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Official髭男dism「一緒に年を取っていけるバンドを目指して」――最高を更新していくと誓ったホールツアー

Official髭男dism | 2020.02.25

 赤色の幕がゆっくりと上がって、ライトで照らされた藤原聡(Vo・Pf)、小笹大輔(G)、楢﨑誠(B・Sax)、松浦匡希(Dr)。彼らが最初に届けてくれたのは「イエスタデイ」だった。観客の手拍子で彩られながら会場いっぱいに広がる様が何とも言えず心地よい。そして、「Amazing」からは、サポートプレイヤーによる3管のホーン、パーカッション、キーボードの演奏が合流。厚みを増したサウンドが客席に降り注いでいった。

「Tell Me Baby」が披露された後、「今日は5千人くらいの人が集まってるわけです。たくさん来てくれて嬉しい。近い席、遠い席、1階、2階、3階、いろんなところに分かれてると思いますが、いつも通り誰ひとり置いていくことなく、しっかり全員にグッドミュージックを届けられるように一所懸命やっていこうと思うので、最後までよろしく!」という言葉を観客に届けた藤原。彼がピアノを弾いて歌い始めると、他の楽器パートの演奏も加わり、温かいメロディとハーモニーを響かせた「115万キロのフィルム」は、耳を傾けている人々の心を静かに震わせているのを感じた。そして、美メロとグルーヴィーさが絶妙に融合した「バッドフォーミー」。スタイリッシュなサウンドが観客をうっとりとさせていた「Rowan」。ゴスペルを思わせる歌声のハーモニーも交えながら、甘くて切ないメロディをじっくり奏でた「ビンテージ」。ファンキーに躍動するサウンドに合わせて手拍子をしたり、掲げた腕を振ったりする観客の姿が、幸福感に満ち溢れていた「最後の恋煩い」……Official髭男dismのあらゆる曲が、観客に深く愛されていることを実感させられる場面の連続であった。

 様々なきっかけでヒゲダンを知った人々が集まってくれていることを、ステージ上で心から喜び合っていたメンバーたち。「いろんな人が集まってる感じが僕は大好き。ちょっとずつ音楽仲間が増えていって、今に至るわけです。気づけばパシフィコ横浜でライブができて、その次は横浜アリーナが決まって。そんな風になっていってるのも、みんなが応援してくれてるおかげです。本当にどうもありがとうございます!」と語って笑顔を浮かべた藤原は、「まだまだヒゲダンも、みんなの人生も続きますから、“景気よく行こうや!”っていうことで、後半戦は結構こってりなセットリストを用意してきています。みなさん、ついてくる準備はできてますか?」と観客に呼びかけた。そして、明るい大合唱を呼び起こした「犬かキャットかで死ぬまで喧嘩しよう!」を皮切りに突入した後半戦は、会場を爽やかな熱気で満たし続けていた。メンバー各々が歌う場面も交えつつ陽気に盛り上げた「旅は道連れ」。バリトンサックスを吹き鳴らした楢﨑、サポートメンバーたちと一緒にステージ上をパレードしながら演奏した藤原と小笹が、実に楽しそうだった「ブラザーズ」。真っ赤なライトで染まったステージ上から、アグレッシブなサウンドが迸った「FIRE GROUND」。イントロが始まるや否やものすごい歓声が起こっていた「ノーダウト」。観客の大合唱や手拍子が、絶大なエネルギーを帯びていた「Stand By You」。耳を傾けながら瞳を潤ませていた人々の間に漂う穏やかなムードが印象的だった「Pretender」……あらゆる曲が、ヒゲダンが度々口にする“グッドミュージック”とは何なのかを、鮮やかに示していた。

「ラストソング」が届けられて、ゆっくりと降りてきた幕と共に締め括られた本編。赤い幕の表面に“Travelers”という白い文字が投影されると、アンコールを求める手拍子と、「ヒゲダン! ヒゲダン!」という力強い声が響き渡った。すると、再び幕が上がり、明るい光で包まれたステージから「I LOVE…」が届けられて、観客は大喜び。演奏を終えた後、メンバーたちは「もっとくれ!」と歓声を何度も煽りながら、会場に渦巻いている熱気を存分に噛み締めていた。とても嬉しそうにはしゃいでいた彼らの様子を眺めながら、胸がいっぱいになった人が少なからずいたのではないだろうか。大きな会場でライブをするようになっても変わらないヒゲダンの素朴な一面が垣間見えるひと時であった。

