めた。そこへ、ウェディングドレスを彷彿とさせる純白のドレスとベールを纏ったちゃんみなが、颯爽と登場。最新アルバム『Never Grow Up』から「君が勝った」をゆったりと歌い始める。続けて、ラテン系のサウンドと吐息交じりの歌声が色っぽい「GREEN LIGHT」を届けると、いつの間にか目前には不可思議な光景が広がっていた――。下段のステージに真っ白なダイニングテーブルが運び込まれ、中世の貴族を思わせる真っ白なファッションに身を包んだダンサーチームと、ベールを脱ぎ捨てたちゃんみなが着席。それはまるで優雅な食事会といった雰囲気だ。しかし、片思いの切ない叫びを乗せた「CAFE」と共に始まったのは、キレの良いタットダンス。ステージの照明が暗転するたびに7人の手と顔がブラックライトに反応するネオンメイクが光を放ち、狂気じみた新たな物語を描き出した。
そうかと思えば、「CHOCOLATE」では、トロピカル調のトラックに乗って観客も一緒にダンス! 複雑な女心を赤裸々な言葉で綴った「Call」は、ステージ一面に水面や夜景などの映像を投影しながら、1人呟くように歌唱……と、さまざまな演出で観客を翻弄するちゃんみな。イントロが流れた途端、一際大きな歓声が挙がった人気曲「Doctor」では、ネオンカラーの個性的なキャラクターをプロジェクションマッピングでステージに映し出す演出もありつつ、「ニキニキ!」「ピチピチ!」「キラキラ!」という定番の掛け声が、ちゃんみなと観客の心の距離をグッと近づけていった。
「私はみんなと一緒に歌うのが大好きなんです。知ってる曲があったら、一緒に歌ってくれますか?」
そう言い添えて始まったのは、“私達のテーマソング”「GIRLS」。観客に語りかけるように、それでいて自分を奮い立たせるように<怖がってないでチャレンジしようよ>と叫ぶ。続くラブソング「Never」では、男性ダンサーとの饒舌なペアダンスで観客を魅了。男性ダンサーがちゃんみなを抱きかかえたり、ちゃんみなの手にキスをするなど、静動併せ持つロマンティックな演出に、客席からは悲鳴に似た歓声が幾度となく挙がっていた。

 一転、時計が怪しい赤みを帯び始めると、上段のステージに黒い衣装に着替えたちゃんみなが現れた。スツールに腰かけ、前のめりで挑発するように歌い始めたのは、「MY NAME」。攻撃的なロックサウンドとエネルギッシュな歌声が、“地獄”パートの幕開けを告げる。次世代の勇ましいプリンセス像を描いた「Princess」では、歌いながら拳を突き上げる場面も。「My Own Lane」や「TO HATERS」では、ラッパーとしてのスキルの高さを示しながら、胸の内にある強いメッセージを届けていった。

「私の曲って、私が傷ついたり、心が痛いって思った時に生まれた曲達ばっかりで……残骸なんです。でも、私にとっての残骸をみなさんがこんなにも良いって言ってくれて、こんな人数が集まってくれて、一緒に歌ってくれて、それがアートになっている気がして。私はこの環境にすごく感謝しています」。
本編中盤、ちゃんみなは微笑みながらそう語った。一見、強い女性の象徴のようなちゃんみなだが、常に強くありたいわけではないし、もちろん弱い一面もある。無理をして強く見せている時もある。だからこそ、実体験を赤裸々に歌詞にしてきた彼女にとって、どの曲も彼女の痛みや葛藤を閉じ込めた“残骸”なのだ。それでも、たくさんの人がその歌に共感し、誰かの心を救った時、自分の痛みが決して無駄ではなかったと彼女は知る。そんな想いを噛みしめながら、古傷を抉るように、絞り出すように歌ったのは、「PAIN IS BEAUTY」。そこに観客の頼もしい歌声が重なると、ちゃんみなは「本当にありがとうみんな。聞こえました!」ととびきりの笑顔を輝かせた。

