CHAI、Have a Nice Day!、GLIM SPANKY、3者3様の個性が炸裂した「CHAIとみてみチャイ」
CHAI、Have a Nice Day!、GLIM SPANKY | 2019.12.27
2019年も国内外で精力的なライブ活動を展開してきたCHAIが、約1年半ぶりぶりとなる対バン企画、CHAI presents「CHAIとみてみチャイ」を開催した。大阪・BIG CATはTENDOUJIとRei、名古屋・BOTTOM LINEはENJOY MUSIC CLUBとTENDOUJIをゲストに迎えて行われ、最終日となったこの日、12月19日、東京・マイナビBLITZ赤坂ではHave a Nice Day!とGLIM SPANKYが登場。他ではなかなかお目にかかれないであろうラインナップが新鮮で、炸裂する3者3様の個性が強烈な印象を残す一夜となった。
この日のトップバッターはHave a Nice Day!。浅見北斗(Vo)の「それじゃ始めようか。東京という街からやってまいりました、Have a Nice Day!と申します。どうぞよろしくお願いします。楽しい楽しいパーティーの始まりだぜ」というひと言で幕を開け、「愛こそすべて」からスタートした。明らかな熱を持って押し寄せているフロアの興奮を別の形で集約するように<All You Need is Love>のフレーズを繰り返すと、コアなファンと、おそらく初めてハバナイを見たであろう人達が一緒になって掲げた右手を揺らし始めた。「Blood on the mosh pit」からはステージもフロアもテンションをグッと上げていき、踊る人、歌う人、モッシュピットで暴れる人、それぞれの楽しみ方が始まる。浅見はCHAIについて「ライブで聴いた『sayonara complex』が本当にすごい曲だなと思って。2017年はあの曲が一番好き。気持ちが乗っかっている曲は、仕掛けがなくても……」と語り始めるも、お決まりの感じで中断。もう少し聞いていたい気もしたが、畳み掛けるように突入した「僕らの時代」でのシンガロング、「わたしを離さないで」から「Smells Like Teenage Riot」へのダンサブルな高揚感、そして圧巻の「Night Rainbow」など、短い時間ながらハバナイのエネルギーを充分に感じさせてくれるステージを展開してくれた。
サイケデリックなSEでじっくり雰囲気を高めたところで登場したのは、GLIM SPANKY。松尾レミ(Vo&Gt)の声の力が会場に一瞬で広がった「Looking For The Magic」で始まり、亀本寛貴(Gt)のエモーショナルなギターが冴え渡る「愚か者たち」へ。「今日は一緒にロックで遊びましょう!」という松尾のMCを挟み、「ハートが冷める前に」?「Breaking Down Blues」とブルージーなサウンドで圧倒していく。ステージ後方から放たれている照明は、2人の、そして抜群のグルーブを生み出しているバンドメンバーの存在感をひときわ大きく浮き上がらせ、上質な爆音とともにフロアの温度をぐいぐい上げていった。MCで松尾は「CHAIとはいろんな接点があったけど、やっと一緒にライブができた」と喜びを伝え、亀本は「日本人のバンドのグルーブじゃないよね。日本の音楽っていう枠から完全にはみ出したレベル」と絶賛。ライブはそのCHAIもコメントを寄せている「ストーリーの先に」、ダイナミックなうねりに体ごと持っていかれそうだった「Circle Of Time」で幕を閉じた。
ライブではすでにお馴染み「C・H・A・I!」のSEに乗ってCHAIのメンバーが登場すると、フロアが大きく波打ち始めた。1曲目は「カーリー・アドベンチャー」。低音を効かせた4つ打ちのビートも強烈だったが、よく見るとメンバーは全員お揃いのツインテール、お洒落なバレーボール部みたいな真っ赤なブルマ姿で見た目の新衣装はインパクトも抜群だ。
「CHAIとみてみチャイ、楽しんでってねー!」
マナ(Vo&Key)がそう全力で呼びかけると、フロアはそれ以上のエネルギーでリアクションし、絶妙なタイミングで「あのコはキティ」のイントロが滑り込んできた。こういうちょっとしたところでも、彼女達が身に付けてきたライブの力というか、呼吸感みたいなものがいかに生かされているかがよくわかる。初めてCHAIのライブを見た人はきっと(笑顔で)驚いたであろう自己紹介のコーナー(カルチャークラブの「カーマは気まぐれ」をリズム隊だけで演奏し、アルバム『PUNK』を持ってのご挨拶など)では、マナが英語で「CHAIはいくつに見える?」と問いかけるシーンがあったのだが、飛び交う予想をよそに「それってただの数字じゃない? CHAIの人生に数字なんて関係ない! 今の私が一番NEOかわいい!」と返答。激しく共感する女の子達の笑顔や男の子達のレスポンスの声が一斉にステージへと向けられ、すべてを肯定したまま曲は「N.E.O.」へ。ダイナミックな抑揚が効いた「ボーイズ・セコ・メン」からキュートな「ほれちゃった」への流れも心地よく、GLIM SPANKY亀本の言葉を借りるならば「日本の音楽の枠からはみ出したグルーブ」を生み出す4人のパフォーマンスにオーディエンスの視線は釘付けとなっていた。そんなステージをさらに盛り上げたのが「THIS IS CHAI」。極彩色のフリンジが鮮やかなマントをすっぽり被った4人が全力でダンスを披露すると、「ぅうおーっ!!」という地鳴りのような歓声が上がる。この日はそこからさらにDJ TIMEに突入し、ひと足先にはけたユウキ(Ba&Cho)とユナ(Dr&Cho)がヘルメット姿のDJに変身してサンプリングパッドをプレイ。難しいことは置いといて、とにかく楽しもうとする気持ちが伝わってくる2人の手元から「ツギノキョクハ ニューソング!」とのアナウンスが入り、この日初披露となる未発表曲が演奏された。メンバー全員のラップ、アウトロではユナのドラムソロも聴けるこの曲は(さらに言うと、この日のメンバーのヘアスタイル&衣装も)先に海外公演で披露されているらしく、本人達曰く「逆輸入(笑)」なのだそう。来年は年明け早々からカナダのインディーロック・ヒーロー Mac DeMarcoのツアーや、シカゴ出身のフォークロック・デュオ、Whitneyのツアーに参加することも決まっているということで、こういった逆輸入の比率はますます高まっていくのではないだろうか。CHAIからの、そしてCHAIならではのメッセージが詰まった「フューチャー」、そして「アイム・ミー」で本編を終えると、アンコールの声に応えて再び登場した4人。
「アンコール、ありがとう! 2019年はもうすぐ終わっちゃうけど、今年は世界中いろんなところでライブができた。でも2020年はもっともっと大きいところを目指していきたい! みんな、ついてこいよ! 乗り遅れんなよ! 見とけよ!」(マナ)
