ウォルピスカーターワンマンライブ『ウォルピス社“大”株主総会』、追加公演で「完全版」に
ウォルピスカーター | 2020.02.05
“高音出したい系男子”を掲げるウォルピスカーターは、「ウォルピス社」の社長でもある。これまでに、3枚のアルバム、1枚のシングルを通して、ウォルピス社の魅力を世に伝えながら、FM NACK5のラジオ番組『ウォルピスカーターの社長室からお送りします。』のパーソナリティを務めるなど、順調にウォルピス社の株主(リスナーのこと)を増やしてきた。そのなかでも、ウォルピス社の継続的な運営には、常に油断は禁物であることも知っている社長は、ウォルピス社の方向性を指し示す場として、定期的に株主総会(ワンマンライブ)を設けている。2017年5月13日に、『ウォルピスカーター1stワンマンLIVE ~2017年度 ウォルピス社株主総会~』を東京・下北沢GARDEN、同年8月24日にその追加公演を東京・新木場STUDIO COASTにて開催した。そして今回、業務報告するのは、2019年10月27日に東京・豊洲PITにて開催した『2019年度 ウォルピス社“大”株主総会』のチケットが即日完売したことを受けて、2020年1月26日に同会場にて開催することが決定した追加公演である。
ウォルピスカーター(以下、社長)の誕生から現在に至るまでの功績を語った、“ウォルピスカーターの半生”と題されたオープニングムービーで笑いが各所から溢れ出す。音源に等しい理想とする高音を、キーを下げることなく株主総会でも披露できるようになるのが、いくつかの会を重ねてきたうえでの社長の目標だというが、「彼の選択したキーは――」と映し出された後、「マイナス3だー!!」と叫びながらステージ上に現れたのは、フォーマルなスーツ姿の社長。1曲目に「STILL GREEN」、アニソンカバー「Los! Los! Los!」と、勢いのある2曲を届けると、「しんどい!! あの2曲の連投はしんどいんですよ。改めまして、ウォルピスカーターです。よろしく!」との声を投げてから、トーマの楽曲「廃景に鉄塔、「千鶴」は田園にて待つ。」、スピーディーで緩急のある「潜水艦トロイメライ」を歌い切った。
「高い曲を一緒に歌うパートナーが必要だと僕は感じたわけ! 僕の荒くなった息を整えつつ、やっていこうかなと思うわけでございます」と告げてからは、これまでの株主総会にも出演経験のある馴染み深いゲストの3人が次々と登場するターンへ。ゲスト一人目は、全身が緑一色に塗られ銅像になった歌い手のけーぽん。原曲キーの高い「命のユースティティア」、悲哀が充満した「傀儡マイム」をもって、ふたりは会場中をハイトーンボイスの渦へと飲み込んで見せた。社長は休息するどころか、さらなる高音を追求している。けーぽんと入れ替わったスーツ姿のSILVANAとは、After the Rainの楽曲「アイスリープウェル」、社長が作詞、SILVANAが作曲した共作「蜃気楼に求め」を丁寧にハーモナイズ。最後に、3人目として登場したのは、昨年3月20日にリリースした1stシングル「1%」を社長に書き下ろしたはるまきごはんだ。寒い冬にぴったりな雰囲気の「1%」から、はるまきごはんの楽曲「再会」、二度目のタッグを組むこととなった「雨子」までを披露していくなかでの、はるまきごはんの低音とオクターブ上のファルセットを奏でる社長の高音のコントラストは、絶妙なものだった。お互いの声色が鮮明に映し出されたそれぞれの共演では、時には、友人の力を借りるのも、演奏するうえでは欠かせないことの重要性を株主に伝える。
中盤に突入すると、一転して、コミカルなウォルピス社の朝礼の時間へ。社長室に飾られた、金一色の全身タイツを身に纏ったけーぽんを見て、「銅像を新しくしました!」と話しはじめた。その社長室へと入室してきたのは、6人の社員(バンドメンバー)。「おはようございます! 今日も元気に高い声で!」と口を揃えた社員に、「皆さんのおかげで今期、ウォルピス社、黒字です」と、業績を報告した社長。そこで、社訓を読み上げていくメンバーに喝を入れるために、社長が早速呼び込んだのが、この日の4人目のゲストであり、社員を指導するスパルタなコンサルタントマネージャー役の中川翔子先生。予想外にもダメだしされた社長は、社員と一緒に、最終的には株主までもが、中川翔子先生に続いて声を上げることとなり、株主総会は弾む空気に包まれた。ひとり居残りとなった社長と、中川翔子先生の「ライブでキーを下げない」の声が反復し合った後には、まるで、その指導の効果が即座に表れたかのように、真剣に、そして、しとやかに、「未来予想図Ⅱ」、「M」を歌い上げた。