 本編後半には、2月に二作同時リリースする最新EP「note-book -Me.-」「note-book -u.-」より、「ボイスメモ No.5」と「In The Flames」も初披露された。「ボイスメモ No.5」は、アメリカで運命的な出会いを果たした“完璧なギター・ジュリー”で弾き語り。スロウバラード「In The Flames」は、重厚なピアノ伴奏に乗せてエモーショナルに歌い上げる。「note-book -Me.-」「note-book -u.-」というタイトルは、“普段自分の想いや歌詞を書き溜めているノートをそのまま作品にして世に届けたい”との想いから名付けたとのこと。ちゃんみな曰く、病み期に書き上げた曲達だそうで、今まで以上に本音を曝け出した作品になることだろう。

 また、<こんな風に>というフレーズがクセになる「Like This」は、恋愛面ではなかなか素直になれない、ちゃんみな流の誘惑ソング。ステージ上では男性ダンサーを押し倒し、大胆な絡みを繰り広げる彼女も、歌詞を紐解いていくとロマンチストでピュアな一面が顔を出す。さらに、時計が燃え盛る炎に包まれる中、「後半戦行くぞー!」と喝を入れ直すと、自分の音楽を安直にカテゴライズする世の中に向けてのメッセージソング「I’m a Pop」でラストスパートをかける。人気曲「LADY」を観客と大合唱した後は、「今日、今年最後の満月らしいです。すごくない!?」と興奮気味に語り、<さよならをしよう月が綺麗だね>で締め括られる「Never Grow Up」へ。アルバムタイトルでもあるこの曲は、くっついたり離れたりを繰り返してしまう、大人になれない恋愛を歌った別れの歌。この曲を最後に自分の恋心にも踏ん切りをつけたというちゃんみなに、女性ファンだけでなく、男性ファンからも歌声のエールが送られた。

 再登場するや否や、フロアに舞い降り、観客に囲まれながら「アーカイブに保存した曲」を歌ったアンコール。『THE PRINCESS PROJECT 3』を行った際に「次のワンマンまで、自分の夢に少しでも近づくこと」を観客と約束していた彼女は、今回も新たな約束として「次に会う時まで、自分をもう一段階よく知ってください。もっと自分を愛してください」という宿題を出し、「頑張ろうね、みんな!」と語りかける。そしてラストは、“このまま幸せな時が続けばいいのに”という想いを乗せた、ロックチューン「SAD SONG」。疾走感溢れるバンドサウンドに背中を預けて、楽しげにダンサーズとじゃれ合うちゃんみなの姿が、この場所が彼女の居場所なのだと改めて伝えていた。

【取材・文:斉藤碧】
【撮影:横山マサト】

tag一覧 ライブ 女性ボーカル ちゃんみな

リリース情報

Never Grow Up

Never Grow Up

2019年08月07日

ワーナーミュージック・ジャパン

01. Call
02. I’m a Pop
03. PAIN IS BEAUTY
04. Never Grow Up
05. Yesterday
06. 君が勝った
07. My Own Lane
08. GIRLS
09. Can U Love Me
10. Like This
11. Doctor
12. CAFE
13. アーカイブに保存した曲

セットリスト

THE PRINCESS PROJECT 4
2019.12.12@昭和女子大学人見記念講堂

  1. 1.君が勝った
  2. 2.GREEN LIGHT
  3. 3.CAFE
  4. 4.CHOCOLATE
  5. 5.Call
  6. 6.Doctor
  7. 7.GIRLS
  8. 8.Never
  9. 9.MY NAME
  10. 10.Princess
  11. 11.My Own Lane
  12. 12.TO HATERS
  13. 13.PAIN IS BEAUTY
  14. 14.ボイスメモ No.5
  15. 15.In The Flames
  16. 16.Like This
  17. 17.I’m a Pop
  18. 18.LADY
  19. 19.Never Grow Up
  20. EN1.アーカイブに保存した曲
  21. EN2.SAD SONG

お知らせ

■ライブ情報

まるりとりゅうがフェス2020
2020/01/18(土)ZEPP TOKYO

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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