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PEDRO、生配信でも音を奏でる喜びを共有し合った無観客ライブ

PEDRO | 2020.06.23

 全国10都市を巡る予定だった「GO TO BED TOUR」は、新型コロナウイルスの影響で、残念ながら全公演がキャンセル。しかし、東京公演が行われる予定だった新木場STUDIO COASTで6月14日、無観客ライブ「GO TO BED TOUR IN YOUR HOUSE」が、PEDRO Official YouTubeチャンネルで生配信された。クラウドファンディングによって実現したこの公演の模様をレポートする。

 配信スタート予定時刻の19時、待ち構えながら眺めていたPCの画面が、突然、淡い緑色の光の揺らめきに包まれた。ステージを覆っている紗幕に照明が当たっている様を、カメラが捉えているらしい。そして轟音が響き渡り、アユニ・D、サポートメンバーの田渕ひさ子(Gt)、毛利匠太(Dr)のシルエットが浮かび上がった後、紗幕は落下。露わになったステージで、「WORLD IS PAIN」の演奏がスタートした。ベースを弾きながら歌うアユニ・Dを中心に構築されたアンサンブルが、とても力強い。ダイナミックなビートを叩き出す毛利、使い込まれた愛器ジャズマスターから骨太なサウンドを放つ田渕――画面がプルプルと震えだしそうなくらいの迫力を映像から感じたオープニングであった。

 この公演の映像演出を手掛けたのは、シングル「衝動人間倶楽部」に収録されている全曲のMVの監督を務めた映像作家・山田健人。絶妙なセンスは、2曲目「猫背矯正中」で、早くも粋な形で発揮された。アユニ・Dの巨大な顔写真がステージの背景に映し出されたのだが、両目からレーザービームが発射されて仰天! そして、「玄関物語」、「STUPID HERO」、「アナタワールド」、「GALILEO」、「ボケナス青春」、「ハッピーに生きてくれ」、「SKYFISH GIRL」、「MAD DANCE」、「うた」…………エモーショナルなサウンドが、怒涛の勢いで駆け抜けていった。

 「ラブというソング」へと突入したところで、ドラムのビートが響き渡る中、マイクに向かって想いを語ったアユニ・D。「6月14日、無観客状態、生配信ライブ。7ヵ月ぶりのライブは、非常に感慨深いものであります。今宵は、あなたのおうちで素敵なグンナイを。最後まで何卒よろしくお願いします」。そして、彼女のカウントを合図に、3人のアンサンブルが華麗に開花。演奏しているアユニ・D、田渕、毛利の浮かべた表情が、実に気持ちよさそう。続いて、「NOSTALGIC NOSTRADAMUS」も披露されて、ライブはいよいよ後半戦へと差し掛かりつつあった。部屋で画面を食い入るように見つめていた視聴者は、時が経つのも忘れて過ごしていたのではないだろうか。

 ステージの背景に映し出された打ち上げ花火の映像が、メロディを美しく彩っていた「生活革命」。ベースを弾きながら一心に歌うアユニ・Dの姿が、とても雄々しかった「おちこぼれブルース」。MVでも存在感を発揮していたケンタウロス風な半牛半馬がステージへと乱入して踊りまくった「無問題」。フロアを埋め尽くした観客が、雄叫びを上げながら飛び跳ねている風景が見えるような気がした「自律神経出張中」。映像に突然アナログテイストのノイズが入り、昔のパンクバンドのドキュメンタリー映画のような雰囲気を醸し出していた「ironic baby」……片時も画面から目を離せないシーンの連続であった。そして、「ゴミ屑ロンリネス」、「甘くないトーキョー」、「感傷謳歌」、「EDGE OF NINETEEN」も届けられて、強烈な余韻を残したままステージを後にしたアユニ・D、田渕、毛利。誰もいなくなり、薄暗くなった空間が画面に映し出され、暫くの間、無音状態が続いた。

 「Dickins」をアンコールの1曲目に届けた後、アユニ・Dは、改めて想いを語った。「この期間は、意味のあることしかやっちゃいけないというか。許されない感覚が……ちょっと心が苦しくなる時もあるんですけど。でも、今日みたいに誰かが掻き鳴らしてる音を聴くだけの時間とか、自分の好きなことに没頭するだけの時間とか、心のオアシスに滞在する時間とかも、これから先、強く生きるためには、本当に重要なものなんじゃないかなって思います」。そして、観客の目の前で演奏できないことに対する悔しさを滲ませつつも、いつかまた、たくさんの人々と同じ空間で音楽を共有できる日が戻ってくることを心から願った彼女は、「みなさん、これからも強く生きてください。私もなんとか強く生きていきます」という言葉を添えて、「NIGHT NIGHT」の演奏を始めた。生命の炎を全力で燃やすかのようだったこの曲は、ライブを締め括るのに、とてもふさわしかったと思う。画面を観ているひとりひとりの心を鼓舞するかのように奏でられているのを感じた。

 3人がお辞儀をしてステージから去り、穏やかなムードを漂わせながら迎えた終演。アユニ・Dのソロプロジェクトとして始まったPEDROだが、音を奏でる喜びを共有し合っていたステージ上の3人の姿は、“ロックバンド”であった。ベースを弾きながら演奏をするアユニ・Dのかっこよさに磨きがかかっていたのも印象的だった点だ。再び観客の目の前で演奏する機会が巡ってきた時、PEDROは、最高の空間を作り上げることができるだろう。

【取材・文:田中 大】
【Photo by sotobayashi kenta】

tag一覧 配信ライブ 女性ボーカル PEDRO

リリース情報

来ないでワールドエンド

来ないでワールドエンド

2020年08月12日

ユニバーサルミュージック

01.来ないでワールドエンド
02.pistol in my hand
03.浪漫トラック

セットリスト

GO TO BED TOUR IN YOUR HOUSE
2020.06.14@新木場STUDIO COAST

  1. 01.WORLD IS PAIN
  2. 02.猫背矯正中
  3. 03.玄関物語
  4. 04.STUPID HERO
  5. 05.アナタワールド
  6. 06.GALILEO
  7. 07.ボケナス青春
  8. 08.ハッピーに生きてくれ
  9. 09.SKYFISH GIRL
  10. 10.MAD DANCE
  11. 11.うた
  12. 12.ラブというソング
  13. 13.NOSTALGIC NOSTRADAMUS
  14. 14.生活革命
  15. 15.おちこぼれブルース
  16. 16.無問題
  17. 17.自律神経出張中
  18. 18.ironic baby
  19. 19.ゴミ屑ロンリネス
  20. 20.甘くないトーキョー
  21. 21.感傷謳歌
  22. 22.EDGE OF NINETEEN
【ENCORE】
  1. EN1.Dickins
  2. EN2.NIGHT NIGHT

お知らせ

■ライブ情報

LIFE IS HARD TOUR
09/03(木)愛知 名古屋 DIAMOND HALL
09/04(金)大阪 なんばhatch
09/08(火)広島 LIVE VANQUISH
09/09(水)香川 高松 オリーブホール
09/11(金)福岡 DRUM LOGOS
09/16(水)宮城 仙台 RENSA
09/18(金)北海道 札幌 PENNY LANE24
09/22(火祝)新潟 NEXS NIIGATA
09/24(木)東京 Zepp Tokyo

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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