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「そらまふうらさかのふゆやすみ!~新年会~」で“歌ってみた”の軌跡に触れた

そらまふうらさか | 2020.01.17

 ニコニコ動画、YouTubeに、ボカロ楽曲の“歌ってみた”動画を投稿してきた歌い手が、自身でオリジナル楽曲を制作し、メジャーデビューする流れが当たり前となっている昨今の動きに一石を投じることとなったイベント……それは、ソロのほか、2人組ユニット・After the Rainとして活躍する、そらる、まふまふ、4人組ユニット・浦島坂田船のうらたぬき(以下、うらた)、あほの坂田。(以下、坂田。)の4人が、1月7日に東京・国立代々木競技場第一体育館で開催した『そらまふうらさかのふゆやすみ! ~新年会~』だ。

 共演動画、コラボ楽曲を投稿する以前に、プライベートにおける友人、ゲーム仲間でもあり、相性抜群な彼らが、クリスマスやお正月に集まり、ライブを開催するのは、決して、楽しいから、というシンプルな理由のみからきているわけではなかった。

 1曲目として選択されたのは、普段一緒にゲームをしている4人を描いた「必殺のコマンド」。「脱法ロック」からは花道の最前へと向かう彼らが、できるだけ客席の近くに寄り、一人ひとりに笑顔を向けていく。まるで、一気に手の届かないところへ行くことはないと宣言しているかのような画だ。



 ここ1、2年の新しい楽曲「コールボーイ」、「ファンサ」、「ロキ」のみではなく、例えば、「拝啓ドッペルゲンガー」、「しんでしまうとはなさけない!」、「厨病激発ボーイ」などの懐かしいと感じる楽曲までをもセットリストに盛り込んでいるライブが、『そらまふうらさかのふゆやすみ!』であり、この日も、いくつもの懐かしい楽曲を披露。アンコールの3曲含め、次々と全力で計28曲を披露していく彼らは、タフガイ。

 「ゆるいね、ボクらのライブは。普段こんなんじゃないんですよ。各々がソロでやってたり、ユニットでやってたりするときは、もうちょっとカチカチとしていて」(まふまふ)……ソロでの歌唱となれば、単独ライブに近い空気感を出し、ペア、全員での歌唱となれば、フリーダムにじゃれあいながら、笑顔を弾かせるように、ステージには、カラフルな表情をした4人が居る。なかでも、ふたりの片手でハートの形を作ったり、背中合わせのまま、エアギターを弾いたりと、遊び心があった、うらた&坂田。による「かいしんのいちげき!」と、会場中を虹色に彩った、テレビアニメ『ポケットモンスター』のOPテーマとなった、そらる&まふまふによる「1・2・3」は、それぞれのユニットとしての繋がりが強く感じられるもので、この日のハイライトだった。

 4人での「ぼうけんのしょがきえました!」や「しんでしまうとはなさけない!」などのゲーム好きの彼ららしい、ゲームをモチーフとした楽曲をふんだんに。「エフピーエス」では、そらる、うらたが武器を取ることで、よりゲームの世界へと潜り込む。

 アンコールは、昨年同様にゲームのキャラクターのような衣装に身を包んだ4人。うらた、坂田。のアドリブをきかせた「ロキ」、短い演劇を挟んだアッパーチューン「厨病激発ボーイ」を経て、まふまふが、今年の抱負は?と自身含め、3人に問いかける場面に。

 「用事がないと外に出れないタイプなんですけど、今年は用事がなくてもちょっと外に出る。あとは真面目なところで、去年、ライブだったり、CDアルバムを出させてもらったりという活動をしていたんですけど、今年は初心にかえって、沢山動画をあげたり、沢山配信したりだとか、自分らしい感じであんまり無理しない活動をやっていきたいなと思ってるので、またよろしくお願いします」(そらる)

 「まず1つ目、毎月必ずInstagramを更新する。2つ目は、去年よりも多く動画を投稿する。去年作った曲の数が47曲だから、今年はそれを超える50曲は作る。あとは、東京ドーム、やりきるぞー!」(まふまふ)

 「今年はもっともっと動画投稿をして、一番の抱負は、“悪い大人に騙されない”です。春ツアーが浦島坂田船でもありまして、これも笑顔で乗り切りたいなと思います。最後は僕まとめられないので、坂田。さんにですね……」(うらた)

