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LAMP IN TERREN、闘い迷い、無様でも不格好でも強く成長し続けたバンドが咲かせた“花”

LAMP IN TERREN | 2020.01.21

 LAMP IN TERRENが1月13日(月)にワンマンライブ『Bloom』を開催した。

 昨年11月~12月にかけて全国15ヵ所で行なったワンマンツアー『Blood』、ライブ会場&通販限定Limited e.p.『Maison Diary』のリリースなど、バンド活動休止の再開以降は前にも増してアグレッシブに動いているLAMP IN TERREN。2020年一発目の公演では、果たしてどんなパフォーマンスを見せてくれるのか。そんな想いを抱えた多くのファンがマイナビBLITZ赤坂に足を運んだ。

 ブルーのライトが棒型に立ち並び、モールス信号がやさしく響く中、LAMP IN TERRENの4人がステージに登場。各メンバーのそばには温かみを湛えた黄色い花、オンシジウムが飾られ、松本大(Vo&Gt)のピアノ弾き語りから、公演タイトルの『Bloom』にふさわしい「花と詩人」でライブはスタートした。曲が進むにつれて大屋真太郎(Gt)、中原健仁(Ba)、川口大喜(Dr)の音が順に加わり、それぞれの姿が照らされ、やがてバックを彩るネオンカラーのバンドロゴが灯るという、シンプルながらも奥行きのある演出に早くも胸が高鳴る。

「こんばんは、LAMP IN TERRENです。ワンマンライブ『Bloom』、始めます! 最高の一日にしようぜ」と言い放ち、ハンドマイクで「Water Lily」を歌い出す松本は、オンシジウムをフロアに投げ渡したりと、伸び伸びと自分を解放してみせる。大切なものを磨き上げるように、聴き手の心に染み込ませるように、ひとつひとつの音、綺麗なメロディを着実に積み重ねていくテレンらしいアンサンブルもじわじわと際立って、「New Clothes」ではよりダイナミックにその強度を増す。「涙星群の夜」になれば、疾走感のあるバンドサウンドとともにカラフルな照明の輝き、ミラーボールの光、オーディエンスのシンガロングが相まって、序盤にして素晴らしい空間が生まれていた。

 ギラつくフラッシュの中で荒ぶるギターリフとささくれ立ったボーカルが耳を引く「Is Everything All Right」、「どっちが頭おかしくなれるか対決しましょう。狂っていこうぜ!」と松本が呼びかけた「凡人ダグ」と、ダークにラウドに悩ましさを叩きつける楽曲が続く、言わば自暴自棄を薫らせるゾーンさえも心地いいのは、バンドが頼もしいグルーヴを編み出しつつ、新たに生まれ変わっていく瞬間を目の当たりにしているからだろう。大屋の熱く燃え滾るようなギターソロ、中原と川口の重たいリズムが印象的に轟き、松本のシャウトも常軌を逸した凄みを放つ。

 一転して喧噪から抜け出すかの如く、今度は浮遊感のあるサウンドに切り換えて「Beautiful」を投じたりと、剛柔自在のパフォーマンスに圧倒されるうち、オーディエンスも思わず息を呑んだのか、一瞬の静寂がふと辺りを包んだ。そんな中盤の絶妙なタイミングで届けられたのは彼らの代表曲「緑閃光」、そしてイントロからバンドの生きざまがガツンと伝わる転機の曲「BABY STEP」(“意味がないとしても 今 笑っていられたらいいだろう”の部分はオフマイクで歌った)。メジャーデビュー5周年を迎える時期に、いつもはライブ後半に演奏するケースが多いこの2曲が初めてひと繋ぎで解き放たれたことで、得も言われぬ不思議な光力を帯びていたというか、機が熟したような最高の純度で聴き手に響いてくる感じが無性に美しかった。

 壮大な2曲を歌い終えたあと、メンバーに向かって「ちょっとしゃべって。ごめん……今、迷子だから心が」と感極まった様子の松本。「いやー、すごくいいよ。すごくいい!」と大屋もグッときている。そして、中原が「ステージとか、今日すごくない?」と振ると、大屋は「いつものライブハウスではできないことを、と思って。僕は身長を伸ばしたくて、大と健仁よりも高い舞台にしてもらってます」と観客を笑わせた。「思ってた以上に人が集まってくれて嬉しいんだけど、緊張でずっとフワフワしてます」と話す中原に対し、川口も「めっちゃ緊張してるから、演奏中けっこうワーワー叫んでるよ」と応酬。会場の空気が程よく和やかになったところで松本も口を開く。

「ステージ上で泣くの2回目なんですけど、隠しようもないよね。訳もわからず涙が……明日でメジャーデビュー5周年なんですよ。自信を喪失したときもあったり、本当にいろいろありました。デビュー当時に出した『緑閃光』と今の自分たちが大事にしてる『BABY STEP』を繋いで演奏したら、イントロでぶわっときちゃって。走馬灯みたいに、俺死ぬのかなとか思った(笑)。闘ってきた、迷ってきた、その積み重ねでここに立ってて、みんなの前で歌ってるっていうことに込み上げてしまった感じです」と素直に想いを打ち明けた。

