Rude-α、自身最大キャパのワンマンライブでその“主人公”たる資質を見た
Rude-α | 2019.12.30
5月にメジャーデビューし、一年を猛スピードで駆け抜けてきたRude-αの2019年3度目(!)のワンマンライブ。キャパ500人に5000通の応募があったという12月20日のクリスマスライブの追加公演だが、1200人が集まったそうで、こんなにパンパンのO-EASTは久しぶりだった。
ほぼオンタイムの19時に客電が暗転、バンドメンバーが入場して「Mirror Ball」のイントロを奏でる。DJ兼サイドMCのISSEIに「東京、調子はどうだい!」と煽られるまでもなく仕上がった観客の前に、全身真っ白で固めたRude-αがステージから転び落ちそうな勢いで飛び出してきた。いつものように最初からフルスロットルで、そのまま「この夜を超えて」と「highway」を連打。Rudeと同じく観客も元気いっぱいだ。
「こんだけ人が多いと、女の子とかつぶされる子も出ちゃうから、ひとりひとりが隣の人を思いやってほしいわけ。気分悪いなって人がいたら、俺たちに言ってくれればいいし。全員がコード・ブルーだからな! OK?」というのは彼のライブではおなじみの注意喚起だが、これが実際に役立つことになるとは思ってもみなかった。
新曲「Tokyo Circus」と「Summer Melody」を歌い終えると、Rudeは及川創介のピアノに乗せて、2年前に亡くなった祖父の思い出を語り始める。上京した当初はうまくいかないことばかりで、沖縄に帰ろうと思った彼に「人生に悔いを残すなよ」と言った最愛のおじいちゃんだ。「その言葉があったからここまで音楽を続けてこれたんだなって、いまでも思ってる。おじいちゃんは2年前に亡くなってしまって、悲しい別れだったけど……OK、ちょっと待って。大丈夫?」
アクシデント発生。フロアの中央あたりにいた女性が体調を崩してしまったようだ。Rudeは彼女から目を離さず「大丈夫? あとでパーカーあげような」と懸命に語りかけ、スタッフと友達に付き添われてフロアを後にする彼女に「気にするなよ、大丈夫だよ」と心配そう。フロアに柵が運び込まれ、スタッフが清掃を始める。
その間にRudeは大事な話をしてくれた。メモをもとに、文字数の許す限り内容を書き起こしておく。
「倒れちゃったりするとさ、気まずいとかさ、恥ずかしいとかさ、思うかもしれないけどさ、誰でもそうなることはあるんだぜ。こんなの別に恥ずかしいことでもなんでもないからな。人間らしいと思うぜ。倒れた友達のために手を挙げてくれた友達もすごいと思うよ、俺。ひとのことを思いやれるのはマジですごい。拍手しよう(拍手)。俺のファンには、誰かをバカにする人はいないでほしい。弱いんだよ、俺たちは、全員。人間だからさ。ひとりひとりを思いやってライブを作っていこう。OK?(拍手)おまえたちがファンで本当によかった。ありがとうな。倒れちゃった子は“わたしのせいでライブ止めちゃった”って思うかもしれないけど、責めることじゃないと思う。あの子が戻ってきたら、みんな声かけてあげてくれよ。誰ひとり欠けちゃいけないからよ、俺のライブには」
そしてライブ再開……と思いきや、Rudeは「俺はちょっとあの子見てくるさ」と言い残してステージを降り、控室に向かった。バンドは主役を失ったが、ISSEIとバンマスの北島優一(ギター)が懸命につなぐ。話すことがなくなると、ピアノを弾き続けていた及川にISSEIがボイスパーカッションで絡み始め、「音楽で埋めましょう、俺らが」と全員で即興セッション。見事な演奏を聴かせた。そこへRudeが舞い戻り、「すいません、UVERworldのTAKUYA∞さんのマネして10キロ走ってきました」とひとボケかます。
「ついでに見てきたけど、みんなのおかげで大丈夫だったよ。ありがとう」と感謝し、さらに「みんな無理すんなよ。お酒飲みすぎたら水とか飲んで、隣の人が気分悪くなったら助けてあげてね」と注意喚起して、「おじいちゃんの話の続きなんだけど」と、あらためてライブを再開した。
その話を枕にして歌った「Happiness」はひときわエモーショナルなパフォーマンスになった。途中で「必ず武道館まで連れていくから。絶対連れていくから」と感極まるシーンも。「俺は傷だらけの今日からおまえを救いに来たんだよ!」と言って「LIFE」「世界は僕を置いて朝になる」を続け、シンガーとしての成長ぶりを見せつける。
