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THE BACK HORN、8ヵ月ぶりのライブとなった無観客配信ワンマンライブ(スタジオ編)

THE BACK HORN | 2020.08.14

 「見ている人に届いて欲しい、届け、みたいな思いがあるとライブになる。4人の塊で届けようと思うと、スイッチが入る」

 初の配信ライブ「KYO-MEI MOVIE TOUR SPECIAL」-2020-(スタジオ編)の中盤で、松田晋二(Dr)が言った。オーディエンスと一丸となるアグレッシブなライブを続けてきたTHE BACK HORNにとって、無観客の配信ライブはどんなものになるか、本人たちもパソコンやスマホの画面を見ている私たちも、始まるまで想像できなかったと思う。だが、それは杞憂だった。

 円陣を組むように楽器と機材がセットされた、ビクタースタジオ。THE BACK HORNのレコーディングで何度も使われてきた、一発録りもできる広いスタジオだ。4人が入ってきて楽器を鳴らすと、山田が「こんばんは、THE BACK HORNです」と挨拶し、「冬のミルク」からライブがスタートした。

 初の配信ライブが彼らの原点とも言える曲から始まったのは感慨深い。8ヵ月ぶりに鳴らされた4人の音は、変わらず研ぎ澄まされていた。音を出した瞬間、菅波栄純(Gt)は嬉しそうな顔になる。フレットに赤いLEDを仕込んだベースを岡峰光舟(Ba)はクールに演奏し、松田のドラムと合わせていく。アイリッシュ風味の「グローリア」は男臭いコーラスで気分を上げ、最新作『カルペ・ディエム』からの「太陽の花」では山田将司(Vo)の歌が熱を帯びていった。

 白いシャツの山田、髪を少し短くした菅波、反対に髪を束ねた岡峰、松田はJoy Divisionの歌詞がプリントされた白Tシャツ。変わらぬ4人の演奏に8ヵ月の空白はあっという間に埋まり、いつものライブのように曲は進んでいく。4人が互いを見合って演奏している様子は新鮮だ。いつものライブのように裸足でプレイする菅波が、足指でエフェクターを操作するところが映ったのは、ファンには嬉しい瞬間だった。

 3曲終わったところで松田のMCが入るのもお馴染みのスタイル。「今年初のライブ。配信ライブはTHE BACK HORNにとって初めてですけど、今日は素敵な時間を一緒に過ごしていければと思いながら、心を込めて演奏したいと思います。またこうやって音を届けられる感無量の思いも込めて、僕らも楽しませていただきます」

 今回の配信は山田の喉の治療のために延期されたツアーが新型コロナウイルスのために再度延期となり、ワンマン公演としては、昨年末のツアー仙台公演以来のライブだ。起伏に富んだ展開に心が揺さぶられる「罠」、最新アルバム『カルペ・ディエム』の1曲目「心臓が止まるまでは」、2015年リリースのシングル「悪人」と続く。山田はドラマチックに感情を込めて歌い、楽器隊の演奏が緊張感を高めていく中で、やはりレコーディング・スタジオならではの音の良さに気づいた。楽器のダイナミックな音や4人のコーラスワークが細やかに伝わってきたのは、レコーディング・エンジニアによるミキシングということもあったようだ。

 一息入れたところで、夏の景色を歌い込んだ「幸福な亡骸」、スケール感のある風景が浮かぶ「空、星、海の夜」と穏やかな曲でクールダウン。そして4人のフランクな会話になった。タブレットで見る視聴者のコメントに笑顔を浮かべながら「これはリハと違う、ライブだね」と岡峰が言うと、菅波が「始めてから思ったけど、やっぱりライブやりたかったんだな。この興奮する感じはライブでしか得られない」と頷く。山田は「いつものライブハウスと変わらない汗をかいてる」と笑い、松田は冒頭に記した思いを語った。

 ここで山田が「次の配信ライブが決まっています。『KYO-MEI MOVIE TOUR SPECIAL』-2020-(ライブハウス編)、9月6日です」と発表。そして「それぞれが今一生懸命生きている中で、必ず会えるんだってことをみんな信じて生きているこの時間は、なんとも言えない。胸が苦しくなる。胸がキュンとするような、締め付けられるような気持ちになるんですけど。みんなにまた会えることを信じて、THE BACK HORNの曲を作りました」と最新曲「瑠璃色のキャンバス」を紹介した。

 6月に配信シングルとして発表された曲だが、彼らの生演奏で聴くのはこれが初めてだ。イントロのスケール感のあるギターソロから、ギターを弾きながら歌う山田の染み込むような声に惹きつけられる。ボーカルとギターがカラフルに絡み合うサビのリフレインが印象的だ。繰り返すほどに山田の歌が研ぎ澄まされていき、<魂の歌を歌おう 僕らの場所で>と一際大きな声で歌い上げた。ホッとしたような眼差しで山田が松田に目をやり、ラストを締めた。

 終盤は、ライブハウスさながらの曲と演奏になった。「コバルトブルー」のスリリングなイントロを菅波が鳴らすと、山田はビートに合わせてジャンプしながら体勢を作り、手に持ったマイクに挑むように歌った。畳み掛けるように「シンフォニア」が続き、山田はいつもライブでやるように両手で「来いよ!」と煽る。ステージにいるようにフロアを動き回り、後半の<帰る場所ならここにあるから>という歌詞を<帰る場所ならライブハウスにあるから>と、カメラを見据え指差しながら歌ったのは、画面越しに上がる歓声が聞こえるようだった。

 「また生きて会おうぜ!」ライブで最後に必ずいう一言を山田はこの夜も告げた。ラストの曲は「刃」。残り少ない時間を惜しむように菅波は頭を振りながら全力でギターを鳴らし、山田は汗をほとばしらせ全身から声を絞り出す。岡峰は跳ねながらも集中した眼差しで細かなベースラインを奏で、松田がキレのいいビートを叩き出す。山田が大きく両手を広げて歌いかけた最後のコーラスは、男たちの咆哮になった。

 エンディングに重ねて山田が「どうもありがとう!9月6日、『KYO-MEI MOVIE TOUR SPECIAL』-2020-(ライブハウス編)で会いましょう! THE BACK HORNでした」と告げた。

 音が止まり一息いれると、高い位置の固定カメラに向かって4人は手を振り、頭を下げてスタジオを出た。それはライブハウスでステージを降りるときと同じ動作だった。

【取材・文:今井 智子】
【撮影: AZUSA TAKADA】

tag一覧 配信ライブ 男性ボーカル THE BACK HORN

リリース情報

Digital Single「瑠璃色のキャンバス」

Digital Single「瑠璃色のキャンバス」

2020年06月24日

Speedstar

01.瑠璃色のキャンバス

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セットリスト

「KYO-MEI MOVIE TOUR SPECIAL」
-2020-(スタジオ編)
2020.08.02

  1. 01.冬のミルク
  2. 02.グローリア
  3. 03.太陽の花
  4. 04.罠
  5. 05.心臓が止まるまでは
  6. 06.悪人
  7. 07.幸福な亡骸
  8. 08.空、星、海の夜
  9. 09.瑠璃色のキャンバス
  10. 10.コバルトブルー
  11. 11.シンフォニア
  12. 12.刃

お知らせ

■ライブ情報

「KYO-MEI MOVIE TOUR SPECIAL」
-2020-(ライブハウス編)

09/06(日)

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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