CHAIがここ日本での自主企画に呼びたかったというHave a Nice Day!、そしてGLIM SPANKYへの感謝を伝えたあと、かなり男前な感じで(笑)、そう力強く宣言していたマナ。自分達を奮い立たせる意味もあるのかもしれないが、2020年への並々ならぬ本気度が窺えるMCだったように思う。アンコールで披露されたのは、Have a Nice Day!の浅見も絶賛していた「sayonara complex」。思い思いのスタイルで3つのバンドのライブを楽しんだオーディエンスの右手が、今夜の余韻を噛み締めるように、それぞれの頭上でゆらゆらと揺れていた。
【取材・文:山田邦子】
【撮影:中磯ヨシオ】
ライブ
CHAI
Have a Nice Day!
GLIM SPANKY
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リリース情報
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PUNK
2019年02月13日
OTEMOYAN record
2.GREAT JOB
3.アイム・ミー
4.ウィンタイム
5.THIS IS CHAI
6.ファッショニスタ
7.FAMILY MEMBER
8.カーリー・アドベンチャー
9.Feel the BEAT
10.フューチャー
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リリース情報
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DYSTOPIA ROMANECE 4.0
2019年11月06日
avex trax/ASOBiZM
02.Night Rainbow
03.Smells Like Teenage Riot feat.フルカワミキ
04.僕らの時代
05.愛こそすべて
06.ミッドナイトタイムライン ver.4.0
07.Kill All Internet
08.ファウスト ver.4.0
09.LOVE SUPREME ver.4.0
10.エスケイプ
11.フォーエバーヤング ver.4.0
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リリース情報
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ストーリーの先に
2019年11月20日
ユニバーサルミュージック
02. Breaking Down Blues
03. Tiny Bird
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お知らせ
【CHAI】
第3回 ももいろ歌合戦
2019/12/31 横浜アリーナ
Mac DeMarco 2019 Tour Dates With Pond and Chai
2020/01/10 Sydney, Hordern Pavilion
2020/01/11 Melbourne, Festival Hall
2020/01/15 Brisbane, Fortitude Valley
2020/01/18 Perth, Red Hill Auditorium
WHITNEY TOUR “FOREVER TURNED AROUND"
2020/01/24 Madison, WI | Sylvee
2020/01/25 Chicago | EMPTY BOTTLE
2020/01/29 Indianapolis, IN | The Vogue
2020/01/30 Louisville, KY | Headliners Music Hall
2020/01/31 Nashville, TN | Cannery
2020/02/01 Oxford, MS | Proud Larry’s
2020/02/03 Pensacola, FL | Vinyl Music Hall
2020/02/04 Tallahassee, FL | The Moon
2020/02/05 Miami, FL | The Ground
2020/02/06 Tampa, FL | Orpheum
2020/02/07 Charleston, SC | Music Farm
2020/02/08 Saxapahaw, NC | Haw River Ballroom
2020/02/10 Columbus, OH | Newport Music Hall
2020/02/11 Cleveland, OH | Beachland Ballroom
2020/02/12 Syracuse, NY | Westcott Theatre
2020/02/13 Montreal, QC | Th?atre Corona
2020/02/14 Toronto, ON | Phoenix Concert Theatre
2020/02/15 Detroit, MI | Masonic Temple Chapel
2020/02/16 Grand Rapids, MI | Fountain Street Church
additional dates may be added
【Have a Nice Day! 】
「NEO TOKYO OLYMPIA!!!」
2020/01/11(土)新大久保アースダム SCUM PARK(※出演者後日アナウンス)
2020/01/17(金)吉祥寺WARP w/ 突然少年
2020/01/31(金)秋葉原グッドマン w/ DE DE MOUSE
2020/02/07(金)新代田FEVER (※出演者後日アナウンス)
2020/02/16(日)渋谷O-nest w/ Emerald
2020/02/27(木)恵比寿LIQUID ROOM Have a Nice Day! ワンマン公演
【GLIM SPANKY】
NO MATTER LIVE
2020/01/12(日)Zepp Sapporo
新日本製薬 presents SONGS & FRIENDS 〜佐野元春『Cafe Bohemia』〜
2020/02/08(土)LINE CUBE SHIBUYA
※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。
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