climbgrow、『EL-RODAR』リリース記念ワンマンライブ“青天井”で、新体制でのメジャー進出を発表!
climbgrow | 2020.02.21
しんみりした雰囲気はなかった。むしろメンバーの表情からは笑顔も零れるほどで、脇目も振らない全力疾走に胸を熱く焦がされた。けれど、2012年結成から4人体制で苦楽を共にしてきたわけで、センチメンタルな心情はゼロではなかったはずだ。そんな人間臭さも垣間見える豪快なラスト・ランであった。
昨年12月21日、バンドの公式HPにて、田中仁太(B)の脱退がアナウンスされた。インディーズベストアルバム『EL-RODAR』リリースに伴う今日のワンマンライブ“青天井”をもって現体制最後となる。それもあり、キャパ700人のVeats Shibuyaは立錐の余地なく多くの観客で埋め尽くされていた。Dr.Feelgoodの「Boom Boom」をオープニングSEに、杉野泰誠(Vo/G)、近藤和嗣(G)、田中仁太、谷口宗夢(Dr)のメンバー4人が登場。「極彩色の夜へ」から音の分離が鮮やかな演奏で駆け抜けていく。4人のクリアな演奏が激しく絡み合う様は実にスリリングだ。軽快なビートで体を揺さぶる「THIS IS」を演奏した後、「ロックンロールは好きですか?」と満杯のフロアに声をかけて、「LILY」へ。鋭いカッティング・ギターで攻めながら、巻き舌風のシャガレ声も味わい深く、本能剥き出しのシャウトに会場の熱気も高まるばかり。ドライブ感溢れる「ハイライト」をやり終えると、「この4人のラスト・ライブ、観に来てくれてありがとう。こいつ(田中)がいなくなるのは寂しいけど・・・」と杉野は本音がちらりと垣間見えるMCを挟み、歌心を全開にした「群青色の記憶」を披露した。
ド直球の歌詞が刺さる「太陽はまた昇り」に入ると、後半のインスト・パートでフロアは波打つように揺れ動く。それから杉野がギターを置いてハンドマイクに切り替えると、「RAIN」、「FENCE」の2曲をプレイ。すると歓声はひときわ大きくなり、歌声も演奏も激情迸るエモーションを大放出。杉野はダイブを決め、田中はブンブンとうねりを上げる骨太なベースを?き鳴らし、熱気は右肩上がりに上昇。「もっと燃えていきたい!もっと行ける!」と煽ると、「SCARLET」、「KLAXON」とエンジンを加速させ、タガの外れた暴走ロックンロールで観客の懐深くに突っ込んでいった。
中盤過ぎには再び「こいつ(田中)が辞める実感が湧かない。ライブをやるうちにジワジワ来て・・・」と杉野は零す。そのMCの最中、ほかのメンバー3人も何とも言えない表情を浮かべていた。このメンバー4人で走り続けた時間があり、分かち合ったかけがえのない時間がある。そこで培った喜怒哀楽のすべてをぶち込み、第三者にはうまく伝えられない心情まで音に乗せ、1曲1曲の中で完全燃焼させているように映った。
パワフルなドラムを合図に「ブラッドインブラッドアウト」が始まると、土埃にまみれたガレージ・ロックで疾走。その間隙を縫うヴォーカルはキャッチーな輝きを放ち、観る者をグイグイと惹き付けていった。危機迫る演奏を轟かせた後、「仕事終わりの服でパチンコを打ってた」と田中の私生活をさらっとバラして、ニヤニヤする杉野。こんなメンバー間の緩いやり取りも微笑ましい。その後に「革命を待つ」、「未来は俺らの手の中」と?ぎ、ポジティヴなエネルギーで観客を照らしつけ、本編最後は「ラスガノ」を披露。観客のサーフは途絶えず、田中も盛り上がるフロアにダイブを決めると、杉野と谷口は大笑いしてその様子を眺めていた。
アンコールに応えると、バンドは5月20日にメジャー1stアルバム『CULTURE』をリリースすることを伝え、場内から「おめでとう!」の声が飛び交った。「8年間、面白かったですわ。新メンバーが来てます!」と田中が告げると、「(田中)仁太から貰ったバトンを受け継ぐ」と新ベーシストの立澤賢(B)が答え、そのまま新体制で新曲を1曲プレイしてくれた。立澤は腰に響く力強いベース・ラインに加え、コーラス・ワークでもヴォーカルを援護する活躍ぶりで存在感をきっちりとアピール。
「新生climbgrow、よろしくお願いします!」と杉野が挨拶すると、田中を含む4人体制に戻って、ラスト・スパートに突入。「SEPTEMBER」、「叫んだ歌」と2連打を放ち、後者では大合唱が沸き起こる大フィーバーを記録。そんな歓喜に満ちたフロアをじっと見つめ、噛みしめるようにプレイする田中の姿がとても印象に残った。全23曲1時間45分に及ぶワンマンライブはあっという間に終演を迎え、メンバー4人も全部出し切った!と言わんばかりの清々しい表情を浮かべていた。
粗暴なロックンロールに多彩なエッセンスやアプローチを盛り込んだclimbgrowの音楽性。それをメジャーというフィールドに持って行くことで、また新しい「何か」が開花するのではないだろうか。今日の新曲を聴いて、そんな予感と期待が膨らむばかりであった。これまでの集大成とこれからの未来図を提示したパフォーマンスを観て、今後もバンドはアグレッシヴに転がり続けてくれることを確信した。まずは今年5月に出るメジャー1stアルバムの全貌を早く知りたい。ロックンロールに未来と希望を乗せた彼らの音は決して鳴り止まない。
【取材・文:荒金良介】
【撮影:浜野カズシ】
リリース情報
EL-RODAR
2020年01月08日
Narisome Recoreds
02.極彩色の夜へ
03.LILY
04.THIS IS
05.未来は俺らの手の中
06.ラスガノ
07.RAIN
08.ブラッドインブラッドアウト
09.SCARLET
10.LAVENDER
11.POODLE
12.風夜更け
13.叫んだ歌
セットリスト
EL-RODAR release one-man live『青天井』 2020.02.11@Veats Shibuya
- 01. 極彩色の夜へ
- 02. THIS IS
- 03. LILY
- 04. ハイライト
- 05. 群青色の記憶
- 06. 太陽はまた昇り
- 07. RAIN
- 08. FENCE
- 09. mold Hi
- 10. SCARLET
- 11. KLAXON
- 12. PAPER PLANE
- 13. 過ぎてしまった
- 14. 街へ
- 15. POODLE
- 16. くだらない
- 17. ブラッドインブラッドアウト
- 18. 革命を待つ
- 19. 未来は俺らの手の中
- 20. ラスガノ [ENCORE]
- 01. 新曲
- 02. SEPTEMBER
お知らせ
climbgrow FREE ONEMAN LIVE
3/12(木) 滋賀B-FLAT
climbgrow “CULTURE” Release Tour
5/26(火) 千葉LOOK
5/28(木) 仙台enn 2nd
5/30(土) 札幌BESSIE HALL
6/02(火) 神戸 太陽と虎
6/03(水) 高松DIME
6/09(火) 京都MUSE
6/13(土) 静岡UMBER
6/14(日) 水戸LIGHT HOUSE
6/20(土) 滋賀B-FLAT
6/24(水) 渋谷CLUB QUATTRO
6/26(金) 福岡Queblick
6/27(土) 大分club SPOT
7/02(木) 名古屋CLUB QUATTRO
7/07(火) 梅田CLUB QUATTRO
※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。