 ライブ後半の火蓋を切ったのは、昨年7月の日比谷野外大音楽堂公演などでも披露されてきた獰猛な新曲「ほむらの果て」。真っ赤な照明の下、時にシニカルな笑い声を織り交ぜながら迫力十分にブチかましたあとは、生きている意味を刻みつけるように「ホワイトライクミー」をきりりと鳴らし、さらに未来に想いを馳せる爽快なギターロックナンバー「ワンダーランド」へと繋げて駆け抜ける。ゆるやかなアーチを彷彿とさせるピアノリフで彼ら特有の綺麗なメロディが降り注ぐさまにあらためて痺れた「Dreams」、会場が歓喜の雄叫びで満ちた開放的な「オーバーフロー」、楽曲に引っぱられて無我夢中で飛び跳ねるオーディエンスの景色がたまらなく美しかった「地球儀」。あふれた感情が見事に集束する怒涛のクライマックスも今のテレンならではだった。

「周年イベントとかはあまりやりたくなかったんだけど、歩いてきた区切りになってよかったです。今日この瞬間があって、俺はやってこられたんだなって思えました。ありがとう!」と、自身の不安定ぶりや弱さ、もどかしさを交えて伝えた松本。これからも変わらず、いろいろ悩んでは自分を受け容れたり曝け出したりして、ぐしゃぐしゃになりながらも歌い続けていく。そんなことを誓うように、本編ラストは「メイ」を情感たっぷりに届けた。

 メンバーが捌けたのち、場内からは手拍子とともに「オーバーフロー」のシンガロングが自然と沸き起こり、最高の形で迎えたアンコール。ここで披露された新曲「いつものこと」も素晴らしかった。松本が自らのどうしようもない、なんでもない日常を綴った姿は淡々としていつつも新鮮に映り、またひとつ何か確信を掴んだような後味を残す。無様だろうが不格好だろうが構わない。こんなふうにさまざまな葛藤を曲にすることで強く成長していける、それがLAMP IN TERRENというバンドなのだと思う。

 さらに「キャラバン」を清々しく堂々と奏で、鳴りやまない歓声に応えてのダブルアンコールはメジャーデビューアルバム『silver lining』の冒頭を飾る「L-R」で締めた。パフォーマンスはもちろんのこと、未来を照らすような光の演出なども秀逸だったアニバーサリーワンマン。「今年はアルバムを出したい」「自分の現状を認める年にしたい。絶対にいい曲作ってるし、1個ずつ掴んでいこうと思う」という頼もしい言葉があっただけに、ジャンル分けできない、並のバンドでは追随できない存在になってきたLAMP IN TERRENの躍進にますます期待してしまう。ライブ翌日に公開された、松本がディレクションした新作MV「いつものこと」(https://www.youtube.com/watch?v=4H3cilT_Lf8)もチェックしてみてほしい。

【取材・文:田山雄士】
【撮影:浜野カズシ】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル LAMP IN TERREN

リリース情報

Limited e.p. 『Maison Diary』

Limited e.p. 『Maison Diary』

2020年01月20日

A-Sketch

<DISK 1:CD>
01.ほむらの果て
02.Is Everything All Right
03.いつものこと

<DISK 2:LIVE CD>
01.ほむらの果て
02.send me
03.at(liberty)
04.I aroused
05.花と詩人
06.Water Lily
07.BABY STEP
08.New Clothes
09.凡人ダグ
10.ホワイトライクミー
11.オーバーフロー

セットリスト

LAMP IN TERRENワンマンライブ
「Bloom」
2020.1.13@マイナビBLITZ赤坂

  1. 01.花と詩人
  2. 02.Water Lily
  3. 03.New Clothes
  4. 04.涙星群の夜
  5. 05.Is Everything All Right
  6. 06.凡人ダグ
  7. 07.at (liberty)
  8. 08.Beautiful
  9. 09.緑閃光
  10. 10.BABY STEP
  11. 11.ほむらの果て
  12. 12.ホワイトライクミー
  13. 13.ワンダーランド
  14. 14.Dreams
  15. 15.オーバーフロー
  16. 16.地球儀
  17. 17.メイ
  18. 【ENCORE】
  19. 01.いつものこと
  20. 02.キャラバン
  21. 【W ENCORE】
  22. 01.L-R

お知らせ

■ライブ情報

定期公演「SEARCH」
※200名限定ワンマンライブ
「SEARCH #021」

01/26(日)渋谷Star lounge
「SEARCH #022」
02/26(水)渋谷Star lounge
「SEARCH #023」
03/26(木)渋谷Star lounge
アイビーカラー tour 2019-2020
"冬の初恋"

01/25(土)福岡Queblick

SIX LOUNGE TOUR 2020
"THE BULB"

02/4(火)神戸 太陽と虎
02/5(水)京都MUSE

Lenny code fiction presents
5th Single 脳内 Release Tour
『ロックの復権』

02/9(日)秋田LIVESPOT2000

club change presents
『ハカナイヒカリとアイ』

02/10(月)盛岡 the five morioka

WOMCADOLE
『旗鼓堂堂ツアー』

02/11(火祝)仙台MACANA

the quiet room "White"
Encore Tour

02/23(日)名古屋 APOLLO BASE
02/24(月・祝) 梅田Shangri-La

Billboard LIVE OSAKA
音力-ONCHIKA-
スペシャルライブ vol.10 ビッケブランカ meets LAMP IN TERREN

03/09(月)ビルボードライブ大阪

I ROCKS 2020
stand by LACCO TOWER

04/12(日)群馬音楽センター

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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