ツアーファイナルかつ初ワンマン! 圧倒的狂騒空間を生み出した灼熱の一夜をレポート!
SPARK!!SOUND!!SHOW!! | 2020.03.17
ハードコア、ラウド、オルタナ、ヒップホップ、レゲエ、ダンス・ミュージックに加え、映画やゲーム、ヤンキー・カルチャーまで取り込んだ裾野の広い音楽性をケロッとした表情で飄々と演奏する通称・スサシことSPARK!!SOUND!!SHOW!!。昨年9月リリースの2ndフルアルバム『NU BLACK』に伴う全国ツアー「NU BLACK RELEASE TOUR」ファイナルにあたる渋谷WWW公演は完全ソールドアウト。さらに、この日はスサシにとって初のワンマンライブとなった。
18時37分、「死ぬほど踊りましょう!」とタナカユーキ(Vo/Gt)が叫ぶと、ショウは「GODSPEED」で火蓋を切った。いきり立つハードコアの熱量にメンバーも観客もサーフするカオスな盛り上がりを呈す。間髪入れずに打ち込み色の強いショートチューン「感電!」に入ると、フィジカルに訴えるリズムにフロアも激しく反応。「ゴジラのテーマ」をイントロに配した「かいじゅうのうた」に移ると、軽快なラップを放つ一方で、タナカはステージ上で逆立ちしたりと、やりたい放題の暴れっぷりだ。 「暴走族の歌やります!」と言うと、次は「†黒天使†」へ。観客は両拳を掲げてバイクをふかすマネをしつつ、「ブーン!ブーン!ブーン!」(バイク音)の大合唱が会場に広がる。なんだ、この奇妙なノリと一体感は!? けれど多くの人が嬉々として、この状況を楽しんでいる。こうして4曲を一気に駆け抜けたあと、「自分らでもどういうジャンルか言いにくい……」とチヨ(Ba/Cho)は零していたが、メンバー自身も既存のジャンルに寄せるつもりは毛頭ないのだろう。ただただ、自分たちがかっこいい、面白いと思った感覚を信じて突き進んでいるに違いない。その振り切れっぷりがとにかく最高なのだ。しかもライブは音源以上にパンチと破壊力があるため、彼らのステージにグイグイと惹きつけられていった。ワルガキがそのまま楽器を持ったような、純粋無垢な衝動と遊び心が楽曲を勢いづかせているようだ。
「ドカーン」ではタナカ、チヨ、タクマ(Key/Gt/Cho)のフロント3人がハンドマイクでラップを決め、まるでビースティー・ボーイズのごとく振る舞う。その自由度の高いパフォーマンスに観客も飛び跳ねて応戦する。「PS4」においてはタナカがフロアに入ってラップを繰り広げたりと、突発的な所作にも目が離せない。ヘビーなリフで攻め立てる「BPM169」に身も心も焚き付けられ、最後はイチロー(Dr/Cho/169)が素っ頓狂なハードコア・ボイスで曲を締め括るフィニッシュも実にキュートであった。
異国情緒漂うモッシュ曲「無愛愛」、野蛮な勢いを発揮した疾走曲「SCAR」で会場を掻き回したあと、「スターウォーズのテーマ」とともにイチローが赤いサングラス姿でステージ前方に登場。ダンス調の「イチロック☆だもん」で盛大なコール&レスポンスを繰り広げ、観客を爆笑の渦に包み込む。メンバーからも「茶番」とイジられていたが、エンタメ性抜群のアプローチも効果的。メンバー一人ひとりの強烈なキャラ立ちぶりもスサシの大きな魅力と言っていい。
中盤、最新作収録のフィーチャリング曲を披露。そう、ここでCreepy NutsのR-指定が姿を見せると、「Swinga! feat.R-指定」が炸裂。ライブでは初コラボだったらしく、精彩を放つ両者の火花に観ているこちらもアドレナリンが噴出するばかり。それを経て、「一緒に歌ってほしい!」と声をかけると、ボーカルを前面に押し出したナンバーが4曲続く。「アワーミュージック」「ミッドナイトサイダー」とプレイしたあと、「今のこの4人が始まった曲」と言うと、ミラーボールが回る中で「good sleep」を披露。甘美なバラード風の曲調に多くの人が聴き入り、続いて哀切なエレクトロを配した「蜜」も素晴らしかった。カオティックな攻めで圧倒しつつ、メロディアスな引きの美学でも観客を魅了する。この両極端な振れ幅もスサシの音楽的な引き出しの多さを雄弁に物語っていた。