株主総会も後半となったところで、再び登場した中川翔子とともに披露したのは、彼女の5年ぶりとなったオリジナルアルバム『RGB~True Color~』の収録曲で、社長のプロデュースで制作された「ある日どこかで」。「本当にこの曲大好きでめちゃくちゃ幸せ!」と思いの丈を社長にぶつけると、「見た? いま、しょこたんとハモってたんだよ」と株主に向けて喜びを露わにする。お互いが尊重し合っていることで生み出されるハーモニーは、見事なもの。本編ラストに選曲されたのは、銅像として終始動じることなく座っていたけーぽんが急遽歌声で参戦した、ウォルピス社のCM曲「斜めがけ前線」。
社長が3人のゲストを呼んだアンコールの一幕では、「曲を書いた作家がゲストでライブに出演させていただくことってなかなかないから、ウォルピスの現場ならではだなと思ってめちゃめちゃありがたい気持ちになりました」と感謝を伝えたはるまきごはんと、「傀儡マイム好きなんですよってアピールして、2曲歌わせていただけることになりました」と喜びを共有したけーぽんと、「皆さまの温かい空気に包まれて、2曲も披露させていただいて本当に満足の一日でした」と一日を振り返ったSILVANAに、拍手が送られた。
高音を追求するために同席した彼らの助長を経て、社長が言葉にしたのは、「“大”株主総会は追加公演で完全版となった」ということ。2020年3月25日にリリースするニューアルバム『40果実の木』の告知、オープニングムービー“ウォルピスカーターの半生”のナレーターは、けーぽんだったというネタバレを挟むと、バンドメンバーによるギター、ピアノを用いたシンプルなアコースティックアレンジで「無花果」、MUSIC VIDEOの再生回数が1500万回を突破し話題となっている「泥中に咲く」を届けた。
ウォルピス社では、一発勝負となるライブでも音源に等しい高音を出したいという社長なりの理想を実現するために、「株主総会」を通して、日々研究し続けている。4人のゲストを迎えることで起こる化学反応を呈示したことは、株主たちの瞳にも、たゆまぬ努力として実直に映ったことだろう。スクリーン上において、2020年3月25日にはNEWアルバム『40果実の木』の発売、9月27日に東京・Zepp Hanedaにてワンマンライブ『真・株主総会』、11月1日には大阪・Zepp Nambaにて『ハイトーン刑務所 ~LIVEでキーを下げただけなのに~』を開催することも告知された。今後の方向性を指し示すことに成功したウォルピス社の来期の業績も、期待が持てるものになるに違いない。
【取材・文:小町碧音】
【撮影:YUTA ITO】
リリース情報
40果実の木
2020年03月25日
日本コロムビア
02.キャスティングミス
03.マキナの祈り
04.REVE
05.蜃気楼に求め 歌:ウォルピスカーター×SILVANA
06.雨子
07.1%(Duet ver.) 歌:ウォルピスカーター×はるまきごはん
08.斜めがけ前線
09.偶像信仰上過失致死
10.ありきたりなさよなら
11.徒花の涙
セットリスト
ウォルピスカーターワンマンLIVE
『2019年度 ウォルピス社“大”株主総会』 追加公演
2020.1.26@豊洲PIT
- 1. STILL GREEN
- 2. Los! Los! Los!
- 3. 廃景に鉄塔、「千鶴」は田園にて待つ。
- 4. 潜水艦トロイメライ
- 5. 命のユースティティア(GUEST:けーぽん)
- 6. 傀儡マイム(GUEST:けーぽん)
- 7. アイスリープウェル(GUEST:SILVANA)
- 8. 蜃気楼に求め(GUEST:SILVANA)
- 9. 1%(GUEST:はるまきごはん)
- 10. 再会(GUEST:はるまきごはん)
- 11. 雨子(GUEST:はるまきごはん)
- 12. 未来予想図II
- 13. M
- 14. ある日どこかで(GUEST:中川翔子)
- 15. 空色デイズ(GUEST:中川翔子)
- 16. ドラマツルギー
- 17. 斜めがけ前線 【ENCORE】
- 1. 無花果
- 2. 泥中に咲く
お知らせ
ウォルピスカーターワンマンLIVE 2020
(東京編) 『真・株主総会』
09/27(日)東京・Zepp Haneda
(大阪編) 『ハイトーン刑務所 ~LIVEでキーを下げただけなのに~』
11/01(日)大阪・Zepp Namba
※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。