「29公演回って思ったのは、どんどん音楽仲間が増えてるということ。人数も増えたし、年齢層も広がりました、今まで以上にちびっこが観に来てくれてたり、自分のお父さんお母さんくらいの年齢の人が来てくれてたり、同世代の人もたくさん増えてたり、男女の比率も同じくらいになってきてたり……いろんな人に音楽が届いてたらいいなと思いながら音楽を放ってきたけど、音楽仲間がどんどん増えてきてくれてるというのを、このツアーで確認することができて、本当に嬉しかったです」――今回のツアーを通じて感じた想いを、じっくりと語っていた藤原。そして、演奏がスタートした「異端なスター」は、軽やかにステップを踏みつつ手拍子をしていた観客の笑顔が眩しかった。

「最高の夜をどうもありがとうございました。最高をこれからも更新して、共有しながら、一緒に年を取っていけるバンドを目指して、しっかりと頑張っていこうと思います。最後の曲は、その決意表明、みんなに120%のパワーを込めて届けます!」――藤原の言葉が添えられて、アンコールのラストに披露された「宿命」は、歌詞の言葉、演奏、歌声が一体となりながら、力強いメッセージを帯びて迫ってきた。ヒゲダンの音楽が、あらゆるリスナーの心に寄り添っていることを再確認させられるエンディングであった。

 全国のホール会場を回った今回のツアーが終わっても、彼らの旅はまだまだ続く。3月14日・北海道立総合体育センター 北海きたえーる公演を皮切りに『Official髭男dism Tour 2020 - Arena Travelers -』がスタートする。アリーナ会場でたくさんの人々と音楽を共有する経験は、メンバーたちにかけがえのない喜び、発見、刺激を与えることになるはずだ。充実した日々は、ヒゲダンの魅力の色合いをますます豊かなものとしていくに違いない。

【取材・文:田中 大】
【撮影:渡邉一生、橋本歩】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル Official髭男dism

リリース情報

I LOVE...

I LOVE...

2019年02月12日

ポニーキャニオン

01.I LOVE...
02.I LOVE...~Instrumental~

セットリスト

Official髭男dism
Tour 19/20 -Hall Travelers-
2020.02.11@パシフィコ横浜

  1. 1,イエスタデイ
  2. 2,Amazing
  3. 3,Tell Me Baby
  4. 4,115万キロのフィルム
  5. 5,バットフォーミー
  6. 6,Rowan
  7. 7,ビンテージ
  8. 8,最後の恋煩い
  9. 9,犬かキャットかで死ぬまで喧嘩しよう!
  10. 10,旅は道連れ
  11. 11,ブラザーズ
  12. 12,FIRE GROUND
  13. 13,ノーダウト
  14. 14,Stand By You
  15. 15,Pretender
  16. 16,ラストソング
  17. E1,I LOVE...
  18. E2,異端なスター
  19. E3,宿命

お知らせ

■ライブ情報

Official髭男dism Tour 2020 - Arena Travelers -
03/14(土)[北海道]北海道立総合体育センター 北海きたえーる
03/15(日)[北海道]北海道立総合体育センター 北海きたえーる
03/21(土)[大阪]大阪城ホール
03/23(月)[大阪]大阪城ホール
03/24(火)[大阪]大阪城ホール
03/30(月)[福岡]福岡国際センター
03/31(火)[福岡]福岡国際センター
04/04(土)[愛知]ポートメッセなごや3号館
04/05(日)[愛知]ポートメッセなごや3号館
04/28(火)[徳島]アスティとくしま
04/29(水)[徳島]アスティとくしま
05/05(火)[新潟]朱鷺メッセ 新潟コンベンションセンター
05/06(水祝)[新潟]朱鷺メッセ 新潟コンベンションセンター
05/18(月)[神奈川]横浜アリーナ
05/19(火)[神奈川]横浜アリーナ
05/26(火)[東京] 東京ガーデンシアター(仮称)有明ホール
05/27(水)[東京] 東京ガーデンシアター(仮称)有明ホール
06/13(土)[広島]広島グリーンアリーナ
06/14(日)[広島]広島グリーンアリーナ
06/27(土)[宮城]宮城セキスイハイムスーパーアリーナ
06/28(日)[宮城]宮城セキスイハイムスーパーアリーナ
07/05(日)[沖縄]沖縄市民会館

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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