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全編2時間越えのドキュメンタリー+ライブ――待ち続けたBONERに向けて、いま再始動の狼煙を上げる!

The BONEZ | 2020.07.29

 暗闇の中で炎がメラメラと燃え盛っている。そのシーンは彼らの“内なる感情"を表徴しているように映った。

 The BONEZの配信ライブ「The BONEZ - Speak True - Documentary + Live」が7月23日に行われた。タイトルを見てもわかるとおり、ライブが始まる前に、JESSE(Vo/Gt)、T$UYO$HI(Ba)、ZAX(Dr)のメンバー自らここまでの道のりを語り尽くしたドキュメンタリーが流れる。「やっぱりこいつらと音を出したい」とT$UYO$HIが発言。それは心の底から自然と溢れ出た言葉だろう。

 映像は2019年7月13日、「We Control Tour 2019」のファイナルにあたるZepp Fukuoka公演の模様に切り替わる。ツアー中はアナウンスされなかったものの、2019年12月をもってNAKA(Gt)は脱退したが、実質このライブが最後の姿となった。残されたメンバー3人は、改めて「全員一致でもっと大きなバンドになりたい」というビジョンに向かって突き進むことを選択した。しかし、6日後の7月19日に活動を休止せざるを得ない事態が発生する。当時の心境を振り返り、「今まで作り上げてきたものが崩れた」とZAXが語ると、「ボディーをくらった感じというか、じわじわ効いてきた。キツかったな」とT$UYO$HIが続く。そして、「一歩一歩前に進むしかない、俺の姿勢で見せていく」とJESSE自らに言い聞かせるように語ってくれた。
 休止期間中、Dragon Ashのサポートを務めたT$UYO$HI、Charのバンドに参加したZAXが、当時の胸中も告白。その言葉を聞きながら、The BONEZ並びにバンドをサポートし続けてくれるBONER(ファンの総称)に対する深い愛を感じ取れた。時は流れて、2020年1月18日、メンバー3人でリハーサルスタジオに入って音を鳴らしたとき、JESSEは号泣したという。好きな仲間と音を鳴らせる喜びを噛み締めたに違いない。「爆発したよ、あのときは」と興奮気味に語るZAXの言葉も印象的であった。それを経て、The BONEZ再始動を告げる「re:BIRTH」ツアーは、5月20日の横浜Bay Hallを皮切りに始まる予定になっていた。しかしご存知のとおり、新型コロナウイルスの影響を受けて、全公演が延期になった。

 2020年7月13日(配信ライブ収録日)、The BONEZは福島県・猪苗代湖畔にいた。Zepp Fukuoka公演からジャスト1年というタイミングである。JESSE、T$UYO$HI、ZAX、そしてサポートギタリスト・Koki(Tears of the Rebel)のメンバー4人が円陣を組み、掛け声で気持ちをひとつにしたあと、所定の位置につく。曇天、砂浜、湖畔、遠くに山々が見える最高のロケーションのなか、ついに再始動の音が鳴らされる。日はまだ明るく、たまに吹く風でメンバーの髪は揺れていた。JESSEが一礼したあと、何かを噛みしめるようにゆっくり歌い上げると、「Until you wake up」でライブはスタートした。奇しくも同曲のMVも今日のメンバー4人のように向き合って演奏する場面がある。さらに<I’m still here/Waiting for my time to glow/Trapped inside of me/I’m still here waiting for that open door/It takes time>(和訳MV参照:俺はまだここにいる 閉じ込められた部屋の中で 再び動き出すその日を想像してる 時間はかかるけど)の歌詞を踏まえても、これ以上ないオープニング・ナンバーと言っていい。
 序盤にメンバー紹介を挟みつつ、演奏はどんどん加速度を上げていく。「聞こえねえぞ、BONER!」とJESSEは画面越しに煽り、マイクを握り締めて絶叫したかと思えば、白い砂浜の上を縦横無尽に動き回り、その姿をカメラが必至に追いかけていた。T$UYO$HIはいつものように体を左右に動かしながら、存在感漲るベースラインを轟かせ、The BONEZの骨幹をしっかり支えている。そこに水を得た魚のように野性味溢れるZAXのドラミングが重なり、楽曲を激しくドライブさせていた。サポートのKokiに関しては、繊細かつ剛胆なギタープレイで楽曲を色付けしており、バンドに違和感なく溶け合っていた。何よりメンバーそれぞれが楽器を掻き鳴らし、The BONEZとしてアウトプットしていることに至上の喜びを見い出していることが音から伝わってくる。最高の笑みを浮かべたZAXの表情がそれを物語っていた。
 ヘビーかつ疾走感に富んだ新曲も披露され、サビのキャッチーな広がり具合は遮るものが何ひとつない今日のロケーションにも抜群にマッチしていた。「ヘイ! ヘイ!」とJESSEが腹の底から声を上げると、「Place Of Fire」をプレイ。まさに復活の火を灯す場所にするんだと言わんばかりに、エネルギッシュな歌と演奏を豪快に解き放っていった。曲をやり終えると、ZAXがミスったのだろうか、メンバー同士が笑い合う場面もあった。

「こういう形でライブをするのって、コロナにならなかったらできなかったことだし、これを良きとして捉えてます。猪苗代湖にはいろんな神話があるらしく、古くは空海が足を運んで……パワースポットといろんな人から聞いて。自然というものの中に俺らは生かされていると思う。あとひとつ、九州のほうで災害に苦しんでいる人たち、心から祈ってます」とJESSEはMCを挟むと、辺りも一段と暗くなっていた。メンバー4人の中央に焚き火が備え付けられた状態で「Leaf」へ。The BONEZのことを誰よりも信じ、待ち続けたBONER一人ひとりに向けられたプレイを受けて、歓喜に満ちた視聴コメントで応戦し、徐々にライブはクライマックスへ。「Thread & Needle」は真っ赤な夕焼けをバックにプレイされ、まるで映画のワンシーンでも眺めているよう。メンバー一丸となったコーラスワークを聴いて、こちらも熱いものが込み上げてきた。

「ちょうど1年かかったけど、今日久しぶりに音を出して、メンバーと向き合ってライブができた。本当に良かった。支え合っていきましょう。この曲がすべてを表しているんじゃないかな」とJESSEは告げると、「Friends」に繋ぐ。大切な仲間に向けて親愛なる気持ちを託した歌詞が突き刺さる。曲に込めたメッセージはBONERにも確実に届いたに違いない。
 気がつくと、辺りは真っ暗闇に包まれていた。カメラが捉えているのはメンバー4人の姿と激しく燃える焚き火のみ。炎越しにメンバーを捉える映像を凝視しながら、僕の中で冒頭の言葉が頭をよぎった。今回の配信ライブには不退転の情熱と覚悟をもって臨むバンドの姿がきっちりと刻まれていた。再始動の狼煙はここから始まるのだ。

【取材・文:荒金良介】
【Photo by Yoshifumi Shimizu】

tag一覧 The BONEZ ライブ

リリース情報

WOKE

WOKE

2018年05月09日

TENSAIBAKA RECORDS

01.Until you wake up
02.Bird ~people with wings~
03.Rude Boy
04.One more
05.SUNTOWN
06.LIFE
07.Kings work
08.Code name
09.Nice to meet you
10.Anthem
11.See you again

お知らせ

■ライブ情報

The BONEZ - Speak True - Documentary + Live
アーカイブ配信:07/30(木)23:59まで
詳細はこちら→https://thebonez.com/web/988

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