KEYTALKのライブはさらに骨太に――多彩なサウンドが彼らの魅力を確固たるものにしている確信
KEYTALK | 2019.12.25
ステージに寺中友将(Vo・G)、首藤義勝(Vo・B)、小野武正(G・MC・Cho)、八木優樹(Dr・Cho)が登場。巨匠(寺中)が煽ると、観客の手拍子が激しくなり、ものすごい歓声が起こった。そして、最新アルバム『DON’T STOP THE MUSIC』の収録曲「DROP2」がスタート。怒涛の展開、桁外れの疾走感がスリリングなこの曲は、“作詞作曲をした武正が親友の八木に人類の限界を超えたドラミングを要求している!”という衝撃をファンに与えていた。ライブでどうなるのか心配されていたのだが、最高にドラマチックなサウンドが鳴り響いて、観客は拍手喝采。続いて、「パラレル」と「ロトカ・ヴォルテラ」も披露されたことによって、Zepp Tokyoは、ものすごい熱気で包まれていった。
いつでも素晴らしい演奏を聴かせてくれるKEYTALKだが、このライブではいつにも増してワイルドでダイナミックなサウンドが鳴り響いているように感じられた。「真夏の衝動」や「ララ・ラプソディー」といった開放感に満ちたサマーチューンも、骨太なサウンドが冴え渡っていて、猛烈にゾクゾクさせられた。そして、演奏中は圧倒的にかっこいい4人なのに、合間のMCではムードが一変。ユルユルとしたメンバー同士のやり取りが、大いに和ませてくれた。今回のツアーのサブタイルは、「本当にダイジョーブ?? 爆発寸前!! 武正の足爆弾」。2020年2月16日に開催される「熊本城マラソン」にメンバーたちは参加する予定で、武正と八木は同大会の「歴史めぐりフルマラソン」を走ることになっている。武正は、当日に備えてトレーニングを重ねているらしい。「小野くん、爆弾成長してる?」と巨匠に訊かれて、「この前、お台場から下北沢まで走ったんだけど、見事に表参道で爆発しました」と答えた武正。“彼がひとりで走るのは寂しそうだから”という理由で参加を決めた八木は、「僕はトレーニングをしてないので置いてかれそうだなと思ってます。膝が爆発して、スピードを落としてくれれば、僕と一緒に走れるんですが」と言って、観客を爆笑させていた。
最新アルバムの曲を随所で披露しつつ、お馴染みの曲も絶妙なバランスで盛り込んでいたセットリストは、とても濃密な内容であった。インディーズ時代の曲「fiction escape」が軽快な手拍子を誘った直後、アバンギャルドな展開とキャッチーなメロディが不思議な融合の仕方をしている新曲「アカネ・ワルツ」、その次は瑞々しいメロディが煌めく「Love me」……というように、曲毎にカラーがかなり異なっていたが、多彩なサウンドが、どれも「楽しい」「気持ちいい」「かっこいい」に着地していた様は、KEYTALKの只者でなさを改めて実感させてくれた。楽曲に新鮮な要素を盛り込んでも付け焼刃になることなく、自分たちらしく表現できるバンドだからこそ、彼らはファンを着々と増やしながら刺激的な活動を重ねられているのだと思う。そして、彼らの魅力はライブにユニークなゲストを招いても揺らがないということが、この日のステージでは証明されていた。
「Summer Venus」の途中で、突然現れたスペシャルゲストは、現役の医師であり、医者や医療に関するあるあるネタが人気の芸人・しゅんしゅんクリニックP。切れ味抜群のダンスを披露した彼は、もともとKEYTALKのファン。ツイッターでのやり取りがきっかけで、巨匠との交流が始まったらしい。彼のオリジナルソング「ヘイヘイドクター」をしゅんしゅんクリニックPと巨匠が一緒に踊った後、“義勝のベース、左肩が下がる”“武正のボケ、声量でごまかす”“八木ちゃん、すぐに飛行機乗り遅れる”という「ヘイヘイKEYTALK」も披露されて、観客は拍手喝采。そして、ライブは後半戦へと華々しく突入していった。
ミステリアスで妖艶なサウンドにゾクゾクさせられた「旋律の迷宮」。巨匠&義勝によるツインボーカルのコンビネーションが、とてもドラマチックだった「COMPLEX MANIA」――新曲が存在感を発揮し、「黄昏シンフォニー」「a picture book」が名曲ぶりを示し、演奏中に義勝がコケるという貴重な場面も交えて盛り上げた「桜花爛漫」……観客を夢中にさせた曲の連続であった。そして、会場全体を巨大な祭りの渦に巻き込んだ「MATSURI BAYASHI」の後に迎えた小休止。メンバーたちが盛り上がったのは、巨匠の幼少期の日記に関する話であった。武正が部屋の掃除をした際に久しぶりに発見されたらしい。「前に巨匠の家に行った時、“これは何かに使えるな”って、持って帰ってきてたの」(武正)。「俺の実家からね(笑)」(巨匠)。その日記には「今日は遠足でした。緊張しました」など、毎日緊張していた巨匠の様子が綴られていたのだという。小1の時の日記だと思ったら、3年生の時まで使っていて、最後の1年間は1ページしか使ってなかった――ということも明かされた場面を経て、「そこから、継続することが苦手になったんだろうな(笑)。でも、バンドは続けていきたいと思います!」と巨匠は、力強く宣言。大喝采を浴びていた。
最新アルバムの中でも異彩を放っていて、ライブで聴いてもとんでもなくかっこよかった「DE’DEVIL DANCER」。ステージ上で火柱が上がり、レーザー光線が会場内を飛び交う中で披露されたが、各々が奔放なプレイを連発しつつも、全員が一丸となって黄金のバンドアンサンブルを構築していく様に、息を呑む他なかった。この曲は、今後のKEYTALKのライブでも欠かせない存在となっていくだろう。そして、観客をとんでもない絶頂感へと到達させていた「MONSTER DANCE」の後、最新アルバムについて義勝が語った。「特別な想いがあるアルバムです。こうやってみんなと共有できたことを忘れないと思います。特別な1日になりました」。そして、「今のKEYTALKのことを歌った……ような。歌った……みたいな(笑)。そんな曲を」という言葉が添えられて本編ラストの2曲へ。ミラーボールのキラキラした光に彩られた「少年」。フロア内で盛り上がっている観客に、たくさんのシャボン玉が降り注いだ「BUBBLE-GUM MAGIC」――爽やかな昂揚感が、会場いっぱいに広がっていった。