ライブもいよいよクライマックスだ。「It’s only love」とダンサー2人が加わっての「Boy Meets Girl」、そして「俺はおまえたちを武道館に連れていく男だぜ! 俺の列車に乗り込んでくれ!」と「Train」。クサいほどにかっこいいことを迷いなく口に出せる彼の魅力が凝縮された名曲である。
2020年春にファーストアルバム『23』をリリースすること、初めての全国ツアーを開催することを発表したRudeを、この夜一番の拍手が包む。「Rudeはヒップホップじゃねえとかいろいろ言われてるけど、俺たちの音楽はヒップホップじゃない、ミュージックなんだよ。いこうぜ!」とシャウトして「wonder」で本編は幕を下ろした。
アンコールに応えて再登場、まずは彼の23歳の誕生日である2月8日に配信される新曲「アイスクリーム」。メロディや構成はポップだがリズムで攻めるバランスはまさにRude-αミュージックだ。尊敬するBASI(韻シスト)を迎え入れ、MVと同じくレインボーカラーの傘を手に最新シングル曲「ハレルヤ feat. BASI」を続けた。
「今日はハプニングもあったけど、思いやりの心で対応してくれてありがとう。きれいごとだって言うやつもいるかもしれないけど、気にしなくていいよ。俺が全部それを体現するから。だからみんな、これからも愛のままに進んでいこうぜ。OK?(中略)同じ時代に生まれてきてくれてありがとう。愛を込めて歌います」と「水平線の向こう」を歌い、「愛してるぜ」のひとことで2019年を締めてみせた。
アクシデント、20分近い中断、うち半分は主役不在と異例のライブだったが、むしろ観客にとっては忘れられない夜になったはずだ。予想外の出来事は人間性の根っこを露呈させてしまう。“愛”や“思いやりの心”を普段から大事に思っていても、口にしていても、とっさのときに行動できる人は少ないものだ。声をかけるだけでなく控室に様子を見に行ったことに僕はRudeの人柄への尊敬を新たにし、(彼がそうなりたいと公言している)“主人公”の資質を見た。彼の不在を見事に埋めたバンドメンバーの実力と精神力にも、両者の信頼関係にも心から感動した。
初めてRudeに会ったときから彼の夢の実現を疑ったことは一度もないが、当夜の出来事を経て、スーパースターになってほしいという思いがいっそう強くなった。彼のためというより我々のために。善良で勇敢で、いつだって本気で全力のRude-αは、日本に求められているヒーローだと思う。2020年の快進撃が楽しみで仕方がない。
【取材・文:高岡洋詞】
【撮影:Hiroyuki Dozono】
リリース情報
ハレルヤ
2019年11月27日
SMEレコーズ
セットリスト
Rude-α One Man Live 2019 FINAL
2019.12.27@渋谷 TSUTAYA O-EAST
- 1. Mirror Ball
- 2. この夜を超えて
- 3. highway
- 4. Tokyo Circus ※新曲
- 5. Summer Melody
- 6. Happiness
- 7. LIFE
- 8. 世界は僕を置いて朝になる
- 9. It’s only love
- 10. Boy Meets Girl
- 11. Train
- 12. wonder 【ENCORE】
- 13. アイスクリーム ※新曲
- 14. ハレルヤ feat.BASI
- 15. 水平線の向こう
お知らせ
1st Album Release Tour「23」
2020年3月15日(日) 金沢GOLD CREEK(石川)
2020年3月18日(水) DRUM Be-1 (福岡)
2020年3月19日(木) 熊本B.9 V2(熊本)
2020年3月21日(土) darwin(宮城)
2020年3月25日(水) 名古屋クラブクアトロ(愛知)
2020年3月26日(木) 梅田クラブクアトロ(大阪)
2020年4月5日(日) Live House浜松窓枠(静岡)
2020年4月22日(水) マイナビBLITZ赤坂(東京)
2020年4月25(土),26日(日) 桜坂セントラル(沖縄)
2020年4月29日(水祝) SPiCE(北海道)
オリオンビール presents 令和初CountDown Live in OKINAWA
2019年12月31日(火) 沖縄コンベンションセンター 展示場
《Rude-α × claquepot》 EXHIBITION MATCH IN NAGOYA
2020年1月30日(木) 名古屋クラブクアトロ
※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。