後半に入ると、ポエトリーリーディングで幕を開ける「MARS」へ。静かな立ち上がりからMETALLICAの通称ブラック・アルバム(5thアルバム)を彷彿させるヘビーかつグルーヴィーなリフを叩き付け、その流れから「スサシのテーマ」に突入すると、ステージダイブも勃発する大騒ぎっぷり。「神様に頼らず4人でやって来ました。いい10年間でした。いよいよ戦争が始まりそうやったりとか、こんな感じでヘラヘラしてられなくなると思いますので。いつか世界が終わることに備えて、自分だけで闘ってブチ上がっていきましょう!」とMCを挟むと、「南無」をプレイ。《神々か何かに 祈ってる/縋ってないで 面接に行け/それでもダメなら バンドやれ》と言い切る歌詞が痛快この上ない。音楽に全霊の祈りを捧げたお経ハードコアを放つと、とんでもない活気が渦巻いていた。
そして、「『NU BLACK』のツアーで1回もやれなかった曲やります。この曲をやるためにツアーを回ってきたと自分で思ってる。この曲をプレイした瞬間、次のフェーズに入っていく」と意味深な発言をしたあと、「ソウルナンバー」を披露。彼らの持ち曲の中でもシンプルな曲調で赤裸々な歌詞が印象的。《searchin’ for my soul 今でも/その一瞬を探してる》と熱く歌い上げる歌詞のとおり、自分たちの魂が燃え上がる瞬間を追い求め、「これからも音楽の旅を続けて行くんだ!」という宣言のように僕には聴こえた。
アンコールに応えると、AKB48のアンサーソング(?)と説明を加えて、「ヘビーローテンション」を披露。もちろん本家とは正反対のゴリゴリのラウドサウンドを見舞い、そこにPaleduskのKaito(Vo)が怒号スクリームで援護射撃。さらに続いた「still dreamin’」では爽快な歌メロで観客の心を鷲掴みにして、全24曲に及ぶショウは終了。3月27日よりENTHとの東名阪スプリットリリースツアーも予定されている。2020年、音楽シーンを引っ掻き回し、新時代を切り拓くのは彼らのようなブッ飛んだバンドなのだ。早くも年間ベスト・ライブの候補に入れたくなる最狂の初ワンマンライブだった。
【取材・文:荒金良介】
【撮影:KEIJU】
リリース情報
NU BLACK
2019年09月18日
SPA!DUPA! Inc.
02.感電!
03.ヘビーローテンション feat.YUKITERO(空きっ腹に酒)&KAITO(Paledusk)
04.MARS
05.スサシのマーチ
06.†黒天使†
07.ミッドナイトサイダー (♂♂♂♂ Ver.)
08.蜜
09.Swinga! feat.R-指定(Creepy Nuts)
10.SCAR
11.ソウルナンバー
セットリスト
NU BLACK RELEASE TOUR FINAL
2020.01.11@渋谷WWW
- 01.GODSPEED
- 02.感電!
- 03.かいじゅうのうた
- 04.†黒天使†
- 05.ダンザーラ
- 06.OEO
- 07.BRUSH UP
- 08.ドカーン
- 09.PS4
- 10.BPM169
- 11.無愛愛
- 12.SCAR
- 13.イチロック☆だもん
- 14.Swinga! feat.R-指定(Creepy Nuts)
- 15.アワーミュージック
- 16.ミッドナイトサンダー
- 17.good sleep
- 18.蜜
- 19.MARS
- 20.スサシのマーチ
- 21.南無
- 22.ソウルナンバー 【ENCORE】
- EN1.ヘビーローテンション
- EN2.still dreamin’
お知らせ
ENTH × SPARK!!SOUND!!SHOW!! presents
“爆走!白虎珍道中〜明日に向かって爆ろうぜ!〜”
03/27(金)大阪 梅田CLUB QUATTRO
04/17(金)愛知 名古屋CLUB QUATTRO
04/23(木)東京 渋谷CLUB QUATTRO
※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。