「なんと、スペシャルゲストが!」と巨匠が言ってステージに呼び込んだパワプロくん。先ほど演奏した「少年」は、メンバーたちも大好きな野球ゲーム『実況パワフルプロ野球』からのインスパイアで生まれて、パワプロアプリとのコラボも実現している。「パワプロは25周年。おめでとうございます!」――俊敏な動きをステージ上で発揮したパワプロくんが祝福されたところで、八木がヤマト運輸のマスコットキャラクター・クロネコちゃんの手を引いて登場。「DE’DEVIL DANCER」は、ヤマト運輸『クロネコメンバーズ』タイアップソングなのだ。KEYTALK、パワプロくん、クロネコちゃんが仲良く並んでいるステージの様子は、撮影OK。観客はスマホを取り出して、レアな共演の様子を写真に収めていた。
アンコールの1曲目は、ライブで披露するのは久しぶり、2013年にリリースされたインディーズ時代のアルバム『ONE SHOT WONDER』に収録されていた「Spring Sparkle」。最後に届けられたのは「YURAMEKI SUMMER」。掲げた腕を激しく左右に振りながら踊っていた観客のエネルギーは、風を吹かせそうな勢いであった。
ツアーのセミファイナルだった東京公演だが、多彩な内容だったセットリスト、スペシャルゲストたちとの共演など、特筆すべき見どころが盛りだくさんであった。
【撮影:後藤壮太郎】
リリース情報
DON’T STOP THE MUSIC
2019年11月06日
ユニバーサルミュージック
02.真夏の衝動
03.BUBBLE-GUM MAGIC
04.アカネ・ワルツ
05.ララ・ラプソディー
06.ブルーハワイ
07.Catch The Wave
08.旋律の迷宮
09.DROP2
10.COMPLEX MANIA
11.桜色の街へ
12.少年
セットリスト
DON’T STOP THE MUSIC TOUR 熱狂パワフルKEYTALK 2019 ~本当にダイジョーブ?? 爆発寸前!! 武正の足爆弾~
2019.12.11@Zepp Tokyo
- 01.DROP2
- 02.パラレル
- 03.ロトカ・ヴォルテラ
- 04.真夏の衝動
- 05.ララ・ラプソディー
- 06.fiction escape
- 07.アカネ・ワルツ
- 08.Love me
- 09.Summer Venus
- 10.旋律の迷宮
- 11.桜花爛漫
- 12.黄昏シンフォニー
- 13.COMPLEX MANIA
- 14.a picture book
- 15.MATSURI BAYASHI
- 16.DE’DEVIL DANCER
- 17.MONSTER DANCE
- 18.少年
- 19.BUBBLE-GUM MAGIC
- 01.Spring Sparkle
- 02.YURAMEKI SUMMER
お知らせ
「うんぴくんと干ししいたけさんとザビエルくんと西郷さんとノドグロだヨ!全員集合~謹賀新年、賀正、巨匠。KEYTALKが新春をお届けに参ります候、ギョギョギョ~」
*FC会員限定ツアー
2020/01/07(火) 名古屋 CLUB QUATTRO
2020/01/08(水) 梅田CLUB QUATTRO
2020/01/10(金) 広島CLUB QUATTRO
2020/01/11(土) 福岡LIVE HOUSE CB
2020/01/16(木) 渋谷 CLUB QUATTRO
2020/01/18(土) 新潟 GOLDEN PIGS RED STAGE
2020/01/19(日) 仙台 CLUB JUNK BOX
2020/01/25(土) 札幌 SPiCE
FM802 30PARTY FM802 ROCK FESTIVAL
RADIO CRAZY 2019
2019/12/26(木) インテックス大阪
BARIYOKA ROCK 2019
2019/12/27(金) Zepp Fukuoka
COUNTDOWN JAPAN 19/20
2019/12/30(月) 幕張メッセ国際展示場1~11ホール・イベントホール
モルタルレコード pre.
「realにあの日に戻れる ~バックトゥーザ・フューチャーチャレンジ~」
2020/01/15(水) 北浦和KYARA
Fear, and Loathing in Las Vegas
“HYPERTOUGHNESS” Release Tour 2020
2020/02/10(月) 仙台GIGS
Melodix! Fes 2020
2020/02/13(木) 豊洲PIT
メイプル超音楽フェス
2020/02/28(金) 名古屋ダイアモンドホール
J-WAVE THE KINGS PLACE LIVE Vol.19
2020/03/29(日) Zepp DiverCity(TOKYO)
cinema staff presents「OOPARTS 2020」
2020/04/18(土)-04/19(日) 岐阜市文化センター
*出演日は後日発表
ARABAKI ROCK FEST.20
2020/04/25(土)-04/26(日) みちのく公園北地区エコキャンプみちのく
*出演日は後日発表
VIVA LA ROCK 2020
2020/05/02(土)・05/03(日祝)・05/04(月祝)・05/05(火祝) さいたまスーパーアリーナ
*出演日は後日発表
※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。