 「これ、悪い大人ちゃうか……?(笑) 今年の抱負なんですけど、僕この間の大阪公演の帰り際に、ぼそっと一言言ったんですよ。2019年を超える年はもうないかもなーって。2018年は俺にとってこれ以上ない年だったのに、2019年もすごい素敵な年になったんですよ。そういう一年を送りたいなーと思います」(坂田。)

 4人が抱負を話し終えた後、まふまふは以下の言葉をプラスした。その言葉を聞く前と聞いた後では、視野がひらけていくように彼らに対する見方が大きく変わったのは確かなことである。

 「みんな(歌い手)が、どんどんアーティスト路線というか、オリジナル曲を作って、歌を歌う流れが出来ているいまだからこそ、年末年始くらいは、気を抜いたような、ひたすら思いっきり笑えるようなライブができるのが、大事な時間なのではないかと思うのです。きっとここに居るひとたち、過半数以上が我々の“歌ってみた”を聴いて知っていただいたんじゃないかなと思う。自分たちの活動の軌跡は、忘れちゃいけないと思っているので、こうやって年末年始と刻んでいけたらいいなと思います!」

 いち歌い手として伝えたいことを伝えるべく、代表してステージに立っているような4人の無邪気な姿は、ただただ誇らしい。時代の変遷で、歌ってみたの形が変わっていくことは避けられないことかもしれない。それでも、原点を忘れない限り、彼らは、いつでも初心にあった楽しいという気持ちへと戻っていくことができる。この日は、原点に戻るために設けた貴重な一夜。活動開始から数年経っても、彼らがいまも笑顔でステージに立てていることが、なによりの証拠だ。

【取材・文:小町碧音】
【撮影:小松陽祐[ODD JOB]、堀卓朗[ELENORE]、加藤千絵[CAPS]、釘野孝宏】

tag一覧 そらる まふまふ うらたぬき あほの坂田。 そらまふうらさか

セットリスト

そらまふうらさかのふゆやすみ!
~新年会~
2020.1.7@国立代々木競技場 第一体育館

  1. 01.必殺のコマンド/そらる・まふまふ・うらたぬき・あほの坂田。
  2. 02.脱法ロック/そらる・まふまふ・うらたぬき・あほの坂田。
  3. 03.ブラッククリスマス/そらる・まふまふ
  4. 04.スーパーヒーロー/そらる・あほの坂田。
  5. 05.かいしんのいちげき!/うらたぬき・あほの坂田。
  6. 06.キッス~帰り道のラブソング~/まふまふ・うらたぬき
  7. 07.星に願いを/まふまふ・あほの坂田。
  8. 08.彗星ハネムーン/そらる・うらたぬき
  9. 09.コールボーイ/あほの坂田。
  10. 10.ニビイロドロウレ/あほの坂田。
  11. 11.バレリーコ/そらる
  12. 12.ワンダー/そらる
  13. 13.ファンサ/うらたぬき
  14. 14.ダンスロボットダンス/うらたぬき
  15. 15.命のユースティティア/まふまふ
  16. 16.拝啓ドッペルゲンガー/まふまふ
  17. 17.ちがう!!!/そらる・あほの坂田。
  18. 18.金星のダンス/そらる・うらたぬき
  19. 19.リフジンセイロンパ/まふまふ・うらたぬき
  20. 20.ダークサイドファンタジー/うらたぬき・あほの坂田。
  21. 21.夜桜/まふまふ・あほの坂田。
  22. 22.1・2・3/そらる・まふまふ
  23. 23.ぼうけんのしょがきえました!/そらる・まふまふ・うらたぬき・あほの坂田。
  24. 24.しんでしまうとはなさけない!/そらる・まふまふ・うらたぬき・あほの坂田。
  25. 25.エフピーエス/そらる・まふまふ・うらたぬき・あほの坂田。
【ENCORE】
  1. 01.ロキ/そらる・まふまふ・うらたぬき・あほの坂田。
  2. 02.厨病激発ボーイ/そらる・まふまふ・うらたぬき・あほの坂田。
  3. 03.ロールプレイングゲーム/そらる・まふまふ・うらたぬき・あほの坂田。

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